採用手法のこれからを考える ダイレクト・ソーシング ジャーナル

DODA 中途採用をお考えの方へ

2017.12.08

「スカウト型採用」成功のカギは、採用プロセス全体の見直し【セミナーレポート】

PROFILE

株式会社人材研究所

代表取締役社長
曽和 利光

株式会社リクルート人事部にて採用・教育・制度・組織開発等の担当、HC(Human Capital)ソリューショングループでの組織人事コンサルタントを経て、人事部採用グループのゼネラルマネジャーとして最終面接官等を担当。その後、ライフネット生命保険総務部長、オープンハウス組織開発本部長など、ベンチャー企業の人事責任者を経て、2011年に株式会社人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)を設立。現在、リクナビ、日経新聞、労政時報等で人事や採用に関する記事を連載中。

人材サービス会社が提供する求職者データベースやSNSに直接メッセージを送る「スカウトメディア」や社員のネットワークを利用する「リファラル採用」など、企業側から求職者に直接アプローチする「スカウト型採用」に、より注目が集まっています。約6割の企業が導入し、すでにポピュラーな採用手法の一つになってきたものの、思うように応募や紹介が来なかったり、面接後の辞退率が高かったりと、いろいろな悩みを抱える採用担当者も少なくないようです。

そこで今回のセミナーには、株式会社人材研究所 代表取締役社長の曽和利光氏をお迎えし、スカウト型採用を成功させるために重視すべきポイントをお話しいただきました。
(本記事はDODA Recruitersが主催したセミナーの内容を要約した上で構成しています)

ブランド以上の採用ができる「スカウト型採用」とは

ブランド以上の採用ができる「スカウト型採用」とは

まず、私がよく言う「『スカウト型採用』とは何か?」ということについて簡単にご説明します。採用には大きく分けてふたつのパターンがあります。ひとつが「オーディション型採用」、そしてもうひとつが「スカウト型採用」です。オーディション型採用は求人広告やエージェントを活用し、転職希望者から応募が来たら選考を行うという、いわば「待ちの採用」。一方スカウト型採用は特定のデータベースや社員のネットワークを通じて、採用ターゲットを探し、企業側からアプローチをする「攻めの採用」です。一般的にはダイレクト・ソーシングと言われるものですね。オーディション型採用の場合、転職希望者の側から興味を持って応募するため、どうしても採用ブランドに影響を受けてしまいます。しかし、スカウト型採用であれば自らアプローチできるため、自社への興味とは関係なく、採用につなげられます。つまり採用ブランドを超える採用が可能になるのです。採用競争が激化する昨今、スカウト型採用に注目が集まる理由はここにあります。しかし、ブランドに依存しないという魅力がある一方で、採用担当者のスキルが必要になり、手間がかかるというデメリットがあるのも事実。スカウト型採用を成功させるには、「母集団形成」「選考」「動機形成」といった各プロセスに応じた採用担当者のスキルが非常に重要になってくるのです。

資料1

1.母集団形成|リファラルを成功させるために

1.母集団形成|リファラルを成功させるために

「母集団形成」の方法としては、冒頭でお伝えした通り、リファラル(紹介)とスカウトメディアの活用があります。リファラルはコストもあまりかからないため導入しやすい。しかし、社員のネットワークを活用する以上、どうしてもいらぬ摩擦や心配が発生しやすく、導入したものの紹介が進まないというケースも多いです。せっかく知人を紹介したのに、初期選考で落とされたというのでは気分が悪いですよね。だからこそ、リファラルを成功させるには、知人を紹介してくれる社員のモチベーションの維持に注意をすることが必要になるんです。

例えば、「メールなどではなく個別に会って紹介を依頼する」ことはもちろん、「会社やイベントの説明資料等、 簡単に配布できるものを準備しておく」など紹介しやすい環境を作っていく必要があります。知人を紹介してくれる社員に嫌な思いをさせないため、「知人に対してしつこく入社の勧誘をしない」「紹介された人には必ず会う」といったことを約束し、安心感を持ってもらうことも大切です。

