リファラル採用とは|メリット・デメリットや導入方法と成功事例を紹介

2022.09.07
d’s JOURNAL編集部
リファラル採用とは 
リファラル採用が注目される理由
リファラル採用のメリット
リファラル採用のデメリット
リファラル採用の導入方法
リファラル採用の報酬(インセンティブ)
リファラル採用の推薦を増やすコツ
リファラル採用の事例
まとめ

少子高齢化により労働人口減少が進み、人材採用の困難化とコスト増加が課題となる中、リファラル採用が有効な施策として注目を集めるようになりました。

国内でも約6割の企業が導入しており、今後もこの採用手法を活用する企業は増加していくと考えられるでしょう。

この記事では、リファラル採用の概要からメリット・デメリット、導入方法や企業事例などを解説いたします。リファラル採用の活用を検討している場合は、ぜひ参考にしてみてください。

リファラル採用とは 

リファラル採用とは、自社の社員から友人や知人を候補者として紹介してもらうこと。「企業の採用活動における母集団形成」や「組織の強化」を目的とした採用手法です。

英語では、推薦や紹介を意味する「referral」と、求人、採用を示す「recruiting」を組み合わせて「referral recruiting」と言います。まずは、リファラル採用の流れや、類似する「縁故採用」との違いを見ていきましょう。

採用までの基本的な流れ

リファラル採用の選考フローは、通常の選考と同様に、以下の流れで行うのが一般的です。

リファラル採用の選考フロー

①書類選考
②一次面接
③最終面接
④内定

なお、候補者の企業理解を深め双方のミスマッチを防ぐため、実際の選考に入る前に、会社見学や面談などを実施している企業も多いようです。

縁故採用との違いについて

縁故採用とは、社員と血縁関係や特別なつながりのある候補者の紹介を受け、採用すること。リファラル採用とは、人材を紹介するという点は同じであるものの、目的や前提、選考フローが異なります。

「紹介者および求職者の救済」を目的とした縁故採用は、採用が前提であるケースが大半で、通常の選考フローを介さず特別なステップを用いることが一般的です。

一方、リファラル採用は「企業の採用活動における母集団形成」や「組織の強化」を目的としたもので、採用が前提ではありません。通常の選考と同様、採用試験において適正やスキル、企業理念の理解度などを判断し、自社の採用基準を満たした候補者のみを採用します。

リファラル採用 縁故採用
目的 ●企業の採用活動における母集団形成
●組織の強化
●紹介者および求職者の救済
特徴 候補者に求める能力やスキルが備わっているかを見極めた上で採用するケースが多い 入社を前提とした採用手法という側面があり、通常の選考フローを介さないケースが多い
選考結果 関係者からの推薦にはなるものの、必ずしも採用されるとは限らない どのような人物でも基本、採用する傾向にある

(参考:『縁故採用とは|導入メリット・デメリットとリファラル採用との違い』)

リファラル採用が注目される理由

リファラル採用が注目されているのは、労働人口の減少による人材獲得競争の激化が主な理由です。少子高齢化の影響で日本の労働人口は減少の一途をたどっており、企業は「求人広告を出しても求める人材になかなか出会えない」といった状況に頭を悩ませています。

こうした背景から、人材紹介会社や求人サイトといった既存の採用手法だけでなく、新たな採用チャネルを開拓する必要が出てきたのです。

そこで、「質の高い応募者の確保」「マッチング精度の向上」を実現すべく、ダイレクトリクルーティングの一環として、社員のつながりを活用したリファラル採用を導入する企業が増加。現在、大企業から中小企業、ベンチャー企業まで、幅広い企業が導入を進めています。

