採用手法のこれからを考える ダイレクト・ソーシング ジャーナル

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“企業の体臭“を見つけ、色濃く匂わせる。PR Tableの考えるこれからの採用ブランディング

PROFILE

株式会社PR Table

取締役 菅原 弘暁

1988年神奈川県生まれ。2011〜2015年、大手総合PR会社(株)オズマピーアール、内1年間は博報堂PR戦略局に在籍し、外資スポーツメーカーから官公庁、リスクコミュニケーションまで、幅広い広報業務を担当。その後、国内最大級共創プラットフォームを運営する会社でPR・ブランディングに従事し、2015年9月より(株)PR Tableに参画。採用やPR、広報などのセミナー・カンファレンスに多数登壇する。

企業の色や風土を伝えるために採用ブランディングを行いたい…。そんな声を、採用市場でよく耳にするようになりました。求職者が数ある企業の中から一社を選ぶための要素として、企業の雰囲気や働きやすさなどの要素が重視されるようになってきたからです。

採用市場のニーズが移り変わる中、注目を集めている企業が、PR Tableです。

PR(パブリックリレーションズ)はプロモーションと同義に思われることが多いですが、そもそもは「企業や組織と、ステークホルダーとの良好な関係構築」を意味する言葉。そのような“本来のPR”の観点から企業のストーリーを伝えるPR Tableでは、採用候補者に対するブランディングよりも社員に向けたインターナルブランディングに重きを置く採用手法を提案しています。

これほどまでに採用ブランディングの注目度が高まる昨今の世の中で、一見相反する考え方を抱いた理由とはー。今回は、前後編に分けて、その考えを紐解いていきます。

(後編記事:『ターゲット候補者を刺しにいかない。「常に頭によぎる存在」を目指す、PR Tableの採用戦略』)

失敗や課題は正直に伝えなければならない

PR Tableは、ストーリーテリングなPRの先駆けとして活躍されています。現在のようにストーリーを伝えるPRに取り組みはじめたのは、なぜでしょうか。

菅原氏:僕らが事業を始めた当時、企業の広報が対外的に発信できるフォーマットはプレスリリース以外にありませんでした。広報の武器が他にないことに不自然ではないかと思ったんです。僕自身、前職のPR会社で「どうしてPRには手法が限られているのだろう?」と疑問を抱いていたので、その疑問を解消したコンテンツフォーマットを作りたかった。

広報の武器が他にない

現在御社で取り組まれている、創業などのストーリーを基にしたコンテンツですね。

菅原氏:そうです。プレスリリースのような事実情報の羅列ではなく、企業内の人の感情情報を盛り込んだストーリーを起承転結で構成し、読み物として充実していることを意識してコンテンツ制作をはじめました。そうしたら、思いの外、周囲の企業は持っていない観点だったんです。

ストーリーを書く上で大事にしていることは、失敗談や課題を誠実に伝えること。プレスリリースに限らず、求人票なんかにも言えますが、企業は魅力やアピールポイントばかりを伝えようとします。ところが、実際の採用現場を覗いてみると、それが必ずしもいい結果を生むわけではありません。

外部に出しているメッセージと、実際の職場の現状が異なると、せっかく採用できたとしても、すぐに退職してしまったり、思うように活躍できなかったりするんです。

だからこそ僕らは、インターナルも意識した中長期的なコーポレートブランディングを重要視しています。「採用ブランディング」として良いところだけを見せるのではなく、社内にも社外にも裏表のない見せ方をするべきですから。結果として会社を愛してくれる人が増えてくれるのです。

企業らしさは「失敗」と「小さな言葉選び」に表れる

企業らしさは「失敗」と「小さな言葉選び」に表れる

菅原さんの考える「PR」の役割はどういったものなのでしょうか。

菅原氏:中長期的な観点で考えると、PRは万能薬ではありません。あくまでも漢方薬です。漢方薬は体調や個人の属性によって効き目が変わるように、企業やフェーズの違いによって効くときもあれば効かないときもある。たとえば、サービスを広めるため、採用を促進するためなど、目的が違えばPRの方法は異なります。PR Tableは、その効果をより最大化するために適した漢方薬を処方しているに過ぎないのです。

