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早稲田大学卒業後、新卒で入社したITベンチャーでマーケティングを担当。2015年に大手外資系コンサルティングファームに転職し、コンサルタントとして金融機関の新規事業立案・実行支援プロジェクトを推進。2017年、大学時代の先輩だった内木場隼氏が代表を務める株式会社LeoSophiaに参画。リスティング広告、SNS広告、ネイティブアドを絡めた戦略的なWebプロモーションを提供するプロモーション事業部の立ち上げを牽引し、現在は同部門のトップとして事業戦略および人事・採用戦略に携っている。
2016年、新卒でパーソルキャリア株式会社に入社。dodaを中心とした転職メディアの営業担当として経験を積み、2017年より同社インサイドセールス部門の立ち上げメンバーとして活躍。現在はIT業界等の顧客を対象とした受注後のコンサルティングセールス・採用フォローなどを担当している。
2014年に設立された株式会社LeoSophia(レオソフィア)は、ホームページの企画・制作、WebやSNSでのプロモーション、インフルエンサーマーケティングなどを軸に、インターネット業界で急成長を遂げている注目のベンチャー企業です。
同社は長らくリファラルやアルバイトの社員登用を中心とした人材採用を行っていましたが、2018年5月にdodaの求人広告による中途採用をスタートし、わずか2回の広告掲載で大きな採用成果を上げています。多くの企業が人材不足による採用難に直面している状況の中、求人広告を使った採用活動の経験がなかった同社は、どのようにして優秀な人材を採用しているのでしょうか。
今回は同社プロモーション事業部の責任者であり採用担当者でもある南平氏と、dodaの営業担当として同社をサポートし続けているパーソルキャリアの百田氏の両名に2018年と2019年の広告掲載時における同社の採用・広告戦略などについて詳しくお聞きしました。
南平氏:今は従業員数約70名の会社ですが、2018年の前半は50名程度でした。ベンチャー企業ということもあって、社員採用のほとんどはリファラル、もしくはアルバイトからの登用でした。ただ、私としては社員からの紹介やアルバイトの成長を待つよりも、もっと一般的な手法で中途採用を行った方がスピーディーだろうと考えていました。幸いにして当社は事業部独立採算制を採っており、プロモーション事業部の採用については私に一任されています。そこで、求人広告を使うことを決めました。求人広告を使った採用は当社内でもほぼ初めての取り組みではあったのですが、これからはある程度のコストと覚悟を決めないと、組織を拡大できないだろうと思っていたのです。
南平氏:募集職種はマーケティング戦略・リサーチ・商品企画の担当者です。ただ経験者採用は難しいと考えていたため、第二新卒で学歴の高いポテンシャル層を採用するつもりでした。そうしたターゲットが集まっている媒体をリサーチした結果、有力候補に上がったのがdodaだったのです。念のために他社の媒体の担当者からも話を聞いてはみましたが、やはり当社にとってはdodaの登録者層の方が魅力的に思えたので、当初の予定通りdodaへの掲載を決めました。
百田:自分で言うのは少し恥ずかしいのですが、南平さんのお話を伺っているうちに、「南平さんが求めているターゲットって実は私なんじゃないか?」と思ってしまったんです(笑)。より正確に言えば、私自身というよりもパーソルキャリアでメディア営業をしている私と同年代の20代の社員たちですね。そんな風に感じられたので、広告制作の段階では「自分たちがこう言われたらグッとくるだろうな」という文言や内容を広告に盛り込んでもらえるようお願いしました。たとえば入社後に扱える金額の話であったり、社長のインタビューであったり。提案して入れていただくことになりました。
百田:先ほど南平さんは「学歴の高い人」と言っていましたが、最初はもっとブレブレだったような気がするんです。
南平氏:そうでしたっけ?