またスカウトメディアに関しては、ターゲティングと文面の工夫が重要になります。
※スカウトに関するポイントはこちら

リファラルやスカウトメディアを有効活用すれば、求めている人材は必ず見つかります。ただ、そのような人材は他社も求めているケースも多く競争が激しいです。そのため競合に敗れ、応募してもらえなかったということも少なくありません。従来からスカウト型採用は、母集団形成としての活用ばかりに焦点が当てられてきたために、「スカウト型採用も結局は母集団が形成できない」と諦めてしまう採用担当者もいるでしょう。しかし、目標とするところは「母集団形成」ではなく「採用」です。リファラルやスカウトメディアの活用で躓いたからといって諦めるのは時期尚早。もちろん母集団形成も大切ですが、何よりも重要なのは「選考」「動機形成」までをしっかり行い、スカウト型採用を成功させるために、採用プロセス全体を一気に変えていくという意識を持つことなのです。

2.選考|ハードルを上げすぎず、カジュアルに

2.選考|ハードルを上げすぎず、カジュアルに

「選考」において大切なことはハードルを上げず、カジュアルにしていくことです。スカウト型採用の場合、採用候補者側に応募意思がないこともあるため、初回接触でいきなり面接や会社説明会を行うのはNGです。スカウトされたから来たのに突然通常フローと同じ選考を受けるとなると、採用候補者の中でせっかく醸成した「特別感」を壊すことになりかねません。ですので、基本は個別面談がよいでしょう。またできるだけカジュアルな場で行うことをオススメします。できれば候補者の会社や家の近くにあるカフェでもよいですね。というのも「あなたのためなら、どこへでも行きますよ」という姿勢を見せることも大切なのです。

採用とは直接関係のないセミナーを開催して、そこから採用につなげるというパターンもあります。たとえば不動産投資セミナーを実施し、終了後に懇親会をつける。そこに人事・採用担当者や現場社員などが参加し、セミナー参加者とコネクションを作り、採用に結び付けるという手法です。エンジニアの世界では、勉強会や新しい技術についてのパネルディスカッションなどを通じて、コネクションを作るというのは当たり前になりつつあります。

初回接触で興味を持ってもらい選考に進んだ場合でも、できるだけ選考前のハードルを高くしないことを心がけたほうがよいです。通常の選考では職務経歴書や履歴書を持参してもらうと思いますが、スカウト型採用の場合はできる限り不要な書類の提出は求めないようにしましょう。直接話す中で、ヒアリングできる内容も多いので書類がないと選考できないということもないと思います。

一方で、慎重に進めるがあまり、時間をかけすぎるのも問題です。応募をしようと思ってから2週間~1カ月程度で決着をつけないと辞退率が高まるというデータもあるので、仮に応募をしてくれるということになったら、スピード感を持って対応するようにしましょう。

3.動機形成|自己開示と口説き力の強化

スカウト型採用から採用に結びつけるため、もっとも重要なのが「口説き力」。採用候補者を口説くうえで、その意思決定プロセスを理解しておくことが重要です。次の図が意思決定のプロセスを示した図になります。

資料2

自己開示

まずやらなければいけないことは採用担当者の「自己開示」です。採用担当者の中には、相手のことは聞くが自分の紹介をしないという人もいますが、これはよくない。採用担当者が胸襟を開いて自己開示し、採用候補者が話しやすい環境をつくってあげることから始めなければなりません。自己開示のネタとしてもっとも有効なのが、採用担当者の「入社動機」。面接など短い時間の中で信頼関係を作るには、「あなたと私は似ていますね」と思ってもらうことが大切なのですが、趣味の話などは合わない可能性もある。そこで共通の話題としてイメージしやすい入社動機をもとに自己開示していくことをオススメします。