リファラル採用のメリット

リファラル採用の導入には、どのようなメリットがあるのでしょうか。期待される効果を3つご紹介します。

求職者以外の人材へのアプローチが可能

リファラル採用のメリットとして、まず挙げられるのが、求職者以外の人材にもアプローチの幅を広げられることです。

リファラル採用は社員が友人や知人を紹介するため、転職サイトや人材紹介サービスに登録していない、「潜在的な転職意識のある人材」「現在は転職の意向がない人材」にも声をかけることができます。

友人や知人にすぐに転職する意向がない場合でも、継続的に接触することで、将来転職を考えた際に自社の選考を受けてもらうことができるでしょう。リファラル採用は、激化する獲得競争を避けながら人材を集められる採用手法だと言えます。

ミスマッチ削減による定着率向上

ミスマッチの削減によって、入社後の定着率が向上することも、リファラル採用のメリットです。

候補者は社員から事前に企業理念や社風、業務内容、福利厚生などの情報を得て、企業理解が進んだ段階で応募します。そのため、「企業風土やカルチャー」「働き方」などのミスマッチを避けられ、マッチング精度の向上が期待できます。

加えて、候補者は既に社内に友人がいることで安心感を得られることも、離職率の減少、定着率の向上に効果を発揮するでしょう。
(参考:『ミスマッチとは?新卒・中途採用の早期離職防止に有効な原因別の対処方法を紹介【資料付】』)

採用コストの大幅削減

リファラル採用は社員からの紹介によって候補者を募るため、求人広告への掲載費や人材紹介サービスの紹介手数料といったコストが不要です。制度として紹介者に対する報酬(インセンティブ)や採用活動のための交際費を支給する企業もありますが、それらを支払う場合でも、外部委託に比べると大幅にコストを削減できます

また、大規模な説明会の開催や面接の日程調整などの手間や時間も縮小できるため、金銭面だけでなく工数もカットできることも、リファラル採用のメリットと言えるでしょう。

リファラル採用のデメリット

さまざまなメリットがある一方で、リファラル採用には「採用までに時間がかかりやすい」「人間関係への配慮が必要」といった課題もあります。リファラル採用のデメリットや、デメリットの解消・トラブルの回避のために意識したいことを見ていきましょう。

採用までに時間がかかりやすい

リファラル採用では候補者が転職活動中でないケースも多いため、候補者と社員が接点を設けてから採用(入社)に至るまでに、一定の期間を要するという点がデメリットだと言えます。

人材の確保が急がれるタイミングでの採用は難しいため、中長期的な視点で採用を考える必要があるでしょう。なお、候補者が転職をすぐには考えていない場合であっても、いずれ自社に応募してもらえる可能性があるため、社員には候補者と継続的に接点を持つよう働きかけることが重要です。

人間関係への配慮が必要

リファラル採用は候補者の採用を前提としていないため、候補者が不採用になるケースも考えられます。そのため、「落ちることを想定していなかった」とトラブルになったり、次に会う際に気まずい雰囲気になってしまったりと、紹介した社員と候補者の関係性が悪化してしまうことが懸念されるでしょう。

また、候補者が採用された場合でも、知人同士のグループ化や同時期の早期退職には注意が必要です。企業には、紹介者と候補者の関係に悪影響が出ないような制度やフォロー体制づくりの他、採用の進め方や採用後の人員配置を適切に行うことが求められるでしょう。

リファラル採用の導入方法

リファラル採用は具体的にどのように進めていくとよいのでしょうか。リファラル採用を成功させるためのフローをご紹介します。

リファラル採用フロー図

制度・運用ルールの設計

リファラル採用を円滑にスタートさせるには、初めに基本的な制度設計を行う必要があります。以下のポイントについて、具体的に定めましょう。

制度・運用ルールを設計する際のポイント

●報酬(インセンティブ)の有無、金額
●会食費などの補助の有無、内容
●選考フロー
●人材データの管理方法
●経費の申請方法 など

例として、「候補者が採用された際には報酬金●万円を支給する」「経費申請の際には候補者の氏名と会食場所を記載する」「会食後はシステムに候補者のスキルや経歴を入力し、データベース化する」などが挙げられます。

