スカウトメールのプロ・佐藤タカトシ氏が伝授。応募につながる文面の考え方(前編)

core words株式会社 佐藤タカトシ
core words株式会社

CEO/Creative Director 
佐藤タカトシ

プロフィール

ダイレクト・ソーシングにおいて、応募効果を左右するスカウトメールの書き方。
今回、「求人広告の制作」や「人事・採用担当者」として、転職希望者に何百本もスカウトメールを書いてきた経験を持つ、“スカウトメールのプロフェッショナル”であるcore wordsの佐藤タカトシ氏に、覚えておきたいノウハウをdoda主催のセミナーで講義いただきました。

スカウトメールを書くための準備・考え方をまとめた(前編)と、例文を使ったスカウトメールの書き方(後編)に分けてレポートします。

どのダイレクト・ソーシングサービスを使うべきか?

佐藤タカトシ氏

ダイレクト・ソーシングで、応募に繋がるスカウトメールを作るには、まずダイレクト・ソーシングそのものに対する理解が必要です。最初に、その部分からお話しさせてください。

人事・採用担当者が“自ら候補者を集められる”のが、ダイレクト・ソーシングの魅力です。現在ダイレクト・ソーシングによる採用手法を選択できるサービスは『doda ダイレクト』をはじめ、様々なタイプが転職市場に出てきています。サービスごとに、特徴や採用しやすい転職希望者の層は異なります。
例えば『doda ダイレクト』の場合だと…

doda ダイレクトの特徴

転職希望者が登録しているデータベースの規模が大きい(2016年9月末時点で約110万人)ので、採用したい転職希望者の母集団形成がしやすいですね。
それに転職希望者の職種や年齢層に偏りが少ないため、どんなポジションでも採用しやすいのがポイントでしょうか。

その他サービスの特徴

経営企画部門やマネージャー(課長クラス)といったハイレベルなポジションの採用に強いサービスをはじめ、20代若手層の採用に強いサービス、SNS特化型やITエンジニアの採用専門型などのサービスがあります。

まずは市場にあるダイレクト・ソーシングができるサービスの特性を掴んで、募集しているポジションに合っているかを見極めてください。それが採用に繋がるスカウトメールを作るための第一歩です。

優秀な転職希望者を抽出するには?

ダイレクト・ソーシングするサービスを決めた後は、転職希望者を抽出して母集団形成を行います。

ダイレクト・ソーシングのメリットは、採用したい転職希望者を自ら“厳選”できること。もっとも自ら転職希望者を探して、スカウトメールを送る手間が掛かるので、無駄な労力は使いたくないですよね。そこで重要なのが転職希望者を抽出する際、“採用ポジションの責任者(もしくは、ハイアリングマネージャー)”と協力し、採用候補の転職希望者を順位づけすることです。

そのために下記【1】~【4】のポイントを押さえてください。

【1】採用ポジションに求める要件を満たしている転職希望者のレジュメを抽出
【2】採用ポジションの責任者とミーティングを行い、A・B・C・Dで候補者の優先順位づけを行う(※採用ポジションの責任者が多忙な場合、最低でも優先順位の基準をすり合わせておく)
【3】優先順位に応じて候補者にとって欲しいアクションを決める
【4】スカウトメールの送信後、進捗を採用ポジションの責任者に報告(※採用ポジションの責任者とのミーティングは、定例化することをお勧めします)

よくあるのが人事だけで採用候補の転職希望者を選んだ結果、上手くいかなくなること。応募があった段階で、採用ポジションの責任者から「このスキルがある人でないと…」なんて言われてしまう場合です。

それと採用候補の転職希望者を採用ポジションの責任者とすり合わせる際、スキルだけでなく、タイプ(人物特性)までイメージできているでしょうか。スカウトメールを書く上でも、タイプ(人物特性)が明確化していると訴求効果の高い内容にまとめられるので重要なのです。

ダイレクト・ソーシングは、人材紹介サービスや、求人広告では採用しづらい転職希望者を採用できる。そのうえ採用コストも下げられるのが魅力だと思います。良いことだらけのダイレクト・ソーシングですから、採用ポジションの責任者との齟齬を少なくして効率良く活用したいですよね。

