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東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計開発に携わる。1983年からスタンフォード大学大学院に留学。機械工学修士を修了。1986年にコンサルタントファームのマッキンゼーに入社し、1990年から同社ソウルオフィスにて、韓国大手企業の経営改革コンサルティングに携わる。2002年からは、ブレークスルーパートナーズ株式会社を設立。「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命に活躍している。近著は、「成長思考 心の壁を打ち破る7つのアクション」(日本経済新聞出版社)
ベストセラー「ゼロ秒思考」の著者である赤羽 雄二氏が、“今の時代を勝ち抜くための「活躍する人材の見抜き方と、成果を出す組織の開発」”をテーマに、doda Recruitersのセミナーで講演。
赤羽氏曰く、活躍する人材に共通するのは「熱意・向上心・柔軟性」を持っていること。前編のこの記事では、なぜ、熱意・向上心・柔軟性が必要なのか?そして熱意・向上心・柔軟性を持っている人材をどうやって見極めればいいのかにフォーカスしています。
米国でドナルド・トランプ氏が大統領に就任したことが大きなニュースになっていますが、いま世界は大きく変動しています。企業に対する影響は「変化が加速し、よりまともな、かつより激しい競争環境が生まれる」ことだと思います。
こういった状況下で、企業の競争力に決定的な影響を与えるのは、熱意・向上心・柔軟性を持っている人材を採用することです。
会社にとってリーダーシップは不可欠ですが、それを発揮する上で重要なのが、熱意・向上心・柔軟性の3つです。なぜなら、まず熱意が無いと困難を打破することができません。岩を砕くことができないため、事業上のチャレンジに打ち勝つことができないわけです。
次に、向上心がないと成長し続けることができません。日々の忙しさに流されがちです。仕事をしながら徐々に成長する、というようなものではなく、積極的に成長し続けるということができません。
最後に、柔軟性がないと環境の変化や競争状況の変化などについていけません。ついていこうとしても、変化がだんだん苦痛になっていきます。
マッキンゼー以来、多くの企業にかかわってきましたが、こういったリーダーシップへの基準を明確に設定し、しかも厳しく評価して新卒・中途の採用をしている企業には、なかなか出会うことができません。それに近いことはどこの企業でも考えていると思いますが、徹底度が不足していることがほとんどです。
では、なぜリーダーシップがそこまで必要なのでしょうか。
それを考えるため、日本と日本企業が置かれている状況について次にお話しします。
日米製造(IT関連)大企業の競争力変化をまとめた下の図を見てください。
横軸には戦後からの時間を、縦軸には日米製造(IT関連)大企業の相対的産業競争力を取っています。
厳密には純利益あるいは時価総額にひもづけてもよいと思いますが、ここでは概念的に示しています。日本にはグーグルやマイクロソフトのようなIT関連大企業がないため、「日米製造(IT関連)大企業」としています。
日本企業は、1990年まで高度成長期が続き、右肩上がりの成長を続けてきました。しかし、高度成長期の終焉以降、韓国、台湾、中国、インド企業の台頭による影響もあり、競争力は下がり続けています。
一方で、米国企業は1980年の終り頃を底に、IT活用により挽回しました。アップル社・グーグル社・マイクロソフト社などの隆盛からも分かるように、ITとサービスおよびグローバリゼーションを中心として圧倒的な競争力を発揮しています。
さらに、「IT」×「データ」×「プラットフォーム」×「ネットワーク化されたハードウェア」による数百兆円に及ぶ産業創造により、成長を続けています。これに関しては、さらに日本企業の競争力は低く、日米のギャップが急拡大していきます。
日本企業の問題は、素質のあるITエンジニアが活躍できないことです。大手企業がITの導入・活用を決めると、まず、国内トップクラスの大手システムインテグレーターが登場し、高額で受注します。そこから大きなマージンを取って二次請けに発注し、二次請けはまたある程度のマージンを取って三次請けに発注し、下手をすると5次請けになることもあります。
結果として、大半のITエンジニアは下請け企業の劣悪な労働環境で、定常業務的にプログラミングをこなしていきます。それが何のシステムのどの部分で、どれほど顧客インパクトがあるのかも把握しきれない状況で納期だけに追われます。
日本の企業では、ITエンジニアが自ら製品開発責任を負って、創造性を発揮してプログラミングするという環境がほとんど提供されていません。大半を上記の下請けに流し、上位企業のITエンジニアは要件定義をしたり、プロジェクトマネジメントをしたりしているだけです。
したがって、これまでも競争力に決定的な差がつきましたが、AIやロボット、ウェアラブル、デジタルヘルス、ブロックチェーンなど、ITが大前提の産業で日本企業が勝つ要素が全く考えられないのです。
こういった危機的な状況のなか、企業と働く個人が置かれている立場は、残念ながら次のようなものではないでしょうか。
こんな状況でも活躍できるのは、熱意・向上心・柔軟性を持ち、リーダーシップを発揮できる人材しかいないのです。
採用候補者が、熱意・向上心・柔軟性を持っているかどうかを見極めるのは、実はそんなに難しくありません。採用面接の際に、遠慮せずに深堀して聞けばわかります。目的意識を持って、遠慮せず質問し続けることが鍵です。
具体的には、業務上生じた困難にどう立ち向かったのか、どう切り抜けたのか、そのチームの中でどういう役割を果たしたのかを確認します。下記の質問例を参考に、採用候補者を見極めてください。
これらの質問項目に対する一つひとつの回答に少しでも疑問があったら、丁寧にかつ遠慮なく質問を続けていきます。尋問調にならないように、また、圧迫面接にならないように注意することが必要です。就職希望者だからと言って絶対に下に見ない、ということももちろん大切です。
そのうえで、人事・採用担当者は、熱意・向上心・柔軟性があると感じた採用候補者を惹きつけるにはどうするべきか、入社後、期待通り大活躍していただくにはどうするべきか、どのようにその活躍できる環境を提供できるか、などを考えていく必要があります。
莫大な採用コストをかけ、頑張って採用したにも関わらず、入社後活躍させられない状況をたくさん見てきました。採用に力を入れるのと同等か、それ以上にエネルギーを費やすべきなのは、「成果を出せる組織の構築」です。後編では、その方法についてお話しします。
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社会保険労務士法人クラシコ 代表 柴垣 和也(しばがき かずや)【監修】
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