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「サイバーエージェント流採用」一気通貫で考えるべきこととは【セミナーレポート】

PROFILE

株式会社サイバーエージェント

新卒採用責任者
小澤 政生

京都大学経済学部経営学科卒。2010年4月、株式会社サイバーエージェントに入社し、営業として勤務。約2年間、営業としての経験を積む。2012年2月に人事本部異動。西日本新卒採用責任者、技術職新卒採用責任者を経て、2017年3月より現職。本業の採用に加え、早稲田大学、同志社大学、大阪市立大学等でキャリア講義も行う。京都大学NEXUS Engineer顧問。その他、企業に対して採用・育成・活性化のアドバイスなども行っている。

1998年の創業以降、急成長を遂げ、今や社員数4000名を超える企業となったサイバーエージェント。その背景には、事業を成長させる人事として、常に採用や人事制度を革新してきた歴史があります。今回のセミナーでは、サイバーエージェントの新卒採用責任者である小澤政生氏をお迎えし、これまでの採用の歴史や定着率や育成を高める仕組み、採用における仕掛けづくりのポイントなど、ユニークな取り組みでありながらも「なるほど」と誰もが膝を打つような合理性を持った「サイバーエージェント流採用」について語っていただきました。
(本記事はdodaが主催したセミナーの内容を要約した上で構成しています)

時代に合わせて戦略は変化。求める人材は一貫して「素直でイイヤツ」

時代に合わせて戦略は変化。求める人材は一貫して「素直でイイヤツ」

当社の事業の基本は「インターネット×○○」。Ameba(アメーバブログ)やAbemaTVの他、最近では小学生向けのプログラミングの事業や、仮想通貨の事業、VRの事業なども手掛けています。ざっくりと言えば、インターネットの領域で100個くらいの子会社を持ち、約3700億円の売上規模で、社員数4000人のうち総合職と技術職が半々くらいの企業…と思っていただければ、当社の8割がたをご理解いただけていると思います。

そんな当社がこれまでどういった採用をしてきたか。世の中の流れや軸となる事業が変わっていく中で、採用戦略も変化しています。

創業時からしばらくはネット広告事業を中心として成長してきましたが、2011年に事業の軸足をスマホに移すという経営判断がなされました。営業中心の企業からエンジニアなどの技術力を武器とするモノづくりができる企業へ転換です。それに伴い、技術者の採用を強化する必要がありました。現在、採用マーケットは売り手市場と言われていますが、エンジニアは特にその傾向が強い。組織が拡大してきたこともあり、会社全体はもちろん、事業部として採用を強化していく必要性もあった。そのため本社人事だけでなく、広告やゲーム、メディアなど各々の事業部で採用を行っていくという戦略を取るようになりました。

また、最近ではエントリー数を追いかける採用を見直しています。新卒採用においては大手求人媒体の利用を停止したんです。求人媒体を掲載するとたくさんの応募は集まりますが、実際に採用できるのはお会いした方の中の一部。採用にかかる時間を考えても、10人に会って10人採用できたほうがよい。こうした考えから、リファラル採用やダイレクト・ソーシングなど、自社内の採用力を強化し、精度の高い採用を目指す体制にシフトしています。これまで求人媒体に使っていた時間や費用は、「これは」と思う求職者に深くアプローチするために使うようになりましたね。

一方で求める人物像は創業から変わっていません。あらゆるものを素直に吸収し、早いサイクルでアウトプットできる人、当社では「素直でイイヤツ」という言葉で表現しています。新規事業を作っていくことで成長してきた会社なので、新しいチャレンジや変化に対して、柔軟に対応できるという部分は当社で活躍するには必要なこと。そのため「素直でイイヤツ」という条件は一貫しているんです。

採用して終わり、ではない。育成、才能開花まで一貫して考える

採用して終わり、ではない。育成、才能開花まで一貫して考える

良い人材を採用しても、その人が活躍してくれなければ意味はありません。そこで当社では、「採用→育成→適材適所→定点観測→才能開花」を一気通貫で管理しています。採用した人の覚醒を促すため、「人材科学センター」を作り、血の通ったデータの定点観測と分析を行っているのです。血の通ったデータとは、デジタルに取得できるデータだけでなく、個別ヒアリングするなどして取得するアナログなデータを掛け合わせたデータのこと。

データの取得方法としては、従業員のコンディション変化発見ツール「GEPPO(ゲッポウ)」という社内システムの中で毎月質問を投げかけ、社員の声を拾っているんです。質問には、「先月のあなたの成果を天気でお答えください」というものが必ず入ります。定点観測することで、何がわかるか? 仮にこれまで「晴れ」と回答をしていた社員が、先月は「土砂降り」」と答えたとしますね。“天気”の変動が激しいときには何かが起きている可能性が高いので、その要因を次の段階でアナログに調査していくんです。

