サボる人の94%はどこでも同じ。Facebookも登壇した、リモート時代の成功ルール【セミナーレポート】

株式会社クロスリバー

代表 越川 慎司(こしかわ しんじ)

株式会社クロスリバー代表。株式会社キャスターAnywhere事業責任者。ITベンチャーの起業などを経て、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・リモートワーク・複業で、支援した企業は600社以上。ムダな時間を削減し社員の働きがいを高めながら利益を上げていく「儲け方改革」を支援。著書『ビジネスチャット時短革命』(インプレス)など8冊。

Workplace

日本事業責任者 宮原 崇(みやはら たかし)

1999年に北海道大学経済学部を卒業後、総合商社、外資系コンサルティング会社、フィンテックスタートアップの執行役員兼クラウド事業責任者を経て、2018年よりFacebook Japanに入社。企業向けのコミュニケーション・プラットフォームであるWorkplaceの日本市場開拓の責任者を務める。

新しい時代に不可欠な組織カルチャー醸成とそのポイント/越川氏
Workplaceによる3Cアプローチを考える/宮原氏

ビートラックスジャパン(本社:東京都港区、CEO:ブランドン・K・ヒル、以下:ビートラックス)は、パートナーシップを結ぶWorkplace from Facebookと共に、「新しい時代に必要な組織マネジメント」をテーマにしたウェビナーを開催しました。ゲストに株式会社クロスリバー社長 越川慎司氏、Workplace from Facebook日本事業責任者 宮原崇氏を迎え、新しい働き方に必要となる環境づくりとその考え方についてレクチャーしていただきました。

新しい時代に不可欠な組織カルチャー醸成とそのポイント/越川氏

このコロナ禍の情勢はいつまで続くのだろうか――。皆さん日々ドキドキ・不安に思いながら過ごされていると思います。この状況下で、リモートワークという働き方はもはや避けて通ることができない要素の一つ。ただしこのリモートワーク、目指すべき目的にしないでいただきたいのです。リモートワークは働き方改革の一環、あくまで手段の一つです。皆さんが真に目指すべきは、会社が成長・存続すること、そして社員を幸せにすることです。リモートワーク導入は、その選択肢の一つとしてチョイスするという考え方を前提としてください。

さて、コロナ禍におけるリモートワーク導入は、雇用戦略上においてもとても重要なものとなります。なぜなら「リモートワーク可」「週休3日制」など働き方改革を推進する企業への就職を希望する人が増加している現状にあるからです。人材を集める上でも大事なキーワードとなるでしょう。また、全国の企業を対象とした当社の独自調査(2020年1月実施)によると、「リモートワーク導入」について、78%の企業は「導入は無理、難しい」と答えています。しかし5月に再び同じ調査を行ったところ、「意外とできた」「導入に成功した」と答える企業が増えていたのです。リモートワーク導入は実はそれほど難しくないといえます。

一方、リモートワークを阻害する一因として挙げられるのは、社内から上がってくるこんな声、「前例がない」です。しかし、前例はつくっていくものです。まずやってみて、その戦略が良かったのなら続けていく。実験を積み重ねていった先に失敗があり、さらにその先に成功があるのです。まずは実行してみましょう。いまからリモートワーク導入と、その成功へつなげるために必要な7ルールや考え方を、幾つか順を追ってご紹介したいと思います。

新しい時代に不可欠な組織カルチャー醸成とそのポイント/越川氏01※当日の資料より抜粋

心理的安全性の確保が組織を成長させる

昨今、組織醸成において社員の心理的安全性の担保や、部署・肩書といった垣根を超えたつながりなどが重要視され始めています。腹を割って話す、気軽に雑談などができる環境をつくることがまず求められているわけです。実はリモートワーク導入に注力する78%の企業が、制度整備やインフラ環境構築といったハード面を重視しています。ところがリモートワーク導入に成功した企業のほとんどが、社員の意識変革や良好な人間関係を構築する雰囲気づくりなど、ソフト面に力を入れていることがわかりました。企業の本質とは、一人では実行不可能である複雑な課題を、多くの異質な能力や人の力を組み合わせてシナジーを生んでいく集合体であることです。ですからリモートワークを成功し、かつ成長している組織は、人間関係が良好で、成果を重視できる人たちが集まる組織と言えるのです。

