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採用手法の1つとして注目度が高まっているダイレクト・ソーシング。人事・採用担当者自らが、人材データベースから採用候補者を直接探し、ダイレクトにアプローチする採用手法です。
ダイレクト・ソーシングは人事・採用担当者が能動的に採用活動できる一方で、採用成功するには運用方法をはじめ、抑えておきたいポイントがあります。そこで今回、ダイレクト・ソーシング型の採用サービスであるdoda Recruitersを1人で運用し、採用に成功している3社の人事・採用担当者の事例を紹介します。ぜひダイレクト・ソーシングを使う上でのヒントにしてください。
[モンテール] 福田氏:運用を開始する前から、どのような人材を採用したいのか、採用ポジションの責任者を巻き込みながら、要件を決めることが大事だと思います。大変な部分でもありますが、求めている要件が曖昧だと運用段階で躓くんです。
[イオン銀行] 後藤氏:そうですね。最初に採用候補者に求める要件を決めることや、運用計画を立てることが、採用成功に繋がるかを左右するのは間違いありません。戦略を立てて採用に取り組み、採用候補者一人ひとりに合わせたアプローチを考えていくことが大事です。
[水上印刷] 遠藤氏:私は人事ではなく、本職はIT部門の統括者です。当社は部門別・職種別採用をしているので、部で必要な人材を採用するために、採用活動を自ら行っています。そのため採用候補者に求める要件は明確でした。
その一方で、昼間は部門や各PJ管理としての仕事が忙しい状況だったため、ほぼ毎日夜になってから2時間程度の時間を確保し、人材データベースから採用候補者を探したり、スカウトメールの文面を作っていました。ポイントとしては、1週間毎にアクションテーマを決めていたこと。目標設定を明確にして、それを達成することを心掛けました。その上で、スカウトメールの開封数や応募数を見て、PDCAを繰り返しました。
[イオン銀行] 後藤氏:応募に繋がるスカウトメールを作成するコツは、まず人材データベースで見つけた採用候補者一人ひとりのレジュメをしっかりと読み込むこと。
そして、「あなたがお持ちの〇〇な経験が、当社で活かせると思います」という文言を入れた上で、「まずは一度お会いしましょう」と呼びかけるようにしました。
また人材データベースでは、採用候補者が転職先に希望している業界を確認できます。そのため異業界を希望されている方の場合は「今、〇〇の業界を希望されていると思いますが、当社をご検討いただけないでしょうか」と一言添えて、あなたの気持ちは理解して、その上でお声がけをしていることを伝えました。
doda Recruitersの場合、スカウトメールは【面接確約】で送信する設定です。
そこでスカウトメール文面の末尾に「面接の都合はいつがよろしいでしょうか」と記載し、採用候補者が希望する面接日時を確認するようにしていました。こうしておくと、面接日程を決めるためのやり取りの回数が減るので、1人で採用活動をする上で効率的でした。
工夫した点はまだあります。私は、前職がシステムエンジニアです。イオン銀行に転職してから中途採用業務を担当しています。
そこでシステムエンジニアの採用にあたり、自分の経歴をしっかり記載しました。その方が、採用候補者に親近感を持ってもらえると考えたからです。1to1で送るスカウトメールだからこそ、採用候補者と距離が縮まるであろう情報はしっかり記載した方が良いと思います。
[水上印刷] 遠藤氏:私の場合も、採用候補者1人ひとりに合わせて、練り込んで作成した文面を送るようにしていました。「採用候補者がどんな希望を持って、転職活動をしているのだろう?」と考えながら、スカウトメールを作っています。
採用候補者が何を希望しているのかを考えるヒントは、人材データベースに登録されているレジュメを見る時にコツがあります。そのコツは、次の項目で解説させてください。
[モンテール] 福田氏:当社では採用ポジションが複数ありました。人材データベースから探し出した採用候補者の中にも、複数のポジションで活躍が期待できる方がいました。
その場合は、採用する部門は決まっていないが、「『会社として』あなたに興味があります」とスカウトメールに記載しました。その上で「まずは一度お会いしたい」と明記することで、思いを伝えました。採用候補者に、いかに期待感を持ってもらえる内容を書くかが大事だと思います。
[水上印刷] 遠藤氏:まず職務内容をしっかり見ます。できることや身につけたこと、達成した成果を見ながら、その人の良さが間違いなくここにある、と感じるところを探すようにしていました。
そして、スカウトメールの文面に、「こういった経験をお持ちだから、あなたの良さはこんなところにあると私は思いました。いかがでしょうか」と投げかけ、対話するような形に落とし込んでいます。
例えば、あるレジュメには「基幹システムのプロジェクトで問題を立て直した」ということが書いてありました。その情報から、この方は困難な状況に直面しても、やり遂げる力を持っているはずだと感じました。
現在、当社でも基幹システムを構築しており、こういった方なら、何かあっても踏ん張ってもらえるなと想像し、実際に採用しています。
[イオン銀行] 後藤氏:私の場合は、採用候補者と当社の親和性を探すようにしていました。会社の規模や職務内容などで近いものを見つけたら、「このような規模の会社で活躍されているなら、きっと当社でも経験が活かせます」とスカウトメールに記載し、訴求しました。
[モンテール] 福田氏:レジュメを見るポイントという部分とは少し違う角度になりますが、人材データベースに登録されている転職希望者の情報を読み込むのは凄く役立ちますよね。採用ポジションに今すぐ当てはまらない方であっても、いつか活躍してほしいタイミングが出てくるかもしれません。
そういった方たちの情報を得ておくのは、採用活動を継続して行う上で大きなアドバンスになります。そういった部分でも、ダイレクト・ソーシングは活用のしがいがあります。様々な採用候補者の方と面接でお会いしていくうちに、レジュメを見るポイントも自然と身に付く部分があると思います。
今回、三社三様の取り組みをひも解くことで、ダイレクト・ソーシングによる採用活動をするに当たり、2つの重要なポイントが見つけられたと思います。
1つは採用ポジションと採用候補者に求める要件を明確にしたうえで、運用のための計画を立てること。
そして2つめは人材データベースに登録されているレジュメをしっかり読み込むことで、求めている採用候補者の希望を考えること。
人事・採用担当者が1人で、運用するには狙いを持った行動をすることが効率を高め、採用成功に繋がりやすいコツのようです。
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d's JOURNAL編集部
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社会保険労務士法人クラシコ 代表 柴垣 和也(しばがき かずや)【監修】
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社会保険労務士法人クラシコ 代表 柴垣 和也(しばがき かずや)【監修】