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1989年株式会社リクルート入社。2002年グループマネージャーとして着任。2004年に退職後、外資系ブランドマネジメント企業に転職。2008年株式会社エクスオードを設立。人材紹介会社のデータベースから適切なエージェントを抽出可能な「エージェントマネジメント」サービスを中心に事業を展開している
ブランディングとは認知度を上げることではなく、ターゲットを定めて明確なコンセプトを伝えること。ここでは、株式会社エクスオード 代表の守屋 尚氏にdoda主催のセミナーで講義いただいた内容をレポートします。
少子化で人材獲得競争が激しくなりつつあり、有効求人倍率が高い「売り手市場」が続く状況下では、より採用ブランディングの必要性は増しています。インターネットやSNSが普及し、企業が情報発信しやすい環境になった今、これをチャンスと捉えて積極的に発信していくことが大事です。
一方、情報があふれる中で、転職希望者は一般的な求人情報だけでなく、「そこでどんな働き方ができるのか」「どんな人たちと働くのか」といったリアリティのある情報を求めるようになってきています。そこで企業は「誰に向けて」「何をメッセージとして」発信すべきなのでしょうか。その考え方を紹介していきます。
「採用ブランディング」と言われると、「知名度」のことだと考える方が多いかもしれませんが、両者はイコールではありません。資金やマンパワーが十分にあれば、マス向けに宣伝・広報をして「知名度」の向上を図ることができるでしょう。
しかしそれができるリソースを持つ企業はほんの一握りです。そうではない企業の戦略として必要となるのが、「採用ブランディング」です。採用ブランディングには3つのステップがあります。
知名度を高めることが目的ではありませんから、全ての人(マス)に知ってもらう必要はありません。母集団になってほしい採用候補者をセグメントし、その人たち「だけ」に向けて自社独自の強みを伝えるという考え方です。「誰に」「何を」伝えるか、これがポイントです。
では、採用候補者をどのように定義すればいいのでしょうか。そして伝えるべきメッセージはどんなものにすればよいのでしょうか。さまざまな考え方や手法がありますが、ここでいくつかフレームワークを紹介します。
採用候補者を定義する際の基本的な考え方は、「事業と人」の関係を整理することです。「良い人材=事業(会社の収益)を支える人」だとした場合、事業の収益の源泉がどこにあるかを把握する必要があります。
3C分析は、「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの視点から成功要因を見つけ出し、自社の戦略に活かすための定番とも言えるフレームワークですが、これを、採用候補者を考える際にも使うことができます。3つのCについて、以下のポイントを洗い出してみましょう。
また、「事業と人」の「事業」が、いつの時代の収益を支える事業なのかという視点も忘れてはいけません。「現在」なのか「将来」なのか、「将来」だとしたらどのくらい先のことなのか、この辺りを混同しないよう整理しましょう。
自社の強みを把握できたら、その強みを発揮するためにどんな人が必要なのか、人材要件を定義します。その際には、下図のようなフレームを使うとよいでしょう。
「スキル要件」とは、具体的な実務経験、スキル、資格、学校での専攻などのことで、「タイプ要件」とは、その人の持つ性格や気質などのことです。また、それぞれ絶対になければいけない「MUST項目」と、持っていることが望ましい「WANT項目」を明確にしておく必要があります。MUSTとWANTを兼ね備えた人が理想ですが、必ずしも理想の人物に出合えるとは限りません。どこまで条件を緩和できるのかを定義しておきましょう。
特にタイプ要件の定義は漠然とした言葉になりがちなので注意が必要です。例えば「元気なタイプ」といった言葉は、人によって解釈が異なるので定義としてふさわしくありません。自社の場合はどんなことができる人を「元気なタイプ」とするのか、明確に伝わる表現に落とし込みましょう。
採用ターゲットが定義できたら、自社の何を訴求するかを決めていきます。グループ・ダイナミクス(集団力学)理論によれば、人が組織に参画する誘因は下図のA~Dのように、大きく4つに分類されます。それをさらに細かく分けると、図の右側の部分のように8つの要素に分類できます。
これらのうち、定義した採用候補者は何に最も共感し、魅力を感じるでしょうか。自社の過去の採用実績などを参考にしながら、採用候補者と自社の間の最も強い「共感の接点」となる項目を、いくつかを選び取りましょう。そしてその中で、競合が持たないオンリーワンのアピールポイントになる1つ(もしくは多くても2つ程度)を、メインで訴求するポイントに据えましょう。
採用ブランディングにおいては、「誰に」「何を」伝えるかが重要という説明をしてきましたが、競合と似たようなターゲット設定、訴求内容では差別化ができず、狭いターゲットの奪い合いになってしまいます。
「できるだけ競争を回避する」ことを念頭に置いて、必要に応じて人材紹介会社などに他社の状況を聞きながら、オリジナルの採用コンセプトを作ると、より効果的な採用ブランディングが展開できるはずです。
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株式会社みずほフィナンシャルグループ 人材戦略推進部 人事チーム 次長
平野 慎治
株式会社三井住友フィナンシャルグループ/株式会社三井住友銀行 三井住友フィナンシャルグループ 人事部 採用企画グループ長
三井住友銀行 人事部 採用グループ長
菅家 哲朗
株式会社三菱UFJ銀行 人事部 採用・キャリアグループ
柿沼 亮太
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d's JOURNAL編集部
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社会保険労務士法人クラシコ 代表 柴垣 和也(しばがき かずや)【監修】
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d’s JOURNAL編集部
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d’s JOURNAL編集部
開催日程 2023/3/29(水) 14:00〜15:00
申込締切 2023/3/27(月) 18:00迄
動画視聴 2023/3/20(月) 11:00〜2023/3/24(金) 21:00
開催日程 2023/3/13(月) 15:00~16:00
申込締切 2023/3/9(木) 18:00迄
動画視聴 2023/3/6(月) 11:00〜2023/3/10(金) 21:00
動画視聴 2023/4/3(月) 11:00〜2023/4/7(金) 21:00
動画視聴 2023/3/13(月) 11:00〜2023/3/17(金) 21:00
動画視聴 2023/4/10(月) 11:00〜2023/4/14(金) 21:00