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大学卒業後、IT企業へ入社。現場でシステム開発に関わる傍ら、エンジニアとして新入社員研修講師を担当したことがきっかけで、育成の分野に興味を持ち人事職へ社内転職。延べ300名の新入社員を、入社直後からOJTまでサポート。 2度の産休育休や時短勤務を経て、自身のワークライフバランスに悩んだ結果、2019年2月からは、週2フリーランス×週3派遣社員というパラレルワークを開始。"無理"というカドのない【まんまる】な暮らしができる人を増やしたい、 という思いを胸に、個人に寄り添った支援を心がけています。国家資格キャリアコンサルタント。
20代・30代の方を採用したくても、応募がなかなか来なかったり、選考途中で辞退されたりするなど、若手人材の採用に苦労している企業は少なくありません。企業の事業継承を考えると、若手人材を増やし、知識やスキルを伝え育てていくことは不可欠です。
「若手人材に自社を選んでもらうにはどうすればよいのか・・・」今回は、そんな企業の採用担当者・経営者向けに、若手人材採用のポイントをお伝えします。
近年、多くの企業が若手人材の採用に苦労している背景は、主に2点考えられます。一つは、単純に若年労働力人口が減少していること。もう一つは、若手の仕事観が変化してきていることです。
厚生労働省の人材開発統括官が発表しているデータから読み取ってみましょう。ご覧の通り、15歳~34歳の若年労働力人口は、「総労働力人口に占める割合」と「人口そのもの」の双方について減少傾向にあります。そしてその傾向は、今後も同じように続くことが予想されています。若手人材の採用に苦労する背景として、労働市場に若手人材自体が少ないという事実を無視することはできません。その層を求人する場合、人材確保難易度は自然と高まります。
2000年代半ば、急激にワークライフバランスが叫ばれるようになりました。また、2019年5月、経団連の中西会長が終身雇用制度の見直しについて言及したことは記憶に新しいでしょう。このような世の中の流れを受け、若手人材は職場環境や仕事内容に違和感を覚え始めると、早期から転職の道を視野に入れる傾向がみられます。
また、d’s JOURNAL編集部が20代・30代の方を対象に実施した「はたらく価値観」調査を見ると、「年収」に次いで、「やりがい」や「人間関係のよさ」といった、仕事に対して前向きに取り組める環境かどうかを重視する傾向が強まっています。自律的にキャリアを考え、やりたいことや求める環境を重視した職場選びをする姿勢です。
企業は、求職者の中から採用したい人を「選ぶ」という考え方から脱却し、「選ばれる」意識に転換する必要があります。
私自身がキャリアコンサルタントとして相談を受けている若手人材の方々からは、企業に求めている条件として、「労働時間」、「働く人や職場の雰囲気」、「仕事の進め方」の3点がよく聞かれます。以前は、事業内容や担当する業務など、これまでの経験を活かせるかどうかを中心に考える傾向が強かったですが、近年の若手人材は、より自分らしく仕事ができる環境を求めるようになっています。職場=業務を遂行して給与をもらう場、ではなく、無理なく自己実現をする場、と捉えるようになったとも言えます。
近年の若手人材は、労働時間が適正な長さであることを重視しています。加えて、働く時間を柔軟に調整できる環境がある企業には、さらに魅力的な印象を持ちます。会社以外で過ごす時間も大切にしたい若手人材にとって、労働時間に関する情報を入手することは不可欠です。具体的には、働いている人がどの程度残業しているかを知りたがっています。また、自分の都合にあわせて始業時刻や終業時刻を調整しやすいフレックスタイム制度があることや、休暇の取りやすさなどを求めている人も多いです。
一緒に働く人や職場の雰囲気を大切にする傾向があります。従業員の服装・話し方・コミュニケーションの特色など、いわゆる「社風」を意味するものです。もちろん社風は企業やトップの考え方などによって異なる部分であり、どんな社風が良いとは一概に言えません。若手の求職者は、企業の雰囲気が自分と合うかどうかを知りたがっています。仕事とはいえ、一日の大半を過ごすことになる職場だからこそ、無理なくリラックスした状態で過ごせることを求めているのです。
