採用手法のこれからを考える ダイレクト・ソーシング ジャーナル

DODA 中途採用をお考えの方へ

【HR Tech最新レポート】タレントプールとデータベースリクルーティングの活用

PROFILE

パーソルキャリア株式会社

MyRefer Company CEO/Founder
鈴木 貴史

株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に新卒入社後、IT/Web系企業を中心に300社の採用コンサルティングに従事。全社新人賞、MVP等の各種タイトルを受賞後、歴代最年少で事業責任者に着任。
2015年度、社内ベンチャーとして1億円弱の社内出資の元、HRTechリファラルリクルーティング事業『MyRefer Company』を立ち上げる。現在は国内初のリファラル採用活性化サービスMyReferのプロデューサーに携わる。

採用がマーケティング化している。日本の労働人口は今後減少の一途をたどることが確実視されており、従来の採用手法であるエージェントや求人広告の活用だけでは、人材の採用が難しくなってきます。転職顕在層はもちろん、いかにして転職潜在層を採用していくかが重要になってくる中、注目を集めるのがデータベースリクルーティングをはじめとする戦略的採用マーケティングです。そこで今回は「タレントプールを活用したデータベースリクルーティング」をテーマとしたセミナーを開催。パーソルキャリア株式会社でMyReferのプロデューサーを務める鈴木貴史がデータベースリクルーティングの活用方法を紹介しました。

『攻めの採用』から、『戦略的採用マーケティング』へ

まず日本の採用マーケットに目を向けてみましょう。日本の人口は右肩下がりをつづけ、2050年には1億人を切ると言われています。もちろんそれに伴って、転職者数も2015年の276万人から、2025年には258万人と緩やかに減少していく。DODAの転職求人倍率を見ると現状ですら、ほとんどの職種で2.0倍を超えています。またIT系エンジニアやモノづくり系エンジニアなどの技術系職種は4.0倍を超えることも多く、圧倒的な売り手市場です。人材紹介や求人広告など既存の採用手法を利用しても、なかなか推薦や応募が上がってこないといった傾向は、今後もより顕著になってくるでしょう。では、こうした採用マーケットの中で、企業にとって重要なことは何か。その一つが、自社採用力をつけ、戦略的に採用マーケティングを行っていくことです。

アメリカのJobviteが2014年に行った人事関係者アンケートによると、投資拡大を検討する採用チャネルとして、ソーシャルリクルーティングやリファラル採用など、企業が採用候補者に直接アプローチをしていく採用手法が上位を占めます。(下記図参照)

資料1

現在はさらに進化し、戦略的採用マーケティングの時代に入ってきました。例えて言うのであれば、狩猟型から農耕型の採用にシフトしてきているということ。狩猟型の採用とは、求職者データベースの中から採用ターゲットを見つけ出して、企業側からアプローチしていく「攻め」の採用です。しかし、こうした手法だけでは採用を充足できないケースや、都度ターゲットを探し、口説いていく必要があるので工数も大きくなる。そこで注目を浴びているのが農耕型の採用です。企業独自のデータベースを構築し、そこに対してセミナーの案内やニュースレターを定期的に送付する。採用候補者との関係性を構築し、将来の採用につなげていく。マーケティングでいうナーチャリング※1に近い考え方ですね。

こうした潮流は日本にも確実に来始めており、従来の人材紹介や求人広告を利用した待ちの採用から、ダイレクト・ソーシングやリファラル採用といった攻めの採用に注目が集まっています。アメリカの採用トレンドが、5年遅れで日本にやってくると考えると近い将来、「攻め」から「戦略」へとシフトする可能性も十分に考えられるでしょう。

※1.ナーチャリング:「見込み顧客」を「有望な顧客」に育成するマーケティング手法のこと

データベースリクルーティングを活用するメリット

データベースリクルーティングを活用するメリット

戦略的採用マーケティングの手法の一つが、タレントプールを活用したデータベースリクルーティングです。タレントプールとはTalent(優秀な人材)をPool(蓄える)すること。つまり、将来的に自社の採用候補となりうる優秀な人材を蓄えるためのデータベースのことです。例えば、過去に内定辞退された方、社員紹介をしてもらったもののまだ転職を検討していない方、退職者などをデータベース化し、いつでもコンタクトが取れる状態にしておく。こうした自社独自のデータベースを構築し、定期的に連絡を取るなど、戦略的に採用を進めていく手法をデータベースリクルーティングと呼びます。