このように、制度設計の際は、自社の社員がリファラル採用に参加しやすい環境や運用フローを定めることを意識しましょう。

欲しい人材像や募集するポジションの設定

「このような人材を採用したい」という人物像や、募集するポジションなどを明確に定めておくことも重要です。事前にこうした情報を社員に示しておくことで理想とする人材を紹介してもらいやすくなり、ミスマッチを防ぐことができます。

社内外に人事制度をオープンにし、企業理念や経営ビジョンとともに、求める人材の要件を簡単に確認できる仕組みをつくるとよいでしょう。

社内展開して社員へ周知

制度や仕組みを構築しても、社員がリファラル採用を認知し、行動に移さなければ、候補者の応募に至りません。制度や欲しい人物像を明確にしたら、社員に制度の概要や導入の背景、意義などを発信しましょう。社員への周知には、以下のような方法があります。

社員に周知する方法

●経営層からメッセージを発信
●イントラネットで定期的に告知
●リファラル採用で入社した社員のインタビューを社内報に掲載
●総会で紹介者を表彰 など

重要なのは、リファラル採用を歓迎する意思を社内に示すことです。制度の浸透にはある程度の期間も要するため、定期的・継続的な告知を行い、社員の協力を仰ぎましょう。

リファラル採用の報酬(インセンティブ)

リファラル採用で応募者の入社が確定し、紹介した社員に報酬(インセンティブ)を出す場合、支給金額は企業によって異なります。一般的には、職種や雇用形態、候補者の持つスキルなどによって、10万~30万に設定している企業が多いようです。

また、採用決定時ではなく応募時にインセンティブを支払うケースや、報酬を「自社サービスの割引券を支給する」「有給休暇を増やす」「人事評価へ加点する」など、金銭以外の方法に設定している企業もあります。

なお、職業安定法第40条では、社員の募集について報酬を与えることを原則禁止としていますが、例外として賃金や給与として支払うことを認めています。違法とならないためにも、必ず就業規則や賃金規定に「人材紹介を社員の業務の一部として位置付けていること」を記載しましょう。

リファラル採用の推薦を増やすコツ

リファラル採用で候補者を獲得するためには、社員からの推薦を増やすことが大切です。リファラル採用の推薦を増やすポイントを2つご紹介します。

社員のエンゲージメントを高める

リファラル採用は社員からの紹介によって成り立つことから、候補者を推薦してもらうためには、社員自身が「自社を紹介したい」「候補者と自社で一緒に働きたい」と考えていることが前提となります。

既存社員のエンゲージメントの高さがリファラル採用の推薦数につながるため、社内制度の見直しや業務体制の改善などを行い、よりよい環境づくりに努めましょう。

(参考:『リファラル採用成功の秘訣は、社員の“エンゲージメント”向上【セミナーレポート】』)

友人を紹介する際の負担を軽減する

社員の負担を軽減することも、リファラル採用の推薦を増やすポイントです。友人や知人を紹介する際には、事前にメールや資料を送信したり食事の場を設定したりするなど、時間や金銭を要します。

社員にとって、推薦することが負担にならないよう、金銭的な補助の他、「案内メールや報告用のテンプレートを作成する」「自社の魅力を簡単に説明できるパンフレットや動画を作成する」「会食に使える飲食店をリスト化する」などの工夫が必要です。「社内食堂の利用」や「社内見学」など、気軽に社内へ呼べる仕組みがあると、社員が友人を誘いやすく、紹介につながりやすくなります。

また、「面談の日程調整は人事・採用担当者で行う」など、社員が人材の紹介のみに注力できるようにすると、推薦のハードルや工数を下げることができるでしょう。

(参考:『リファラル採用、社員は協力している?20代・30代の本音調査』)