適正な労働時間を重視する分、より短時間で効率的に成果を挙げた人が評価される環境を求めています。生産性を意識せずにだらだら残業している従業員の方が、逆に受け取る給与が多いという状況を見ると、一気にモチベーションが低下してしまいます。上司や先輩が、成果そのものを評価してくれ、それに見合った正当な報酬を得られる環境かどうかを知ろうとします。
上記のような環境を求める若手人材に、「この企業で働きたい」と感じてもらうためには、地道な取り組みが必要です。若手人材の価値観に合わせて、企業側も変化していけるかどうかが、採用の成否を分けるとも言えます。それは決して短期間で見栄えの良い採用サイトを作ったり、魅力的な採用担当者を配置したり、といった表面的なことではありません。企業のトップを中心に、すべての従業員が一丸となって「自社らしい社風」を作り上げ、自然な形で求職者に伝わるのが理想です。どんな対策がとれるか、過去の記事も参照しながら具体的にお伝えします。
まず取り組んでいただきたいのは、心地よい職場環境を整えることです。特に、職場環境に課題がある企業では、取り組みを開始してから結果がでるまでに時間を要します。労働時間の適正化や制度の整備と合わせて、できるだけ早く着手することをおすすめします。
心地よい職場環境を整える有効な対策は、従業員の心理的安全性を高めることです。心理的安全性が担保されている職場では、従業員に余計なストレスをかけることなく、パフォーマンスを向上できます。取り組みを通じて、従業員間のコミュニケーションも活発になるため、良好な人間関係を築くことにもつながります。
SNSや広報活動を通じて、自社の魅力をアピールしましょう。現代はインターネット上に情報が溢れ、人々は欲しい情報を自ら探せるからこそ、積極的に情報を発信することが重要です。
その際、どのツールを活用して情報を発信するかはしっかりと見極めるようにしてください。自社が求める人材の目に触れる形でないと、せっかくの魅力も求職者に届くことはありません。例えば、Facebook・Twitter・Instagram・LINEは、それぞれ発信する情報や利用者の特色が異なります。また、求職者が最初に自社の情報を目にするのは、自社サイトではなく求人媒体の記事かもしれません。
情報発信で気を付けたいのは、常に最新の情報を発信すること。せっかく発信した情報も、古いまま停滞していると、企業自体の信頼度を低下させることになり逆効果です。情報発信は、しっかりと担当者を決めて計画的に、そして継続して取り組むのが有効です。
採用選考のプロセスは、自社と求職者がお互いに相性を見極める場であることを意識しましょう。職場環境がいくら魅力的でも、業務が求職者のやりたいことだとしても、選考中のメールのやり取りや面接官の態度などで志望度が下がる可能性は大いにあります。
求職者と選考者は対等な立場です。背伸びをして、よく見せようとする必要はありません。誠意をもった対応を心がけ、自然な対話ができるようにすることが大切です。
採用担当者だけではなく、面接を担当する社員や役員、オフィスで求職者とすれ違う従業員に至るまで、すべての関係者が共通の意識で採用に臨めるようにします。採用活動マニュアルなどを用意して共有することで、より効果的に求職者とコミュニケーションがとれるでしょう。
若手人材に限らず、採用する際はいかにマッチ度を高められるかが重要です。お互いができる限り正確な情報を開示し合うことで、納得した形で入社してもらえます。それによって入社後の「こんなはずではなかった」を減らすことにもつながります。若手人材が採用できない…と嘆くだけではなく、そのために企業側がどんな変化を遂げていくべきなのかも考えてみてください。変化を恐れない柔軟な企業こそが、選ばれる企業になっていくと、私は考えています。
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社会保険労務士法人クラシコ 代表 柴垣 和也(しばがき かずや)【監修】
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