資料2

データベースリクルーティングのメリットは大きく3つあります。

1. 採用プロセスの削減

従来の採用手法であれば、採用ニーズが発生したタイミングで人材紹介会社や求人情報サイトに求人を依頼し、推薦・応募を待つことになります。データベースリクルーティングの場合、タレントプールの中から適切なターゲットにアプローチするだけ。採用ニーズが発生してから、採用候補者にアプローチするまでの期間を短縮できます。また、関係の構築度合いによってはすぐに採用に結びつく可能性もあるでしょう。

2. 採用コストの削減

人材紹介会社に依頼をすると、エージェントが採用の一部を協力してくれるため、採用工数の削減にはつながります。一方で採用コストという観点でみると、数十万~数百万円かかるケースも。また求人広告も同様に、より露出効果の高い広告を掲出しようとするとどうしてもコストはかさみます。データベースリクルーティングの場合、自社のデータベースに対して、社員が直接アプローチをするだけ。極端にいえば採用コストは人件費のみです。

3. 潜在優秀層へのアプローチができる点

ここは日本において特に有効だと言えます。なぜなら、日本では転職マーケットに顕在化しない層が非常に多いからです。日本でも転職が一般化してきたとはいえ、終身雇用という文化も根強く残っており、日本の生涯転職回数は1.2回、勤続年数も11.9年と、積極的に転職を行っている層はまだまだ多くありません。(下記図参照)もちろん転職マーケットにも優秀な人材はたくさんいますが、潜在層の方がそもそもの人数として多いため、対象となる数も多くなります。転職を検討している、していないに関わらず、自社とかかわりのある人材をデータベース化し、将来の採用に結びつけるデータベースリクルーティングでは、既存の採用手法ではアプローチできない潜在層を採用することもできるのです。

資料3

データベースリクルーティングを促進する3つのSTEP

データベースリクルーティングを促進する3つのSTEP

では、データベースリクルーティングを促進するには、どうしたらいいのか。ここでは3つのSTEPに分けてご紹介します。

<STEP1>候補者データ構築

データベースリクルーティングを進めるうえで、まず必要になるのが自社独自のデータベース、つまりタレントプールをどう構築するか。ポイントは“どのデータ”を“どのように登録するのか”を定義しておくことです。タレントプールを構築する際、一般的なデータ種別としては次の4つが考えられます

■分類例
1.自社で開催したイベントなどで接点を持った方
2.過去に内定を辞退されたもしくはポジションがなくて採用できなかった方
3.社員に紹介された方(リファラル)
4.自社を退職された方(アルムナイ※2)

※2.アルムナイ:本来「卒業生」などの意味であるが、転じて「企業の離職者やOB・OGの集まり」も指す

こうした分類に対して、誰がどのようにデータベースを作っていくかを定義しておくことが大切になります。例えば、過去の選考者の場合、人事・採用担当者が新卒・中途における選考過程の中で採用ターゲットに近しい人がいたら、採用するしないにかかわらずリスト化していく。社員紹介の場合は友人リストを作り、紹介してくれた社員に必ず入力してもらうなど、ルールを設けておくことが必要になります。

もう一つ課題として挙がってくるのは、いかにして社員に協力してもらうかです。人事・採用担当者であればまだしも、採用に関係のない現場の社員に「リストを作ってください」とお願いしても、「なぜやらないといけないのか」となります。単純な業務として社員に採用を手伝ってもらおうとしても、なかなか協力をしてもらえない。そこで必要になるのが、自発的に動きたくなる仕組みです。例えば、研修の一環としてリファラル採用やアルムナイ採用に取り組み、実際に体験させることでミッションとして理解してもらったり、紹介した人が採用にいたった場合にインセンティブを付与したり。ゲーミフィケーションの要素を入れたりするのも一つの方法です。こうした仕組み作りは自社の組織風土や組織コンディションに応じて、設定していくこと必要があるでしょう。