入社動機にはWHAT(何が好きなのか)とWHY(なぜ好きなのか)にわけられるのですが、重要なのはWHY。WHATはつまるところ事業説明になってしまうケースが多いのですが、WHYは「どうして好きなのか?」ということですから、これは十分に自己開示になりうる。なぜその事業が好きなのか、そしてその思いを胸にどんなキャリアを歩んできたのか。どういう人と出会い、その中で形成された価値観などを話すことで、目の前の採用担当者がどんな思いでこの会社を選んだのかが伝わってきます。そうなればしめたもので、「実は私も……」と共感の接点が生まれ、さらに心が開かれるのです。
※応募者の意欲を下げる面接あるあるはこちら

情報収集

いったん信頼が生まれ、多くのことを話してくれるようになったら「情報収集」を進めていきます。候補者の志望動機やキャリア観、モチベーションリソースなどを聞くことはもちろん、大切なのは自社に対する不安要因(ネック)を聞き出すことです。ネックを聞き出せれば、あとはそれを解消してあげればいいわけで、信頼関係を築けずにモヤモヤのうちに終わる面接よりは双方の満足度が高くなります。もちろん、ネックに対するカウンタートークの用意は必要です。業界によっては一般的に思われがちな不安要素があります。それらを事前にリストアップし、単なる思い込みの場合は、その旨を説明すればいいし、仮に問題があっても、きちんと対策をしているということが説明できるようにしておきましょう。例えば「同業他社に比べて給与水準が低い」という場合にも、「確かにその通りだけど、その分、きちんと人数を確保して一人分の負荷を減らしています」などと答えられますよね。採用担当者が候補者と対峙して求められることは、とにかく自信を持って話すことなので、事前の準備も大切です。

説得勧誘

最後に説得勧誘ですが、候補者のパーソナリティや意思決定スタイルを把握しておき、そのタイプに合ったアプローチを行うとよいでしょう。最近は口説かない採用担当者も増えていると言いますが、下記の意思決定スタイルにおいて「決断型」タイプの人は積極的に口説いてほしいと考える方です。採用担当者から「あとはご自身の判断にお任せしますよ」と伝えてしまうと、求職者が勝手に「自分の評価が低いのかも」と考え、最終的に辞退されてしまうということにもなりかねません。面談や面接を通じて、採用候補者のパーソナリティを意識しておくということも覚えておくとよいでしょう。

資料3

最後に、「スカウト型採用」における内定通知は、できれば直接会って行いたいですね。特に、握手をするのはいいですよ。なぜかと言うと、握手をすると辞退率がわかるから。ぎゅっと握らない場合は「これはまずいな、フォローしなきゃな」と思ったりしますしね。

このように、スカウト型採用を成功させるためには、リファラル、スカウトメディアの運用といった母集団形成の部分だけにとらわれず、採用プロセス全体を変更していく必要があるのです。

【まとめ】

採用難の時代だからこそ、注目されてきている「スカウト型採用」。リファラルやスカウトメディアの活用など、母集団形成についてはこれまでもフォーカスされてきたことですが、そこに焦点が当てられすぎたことで「選考」「動機付け」の部分にまで手が回らず、失敗する企業が多いということがわかりました。「動機形成」における意思決定プロセスを意識や入社動機の伝え方、カウンタートークなど知識を増やしていくことはもちろん大切です。しかし、知識だけでは手が回らないということなりかねません。採用スキルを本当の意味で身につけていくためには、知識を踏まえて実践を繰り返し、自然にできる状態を目指していく必要があるでしょう。

セミナー風景

※本セミナーでは、株式会社人材研究所 代表取締役社長 曽和利光氏とProFuture株式会社の松岡仁氏によるパネルディスカッション、来場者からの質疑応答も行われました。

Facebook

Twitter

はてなブックマーク

このエントリーをはてなブックマークに追加

  • HOME
  • TECHNIQUE
  • 「スカウト型採用」成功のカギは、採用プロセス全体の見直し【セミナーレポート】

ご案内・お問い合わせ

DODAでは「人材採用の課題解決を支援する」さまざまなサービス・情報をご提供しております

DODA/採用支援サービスについて お問い合わせ

TOPに戻ります