応募率に繋がるスカウトメールの考え方

採用ポジションの責任者と採用したい転職希望者を決めても、その転職希望者から応募が無いと意味がありません。だからスカウトメールの文面が重要なのです。ここからは応募につなげるための基本的な考え方をご説明します。

『採用したい転職希望者』の設定方法

チェックポイント

図のように、“事業を成長させる人”は『市場』⇒『会社』⇒『組織』⇒『人』といった形で繋がっています。そのため『市場』『会社』『組織』を理解したうえで、どんな転職希望者を採用したいか設定する必要があります。

前述と繰り返しになりますが『採用したい転職希望者』を設定する際は、スキルだけでなくタイプ(人物特性)も考慮します。具体的にイメージする方法として、『募集ポジションと同じ部署で活躍している○○さん!』みたいな連想ができているとスカウトメールの文面が書きやすいです。

ダイレクト・ソーシングにおけるスカウトメールは1to1で送るラブレターです。「自分だけに送ってくれた!」と転職希望者に感じてもらうことが大切なのです。
だからこそ1to1で送る相手をイメージするために、『募集ポジションと同じ部署で活躍している○○さん!』みたいなロールモデルを設定することをお勧めします。

メッセージ設計にはポイントがある

メッセージ設計のチェックポイント

『採用したい転職希望者』の要件やイメージが固まったうえで、考えたいのがスカウトメールに記載するメッセージ設計です。スカウトメールには上の図にあるように、次の項目を記載します。

■送信理由
■募集ポジション
■会社の魅力
■仕事の魅力

そして各項目には、スカウトメールを受け取った転職希望者が“納得感”を持ってくれる内容の記載が必要です。1つずつ見ていきましょう。

送信理由について

例えば、『○○のスキルをお持ちのあなた』だから、スカウトメールを送りました。といった表現があれば相手に納得感を与られます。

募集ポジションについて

『○○のスキルをお持ちのあなた』だから、このポジションで活躍してほしいといった表現が納得感を与えます。

会社の魅力について

ここではスキルではなく、『○○なタイプの方』について連想して、会社の文化や社風、雰囲気を伝えると良いです。

仕事の魅力について

『○○なタイプの方』にとっては、『○○なやりがい』があります。といった表現が良いでしょう。例えば『この仕事は積極的な人には、裁量件を大きくお任せします』といった感じです。

いずれの場合も、転職希望者に求めるスキルやタイプ(人物特性)が明確になっていれば、それぞれの理由やアピールしたい部分が打ち出しやすいですよね。ラブレターを書くわけですから、相手ありきで文面を作った方が良いと私は思うのです。

具体的な事例の紹介

パーソルキャリア社の求人広告営業の事例

市場(競合)について

まずは自社にとっての競合を意識しましょう。募集ポジションが扱うのと似たサービスをリリースしている『○○社』『▲▲社』『××社』みたいな会社というように、バイネームで考えると良いと思います。

自社の強みについて

競合する『○○社』『▲▲社』『××社』と比較したときに、「自社の強みは何だろう?」と考えます。今回のパーソルキャリア(旧インテリジェンス)の場合は、『求人広告によって採用課題の解決に繋がるソリューション』に力を入れていることだと設定しました。

組織(強みを生み出している源泉)について

自社の強みを掘り下げて考えてみると、組織の強みも明確化します。例えば、『求人広告によって採用課題解決のためのソリューション』に力を入れるのが、なぜ可能なのか?を考えてみると、『個人の能力を重視して、組織として自由闊達な雰囲気があるから!』といった答えを導きだすことができました。

求める人物像について

『競合』『自社の強み』『組織』の順で考えていくと、求める人物像も明確化してくると思います。『求人広告によって採用課題解決のためのソリューション』に力を入れている自社のなかで、『個人の能力を重視して、組織として自由闊達な雰囲気があるから!』といった環境にフィットするのは、『単純に求人広告の枠を売るのではなく、ソリューションを提案できるスキルがあって、目的に対して自走できるタイプ』なんて形です。

このような人物を採用できれば、市場の中で競合よりも事業を成長させられそうですよね?目的である「事業を成長させられる人を採用したい」から考えてみるのが、『採用したい人物を明確化する』手段の1つだと思います。

後編では、実際に私が書いたスカウトメールの例文を見ながらテクニックをお伝えしていきます。

Information

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