また先月の成果に関する質問にプラスして、オリジナル質問を毎月ひとつだけつけています。例えば、組織の雰囲気に関することから周りの活躍している社員、趣味についてなどさまざま。こうした質問を定期的に取得することで社員のコンディションだけでなく、キャリア志向や興味分野などを把握できるので、定着率の向上はもちろん、適材適所や才能開花といった部分にもつながるのです。そして最終的には人事で業績貢献できる状態を目指しています。

資料1

社員にはできれば自社で長く活躍してほしいと思うものの、会社を辞めるというのは、ある一定仕方ないと考えています。退職を機に新たなキャリアをスタートさせることは人事としても応援したい。その一方で「びっくり退職」はできる限りゼロにしようというのが当社の方針です。当社では人事が把握できていない、予期せぬ退職のことを「びっくり退職」と呼んでいるのですが、データの定点観測はこうした「びっくり退職」を回避することにもつながっています。

また、人事同士の情報共有も積極的に行っています。その一つがJループ会議です。各事業部やグループ会社の人事・採用担当者が月に1回定期的に集まり、自部門の取り組みやうまくいっていないこと、協力してほしいことなどを1枚の紙にまとめて、1分間でプレゼンをする。その取り組みや課題に対して、他の参加者が質疑応答し、本部人事や取締役人事統括の曽山がアドバイスをしていくんです。人事って外部の取り組みや情報がなかなか入ってこない。1社だけでやっていると、うまくいくかわからないまま取り組み始めるということも多いと思います。過去に他社が取り組んで失敗していることを知っていれば、それを参考に取り組みを改善できる。さまざまな採用手法やサービスが立ち上がる現在において、情報をオープンにし共有していくことは、とても大切だと考えています。

採用手法を創る際に大切にしている「ネーミング」と「シラケのイメトレ」

採用手法を創る際に大切にしている「ネーミング」と「シラケのイメトレ」

採用のイベントや人事制度を作る際に、「ネーミング」と「シラケのイメトレ」を意識しています。ネーミングのポイントは、仕掛ける我々はもちろん、求職者が「ワクワクするかどうか」。また、あまりに長い名称は記憶できないので、「すぐに言える」「メモできる」ことも条件にして名称を考えないといけません。求職者が「あのイベント行った?」と話題にしたくなるようなネーミングであれば、定着もしやすいですし、自然に人づてで拡散していきますよね。施策を決めるためにロングミーティングを行うのですが、3時間のうち2時間をネーミングに割くということもあるくらい重要視しています。

ネーミングを工夫したことで最初は盛り上がったけど、定着せずに先細りということはよくあります。施策を一時的な流行りにしないためにも、ネーミングと必ずセットで行わないといけないのがシラケのイメトレです。そのイベントや施策を実施した際に、誰がシラケるのか、どんなことを言うのか、を具体的にイメージしておく。そうすることで運営上、どんな部分がネックになるのかが明確になり、事前に対策を考えることができるんです。また「シラケのイメトレ」を通じて、求職者の目線で何が必要な情報なのか、それをどう伝えれば来てくれるのかといったこともイメージがつきやすくなるでしょう。

女性活用に力を入れるために実施した「macalon(マカロン)」という制度があります。これは「ma(ママが)/ca(CAで)/lon(longに働ける)」という意味なのですが、ネーミングとしてすぐに覚えられますし、つい口に出してみたくなりますよね。加えて、対象とはならない男性はどう感じるのか、それに対してどう説明すると理解してもらえるのかまで、シラケのイメトレをしておくことが重要です。採用関連の具体的な事例としては、社員を師匠、学生を弟子になぞらえ「弟子入り採用」と銘打った長期就業インターンですね。ネーミングの工夫に加え、学生が師匠を選ぶに当たり、師匠がどんな人なのか知りたいだろうとイメージして、クリエイティブには師匠の顔写真やプロフィールを掲載しました。

採用担当者として力をつけるために自分がしてきたこと

採用担当者として力をつけるために自分がしてきたこと

ここまでは企業としての取り組みについてご紹介しましたが、次に私個人が採用担当者として取り組んできたこと、気を付けていることをお話ししましょう。大きく分けて三つあります。

とにかく聞く。引き出す。

人事というのは人に説明する仕事が多いので、聞かれてもいないことまで話しがちです。それが求職者の欲しい情報とずれていては何の意味もありませんよね。特に中途採用の場合、求職者も時間がない中で転職活動をしています。直接会った際に時間を無駄にしないためにも、求職者が本当に求めていることを「聞き出すこと」が大事になる。事前にメールなどでやり取りができる場合は、「どの事業部について詳しく聞きたいですか?」など、こちらから相手の欲しい情報をえぐる質問をして、実際に会うときには期待されている3倍くらいの情報を届けてあげる。そういう心がけを常にしています。

