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DMM・レクター・BASEのエンジニア採用戦略。鍵は透明性とストーリー設計

PROFILE

合同会社DMM.com

CTO 松本 勇気

2018年10月11日より合同会社DMM.com CTO(最高技術責任者)に就任。 同年8月まで株式会社Gunosyにて執行役員 CTOおよび新規事業開発室室長。 Gunosy創業直後に入社。これまでニュース配信サービス「グノシー」「ニュースパス」などの立ち上げから規模拡大、また広告配信における機械学習アルゴリズムやアーキテクチャ設計を担当し、幅広い領域の開発を手がける。 新規事業開発室担当として、ブロックチェーンやVR/ARといった各種技術の調査・開発を行う。 2019年5月よりDMM GAMES CTOを兼任。

株式会社レクター

取締役 広木 大地

1983年生まれ。筑波大学大学院を卒業後、2008年に新卒第1期として株式会社ミクシィに入社。同社のアーキテクトとして、技術戦略から組織構築などに携わる。同社メディア開発部長、開発部部長、サービス本部長執行役員を務めた後、2015年退社。株式会社レクターを創業し、技術と経営をつなぐ技術組織のアドバイザリーとして、多数の会社の経営支援を行っている。著書『エンジニアリング組織論への招待 不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング』。

BASE株式会社

取締役EVP of Development 藤川 真一(えふしん)

FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にGMOペパボへ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わるかたわら、2007年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。2010年想創社を設立し2012年4月まで代表取締役社長を務める。その後、想創社(version2)を設立。 2014年8月からBASE株式会社のCTOに就任。2017年9月に慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科博士課程を単位取得満期退学、2018年1月博士(メディアデザイン学)取得、同学科研究員。2019年7月BASEのCTOを退任しEVP of Development に就任。

エンジニア採用の重要性が叫ばれ続けている昨今。市場価値が高いエンジニアの採用は専門性も求められるため、人事・採用担当者だけではなく、現場のエンジニア自身が採用に携わることが注目されてきています。一方で、どのようにしてエンジニア採用に関わっていくべきなのか、体系的に学ぶ機会がないのも事実。

このような課題と向き合うべく、「エンジニアが適切に採用に関わる企業を増やす」ことを目的として生まれたプロジェクト『Engineer’s Recruiting』の第0回と銘打ったイベントが2019年8月23日に開催されました。

今回はその中から、「エンジニアを採用するための組織づくり」をテーマとしたトークセッションの様子をレポート。

司会を務めるのはLAPRAS株式会社の伊藤 哲弥さん、登壇者は株式会社レクター 取締役・広木 大地さん、BASE株式会社 取締役EVP of Development・藤川 真一(えふしん)さん、合同会社DMM.com CTO・松本 勇気さんです。

エンジニアに選ばれる会社は「透明性」がある

「エンジニアに選ばれる会社の条件や魅力」について教えてください。

松本氏:DMMでは「この会社はこれから変わりそうだ」という未来像に魅力を感じて入社してくれるエンジニアが多いですね。

僕らは「当たり前を、作り続ける」というミッションを掲げています。何でもやるからこそ、当たり前のことを丁寧にやらないといけないし、新しい世界の当たり前を作らなければいけません。

「この会社はこれから変わりそうだ」という未来像に魅力を感じて入社

そのミッションを達成するために、「AGILITY(敏捷的)」「SCIENTIFIC(科学的)」「ATTRACTIVE(魅力的)」「MOTIVATIVE(意欲的)」という4つのバリューを策定しました。このように企業のミッションからバリュー、社員の一つ一つの言動に至るまでメッセージが一貫した“ストーリー”を設計し、社員や採用候補者に認知される環境をつくることが重要かなと。

そして採用候補者を口説くとき、相手がそのストーリーの中で、どのようなロールでどのように力を発揮して欲しいかを具体的に語り、「どうしてあなたが必要なのか」を納得してもらいます。「どうしてあなたが必要なのか」を語れるまで言語化できていないなら採用しません。