新しい時代に不可欠な組織カルチャー醸成とそのポイント/越川氏02※当日の資料より抜粋

ところで、社員の皆さんは「働きがい」をどういうときに感じると思いますか?因数分解しますと、承認、達成、自由がそれぞれ実感できたときです。データとして、心理的安全性が確保されたチームの例を見てみましょう。チームAは心理的安全性が確保された状態のチームです。これは社員一人一人が行動目標を立て、その達成に向けて職責を再定義し、階層の上下関係をなくし、心理的安全を確保したために各要素が改善され向上しました。社員の行動目標を一緒に考え・実行することが組織力の醸成につながり、その手段としてリモートワークが有効というわけです。ですから、社員間のコミュニケーションを活発にすることがリモートワーク下でもキーポイントとなります。雑談の場の提供ももちろんOK。たとえば、飲食の話をすることで会話の満足度が向上するという事例もあります。

「業務を見せる化」して、先輩と後輩・上司と若手間の上下関係や垣根をなくす

リモートワークを成功させる要因として、「業務の見せる化を浸透させる」こともポイントです。問題はリモートワークの陰に隠れて業務をサボる人の存在。こんなデータもあります。在宅勤務でサボる人の94%がオフィスでもサボるという事実。そんな人の割合を少しでも減らすためにも、社員の目標やゴールを明確化した業務の進捗を常に可視化しておくことが大事です。その実現には、社員の行動目標を一緒に考え・実行する上司や先輩の存在が必要でしょう。もちろん先輩・上司の上下関係や垣根をなくす場づくり・雰囲気づくりは前提条件です。それを踏まえて行動目標の立て方を考えていきます。具体的には、年間目標、次に目標分野、そして具体的目標、今週・今月の行動などへと落とし込んでいくとよいでしょう。これらをリモートワーク下で可視化できるよう整備していくわけです。

新しい時代に不可欠な組織カルチャー醸成とそのポイント/越川氏03※当日の資料より抜粋

会話はチャットで見せるもの。情報の透明性を保つ

情報の透明性を確保し、共有を活発にしましょう。そのための共有ルールをいくつかつくり、徹底することも必要です。たとえば、予定表を共有して、社員個々人の動きがわかるようにすること。業務の中抜けだってOKです。なぜなら予定が可視化されているから。またフィードフォワード(feed forward)の概念も有用です。進捗状況を共有して前向きなアドバイスや主体性を尊重するコメントをみんなで共有することで、社員のやる気や自主性も生まれるからです。

さらに資料はローカルドライブにしまい込むのではなく、クラウドにアップしましょう。ほかにも個別チャットや会話を避け、グループチャットでオープンにコミュニケーションを取ることも心掛けます。これまでは個別に対話していくという文化が重宝されてきましたが、新しい時代は「みんなが見ている」ことがキーポイントとなります。その中でのコミュニケーションは社員の一体感を生み、定着性や生産性向上にもつながるのです。

余談ですが、たとえばチャットなどでのコメントに対して「いいね」ボタンを押して感情を共有することも大事。これは個人の孤立も防いでくれます。何度もお伝えしますが、コミュニケーションが活発で社員同士の連携がうまくいっている企業は、「今ちょっといいですか?」の言い合える文化が醸成されています。つまり、社員同士の心理的垣根が限りなく「無い」状態。会話が活発な環境形成は、リモートワーク下でも有効に働くのです。

最後に、長時間労働を抑制する時間管理も、リモートワーク下では大事な要素となります。当社独自の調査によると、働く方が1週間何に時間を使っているのか、その割合を調べたところ、なんと多くの人が社内会議で43%前後の時間を使っていることがわかりました。効率の良い組織にするためにも、無駄なぜい肉を減らして筋肉質な仕組みづくりと時間管理を考えましょう。社内会議の質と量の改善もリモートワークを成功する上では重要なのです。

それではまとめましょう。リモートワークを成功・定着させるポイントは、会話を増やす文化、行動目標を自ら見せていく姿勢、価値を評価する仕組みづくりです。時代の変化による対応力を高めることが、働き方を変え、成果と生産性を向上させるのです。