ファクトで話す。

「21世紀を代表する会社を創る」「あなたと一緒に働きたい」など、ビジョンで興味を引き、口説くのも最終的には必要です。ただし、ビジョンばかりを使ってしまうと、現場に配属された時にギャップが生まれてしまう可能性もある。ですので、私は基本的にはファクトで話すようにしています。例えば「裁量権は大きいのですか?」と聞かれた際に、どの会社も「はい、大きいです」と回答すると思いますが、それは想いでしかないですよね。私の場合、「子会社が100社くらいあって、新卒入社の人が70名ほど取締役になっている。任せて育てる方針だから、裁量は当然大きい」など、できるだけ具体的に話すようにしています。こうすることでイメージを持ってもらいやすくなり、説得力も増すんです。会社にまつわる数字や実績、誰が何と言っていたかなど、誰が言っても同じ内容になる話を常に引き出せるようにしています。

採用と広報はセット。

求職者は思っているほど、企業のことを見ていないものです。「サイバーエージェントであれば見てくれているでしょ」と言われることもありますが、そんなことはありません。したがって、何のためにどういう採用をしているかをしっかりと広報していかないと、良い採用はできない。例えば、中途向けのイベントや勉強会などは、遅くとも翌日までにレポートにしてオンライン上で提供、リアルなイベントとのできる限り時間差が出ないようにしています。また、「就活チャンネル」という動画のチャンネルで現場の事業責任者にに「こんな人と働きたい」などを話してもらい、候補者になりうる人たちに届ける。このように、採用と広報をセットにして、多くの方に興味を持ってもらうようにしています。

これからの採用において大切にしたいことは『貯める・戻す・選んでもらう』

これからの採用において大切にしたいことは『貯める・戻す・選んでもらう』

最後にこれからの採用がどのように変わっていくのかについてです。個人的には“貯める”“戻す”“選んでもらう”がキーワードになると考えています。

“貯める”は一言で言えばタレントプールです。中途採用の場合、今欲しい人を今取りたいということが多いため、そのたびにバタバタしてしまう。それに都度対応すると、人事・採用担当者もどうしても疲弊してきますよね。こうしたサイクルから抜け出すためにも長期的視点を持ち、何らかの理由で今採用できない人をいかに今後につなげていくかということが重要になってくるでしょう。

“戻す”は、社外に出た人に戻ってきてもらう体制作りです。最近は出戻り採用の話もいろいろなところで耳にします。出戻りの社員は外を見たうえで帰ってくるので、それなりの覚悟もあり、ロイヤリティも高い。人事としても、話が通じやすく、「お帰り」という感じで受け入れやすいですしね。あとは復職もそうですね。サイバーエージェントにも多くのママ社員がいますが、5年ほど前は産休から復帰しようとする人たちから「働くイメージがわかない」「育児とのバランスが取れないのでは」と不安の声が上がっていました。そこで職場復帰したママ社員の一日やインタビューなどを掲載した雑誌を送付するなどして、具体的にイメージが付きやすい状態を作ることで安心して戻ってきてもらえるようになりました

“選んでもらう”は、働き方や働く時間、場所など、多くの選択肢を用意しておき、本人に決めてもらえるようにすることです。オファーを提示する際に、一つの条件ではなく、複数の条件の中から、自分に合ったものを選んでもらう。今後さらに働き方が多様化する中では重要になると考えています。

資料2

社長の藤田は、採用について次のように述べています。
「人事(特に採用)は本業の仕入れのようなものです。一番重要なところ。事業が粗削りでも、人が良ければうまくいく。事業が素晴らしくても、人が良くなければ失敗する」
これは時代が変わっても、事業が変遷しても、ずっと変わらない当社のスタンスでしょう。この「企業で最も重要なのは人材」という精神を胸に刻み、これからも「良い採用とは? 一緒に働きたい人とは?」を自問自答しながら、より会社に貢献できるアクションプランを考えていければと思っています。

【まとめ】

サイバーエージェントの採用というと「施策のユニークさ」に注目が集まりがちですが、「一時的に流行るだけでなく、長期的に定着するのか」「いい人を採用するだけでなく、その後の業績に貢献しているのか」など、先を見据えて考えられた施策であるということに改めて気づかされました。今回のセミナーで紹介された施策をそのまま取り入れるということは難しいかもしれないですが、採用や施策を展開するうえでの考え方は、さまざまな企業にとっても参考になるのではないでしょうか。

セミナー風景

※本セミナーでは、株式会社サイバーエージェントの新卒採用責任者の小澤政生氏とProFuture株式会社の寺澤康介氏、パーソルキャリア株式会社の油谷大希によるパネルディスカッション、来場者からの質疑応答も行われました。

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