【採用課題別】自社に合った最適な採用手法とは?~各採用手法の特徴やポイントを解説~

d’s JOURNAL(ディーズ・ジャーナル)編集部

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2022年度も半分が過ぎようとしています。上半期の売り上げや利益の見通しが明らかになるこの時期は、年末や年度末に向けた採用計画の見直しや事業計画について、各社で議論がなされるタイミングでもあります。そのような外部環境の中、自社の経営戦略に合った人材獲得に向けて、スタートダッシュをかけたいと考えている人事・採用担当者の方も多いのではないでしょうか?

今回取り上げる課題はこちらの通りです。一つ一つ具体的に見ていきましょう。

経験者(即戦力)の採用を強化したい

求める人材の基準を明確にする

人材紹介サービスを活用すれば、各社が保有する登録者データベースの中から採用基準に合った人材をマッチングしてくれるため、効率の良い採用活動が可能となります。人材サービス会社の中には、幅広い業種・職種を総合的に取り扱っている会社もあれば、IT・金融・専門職・ハイキャリア/エグゼクティブなど、ある特定の専門業界・職種に特化している会社もあります。

また、自社の登録者データベースに限らず、他社の人材データベースやSNSなど、さまざまな手段から幅広く採用基準を満たす人材を探してヘッドハンティングを行う事業者もいるため、募集する職種や自社の特徴(強み)に合わせてコミュニケーションを強化すべき企業を選択することが大切です。

採用したい人材へ直接アプローチ

求人倍率が高い職種の採用を行うケースでは、ダイレクト・ソーシングを活用することも効果的です。転職希望者に直接アプローチができるため、採用への熱意を伝えやすいなどのメリットがあることに加え、転職に対して慎重な方にもメッセージを送ることができます。

経験者(即戦力)の採用を強化する際に注意したいポイントは、求める人材のスキル・経験=採用基準を具体的に言語化することです。採用基準を明確にできていなければ、無駄なコミュニケーションばかりが増えてしまうため、注意が必要です。

求人媒体(求人広告)を利用する際には、仕事内容と求める人材のスキル・経験の整合性が取れていることが、とても重要です。掲載中の求人(特に採用競合となる企業)を比較・分析し、自社が勝てるポイントを複数見つけることができれば、最も有効な採用手段とすることも可能です。

【ONE POINT!】

たとえば、「自動車業界で営業経験がある即戦力の人材を採用したい」と言われたとき、具体的なスキル・経験=採用基準を挙げることができるでしょうか?

自動車業界の営業といっても、TOYOTAやHONDAのような完成車メーカーであれば、国内の自動車ディーラー向けに販促支援をすることが業務内容かもしれませんし、海外向け市場調査などのマーケティングが中心となるかもしれません。デンソーやアイシンなどの自動車部品メーカーであれば、設計や生産技術などのエンジニア(技術者)に対する商談が中心かもしれません。

システム会社の営業として、自動車関連メーカーにソフトウェアの導入を提案する人材もある意味自動車業界経験者と言えますし、個人のユーザーから中古車を買い取り、海外に輸出している査担当者も自動車業界の営業と考えることができます。

上記はあくまで一例ではありますが、具体的にどんなスキルや経験が求められており、どのように活かせるのかを、業務内容に合わせて適切に言語化し、客観的にわかる表現に落とし込むことが重要です。

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有資格者を採用したい

魅力の伝え方次第で効果的に採用できる

有資格者の採用はターゲットとなる人材の数が限られるため、採用難易度は基本的に高くなりますが、一方で、資格を活かしたいというはっきりとした軸があるため、「今の環境よりも知識やスキルを発揮できる」「給与や待遇が良くなる」「職場の働きやすさや人間関係が良い」など、メリットが転職希望者にわかりやすく伝われば、十分に採用できるチャンスがあります。

 

人材紹介サービスを活用する場合は、データベースに対象となる人材がいるかどうかとともに、採用競合となる企業の情報が重要となります。一般的に転職意向が高く、実際に転職活動を行っている人材も多いため、併願先との比較検討となる可能性があるからです。採用競合企業と比較した場合の、自社の強みや伝えるべき情報などを、営業担当やキャリアコンサルタントと相談しながらフォローすると良いでしょう。

有資格者の採用の場合、対象となる人材を見つけやすいため、ダイレクト・ソーシングを活用しやすくなります。スキル・経験をどのように活かせるのか、具体的にお伝えするとともに、選考を通じて現状に対する不満や仕事選びにおいて重視したいことを擦り合わせていくことが大切です。

また、経理・財務、経営企画や事業企画の募集をする場合、日商簿記2級などの資格を持っている方に実務経験を問わないアプローチをするのは、非常に効果的です。目指しているキャリアに向けて努力してきたことをプラスに評価する姿勢が伝わるため、転職希望者にとっての安心感にもつながります。

理系出身の若手を採用したい

希望や要望をかなえる情報提供が鍵!

