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日本企業への就職を目指す外国人材の特徴-彼らが日本で働きたい理由とは

PROFILE

株式会社With World 代表取締役

一般社団法人日本国際化推進協会 事務局長
田村 一也【寄稿】

2007年株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。キャリアコンサルタントとして、企業の採用支援の他、京都支社立ち上げや外国人留学生のための就職支援“Japan Work Support”の立ち上げなど多方面に活躍。その後2016年には、一般社団法人日本国際化推進協会 事務局長として外国人材の調査および課題解決、留学生サポートを行っている。また、独立行政法人経済産業研究所 研究プロジェクトメンバーとして「外国人の就労・移住に関する研究」を勢力的に実施している。

前回『外国人採用はますます本格化。ビザや受け入れはどうする?メリット・注意点を徹底解説』にて、外国人材採用の必要性、メリット・デメリットについて触れました。今回は、外国人材(ここで取り上げる外国人材とは、「技術・人文知識・国際業務」ビザ、所謂ホワイトカラー層を指します)を採用する際の日本人との違いについてまとめました。

在留外国人が増加している(下図参照)中で、企業が外国人材を活用することは増えていくでしょう。
在留外国人が増加

異文化マネジメントは難しいポイントになりますが、まず採用の仕方が日本人と異なることを知るべく、外国人材がどのような考えを持ち、どのような行動をしているのか紹介します。

※本記事は、株式会社With World 代表取締役、一般社団法人日本国際化推進協会 事務局長の田村 一也氏に寄稿いただいたものです。

留学生の分類・多様な属性について

「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得する外国人材の多くが留学生であり、年間約2万名弱が、就労ビザを取得しています。その許認可率は90%弱であり、非常に高いのが特徴です(※1)。就労ビザを取得している留学生は、大学生が最も高いことが推測されますが、近年専修学校(専門学校)生と日本語教育機関(日本語学校)生も増加傾向にあり、今後ビザの要件緩和によって、この層も日本での就労が拡大していくことが見込まれるでしょう。またここ最近、留学生が在籍する大学院では、”イングリッシュトラック”と呼ばれる、英語だけで卒業単位が取得できる課程が増加しているのも特徴です。

在学段階別留学生数

在学段階留学生数前年比増加数(率)
大学院46,373人2,895人(6.7%)増
大学(学部)77,546人5,317人(7.4%)増
短期大学1,915人385人(25.2%)増
高等専門学校559人5人(0.9%)減
専修学校(専門課程)58,771人8,536人(17.0%)増
準備教育課程3,220人134人(4.3%)増
日本語教育機関78,658人10,493人(15.4%)増
(日本学生支援機構「平成29年度外国人留学生在籍状況調査結果」より)

そして”大学生””大学院生””専門学校生”、それぞれ「学位」によって留学生の就職活動の進め方は異なります。例えば、”大学院生”は、母国の大学を卒業して日本の大学院に進学しているケースが少なくありません。
この場合、留学生は入学早々に論文のテーマ検討に入る。そして、慣れない日本生活で必要な日本語学習を行う。奨学金の受給がない留学生であればアルバイトも必要になる。日本企業への就職を考えている留学生であったとしても、留学時点で日本式の就職活動の仕方は、ほぼ知らないと言っていいだろう。そのような状況で、日本での大学院生活が始まり、論文が落ち着く修士2年の年末年始頃に就職をどうしようかと初めて考える留学生もいる。それゆえ、卒業間近でも優秀な留学生が未内定…なんてことも。

大学院生の生活_日本企業への就職を目指す外国人材の特徴

このように、「学位」によって異なる留学生の就職活動に対する動きを把握することは、留学生へのアプローチ方法を検討するうえで重要になります。

属性差異による就職活動の進め方の違い

外国人材の特徴を掴むうえで押さえておきたいポイントとして、「文系or理系」、「学習言語(日本語or英語)」、さらには「出身国が韓国&漢字圏(中華系)or非漢字圏」があります。「文系or理系」についてですが、就職活動の進め方自体は日本人と大きくは変わりません(志向性に特徴がありますが、後述します)。

学習言語(日本語or英語)による進め方の違い

進め方に大きく差が生じるのは、「学習言語(日本語or英語)」になります。日本語力が高い留学生であれば、日本人同様のやり方で就職活動を行うことができますが、一方で、日本語力が低い/英語で学んでいる留学生については、日本人と同じ情報を活用することは困難です。そのた
め、就職活動の進め方は変わってきます。留意しなければならないのは、日本語でのコミュニケーションができるからといって、必ずしも読み書きが得意ではないということです。

・授業を日本語で受けられるレベル:
 →日本企業の説明を聞くことが可能なため、ジョブフェアなどに参加する
・それ未満の日本語レベル:
 →友人・知人からの情報収集や英語ができるキャリア支援者への相談で就職先を探す

出身国が韓国&漢字圏(中華系)or非漢字圏による進め方の違い

次に「出身国が韓国&漢字圏(中華系)or非漢字圏」の違いです。漢字の読み書きができる留学生か否かによって、就活ナビサイトの利用率が異なってくるのです。漢字が苦手な留学生にとって、日本語の膨大なテキスト情報を理解し、日本語でエントリーシートを提出し、SPIで日本語を読解することは決して簡単なことではありません。このような留学生は、日本人学生に比べて就職活動で応募できる企業数も相対的に少なくなってしまいます。

