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【セミナーレポート】なぜ今「人材リソース」という考え方が必要なのか

PROFILE

株式会社モザイクワーク

代表取締役 杉浦 二郎 

2015年9月まで三幸製菓株式会社で人事責任者を務め、2016年4月に株式会社モザイクワークを設立し独立。企業向けの採用支援・プランニング・人事部機能の受託等を行う。2017年10月には学生向けの就職・キャリア支援会社、株式会社エッグスタジオを設立し、両社の経営を行い、現在に至る。

現在労働人口が減少し、人材獲得競争が激化しています。そして、売り手市場の傾向はますます強まると予想されます。こうした状況下において、これまでと同様の採用活動を続けていては、人材の確保が困難になる一方でしょう。今後、人材を適正に確保するにあたり、人材コンサルティング会社「株式会社モザイクワーク」の代表取締役、杉浦二郎氏は「人材リソースの確保」という考えを提唱します。今回のセミナーでは、パーソルキャリア株式会社マネジャーである鈴木智勝より「現在の労働環境について」を説明。その後、人材リソースと人材の採用はどう違うのか、人材リソースはどのように活用するのか、杉浦氏が解説しました。

(本記事はdoda、ママボランが共催した10月18日のセミナー内容を要約した上で編集・構成しています)

採用マーケットの現状 ―求人倍率上昇により、企業の採用充足度平均50%という結果―

今、日本国内は高齢化・生産年齢人口(15~64歳)の減少が加速度的に進んでおり、2020年には人口減の社会に突入する見通しです。25年時点での人手不足は583万人との予測があります。これを受け、国内では、女性やシニア、外国人労働者の確保を図ったり、テクノロジーの活用で生産性の向上を試みたりしていますが、いずれも施策が当たっている、見通しは明るい、とは言い難い状況です(パーソル総合研究所「労働市場の未来推計」より参考)。

転職マーケットに目を向けてみますと、2015年には1年で276万人が転職していますが、25年には258万人となり、一気に減少するという試算されています。求人倍率は2014年から2~3倍の高止まりが続いており(doda調べ)、これからますます採用に苦戦する状況が続くと考えられるでしょう。既に人材確保の難しさを実感している企業は多く、「採用目標に対し達成率は50%、反面、採用単価は高騰」というのが実情です(doda Recruiters事務局調べ)。
中途採用企業の実態グラフ
各企業が共通して掲げる課題は「母集団形成」で、どうすれば人を集められるかという悩みが根強く残っています。その一方で、いかに「今いる人材をどのように最適に活用するのか」に注目が集まってきていると言えるでしょう。

「人材余剰と人材不足」が同時に起こっている理由 ―社会構造の変化と、個の価値観の多様化―

「人材余剰と人材不足」が同時に起こっている理由 ―社会構造の変化と、個の価値観の多様化―
今、採用・雇用の現場では「人余りと人不足」が同時並行で起きています。先ほどの説明にもありましたが、多くの企業で「応募が集まらない」「採用ができない」「人員が足らない」と言われているのは皆さんご認識の通りだと思います。では、“人が余る”ということはどういうことなのでしょうか。それは、会社全体の労働力を客観的に見ると活用できていない面が多々あるということ。「今までがこうだったから…」と特に違和感なくスルーしていた部分だと思います。本当に適材適所の配置なのか、ある組織に人材を過剰配置していないか…意外とハッとする企業は多いかもしれません。その一方で、隣の組織では人材不足に悩まされている…という状況は特に中堅~大手企業で多く見られる傾向です。

では、なぜこうした現象が起きているのでしょうか。原因は下記2点が考えられ、これらを同時に解決する必要があります。

・社会構造の変化への対応
・個の価値観の多様化への対応

社会構造の変化への対応

まず、採用を取り巻く社会構造の変化について改めて見てみます。着目したいのが、労働人口の減少に加え、昨今の技術革新とそのスピードです。一つのスキル・能力が10年20年と使えるケースは少なく、それどころか賞味期限は縮まる一方となっています。
また、かつては長期雇用・終身雇用制度を前提にしているために、必要以上に人材を抱え続けていると考えることもできるでしょう。このため、人材はスキルを磨き続けないと、組織にとってすぐに不要な人材となってしまうのです。結局、人手不足を解消するための採用が、余剰人員を生み出す結果になってしまうというわけです。

個の価値観の多様化への対応

個の価値観の多様化も見逃せないポイントです。私はよく経営者の方に向けて「これから組織は個に裏切られる時代がくる」と言っています。裏切られると言ってしまうと語弊があるかもしれません。「個が会社・組織に依存しなくなる」時代がくるということです。しかし、その時代は既にやってきているように感じています。入社後一所懸命に育成をしても、「会社は好きだけど、別にやりたいことがあるので辞めます」と、キャリアアップ・キャリアチェンジを軸にする人材が一定数いるのはご存知の通り。キャリアは会社に与えられるものではなく、形成の主体は個にあるという考えにシフトしていることが背景にあります。会社の一員として教育をし、様々なチャンスを提供したのにもかかわらず、最終的には辞めてしまった、という事態は今後ますます増えていくでしょう。

結果として、会社は人材を確保しながら余剰人員を生み続け、一方で必要としている人材はとどめることができず、個人は個人で当たり前のように離れていく、というなんともややこしい図式ができあがっているのが、現状です。

