【転職市場予測】2025下半期も活況は継続、企業の焦点は「人材定着」へ

パーソルキャリア株式会社

  • 調査対象の15分野中11分野で、求人が「増加」または「好調を維持」すると予測
  • 好調の背景は(1)「2024年問題」を見据えた採用強化、(2)AI/DX人材のニーズ拡大(3)世界経済情勢による影響
  • 売り手市場が続く中、人材定着に向けた労働環境の改善を図る企業が増加

転職サービス「doda(デューダ)」を運営するパーソルキャリア株式会社は、「転職市場予測2025下半期」を公開しました。

2025年下半期の転職市場は、労働力不足とDX人材需要を背景に活況が続く見込みです。企業は採用強化に加え、人材定着へ向けた働き方改革や入社後のミスマッチ防止の動きを加速させると予測しています。

2025年下半期の転職市場予測

2025年下半期の転職市場は、調査対象の15分野(7業種、8職種)中11分野で求人が「増加」または「好調を維持」すると予測されており、全体として活況が続く見通しです。

主な背景として、3つのポイントが挙げられます。1つ目は、「2024年問題」を見据えた採用強化。1971~1974年に生まれた「団塊ジュニア世代」の定年退職による労働力不足に備え、企業は将来の組織を担うマネジメント層候補や、即戦力となる専門人材の採用に向け、中長期的な視点での採用体制の構築や採用ブランディングへの注力が始まっています。

2つ目は、事業効率化のため、AIやDXを推進できる人材のニーズが拡大していることです。AIを使いこなすスキルに加え、建設業界で導入が進む「BIM/CIM」のように、特定のITツールの利用経験を持つ希少な人材は、特に高く評価される傾向があります。また、海外市場への進出・拡大を目指す企業も増えており、語学力はもちろん、海外営業や現地工場のマネジメント経験を持つグローバル人材のニーズも拡大していく見込みです。

3つ目は、世界経済情勢による影響です。市場全体が活況である一方、米国の関税政策や為替レートの変動など、世界経済の先行き不透明感から、一部の製造業では採用計画に影響ができる可能性もあり、今後も注視していく必要があります。

2025年下半期の企業動向予想

売り手市場が続く中、企業は採用活動だけでなく、人材の定着率向上を重視する動きを強めています。

具体的な動きとして、人材定着に向けた労働環境の改善を図る企業が増えています。残業時間の削減に向けた制度整備はもちろん、転勤の有無を事前に選択できるキャリアコースの新設や、物価高に対応するための一時金の導入・増額など、社員が安心して長く働ける職場間環境の整備が進んでいます。

また、早期離職の大きな原因となる入社後のミスマッチを防ぐため、先行段階での取り組みも変化しています。先行段階で「カジュアル面談」や「オファー面談」を実施したり、職場見学の機会を提供したりすることで、応募者が入社後の働き方を具体的にイメージできるよう工夫し、ミスマッチの防止に努める企業が増えています。

今後も人材採用競争は続くとみられ、企業は社員一人ひとりが自分らしくはたらける環境づくりに、より一層注力していくと予想されます。

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筆者:モリタアヤリ