属性による活動の違い

属性差異による就職活動の進め方の違い
以上を踏まえ、どのような属性の留学生を優先ターゲットにし、どのようにアプローチしていくかを検討することが非常に大事になります。

転職活動を行う外国人材について

日本で働く外国人材は、生活に最低限必要な日本語力は備えています。しかし、英語が話せる日本人向けのグローバル人材を対象にした就職支援サービスが増えているのに対して、外国人材向けは未だ少ないのが現状です。また、外国人材だからといって、必ずしも英語が話せるわけではありません。それゆえ、外国人材向けの転職情報が十分に得やすい環境とは言いがたく、私が知る限り口コミやヘッドハンティングに近い友人経由で転職活動をするケースが多いように思われます。
そのため、人材紹介会社と協力したり、SNSなどの口コミツールを活用したり、行動を捉えて採用広報をするとよいでしょう。

外国人材にとって、日本企業で働く魅力とは?

属性による外国人材(留学生)の違いを理解したうえで、より外国人材の理解を深めるために「志向性の違い」について触れていきましょう。まずは、「外国人材は、なぜ日本企業に就職したいのだろうか?」について。私がこれまで外国人材に関して調査してきた結果や直接声を聞く限り、日本企業への就職は、彼らにとって手段であるように感じられます。日本企業への就職以上に、日本で生活することに魅力を感じていることのほうが多く、実際に2015年に行った調査でも、そのような結果が出ています。

日本への留学生・元留学生による、日本の生活及び就労の魅力度の評価

日本の生活及び就労の魅力度の評価

日本は、世界の中で相対的に「安全性が高く」「国民性が温和で」「交通の便が良く」「食べ物が美味しく」「娯楽も多い」という傾向があるようです。

では、彼らにとっての「日本企業の魅力は何なのだろうか?」そして、「どのような仕事にやりがいを持つのだろうか?」についてですが、答えは、”教育機会”でしょう。日本企業は長期就業を前提に、人材育成を行う企業がほとんど。丁寧な座学研修、その後のOJTはもちろんですが、作業方法や工程がマニュアル化されているのも日本企業の特徴です。このような仕組みや人材への投資が、外国人材にとって大きな魅力に感じるポイントです。

以前、私が転職支援を行った外国人材から聞いた話によると、日本だと上司が後輩を育てることが評価されるのに対して、その方の国では後輩が育つと自分のポジションが奪われるリスクが高まるため容易に教えてはいけないという考えがあるようです。そのような慣習に比べると、日本企業の文化は、自身の能力やスキルを高めるうえで魅力的なのかもしれません。

外国人材が求める仕事とは?

仕事に対する志向性の違いについて、外国人材は、「母国と日本の架け橋になりたい」と考えている方が非常に多い傾向にあります。それゆえ「どのような国に進出しているのか」または「どの国のお客様が多いのか」は、外国人材が日本企業を選ぶ上で、注目するポイントです。
また、先に述べた「文系or理系」で、日本企業で働きたい理由は少し異なっており、”文系”の留学生は、主に日本のコンテンツ(ものづくり含む)やサービスに関わり、それを母国や海外に広めることに関心を持つ方が多い傾向があります。一方で”理系”の留学生は、ものづくりの分野で日本の高い技術力に関心を持っている方が非常に多く、IT分野などゲームなど日本のコンテンツに関わりたいと考える外国人材が比較的多いようです。

外国人材のモチベーション

外国人材について“出稼ぎ”のイメージを持つ読者もいらっしゃるかもしれません。それは経済水準が相対的に低い一部の国に限られるので注意が必要です。今回取り上げている“正規雇用で就職する外国人材”にとって、日本企業の給与水準は母国と比較したら高いものの、日本の物価水準を考慮すると高い給与とも言い難いです。具体的には、新卒でもらえる初任給は、シンガポールと韓国を除いて、平均月給10万円以下になるところがほとんどであるため、日本企業の平均初任給約20万円は低くはない水準となります。
向上心が強いタイプの外国人材は、いい仕事が任される環境で成果を出し、仕事に見合った報酬を得ながらキャリア(経験)を積んでいきたい志向性があり、このような人材は一定数存在しています。また、その他「安定を求める」「日本文化や社会を知りたい、実際に感じてみたい」など、外国人材が日本企業に就職する理由は多様になりつつあります。

一方、外国人材のキャリアに課題感が残る

外国人材の定着面における課題として、よく挙げられる日本企業の問題点は、「キャリアの発展性」です。言い換えると、就業する企業で「どのような役割を担い」「どのようなスキルを身につけることができ」「どのようなキャリアを積んでいけるのか」。この点がメンバーシップ型の雇用を行う日本企業では相対的に曖昧になってしまいます。日本企業はジョブローテーションも行いながら、多様な経験を積ませ、広い視点で経営ができる人材に育てようとする傾向があるゆえ、外国人材にとっては、ジョブ型の契約を行う海外の企業に比べ、企業内でのキャリアが見え難いのではないでしょうか。

【まとめ】

今回は、「外国人材がどのように就職活動を行っているのか」また「どのような考え方(志向性)を持っているのか」について紹介しました。次回は、このような外国人材の採用に関して「どのようにアプローチし、選考していくのか」について、具体的な事例を含め紹介していきます。外国人材活用を検討する企業が増えつつあることは、個人的に喜ばしいことであるが、慣れるまでは日本人以上に採用も受け入れもコストがかかりやすいと思うので、少しでもそれを軽減させられるためのヒントになれば幸いです。

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