新しい時代に不可欠な組織カルチャー醸成とそのポイント/越川氏04※当日の資料より抜粋

Workplaceによる3Cアプローチを考える/宮原氏

Facebook社におけるリモートワークはほぼ”全員が実施”

当社Facebookでは、「コミュニティーづくりを応援し、人と人とがより身近になる世界を実現する」をミッションとしています。昨今のコロナ禍では、多くの組織マネジメントについて、チームの一体感がなく、社員が孤独を感じてしまい、最適な人材を流出させてしまうなどの問題を抱えています。その中においてFacebook社では、コロナ渦における社員の安全を最優先し、ほぼ全員がリモートワークを実施。もちろん全社員に対して、リモートワーク下もサポート・ケアする体制を万全にしています。そのオペレーションに重要な役割を果たしているコミュニケーションツールが「Workplace from Facebook」なのです。

また、リモートメンバー組織をマネジメントする上で重要な要素となるのが「3Cアプローチ」と呼ばれるフレームワークにもあります。これらの重要性と実際の運用法をご紹介しましょう。

Workplaceによる3Cアプローチを考える/宮原氏※当日の資料より抜粋

3Cアプローチとコミュニケーショングループのつくり方

前述したとおり、リモートワークメンバーをマネジメントするために必要な要素として、「3Cアプローチ」という考え方がポイントになってきます。3Cとは、Care(ケア)、Culture(カルチャー)、Community(コミュニティー)のことを指します。

初めにCare(ケア)を説明します。当社ではリコグニション(承認、認知)を重視しています。社員同士で気軽にコミュニケーションが取りづらくなってしまった昨今、「ありがとう」といった感謝の言葉を掛け合う機会も減りました。そこでWorkplaceでは簡単に感謝の気持ちを投稿できる機能を付加し、かつそれが全体で共有できるようにしています。次にチームエンゲージメント。チーム・グループごとにコーヒーチャットを設定して、カジュアルな会話を行うことを推奨しています。これらの取り組みを実施することによって、リモートワークメンバー同士の仲を深めていくことができるのです。

次にCulture(カルチャー)の説明。当社では学習を通じたスキルの構築法としてマイクロラーニングやオンラインオンボーディングなどを実施しています。マイクロラーニングとは、通常のe-ラーニングを5分程度に短縮して社員に手軽に研修を受けてもらうことです。社内外のエキスパートを招待して、双方向性のあるWorkplaceライブを開催したり、学習グループ内で互いの学びなどを共有し合ったりすることも可能です。さらにオンボーディング(入社研修)にも注力しています。たとえば当社では、Workplaceライブで「バーチャルオリエンテーション」を行い、会社の一員という認識を入社前から持ってもらう取り組みを行っています。これは新卒・中途入社に関係なく実施しており、リモート下であっても簡単にFacebookの会社文化を体験し、早期に醸成していけることにつながるのです

最後にCommunity(コミュニティー)。これは積極的な情報発信・共有などがそれに当たります。当社では、たとえば新型コロナウイルスについての最新情報や時事ネタなどの発信を活発に行い、グループ形成やコミュニティー活性化を狙っています。またFacebook独自の取り組みではありますが、当社のCEOであるMark Zuckerbergと社員がコミュニケーションを取れる場として、「Q&A with Mark」という施策を実施しています。具体的にはWorkplaceなどにあるアンケート機能を介してマークとコミュニケーションを取ることなどです。「Q&A with Mark」は、毎週開催されるライブ配信によって全社員がセッションできるようになっています。経営層と社員との壁を取り除き、距離を縮めることでコミュニティーの醸成に一役買っているというわけです

取材後記

リモートワークは組織力を高め、社員の幸せを追求する手段の一つにすぎない――。ウェビナーを通して心に残ったコメントです。先の見えないコロナ禍での働き方。私たちは今模索中ではありますが、先進的な取り組みを実施されているクロスリバー社や、Facebook社の取り組みを垣間見ることにより、まだまだ働き方に対する追求を深めていけるのではないか。そんな希望を持たせてくれるウェビナーとなりました。

取材・文・編集/鈴政 武尊(d’s JOURNAL編集部)