百田:そうでしたよ(笑)。最初、南平さんは地頭が良ければ誰でもいいという感じだったので、学歴不問で掲載をスタートしたはずです。それで候補者を絞り切れなくなってしまったので、応募条件を修正して再掲載させていただきました。さらに書類選考の段階では「大学名だけでなく出身高校も見てください」と、加えてご提案させていただいたと思います。
南平氏:確かにそうだったかもしれません。学歴は後付けですね(笑)。「学歴っていっても大学だけで判断できないですよね。指定校推薦などもありますから。トータル的に判断したほうがいいですよ」ってアドバイスいただいたんです。百田さんからそのように提案を受けたとき、「なるほどな」という納得感はありましたね。
百田:また、南平さんのお話をさらに詳しくお聞きしていくと、地頭が良ければ誰でもいいというわけでなく、実は営業経験や顧客折衝の経験がある人を欲しがっているとも感じました。そうした意味でも「自分たちがターゲットに近い」と思えましたし、広告の中でも営業経験や顧客折衝経験を歓迎する表記、営業経験者の方を意識した言葉を選んでもらうようにしました。
南平氏:私も百田さんに言われて初めて気がついたのですが、確かに営業経験のある人を面接に呼ぶことが多かったのです。自分でも意識しないうちに、そうした人を求めていたということなんでしょうね。百田さんに言われたことで採用のターゲット像がより明確になりました。
百田:たとえば広告の中に「扱う金額は1億5000万円/月」という言葉が入っているのですが、もともとは「予算は1億5000万円/月」と書かれていました。予算には「扱える金額」という意味もありますが、営業職の人たちは予算という言葉を「ノルマ・目標」という意味で使うことも多い。そのため営業系経験のある方が「予算は1億5000万円/月」という言葉を見ると、反射的に「1カ月で1億5000万円も売上を立てなくてはいけないのか…」という勘違いをされる可能性もあると思ったので、「扱う金額は1億5000万円/月」という書き方に直していただいたのです。
南平氏:こうした視点も自分たちにはなかったので、ご指摘いただいて助かりました。細かい部分ですが、読み手が何を不満に思っているのか、どういう情報を求めているのか…など、「読み手を意識されているな」と感じましたね。
南平氏:成功だと思っています。多くの候補者の中から2名を選んで採用できましたから。
百田:私はそうは思っていませんでした。「絶対に採用したい!」という人がいたのに採用できませんでしたよね。
南平氏:そう言われて思い出しました。確かに「この人すごい。ぜひ採用したい」という方がいましたね。その方は途中で辞退されてしまいました。
百田:私自身、LeoSophiaさんの魅力を存分に知っていたからこそ、「自社に来て欲しい!」と思った人材に、どう動機形成をしていくのか。1回目の掲載での反省点として、次回以降に生かさなければならないと考えていました。
南平氏:前回のdoda経由で入社した2名の社員が順調に成長してくれたこともあり、再度同じポジションで人材を採用しようということになりました。今回は女性3名、男性1名の採用を考えていたので、百田さんには「少し女性向けの広告を作ってほしい」というリクエストを出しました。前回の求人広告で入社した女性社員がまさにターゲットだったので、その者を軸としたクリエイティブを作りたいと。
百田:女性向けということでトップ画面の画像については20代の女性を意識したものを作成しました。dodaで入社した若手女性社員の方の写真とインタビュー記事を広告内に挿入しています。さらに広告全体のランディングページ的な存在であるPR画面を、スマホでの閲覧に最適化したデザインにしています。現在、dodaユーザーの約7割がスマホで広告を見ているという状況ですからね。
南平氏:スマホ向けのデザインに関しては、百田さんだけでなくdodaの制作担当者の方からも提案を受けたので、社内連携も取れているなと感じました。
百田:ここまでスマホ向けに振り切ったデザインはdodaの求人広告の中でも少ないと思います。このときのLeoSophiaさんの広告は2カ月で約2万5,000PVでしたが、スマホが2万PV、PCが5000PVという内訳だったので、スマホ向けデザインにした効果は出ていると思います。ただ、今回の広告に関しての私たちからのご提案は写真やデザインといったビジュアル面に関することぐらいで、テキストなどについては南平さんご自身がこだわって作られた部分も多かったと思います。
南平氏:ターゲットのペルソナについては、より深く考えるようになりました。その上でペルソナに響く言葉を考えたり、マーケティング界隈のトレンドワードを散りばめたりといった工夫はしましたね。dodaに掲載されている採用競合の広告で使われている言葉や表現もチェックして「ウチは逆張りでこの言葉を使ってみよう」といったことも考えながら、dodaの制作担当者と一緒に広告を作っていきました。また、広告だからといって良いことばかり書いてあっても逆に胡散臭くなると思ったので、仕事の苦しさや難しさ、泥臭さについてもしっかり記載するように心がけました。
百田:今回も「絶対に採用したい」という方からの応募がありました。前回のこともあり、今回は何としてでも…という思いが強かったので、dodaの付帯サービスの一つである人材分析サービス『HRアナリスト』を活用しようと考えました。これは候補者へのアンケート結果を分析することで、候補者一人ひとりを口説くための個別面接対策ができるツールです。私はHRアナリストを使って、その方を口説くための戦略的な面接を行うことを南平さんに提案しました。