リファラル採用の事例

実際に、リファラル採用を導入している企業の事例をご紹介します。

富士通株式会社

富士通株式会社では、2017年下期に数百人を対象としてリファラル採用のトライアルを実施。スモールスタートでの利点を活かし、不安の声を解消しながら、2018年4月にリファラル採用を正式導入しました。

社員が迷うことのないよう、事前にリファラル専用サイトを整え、リファラル経由の選考プロセスを構築。選考プロセスにおいては、紹介者が「推薦コメントを入れる以上のことに関与しない」「選考に携わらない」ことを徹底しています。

会議に出向いての広報活動や社内報への掲載、ポスターの掲示、研修での周知、採用イベントでの周知などさまざまなプロモーションを継続的に行った結果、初年度には約20名が採用に至り、マッチング率が人材紹介サービス経由の約10倍という成果が表れました。

(参考:『富士通、freeeが取り組む、リファラル採用成功の秘訣【セミナーレポート】』)

freee株式会社

freee株式会社では、リファラル採用促進のために「知人を紹介したくなる」組織を作つくるべく、「友達を呼ぶことのハードルを下げる」「採用の重要性、必要性をしっかり伝える」「協力者への感謝の気持ちと称賛」の3つを意識しています。

具体的には、「転職の意思を問わず、誰でもお弁当制度(夕食を無料で食べられる独自の制度)に招待できる」「全体発信だけでなく1on1の際にもリファラル採用の話をする」「称賛の場を設け、自社のロゴ入りTシャツをプレゼントする」などの取り組みを実施。候補者を紹介した社員には「現在、このような動きをしている」と進捗状況を通知し、採用を見送る際は、紹介者である社員に対面で理由を伝えてから候補者へ連絡するなど、紹介者へのフォローを徹底。

2019年9月には、採用全体の9割を占める自社採用のうち、2割がリファラル採用という結果につながりました。

(参考:『富士通、freeeが取り組む、リファラル採用成功の秘訣【セミナーレポート】』)

LINE株式会社

LINE株式会社は、2019年7月1日にグループ各社でリファラル採用を徹底推進していくことを発表。紹介した社員にリファラル手当を支給するだけでなく、紹介されて入社した社員には30万円の入社祝い金を支給しています。

この他、「以前から支給していた知人との会食費を一人当たり7000円に増額」「社内Wikiに紹介の手順から会食向けの店舗情報までを集約」「コミュニケーションツール上に採用に特化したチャンネルを作成」など、相談や紹介をしやすい環境を整備。

リファラル採用のエントリーから入社までの割合が人材紹介サービス経由のケースの10倍以上になるなど、高い効果を得ることができました。

(参考:『LINEがリファラル採用の徹底を発表。社員自らが「自分たちのチーム」を作る意義』)

株式会社セールスフォース・ドットコム

株式会社セールスフォース・ドットコムは、2018年時点で中途入社社員の約半数をリファラル制度によって採用。リクルーターが現場のビジネスリーダーを積極的に巻き込んで施策を行っています。

紹介した社員が最後まで責任を持てるよう、候補者の選考プロセス・ステータスの確認や、面接前のアドバイスを可能とする仕組みを構築。

また、採用情報のグループを作つくり、誰がどのような案件を担当しているのかを常に全員が把握しながら仕事を進めているため、あるポジションで不採用になってしまった候補者を別のポジションで採用するといった動きもあります。

(参考:『セールスフォース・ドットコムが、リファラル採用“約半数”を実現できる理由』)

まとめ

リファラル採用は求職者以外の人材にもアプローチを行うことができ、ミスマッチやコストの削減といったメリットもあります。

社員から知人や友人を紹介してもらえるよう、企業としては候補者に対してだけでなく、紹介する社員に対しても誠実に向き合う姿勢が大切です。

導入企業の例などを参考にしながら、社員が率先して「自社を紹介したい」と思えるような企業づくりを心がけてみてはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)

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