広木氏:大事なのは会社としての透明性です。

会社の透明性

透明性とは、情報をオープンにするだけではありません。制度やルールが明快でそれに従って経営しているのがはっきりわかることも含みます。そして、どの技術に投資をして力を入れているかが明確なら、エンジニアが、その環境ならではのキャリアを描けます。エンジニアを採れない会社は、特に守るものもないのに隠すんですよ。

また、競合がやっていることを分析して戦略を立てると採用競争は成立しますが、その土壌に立つ努力をしていないのに「採れないなあ」と言う会社は多い。なので、採用戦略が見えないうちは、まずは動いたり露出したり、競合の話を聞いたりするところから始めるべきですね。

藤川氏:そもそもの話ですが、採用の第一要件は「会う」ことです。

採用の第一要件は「会う」こと

人材サービス会社に求人情報を載せるだけで優秀なエンジニアがたくさん来ると思うのは大間違い。あくまでも採用をしていることを知らせるツールなので、さらに興味を持ってもらうためには積極的に声をかけた方がいいですね。

松本氏:あとは自社の社員が人材を紹介してくれるかどうかも大事ですね。「楽しい」「共感できる」「成長できる」、会社に対するこの3つの感情が欠けていると、社員は優秀な人材を紹介してくれません。

社員にとって本質的にいい会社にするのがまずは大事。その上で透明化し、会社が認知されるだけで人は集まると思います。

優秀な人材はアトラクトし、オファーをすぐに出す

会社によっては経営者がエンジニア採用に関与せず、現場に一任するケースもあります。エンジニア採用の責任は誰が持つべきだと思いますか?

松本氏:経営陣の仕事の半分は「良い仲間」を集めること。なので、経営陣はエンジニア採用にもコミットするべきだと思います。ただ、「責任を取る」ことは階層的なものだと思っていて、それぞれのチームにいるマネージャーが責任を持っていないのは間違っている。採用は「総力戦」ですから、経営者、マネージャーがマネージする範囲に対して責任を持つべきです。

なるほど。松本さんが所属するDMMの採用活動では、具体的にどのようなことをしていますか。

松本氏:採用のワークフロー設計は営業フローと似ています。認知を作ってリードを獲得するというように。そこで各フェーズを整理し、やるべきことを決めて、責任者を割り振ります。

営業と似ている

DMMにジョインした当初は広報と協力しながら認知を広げて、アタックリストをもとに「そろそろ転職フェーズじゃないですか?」と採用候補者に声がけをし、毎週5〜6回ご飯に行くなど人に必ず会うようにしていましたね。

藤川氏:少し前までは一次面接に私が必ず出ていましたが、今は会社のフェーズが変わり、最近は最終面接と内定を判断するための話し合いに出ています。ただ、どの段階でも「この人いいなぁ」と思ったらアトラクトをすることには非常に力を入れていますね。

アトラクト

広木氏:実際に会ってからオファーを出すまでの時間を短くすることは大事だと思っています。

レクターで採用コンサルティングをするときは、営業組織の設計をするように、自社に必要な人材に対して採用活動ができる予算と進行のプロセスを設計します。

最初にアクションして会うまでに時間が経ってしまう会社は担当者の役割が不明瞭だったり、「どんな人材がほしいか」を設計できていなかったりするんですよ。なぜそうなるかというと、企業が「選ぶ側」というスタンスでいるからです。でも、今は資本コストよりも労働調達コストの方が高くなっていて、その最たるものがエンジニアですから、企業側は考え直さなければいけないと思います。

エンジニア採用における人事の役割とは?

エンジニアの採用において人事に望むことは何でしょうか。

松本氏:システム設計ですね。具体的には採用のワークフローの設計、面接の設定、候補者とのコミュニケーションです。候補者とのコミュニケーションの中で、誰にも伝えなくてはいけないことの定型化を丁寧にやってもらい、採用に関わる現場のエンジニアのリソースが最大限に生きるような設計をしてほしいですね。

採用に関わる現場のエンジニアのリソースが最大限に生きるような設計

藤川氏:採用候補者にとにかく会ってもらうことです。採用決定率は、知名度やブランド、技術など会社によって差がありますがそれを嘆いても仕方ないですよね。たとえば、僕らはEC・決済プラットフォーム事業だから一見地味ですけど、それを派手に見せることはしません。そこの有利不利を受け入れます。打率が一定なら数を増やさないとコンバージョンしないので、どれだけ多くの採用候補者と会うかは意識しますね。

