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2017.12.04

グローバルにおける採用トレンドとは?/横浜国立大学 服部准教授【セミナーレポート】

PROFILE

横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院/経営学部

准教授 服部 泰宏

1980年、神奈川県生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了後、滋賀大学経済学部専任講師、准教授を経験した後、横浜国立大学大学院の准教授に着任。現在に至る。日本企業における組織と人の関わり合いや、日本のビジネス界における知識の普及に関する研究などに従事。2013年以降は、人材の採用に関する科学的アプローチである「採用学」の確立に向けた研究・教育活動に取り組み、「採用学研究所」の代表も兼務。近年の主な著書に「採用学」(新潮選書)がある。

少子高齢化による労働人口減少やグローバル化によって、日本国内だけでなく世界中の企業と採用競争を行う時代が迫ってきています。採用競合が変化していく中、日本の採用マーケットの未来はどうなるのか。そこで今回は横浜国立大学の服部准教授をお招きし、「採用学に見る能動的採用手法の現在と未来」というテーマで海外での採用市場の最新動向について語っていただきました。
(本記事はDODA Recruitersが主催したセミナーの内容を要約した上で構成しています)

高まるリクルーターの重要性

高まるリクルーターの重要性
海外においてリクルーター(採用担当者)の重要性が非常に高まってきています。アメリカでは日本以上に採用が経営にインパクトを与えると認識されており、研究者や採用担当者によってさまざまな分析が行われているんです。カルガリー大学のチャップマン教授の研究によると、リクルーターの能力や言動が求職者の入社意思決定に極めて重要な影響を与えていることもわかってきました。仕事や組織の魅力ももちろん重要なことに変わりないのですが、それと同じくらいリクルーターが重要な役割を担っているのです。また海外ではリクルーターという職業が専門性の高い仕事として認識されており、リクルーターとしてのプライドも持っています。そのため、海外の人事・採用担当者はこうした研究結果含め採用における知識を当たり前に知っているのです。グローバル化がさらに進むと、日本企業も海外のリクルーターと採用競争していくことになる。その時のためにも、早い段階から海外の採用マーケットの動向を意識しておく必要があるのではないでしょうか。

デジタルとアナログが同時進行する世界の採用トレンド

採用Webサイトの強化とソーシャルメディアの活用

グローバルな採用マーケットにおいて、まず言えることは自社の採用Webサイトに注目が集まっているということです。日本の場合、新卒採用ではナビサイト、中途採用にも転職サイトがあり、もちろん海外でも大事なツールとなっています。一方でこうした求人サイトが普及しているからこそ、そのリンク先としての自社の採用Webサイトにおける差別化が必要になる。つまり、自社のアイデンティティやイメージをどのように伝えていくかという点の重要性が増してきているのです。実際に過去10年間で約90%の企業が求職者とのコミュニケーションにおいて自社の採用Webサイトを利用しているそうです。AパターンとBパターンに分けた2つのWebサイトを作り、求職者にとってどちらが魅力的に見えるのかというテストを行うなど、Webサイトの改善を進める企業もあります。
また採用と広報の連動もトレンドのひとつです。ここでは空港会社の事例を紹介します。空港の仕事というとまず思い浮かぶのが航空会社ではないでしょうか。求職者の中には、「空港会社」と聞いても仕事内容がイメージできないという方もいるようです。そこでこの空港会社は広報と協力して、空港に訪れる人に対してイメージの普及を進めていった。年間でいうと数万という人が空港に訪れ、ほとんどの人がスマートフォンでWi-Fiに接続しますよね。そのタイミングで企業情報や空港での仕事内容を紹介したのです。採用と広報において、広い意味での顧客が重なってきているのです。

もう一つはソーシャルメディアの活用です。2011年段階のSHRMの調査によると、中途採用を行う50%以上の企業がソーシャルメディアを利用しているという結果が出ています。直近の調査ではもう少し増えているかもしれません。また95%の企業がLinkedInを採用に利用している。逆にいうとアカウントを持っていないと人材にリーチできなくなっていると言えるでしょう。また人材へのリーチだけでなく、こんな人が採用したいのだけれどどうしたらいいかという相談もLinkedIn上で行われており、人間関係の形成に対して重要なインターフェイスになっています。アメリカの貨物運送会社UPS社は、2010年に1000名の従業員をソーシャルメディアで採用して話題となりましたが、最近では採用ブランディングにYouTubeを利用しているそうです。