資料4

<STEP2>候補者へのアプローチ

自社専用のデータベースを構築できたら、次は候補者へのアプローチです。将来的に採用に結びつけるために、どのようなアプローチが必要になるのでしょうか。重要なことは「質の高い情報を、定期的に発信する」というマーケティングの観点です。次の図をご覧ください。こちらはエビングハウスの忘却曲線というものです。人は覚えようとした情報のうち、20分後には42%を忘れ、1週間後に77%の物事を忘れてしまう。また、右の図は転職意向と仕事へのモチベーションを表した図になります。モチベーションが高かった直後に、転職意向が高まるケースもあり、いつ転職をしたいと感じるかは非常にアンコントローラブルなことです。そのため、連絡したタイミングで転職を検討していない限り、応募にはつながらないですし、しばらくたつと忘れてしまいます。記憶の定着や転職したくなるタイミングに合わせていくという観点から、定期的にアプローチしていくことが必要になるのです。

もう一つのポイントは質の高さ。例えば、定期的にアプローチすることが大事だからと言って、「エンジニアの求人がオープンしました」というメールを毎週発信するのはNGです。メールはすぐ削除されるようになり、最悪の場合リストからの削除を希望されることもあり得ます。採用候補者に価値のない情報だと思われないために、求人情報だけでなく、ニュースレターの配信やイベントの案内、直近の入社事例の紹介など、角度を変えたさまざまな情報でアプローチし、リテンションし続けることが重要です。

資料5

<STEP3>継続させる仕組み

データベースに対して、ナーチャリングを行っていくためには、適切にPDCAを回せる体制の構築が必要です。理想としては、自社採用専任のプロジェクトリーダーを立て、リファラル担当、アルムナイ担当、過去選考者担当などそれぞれに分類した担当を立てることです。定期的にどれくらい採用候補者データを集められているのか、それぞれのデータベースに対して誰からどのようにアプローチをすることが応募してもらいやすいのかなどを、分析することができるとよいでしょう。一方で組織人員の問題もあると思うので、外部のヘッドハンターに依頼するというのも一つの手です。

データベースリクルーティングの日本における事例

実際に外資系コンサルティングファームでは、社員紹介によるタレントプールの構築しデータベースリクルーティングを推進している事例があります。データベースを構築する際は、人事・採用担当者ではなく、各部門の部門長に協力を仰ぎ、現場の社員を動かし、自社の採用ターゲットになりうる知人をリスト化。採用成功した場合にはインセンティブを提供するという方針を決め、会社としてリファラルを促進したそうです。また、アプローチ手法としては定期的に開催するイベントの案内を発信し、選考要素を極力削減。イベントに来場した人に対して、誰がどのように声をかけるかといったコミュニケーションプランまで設計し、多くの採用に結びつけています。

また年間の退職者が一定数出てしまっている大手外資系企業では、退職時にニュースレターの配信可否を確認し、退職者をデータベース化しています。そのデータベースに対して、求人情報やOB・OG会の開催情報に加え、退職者の復職情報などを定期的に配信。結果として、全社的に出戻り採用のブランディングが定着し、退職者の応募が自然と集まる状態になっています。

こうした事例は日本ではまだまだ多くないですが、冒頭でも申し上げた通り、確実に戦略的採用マーケティングの潮流が日本にもやってきています。早い段階から、こうした考えを取り入れ、取り組んでいくことが今後さらに激化する採用競争マーケットを勝ち抜くポイントになるのではないでしょうか。
我々が事業運営をしている『MyRefer』においても、リファラル採用のみでなく、タレントプールやアルムナイ採用のご支援もさせていただいております。

【まとめ】

近年、耳にすることが多くなっている「タレントプール」や「採用マーケティング」。やらなければならないことは理解しているものの、実際にデータベースをどう構築し、活用していくのかがわからず、着手できていないという人事・採用担当者もいるのではないでしょうか。今回のセミナーでは3つのSTEPにおける具体的な取り組みが紹介されているので、イメージがつきやすく、すぐに取り組めることもありそうです。一方でデータベースの構築やナーチャリングは、短期間でできるものではありません。採用マーケットがさらに厳しい状況になる前に、少しでも早い段階から取り組んでおくことが重要になると感じました。

Facebook

Twitter

はてなブックマーク

このエントリーをはてなブックマークに追加

ご案内・お問い合わせ

DODAでは「人材採用の課題解決を支援する」さまざまなサービス・情報をご提供しております

DODA/採用支援サービスについて お問い合わせ

TOPに戻ります