あと、エンジニアはどうしてもコードを書くことが第一優先で、採用はどうしても二番手になってしまうため彼らを支えてほしいです。人事はいかにエンジニアやCTOと協力して動かすかが大切だと思います。

広木氏:僕はもう、期待できることは全部やってもらいたいですよ。

期待することは全部

人事の中には、エンジニアの言葉を感度よくキャッチアップして行動してくれる人もいます。採用担当になったら、とりあえずプログラミング言語を勉強して、エンジニアとコミュニケーションを取って、わからないなりに「その技術はどういう仕組みなんですか?」って知ろうとすること。

それは他の職種の採用でも一緒で、たとえば今から3D造形のスペシャリストを採用する、となっても、最低限必要な技術を覚えてアプローチできる人が人事にいてほしいですよね。

良い人材を見極める秘訣は、歩み寄ること

面接で、良い人材を見極めるための質問があれば教えてください。

松本氏:質問というよりも根底の考え方かもしれませんが、この人がどんなスタンスで過去の仕事をやってきたのかを、ボロが出るまで掘り下げることが重要です。

ボロが出るまで

「あなたはこれまでどんなプロジェクトで、どういう立場で何をしたのか。成功したならサクセスファクトは何で、失敗したなら原因は、他の人の失敗でもあなたならどう変えられたのか…」と掘り下げてその人の仕事っぷりを嗅ぎ分け、立ち回り方をチェックしますね。

藤川氏:サービスがどのくらい好きかは必ず聞きますね。開発に携わるサービスに対する圧倒的な当事者意識があるかはとても大事です。

あとは面接の短い間で相手の一番良いところを理解しようと心がけています。その人の魅力がわからないことは僕らにとっても機会損失ですから、手を替え品を替え、その人の長所や魅力を自分たちが理解することに専念しますね。

ちなみに松本さんや広木さんは、いい人がどうか見極めるためにチームで工夫していることはありますか?

松本氏:チームの誰か一人でも違和感があったら採りませんね。正しくない人を採用することのダメージってめちゃくちゃでかいので、違和感が一瞬でもあれば共有してもらって、採用しないというルールを徹底しています。

広木氏:弊社の場合は入社後1ヶ月間は試用期間なので、「その間に決断すること」を現場の人が意識しているかが大事です。1ヶ月もあれば面接期間よりもはるかに長い期間見れて、ちゃんと判断できるほど十分な情報が得られるのに、なぁなぁに過ごして3ヶ月くらい経ってからミスマッチに気付くこともある。だから入社してもらっても、企業とマッチしないのであれば違うと言うことは大事ですね。

チームの誰か一人でも違和感があったら採りません

最後に、エンジニア採用に関わる経営者、人事・採用担当者、エンジニアがそれぞれどんな役割を担うべきか教えてください。

松本氏:まず、一番大事なのは、経営戦略を策定することです。この会社は何を目指していて、どういう人材を求めていて、そのために社員がどう振る舞うかの基準があること。それがまず根幹にあり、どのようなプロセスを踏んでどのように面接をするかは枝葉です。

根幹のストーリーが何もない状態で採用しようとすると、定着率も悪いしミスマッチも起きやすい。採用は、頭から尻尾まで、ストーリーとして繋がるように設計することが大切ですね。そして、ストーリーの一貫した経営戦略を現場のエンジニアや人事が理解し、採用活動を進めていくべきなのだと思います。

経営戦略を策定

【まとめ】

「エンジニアの採用はエンジニアがするべき」という風潮が強い中、大切なことの一つは企業の根本的なストーリーや採用戦略の設計だと言います。企業の理想は何か、そのためにどんな人材が必要なのかを自社で議論しましょう。

専門知識やプログラミング言語の壁にぶつかる前に、ビジョンや採用戦略の根幹をエンジニアと擦り合わせてエンジニア採用に取り組むことが、人事として求められるのではないでしょうか。

(文/ゆぴ(17) 、撮影/黒羽 政士、取材・編集/田中 一成(プレスラボ)、担当/齋藤 裕美子)

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