退職者の半数が再入社経験あり。「出戻り人材」を生かす“アルムナイ制度”とは

パーソルキャリア株式会社

  • 一度退職した企業に再入社した経験がある人は51.8%。新卒入社後3~5年未満で退職した層では再入社率が80.6%
  • 「アルムナイ制度」がある企業では、退職後の再入社が81.4%
  • 従業員との良好な関係を退職時まで維持することが、副業での関係も含めて可能性を広げる上で極めて重要

副業人材マッチングサービス「lotsful」を運営するパーソルイノベーション株式会社は、全国の20~49歳の会社員を対象に、退職した会社とのつながりやキャリア選択に関する調査を実施。退職後も円満な関係を維持する「アルムナイ制度」の利用実態が明らかとなりました。

「アルムナイ制度」が戻りやすさのカギ

直近3年以内に企業を退職した経験がある人は26.8%となり、そのうち2023年に退職した人が37.3%で最多となりました。企業規模別に見ると、大企業または大企業のグループ会社は2022年が最多で33.3%、中小企業は2023年が最多で44.4%、スタートアップは2022年が最多で42.9%となっています。

直近3年以内に企業を退職した経験(出典:パーソルイノベーション株式会社のプレスリリース、以下同)

直近3年以内に企業を退職した経験(出典:パーソルイノベーション株式会社のプレスリリース、以下同)

退職したタイミング

退職したタイミング

一度退職した企業に再入社した経験がある人は、過半数の51.8%に達しました。これは、退職後も企業との関係が一定維持されている「アルムナイ制度」が存在することを示しています。特に、新卒で入社後3~5年未満で退職した層では再入社率が80.6%と極めて高く、若手のうちに外で経験を積んだ後、古巣に戻るキャリアパスが一定数存在するようです。

退職した企業に再入社した経験

退職した企業に再入社した経験

退職時の勤続年数と再入社率

退職時の勤続年数と再入社率

「アルムナイ制度」がある企業では、退職後の再入社が81.4%と、全体の再入社率(51.8%)を大きく上回っており、アルムナイ制度の有無が“戻りやすさ”を後押ししていることがうかがえます。

アルムナイ制度と退職者の再入社率

アルムナイ制度と退職者の再入社率

再入社経験者は退職後もつながりを維持する傾向

退職後の関係は再入社に限りません。退職した企業との現在のつながりについて尋ねたところ、「退職後は特に関わりがない」(37.3%)と「取引先としてつながりがある」(36.1%)がほぼ同水準でした。

退職後のつながりと再入社率

退職後のつながりと再入社率

この傾向は再入社経験者でさらに顕著で、「取引先としてつながりがある」と回答した人が57.0%と高水準の結果に。また、再入社経験者で「退職後は特に関わりがない」と答えた人は12.8%と少数だった一方、再入社経験がない人では63.7%と、大きな差が見られました。

退職理由が退職企業での副業意向に大きく影響

退職した企業で副業をしてみたいと思うかという問いには、64.5%の人が「今後、退職した企業で副業をしてみたい」と回答し、高い関心を示しました。

退職理由とアルムナイ副業意向

退職理由とアルムナイ副業意向

ただし、その意向は退職理由に大きく左右されます。「キャリアアップ・スキルアップのため」「家庭の事情やライフスタイルの変化」といった理由で退職した人は副業意向が強い一方、「社風・文化が合わなかった」「人間関係の問題」といった理由で退職した人の意向は低い傾向にあります。企業にとって、従業員との良好な関係を退職時まで維持することが、将来の協業の可能性を広げる上で極めて重要であるといえそうです。

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筆者:モリタアヤリ