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2017.11.29

意図せず法律違反に…。面接で聞いてはいけないこと【弁護士監修】

PROFILE

弁護士法人みなとパートナーズ(東京弁護士会所属)

佐藤 嘉寅(さとう よしのぶ)弁護士
【監修・寄稿】

弁護士になり14年目、「至誠は通ず」をモットーに、フットワーク軽く業務に従事し、顧問先企業に生じる労務問題に広く対応しているほか、日々のトラブルに対する予防や早期解決法に関する法的助言も行う。顧問先は、IT関係や医療法人、医師個人のほか、芸能関連も多く扱っている。また、法人、個人を問わず、損害賠償、建物明渡、借金問題、交通事故、相続、離婚、刑事事件などにも広く対応。みなとパートナーズグループは、税理士法人、司法書士、社会保険労務士との連携による紛争の一体的解決を図るため、事案ごとに、相互の強みを生かし、時には補完して、対応している。

「現在は○○にお住まいなのですね。生まれはどちらですか?」「ご家族はどんなお仕事をされているのですか?」面接時のアイスブレイクとして利用した上記の2つの質問――。実は法律違反になることをご存知でしょうか。職業安定法で「本籍・出生地」に関すること、「家族」に関することなど、11項目が面接では聞いてはいけないこととして定められています。一方で、面接時の確認不足が原因でのちのち法的トラブルに発展したというケースもあります。そこで今回は法律的観点から面接で聞いてはいけないこと、聞くべきことについてご紹介します。

「面接で聞いてはいけない」11項目とは

面接で質問する際に心がけておくべきことは2つあります。1つは応募者の基本的人権を尊重すること。もう1つは応募者の適性と能力のみを選考の基準とすることです。ここから派生し、面接時に聞いてはいけないことは次の11項目にまとめられるでしょう。

本人に責任のない事項

1.「本籍・出生地」に関すること
2.「家族」に関すること(職業・続柄・健康・地位・学歴・収入・資産など)
3.「住宅状況」に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
4.「生活環境・家庭環境など」に関すること

本来的に本人の自由であるべき事項

5.「宗教」に関すること
6.「支持政党」に関すること
7.「人生観・生活信条など」に関すること
8.「尊敬する人物」に関すること
9.「思想」に関すること
10.「労働組合(加入状況や活動歴など)」、「学生運動などの社会運動」に関すること
11.「購読新聞・雑誌・愛読書など」に関すること
※厚生労働省 採用選考自主点検資料より抜粋

出生地や生活環境、家族のことなど、初対面の人との会話で話題にのぼるような一般的な事項も含まれていることから、面接時には注意が必要です。アイスブレイクのつもりで聞いたことが、法律に違反してしまうということも十分に考えられます。

面接で聞いてはいけないことを聞いた場合のリスクとは?

なにより法律に違反してしまうということがリスクでしょう。職業安定法では、必要な範囲外の求職者の個人情報を本人の同意なく収集してはならないと定めており、違反した場合には改善命令が発せられます。さらにこの改善命令に従わない場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。またもう一つのリスクは法律を違反したことが広まってしまう可能性があることです。

例えば、面接の際に自覚なく、話の流れで出生地について聞いてしまったところ、面接に来た応募者がこれを不快に思い「〇〇会社の面接で法律違反に遭いました」といった書き込みをされるケースです。この内容がネット上で拡散された場合、会社の信用が大幅に毀損する恐れがあります。応募が集まらないだけでなく、場合によっては行政処分を受ける可能性もあります。したがって、聞いてはいけないことをよく理解し、常に手元で確認できようにしておくといいでしょう。

面接での確認不足が原因で法的トラブルに…

面接での確認不足が原因で法的トラブルに…

職種経験・スキル、転職理由など面接で聞いておいた方がいいことは、多岐にわたりますが、ここでは面接での確認不足が原因でのちのちの法的トラブルに発展しやすい経歴詐称、既往歴、犯罪歴の3点に絞り、ご説明します。

経歴詐称

経歴詐称でよくある事例としては「保有資格」「転職歴」「年収水増し」の3つがあげられます。経歴詐称の場合、下記のような書類の提出を求めることで未然に防ぐことができるでしょう。書面の提出を求めた際に、被保険者証の番号のみを伝えてくる、年金手帳が再発行されている場合は、経歴を詐称している可能性があるので注意する必要があります。また転職歴に関しては、(本人の同意を取ったうえで)以前の職場に連絡を取るというのも一つの方法です。

■経歴詐称対策で有効な書類
・保有資格:資格証明書など
・転職歴:年金手帳、雇用保険の被保険者証など
・年収水増し:課税証明書、源泉徴収票

犯罪歴

前提として求職者は本人の賞罰に関わることについて、面接の場で聞かれなかった場合に回答する必要はありません。したがって、企業側が自ら情報を取得しに行く必要があります。方法のひとつとしては、提出書類の中に賞罰欄を設けるというものがあげられます。また、本人があえて記載していないということもあるので直接聞くというのも一つの方法ですが、心証を害する可能性もあるため、十分な配慮が必要です

なお、申告義務があるのは、確定した有罪判決のみです。起訴猶予や処分保留のまま釈放された場合、申告義務はありません。また刑を終え相当の期間が経過しているなど、遠い過去の罪についても申告義務はないとされたケースがあります。(少年時代の非行は申告義務がないとされた判例 福岡地判 昭和49年8月15日 西日本警備保障事件)

既往歴(原則、直接業務に関わるもののみとし、任意回答程度を推奨)

企業側としては職務遂行において合理的・客観的に必要な範囲であれば、過去の既往歴を確認することは可能です。例えば、精神疾患がある場合、そのことに配慮し、残業のない部署に配属するなど労働者の安全確保を図る必要があると考えられるからです。(労働安全衛生法)ただし、既往歴に関しても、賞罰同様、面接の場で聞かれなかった場合に回答する必要はありません。確認が必要な場合は、機微情報であることに充分に留意し、聞き方を工夫する、あくまでも任意での回答で構わないと伝えるなど本人に不安を与えないようにする必要があると言えるでしょう。また、書面の取り扱いについては施錠のできる場所に保管するなどの措置をとる必要があります。

聞くべきことと、聞いてはいけない事項は多岐にわたるため、社内での平準化を図る上でもこれらをリストアップし、面接時のヒアリングシートなどにまとめておくといいでしょう。

【まとめ】

面接では面接官が会社を代表して求職者と接することになります。法律違反となるように質問をしないよう十分に注意しましょう。また、私が担当した事例として前職でトラブルを抱えていた人材を採用し、転職後にも同様のトラブルを起こしてしまったというケースがありました。この事例では、前職を短期間で退職されていたため、なぜ転職をしたのかをしっかりと確認できていれば防げていたかもしれません。いずれにせよ面接で適切に確認できるかという点がポイントになります。法律は相手を守るだけではなく、自分や自社をも守るものです。聞いてはいけないこと、聞いておいたほうがよいことをしっかりと理解しておくことが大切です。

【弁護士監修|法律マニュアル】
01. 試用期間の解雇は可能?本採用を見送る場合の注意点とは
02. 入社直後の無断欠勤!連絡が取れなくなった社員の対処法
03.途中で変更可能?求人票に記載した給与額を下げたい場合
04.試用期間中に残業のお願いは可能?残業代の支払いは?
05.炎上してからでは遅い!採用でSNSを使う際の注意点
06.求人票に最低限必要な項目と記載してはいけない項目
07.採用後に経歴詐称が発覚した場合の対応法。解雇は可能?
08.意図せず法律違反に…。面接で聞いてはいけないこと

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