採用は本来シンプル。上手くいかないのは「どの会社も求めている優秀人材」を求めてしまうから

採用は本来シンプル。上手くいかないのは「どの会社も求めている優秀人材」を求めてしまうから
本来、採用は「入社したい人を採用する」というシンプルなもののはずです。しかし、現実には難しい。その要因は、「できるだけたくさんの人を集め、その中から優秀な人材を選びたい」という半ば幻想に近い想いを持ってしまうから。良い人材を選びたいというのは普通の考えです。しかし、優秀な人材を採用したいのに、なぜか自社のことを魅力的だと感じてもらえず、入社に至らないという方が多いのではないでしょうか。
それを解決するための重要なポイントは、『その「優秀」というのは、一般的な優秀なのか、自社にとっての優秀なのか、明確にすること』です。
その「優秀」というのは、一般的な優秀なのか、自社にとっての優秀なのか、明確にすること

※杉浦氏提供資料(以下同様)

もし一般的な優秀人材であるなら、優秀人材が「入社したい」と思えるような、優秀人材にFITする会社にならなければなりません。裁量の大きいプロジェクトを用意する、高い報酬を支給する、福利厚生を充実させる…など考えられるでしょう。また、圧倒的な採用コストを費やすことも重要かもしれません。大手企業ならまだしも、その他の企業の場合、大手企業(=採用強者)と同じ土台に立ってはいけません。どうすれば優秀人材に振り向いてもらえるのか自社独自の「戦略が重要」になります。
中小企業こそ、戦略が重要
そもそも、そうした優秀人材が本当に必要なのか、改めて見つめ直してみることも大切でしょう。私は、「自社に合う人材、自社にとって優秀な人材を採用することが本筋だ」と考えます。特に中小企業は、知名度のある大手と同じ人材を取りにいっても勝てません。私がおすすめしているのは、「他の会社では輝かないが、ウチの会社では輝く」という人材を見つけ出すということ。その人材は他社で落ちたかもしれない。しかし、自社だったら絶対に活躍できる、というOnly Oneを見つけ出すことが重要だと言えます。

では、どのようにOnly Oneの自社にとって優秀人材を見つければいいのか。
どうしても、企業は「採用」だけにフォーカスしてしまいがちですが、本来であれば、採用は「配置(配属)」と「育成」ががワンセットになっています。ところが、配置と育成に力をかけられる企業は限られています。ほとんどの企業にとっては、活躍する人材を「効率よく」採用することが何より重要になります。大切なのは、何人エントリーしたかではなく、採用した人材が活躍できるかどうか。もっとも理想的なのは、自社だけが評価する能力を発見し、【1人募集・1人応募・1人採用】につなげることではないでしょうか。

これからの時代は、人材を「採用する」のではなく、「労働力を確保」する

これからの時代は、人材を「採用する」のではなく、「労働力を確保」する
採用とは、個と組織の接続であると捉えています。この時、「人」を組織に入れるというよりは、「リソース」を取り入れると考えたほうがいいでしょう。多くの古き良き日本企業の場合は、採用は仲間探しです。風土や性格でつながろうとします。仲間探しをすると、その人ありきになってしまい、“人に仕事をあてる”ということが起きます。しかし、本来は“仕事(プロジェクト・役割・ミッション)に人をあてる”、仕事があるから人を採用するという流れが当然あるべき姿で、人と企業は「仕事でつながる」ほうが、特にこれからの時代はより望ましい…というのが私の見解です。仕事でつながるには、職務要件を明確にするなどの難しさはあるものの、即効性があり本当に必要な人材(リソース)を見つけやすくなります。
人と企業は「仕事でつながる」
もちろん、自社のスタンスや大事にしている会社も多く、都度採用の考え方は変化するでしょう。すべてにおいて「仕事でつながる」必要はありません。しかし、生産性高く効果を出さなければいけない、この競争社会の中では、プロジェクト型採用という考え方は重要になっていくはずです。

加えて、仕事でつながることを考える際の考え方で重要なのは、完璧な1人を探さないということ。完全な1人を採用するのは今の時代ナンセンスです。例えば、1.0の仕事を0.3、0.3、0.4と分解し、それぞれ人(労働力・人材リソース)にあてていく、という考えが求められます。1.0ができる人材を見つけるよりは、0.3、0.4をできる人材を見つけるほうが、難易度は低いはずです。
労働力・人材リソース
この考え方を持つことができれば雇用形態に縛られる必要もありません。個と企業の関係は、正社員採用に固執する必要がないためです。契約社員、アルバイト、派遣社員、インターン、業務委託など、個人は自分たちにあった働き方を選択できる時代です。企業側も「企業に寄り添ってもらう」ではなく、「自身のスキルを活かしてもらう」と考え、労働力を確保するという考え方が求められてくるでしょう。繰り返しになりますが、人材を採用するのではなく、「足りない労働力を確保する」という考えがこれからは必要になってくるのではないでしょうか。

【まとめ】

採用を取り巻く環境は大きく変化しています。その背景には、労働人口の減少に加え、技術・スキルの有効期間の短縮化、個人の価値観の多様化などがあります。こうした状況の中、従来通りの長期雇用を前提とした採用は、成立しにくくなっています。特に、中小企業(企業ブランド・認知度などが大手企業に比べて低い企業)は、考えを切り替える必要が生じています。
そこで杉浦氏が提唱しているのが、「採用ではなく、労働力の確保」をするということ。仕事を細分化し、それぞれの仕事に人を当てる、組織と人が仕事でつながることを推奨します。今後、採用のあり方は大きく変化するはずですし、変化させなければ、組織の存続が難しくなるのではないでしょうか。人材=リソースをどう活用していくか。杉浦氏の講演がヒントになるでしょう。

(文/中谷 藤士、撮影/石山 慎治、編集/齋藤 裕美子)

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