仕事のエネルギーに!自炊の参考になるグルメマンガ5選
仕事帰りにどこかに寄って、ゆっくり食事を取るのが難しい時代になりました。でも、おいしいものは諦めたくない…。そんなときは、グルメマンガを参考に自炊をしてみてはいかがでしょうか。数あるグルメマンガには、作中で登場した料理を再現できるようにまとめたレシピ本もあります。あのキャラクターのように、楽しい毎日が過ごせるかも?と思える5作品を並べてみました。
眠れない夜に、食べ過ぎには注意 『深夜食堂』(安倍夜郎/小学館)
メニューにあるのは豚汁定食と酒類だけ。「できるもんなら、なんでも作るよ」という、「めしや」が舞台の『深夜食堂』(安倍夜郎/小学館)には、軽めのおつまみから、がっつりメインの揚げ物やご飯ものまで、多彩なメニューが登場します。
同作品に関するレシピ本がいくつかある中の1冊である『深夜食堂の料理帖』には、同作品のドラマや映画でフードスタイリストを担当した、飯島奈美さんによる30点近くのレシピが載っています。
「安倍さんはCMの監督をされていたので、料理の絵は割と寄り(アップ)が多くて分かりやすいんですけど、モノクロ漫画なので具材がはっきり分からないことがある」という飯島さん。一方で、作者の安倍さんは「『深夜食堂』は料理のうんちくを入れないのがポリシー」とのこと。「なんでも作る」のためには、こだわり過ぎないのも大切かもしれません。
雑誌『dancyu』とコラボしたレシピ本の『真夜中のいけないレシピ』では、料理の解説も行っています。その他、料理家4人が家庭で作りやすい約75品を紹介するレシピ本『おうちで深夜食堂』も。マスターになりきって作れば、自宅が小料理屋に!
上手に自炊を取り入れるには 『きのう何食べた?』(よしながふみ/講談社)
節約しつつバランスの良い健康的な自炊を目指すなら、『きのう何食べた?』(よしながふみ/講談社)がおすすめです。
弁護士のシロさんと美容師のケンジがパートナーとして一緒に暮らす生活。将来を見越して無駄遣いを控えて特売の食材を探し、かつ、体型が崩れないようにヘルシーなメニューを作り…と、自炊初心者にはハードルが高いかもしれません。しかし、最初は誰もが初心者です。一つの形として、目指してみるのも良いかもしれません。
レシピ本『きのう何食べた? シロさんの簡単レシピ』は、話題となった実写ドラマに関連して作られたもので、39品が登場。同書で作者が語っているように、この作品の魅力は「メイン料理一品だけでなく、副菜まで紹介したい」という点にあります。
本編では、料理シーンで複数の料理を同時に、どの手順で作っているかが丁寧に紹介されています。改めてシロさんの領域に達するには時間がかかりそうですが、刺激を受けてチャレンジするパートナーのケンジも参考にしながら、食卓を彩っていきたいですね。
博多の元祖イクメン?に学べ 『クッキングパパ』(うえやまとち/講談社)
1985年から連載35周年を越え、157巻まで刊行中の『クッキングパパ』(うえやまとち/講談社)は、母子家庭に育ち、妹に食事を作ることで料理に目覚めた荒岩一味(あらいわ・かずみ)を中心とした家族マンガです。登場人物が年を経て家族を持ち、子どもが生まれ…と、老若男女誰でも親しめるメニューが続々登場します。
「クッパパ」の略称とマッチしたのか、レシピサイト・クックパッドのスタッフが再現した56品を掲載しているのが『「クッキングパパ」人気レシピ』です。一味が小学生のころ、妹・味知のために初めて料理した「ぶっとび卵焼き」や、本作発祥で有名になった、にぎらないおにぎり「おにぎらず」など、アイデア満載です。
ちなみに、他にもいくつかある本作のレシピ本で、業界でも異彩を放つのが電子書籍版限定の『クッキングパパのレシピ1000』。各話のレシピ部分だけをひたすらに抜粋したもので、104巻までの1,000品が1,204ページで,1019円(税込)と超お買い得!(1レシピ当たり約1円!)
野菜たっぷり、ヘルシー志向のあなたへ 『にがくてあまい refrain』(小林ユミヲ/小学館クリエイティブ)
夕食だけでなく、朝食も含めてヘルシーな野菜たっぷりのメニューが知りたいなら、『にがくてあまい』シリーズの世界に触れてみてはいかがでしょう。
料理をするのは、ベジタリアンで恋愛対象は男性の美術教師、片山渚。バリキャリ女子の江田マキは、農業を営む実家に対する反発から野菜嫌いになっていましたが、渚の家に転がり込んで食卓を囲むうちに、実家の野菜を見直します。
連載中の『にがくてあまい refrain』は、前作『にがくてあまい』全13巻(マッグガーデン、愛蔵版全6巻は小学館クリエイティブ)の続編。『にがくてあまい 公式レシピ』(河出書房新社)は、前作に登場したメニュー100皿以上を忠実に再現することを目指したものです。
動物性の食材は使わず、だし汁も昆布と干し椎茸を使うという徹底ぶり。肉の代わりに、おからや雑穀の高黍(タカキビ)などでボリュームと食感を出しています。スープなどの優しいメニューから、酒かすを使ったアイスなどのスイーツまで盛りだくさん。これを食べていれば、マキのように「なんか最近、お肌の調子が良いかも」と言えるかもしれません。
週末に大自然へ向かう練習に 『山と食欲と私』(信濃川日出夫/新潮社)
春到来ですが、コロナ禍で旅行に行きづらくなり、かといって家と会社の往復には疲れ…週末には密を避けて山にでも行ってみようかなというあなた。来るべき本番に向けて、『山と食欲と私』(信濃川日出夫/新潮社)の登山レシピを、家で練習してみてはいかがですか。
「山ガールとは呼ばれたくない」とこだわる主人公の日々野鮎美が、試行錯誤で生み出したレシピ本『「山と食欲と私」公式 日々野鮎美の山ごはんレシピ』『「山と食欲と私」公式 日々野鮎美(+なかまたち)の山ごはんレシピ 2』(ともに山と渓谷社)には、合計102品の作り方が収められています。
最近流行のハンドル付き飯ごう「メスティン」を使ったご飯ものがメインではありますが、「焦がしメープルシロップの塩フレンチトースト」や、「アンチョビとスプラウトのサラダパスタ」のようにおしゃれメニューも多数載っています。
山頂での調理の手間を省くため、家であらかじめ下ごしらえをする力も身に付くこと間違いなし。キャンプにも応用できて、アフターコロナのレジャーで役立つ技術です。
文/旨井旬一(マンガナイト)