理系人材の獲得競争は、年々激しさを増しています。一方で、残念ながら希望していた配属先がかなわず、早期退職や転職活動をされている方も少なくありません。また、学生時代に学んでいた分野とは違う道に進んだものの、入社後のギャップを感じ、改めて理系の知識を活かしたいと考えている方もいらっしゃいます。

人材紹介サービスを活用すれば、ベースとなる知識を持つ方に絞って紹介を受けることが可能です。機械・電気・情報・化学・建築・土木などのように、学部や学科などで素養を見極める方法もあれば、学生時代に使用していたソフトやツール、触ったことがある機器や設備などを基に選考することもできます。

ダイレクト・ソーシングであれば、直接アプローチができるため、どのようなスキル・経験があればよいのかを伝えるとともに、入社後の教育・研修体制や職場環境(開発ツールや使用するソフト、機器や設備など)をアピールすることで、志望度を高められる可能性があります。

新規事業部で10名増員したい

事業の魅力、将来性を伝えることが第一歩

同じ部門や職種で10名近い人材の採用となると、採用ターゲットとなる人材の母集団を一定数確保することが大きなポイントとなってきます。特に、新規事業の場合には、その事業の将来性や仕事の魅力について語ることが重要です。なぜなら、公開されている情報が少なく、時には本業(既存事業)と一見あまり関係がないように見えることがあるためです。事業への本気度を伝えるためにも、その事業をスタートする背景や強みをしっかり求職者に伝えていく努力が欠かせません。

求人媒体(求人広告)を活用し、新規事業のビジョンや将来性、競合他社との差別化や事業の特長を伝えることにより、志望度の高い転職希望者からの応募を集めることに成功している企業も少なくありません。

人員に余裕がない場合には、人材紹介サービスを複数併用して自社の魅力をアピールしてもらい、効率よく採用をするのも一つの手段です。採用コストは1,000万~2,000万円ほどかかる可能性もありますが、ダイレクト・ソーシングによる直接アプローチを併用することで、平均採用コストを下げられる可能性もあります。

急いで採用しなければならない

対象者へのスピーディーなアプローチが成否を決める

人材紹介サービスの利用者には、転職への意向が高い方や転職活動中の方がいるため、採用要件によっては募集開始から応募まで早く進められる可能性があります。一方で、データベースに求める人材がいない場合は、採用活動が進まなくなってしまうことがあるため、複数の会社を併用することや、各社の得意分野(業界・職種など)を把握した上で利用することをお勧めします。

ダイレクト・ソーシングであれば、データベースにある転職希望者のスキル・経験を見て、直接アプローチすることができ、選考の日程なども直接調整できるため、人材紹介サービスよりもさらにスピーディーな選考が可能となります。

現職中の方であれば、退職の交渉に1カ月半~2カ月程度かかるケースが多いため、募集開始から実際に入社するまでにはかなりの時間を要することになります。入社時期を一日でも早くするためには、募集開始~応募までの期間短縮が大きなポイントとなります。

コストを削減しなければならない

料金プラン×対応工数のバランスが重要

最近の求人媒体(求人広告)の料金プランは、掲載課金型・応募課金型・採用課金型・サブスク型など、さまざまな設定があるため、募集する職種・採用ターゲット・採用競合となる企業の掲載状況などを基に、採用成功に向けたストーリーを描くことができれば、採用コストを抑えられる可能性が十分にあります。

また、ダイレクト・ソーシングは、直接転職希望者へアプローチするスタイルとなるため、コストを抑えられる可能性が高いと言えます。成功報酬は無料で初期費用のみという料金体系など、複数名採用するほど1人当たりの採用コストを抑えられるプランもあります。

コスト面だけを考えるのであれば、自社ホームページやハローワークなど、無料で利用できる手段を使って募集職種の情報を開示することも一つの手段です。しかし、応募の中に採用したい人材がいなければ採用成功にはつながらず、時間だけが過ぎてしまう結果となってしまいますので、注意しましょう。

【編集後記】

中途採用においては、募集する業界や職種、採用課題によって最適な手法が変わるため、いくつかの手法を組み合わせて活動することが必要になってきます。「母集団を広く確保するべきか」「ピンポイントで採用ターゲットに刺さるアプローチを個別にすべきか」「応募が少ないリスクを考えて複数の手法を併用すべきか」など、採用コストやスピードの観点も含め、自社に合った採用手段を複数持つことが、採用計画達成に向けて重要となってくるでしょう。採用手法ごとの分析や、振り返りに効果的な資料もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

文・編集/d’s JOURNAL編集部 白水 衛

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