そう考えたとき、企業が社員や事業のストーリーなどを届けることの重要性はどういったところになるのでしょうか。

菅原氏:“企業らしさ”を社内外へと届けることに尽きます。ただ、意識しなければならないのが、社内にも会社のことを伝え、社外にも同じだけの情報を伝えること。なぜなら、今の時代、片方ばかりに良い顔をしていてもすぐにバレてしまうからです。

ばれてしまう

それならば、最初から誠実に伝えていこうと。

菅原氏:それに社員のストーリーは、企業らしさを発信するためのピッタリの例だと思うんですよ。インタビューを受ける社員は、多くの場合が、社内で活躍している人材ですよね。人生の中であらゆる経験をしてきて、その企業と出会って、今に至っている。そのストーリーを打ち出すことで、価値観や視点などが垣間見えるはずなんです。そして、それは企業の色をつくるための要素でもあるわけです。企業らしさの元手となる社員にフォーカスを当てた方が、戦略としても効率が良い。

他にも、企業らしさを見つけるために意識するべきことはありますか?

菅原氏:PR Tableとして企業のコンテンツ制作を行うときにも意識しているのですが、ビジョン・ミッション・バリューを通して、人や事業を見ています。ビジョンの小さな言葉選びや、ミッションの生まれた背景をたどること。そして、これまでに自社で経験した失敗を紐解くことなどが挙げられます。

PR Table

特に、企業は多くの失敗を繰り返して歴史が作られています。だからこそ過去に起きた失敗をたどることで、必ず企業らしさの輪郭が見えてくるんです。

そうして見えてきた企業らしさを「ありのまま」ではなく、「小さな背伸び」をしながら発信することも重要。嘘はつかず、しかし、創業から現在に至るまでのストーリーを魅力的に伝えたり、未来の展望をしっかりとした挑戦の意思をもって伝えたりすることが大切ですね。

“体臭”がでるまで企業の匂いを発信する

今後、採用市場はどのように変わっていくと考えていらっしゃいますか?

菅原氏:スキルベースとカルチャーベースのマッチングは両方大切ですが、その“順番”が変化すると思うんです。従来の人材サービス会社によって、過去の経歴や職種からスキルベースでマッチングし、カルチャーフィットを各社で判断する構造が出来上がっていた。

けれどもSNSや最新テクノロジーの台頭により、変化のスピードは格段に上がりました。人材においてもハードウェアよりもソフトウェアのような柔軟に考えられる人が求められる。必要とされるスキルも刻々と変化します。

だからこそ、順番が逆転すると思います。カルチャーマッチする人を最優先し、その次に現状で求められるスキルを持つ人を採用する、というように。

そのとき、各企業はどのようなPRを心がけるべきでしょうか?

菅原氏:企業らしさを伝えるべきです。もっと言えば、“体臭”が出るまで企業らしさの濃度を濃くする。どんな会社でも匂いがあるんですよ。「いい香り」と思う人は入社すればいいし、「臭い」と思うなら違う企業を探せばいい。

企業側が採用候補者へ共感されるようにと、擦り寄る必要はありません。会社の体臭が遠くまで伝わるよう、声を上げていくことが必要なのではないかと思います。

 “体臭”がでるまで企業の匂いを発信する

【取材後記】

これまで、いくらか安易に「採用ブランディング」の言葉を使ってきたと痛感しました。対外的な見せ方さえ整えば、採用は成功すると思っていたからです。ところが、菅原さんの話を聞いてハッとしました。

採用候補者は、「採用される」ことを最終ゴールとして面接を受けているのではありません。心地よく、かつ、成長環境の中で働くことを求めて、面接を受けているのです。そう考えると、短期的な採用数を最重要視するブランディング手法は、非常に危険なのではないかと感じずにはいられませんでした。

後編では、これらの考え方に基づいて行われている、PR Tableの採用手法についてさらに迫ります。

(取材・文/鈴木 しの 、撮影/黒羽 政士、編集/田中 一成(プレスラボ)、齋藤 裕美子)

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