(参照:『50年変わっていない面接をアップデート。候補者を“口説く”サービスに込めた思想』)
南平氏:普段は私が一次面接を行い、最終の二次面接を社長が担当するという選考フローです。百田さんからの提案を受けて、その方については私と社長の面接の間に、社員2名による面接も受けてもらうというフローに変更しました。
百田:その候補者の方は「いい会社があれば転職しよう」と考えている転職潜在層に近い意識を持たれていたので、面接を担当する女性社員のお二方にも、「前職に不満はなかったがLeoSophiaに転職して良かった」というエピソードを語ってもらうようにしました。
南平氏:本当に欲しいと思った人材だったので、その方だけのためにカスタマイズした面接ですね。結局、百田さんにご提案いただいた女性社員による面接が功を奏したことで、その方の入社も決まりました。当社に転職することで年収が下がってしまうというハードルがありながらも、その方にご入社いただけたことは大きな成果だったと思います。
南平氏:現在も採用活動は継続中ですが、最終的には今回の広告掲載で6名ほど採用できそうです。想定通りの方々に来ていただいたので、採用予算を追加しました。当初の目標であった4名を超える採用ができそうなので、非常に満足しています。
南平氏:求人広告を使って採用をすると決めたのは私ですが、当社は無名のベンチャー企業なので、正直なところ相当苦戦するだろうと考えていました。ただ、実際に掲載した際には予想以上に多くの方からのご応募をいただきましたし、採りたいと思った人を採用することもできました。ベンチャー企業であっても「詳細まで落とし込んだターゲット設定」と「その人材に魅力的な内容表現」、そして「競合他社の分析」をきちんとすれば、求人広告で理想的な人材採用ができるということを実感しました。
また、百田さんにも非常に感謝しています。私は営業を受けるのがあまり好きではないのですが、百田さんはそんな私の性格を理解してくれているようで(笑)、こちらが必要なときにだけ、こちらが求めている情報を適切かつ正確に提供してくれるスタンスが素晴らしいと思います。
百田:気を使っていただきありがとうございます(笑)。南平さんは私たちの提案にいつでも真剣に耳を傾けていただけるので、私たちとしても考えていること、思っていることを積極的にご提案できますし、何よりも南平さんご自身が広告作りや採用活動に対して真摯に向き合っていただけていることが、今回のような採用成功につながっていると思います。
南平氏:先ほども話に出ましたが、2回目の掲載・採用では女性社員2名に面接官を担当してもらいました。そのとき百田さんに、「チーム全体で採用力を上げることはとても大事なことです」と言われたのです。それまで私は、面接や採用は部門や会社を代表する人間がやるべきだと思っていました。しかし、今回のように現場社員の面接によって候補者の意向を上げられるケースもありますし、採用に関わった社員自身の意識も変わっていった。採用を通じて、組織力が向上したことを実感しましたし、「チームで採用力を上げることは大切だ」と考えるようになりました。各部署で俗人化していた採用活動をオープンにすることで、会社や組織としての採用力を上げていけると思いますし、そうした状況を作ることができれば、私が誰かに事業部を引き継ぐことになったとしても採用面については安心できますからね。
南平氏:ベンチャー界隈の方々と人材採用について話をすることも多いのですが、ほとんどの方が採用にお金をかけようとしていません。「求人広告に100万円も出すのは怖い」と言います。もちろん、結果がわからないことに投資するのは怖いものの、一度チャレンジしてみないと何もわからないと思うのです。当社もさまざまなサービス・商品を持っていますが、会社や事業の競争力の源泉は結局のところ人材です。優秀な人材が多ければ多いほど会社の売上も向上すると考えているので、今後も採用にはそれなりのお金をかけていくつもりです。皆さんも採用にはお金をかけましょう。ここでケチってもしょうがないですから(笑)。
お二人のお話を伺っていると、「サービスを受ける会社とサービスを提供する会社」という関係性を超え、お互いにアイデアを出し合いながら採用成功という目標に向かって邁進していくチームのような一体感が生まれていると感じました。
企業間の人材獲得競争が熾烈を極める現状を乗り切るためには、人事採用担当者自身が新しい採用手法やトレンドにアンテナを張り、自ら積極的に動いていくことが大切です。しかし、求人メディアの運営会社や採用サービス提供会社は、多くの企業をサポートし続けることで培ってきた採用に関する豊富な知見を持っています。南平さんにとっての百田さんのように、そうしたノウハウを持っている社外パートナーと上手く付き合い続けることも、より良い採用活動を実現するための有効な選択肢の一つであることは間違いないでしょう。
(取材・文/佐藤 直己、撮影/石山 慎治、編集/齋藤 裕美子)
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社会保険労務士法人クラシコ 代表 柴垣 和也(しばがき かずや)【監修】
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