デジタルとアナログが同時進行する世界の採用トレンド

アナログなコミュニケーションによる採用にも注目

デジタルが進んでいくと、並行してアナログも進んでいく――。グローバルではバランスが取れていて、必ずしもWebありきというわけではありません。デジタルが進めば進むほど、逆に人と人との関係を通じての採用にも注目が集まっています。LinkedInなどを利用したダイレクト・ソーシングも人と人との直接的な働きかけによるものですね。また、特に集団主義の強いシンガポールや中国といったアジア圏やロシアではリファラル採用も根強い。
直接出向いていくというアナログな採用も積極的に行われています。これは新卒採用の話になるのですが、アメリカでもキャンパス・リクルーティングが普及しているんです。なかなか誤解されがちなのですが、グローバルにおいても新卒採用はちゃんとあるんですね。基本的には大学がキャンパスツアーを行い、そこからインターンシップにつなげる。中途採用でいうとカンファレンスや特定の人が集まっている研究会に採用担当者が参加するというのもそうですね。

キーワードは「ワークサンプル」と「特別扱い」

キーワードは「ワークサンプル」と「特別扱い」

業績との相関性が高い選考手法とは

選考においての考え方も変わってきています。これまではできるだけ多くの人に応募してもらって、その中から選考するというのが一般的な考え方でした。しかし、最近は自社にとって本当に必要な人に、より時間を割いていくという考え方に変わってきています。こうした流れの中、一般化しつつあるのがワークサンプルという選考手法。これは新卒採用におけるインターンシップの文脈の中で実施されているもので、面接や説明会、単純なワークという選考ではなく、できるだけリアルな仕事に近いワークに取り組んでもらうというものです。実際にその会社で行う投資案件について、あなたはAとBどちらを選択しますかとジャッジメントさせ、なぜその決断にするのか説明してもらう。これによって完全な意味での再現性はないかもしれないですが、実際の業務において、どんな情報を集め、何にフォーカスし、どうのように意思決定をするのかを見極められるのです。

ワークサンプル、テスト、面接など、いろいろな選考手法がある中で、将来の業績に対して説明力を持つものは何かというのがアメリカの採用における研究の重要なテーマです。調査の結果を見ると圧倒的にワークサンプルの説明力が高い。アメリカの新卒採用は日本と違い即戦力を求める傾向にある、つまりこの人を採用したらこういう仕事をしてもらうというのがある程度決まっています。そのためワークサンプルによる業績との関連性が見えやすいのかもしれません。日本の新卒採用では難しいかもしれないですが、中途採用においてワークサンプルを取るという方法はやり様によってはあると思います。

欲しい人材の獲得にはある種の「特別扱い」が必要

海外の採用担当者と話をすると「特別扱い」というキーワードをよく耳にします。採用したい人材と出会ったら、積極的にアプローチしていく必要があるということです。必ず採用したいという人材がいた場合、他企業に採用されてしまう可能性も高い。そのため早い段階で人事トップや取締役にあってもらうなど、ある種の「特別扱い」をするのです。応募者に対して平等に選考を行っていくことも大事ではありますが、採用競争が激化する状況下において、ある程度特異なアレンジをすることも必要になってきています。これはえこひいきのようにも見えますが、そうではありません。グローバル採用マーケットにおいて「I-Deals」という考え方があります。これは「特異」なという意味のidiosyncraticと「理想的」なという意味のidealという言葉の造語なのですが、会社と個人双方にとってメリットになる場合、特定の社員について雇用・勤務条件をテイラーメイドするという考え方です。こうした考え方によって、これまで企業と求職者という二者間の関係から、今後は企業と求職者に加え、既存社員や経営者といった三者間の関係を意識して採用を行っていく必要が出てきています。日本で「I-Deals」がすぐに広まるとは考えずらいですが、グローバル化に伴いこうした考え方もじわじわと広まってくるでしょう。

セミナー風景
※本セミナーでは、横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院/経営学部 准教授 服部泰宏氏とProFuture株式会社の松岡仁氏、パーソルキャリア株式会社油谷大希によるパネルディスカッション、来場者からの質疑応答も行われました。

【まとめ】

「グローバルでの採用動向が日本にもじわじわと進んできている」と語られた服部先生。実際に日本においても広報と連携した採用やソーシャルメディアの活用を模索している企業も増えてきています。採用競争が激化する中、求職者との接点や選考などさまざまな点で、これまでの採用という枠にとどまらず視野を広げていくことが重要です。グローバル社会においての採用競合の動きを見るという観点はもちろん、視野を広げるという観点からも海外の採用マーケットの動向に目を向けておくことが必要になってくるでしょう。

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