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外国人採用はますます本格化。ビザや受け入れはどうする?メリット・注意点を徹底解説

PROFILE

株式会社With World 代表取締役

一般社団法人日本国際化推進協会 事務局長
田村 一也【寄稿】

2007年株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。キャリアコンサルタントとして、企業の採用支援の他、京都支社立ち上げや外国人留学生のための就職支援“Japan Work Support”の立ち上げなど多方面に活躍。その後2016年には、一般社団法人日本国際化推進協会 事務局長として外国人材の調査および課題解決、留学生サポートを行っている。また、独立行政法人経済産業研究所 研究プロジェクトメンバーとして「外国人の就労・移住に関する研究」を勢力的に実施している。

ここ数年、労働力人口の減少が著しく採用に苦戦している企業も多い中で、多様な人材の活用推進が急激に加速しています。女性活用やシニア活用と同じく、注目されているのが「海外国籍の人材活用」です。しかし、「外国人採用はどのように行えばいいのかわからない」「優秀な人材がいそうだが、手続きが大変そう」などと二の足を踏まれている企業も多いのではないでしょうか。そこで、今回は「なぜいま外国人採用なのか」をテーマに、具体的な手続き方法までお伝えします。

なぜ今、外国人材採用を考える必要があるのか?

外国人材の採用を検討する必要がある理由は2つあります。1つ目は、日本の労働力、生産年齢人口の減少です。総務省の統計データによると、日本の労働力人口は2016年7,656万人から2030年6,875万人になる予測が出ています。つまり、この先十数年で約800万人の労働力が日本からいなくなることが予想されます。政府は「働き方改革」で、女性やシニア、そして外国人材の就業促進、副業・兼業を進めることで、労働力不足を補おうとしています。このように、労働力不足の解決策の一つとして外国人材が今注目されています。

2つ目は、国内マーケットの縮小です。総務省の統計データでは、2016年の日本の総人口は約1億2,700万人ですが、2030年には1億1,900万人まで減少する予測が出ています。さらに、この減少スピードは加速し、2050年前後には人口1億人を下回る可能性すら出ています。このような状況で、国内顧客に対する売上は伸び悩み、減少していくパイの取り合いになることが予想されます。日本が外国人材の受け入れを急速に進め、国内に新たな消費者が増える可能性がゼロではないですが、新たな市場として海外マーケットを意識した事業戦略は、これまで以上に必要になるのではないかと思います。以上のような外部環境要因を考慮した際に、多くの企業が外国人材の採用を早かれ遅かれ検討せざるを得ない状況になることが考えられます。
人口の推移と将来人口

(総務省統計局『2- 1 人口の推移と将来人口』より加工)

外国人材の受け入れ状況と種類(ビザの違い)を知る

外国労働者の受け入れ状況とは

では、日本における外国人材の現状は、どうなっているのでしょうか。まず、外国人労働者数の推移です。昨年2017年、外国人労働者の総数は全国で120万人を超えました。過去10年間を遡って、東日本大震災があった翌年2012年を除き、毎年増加しており、増加人数も年々高まっています。さらに、2016年『日本再興戦略改訂2016』に明記された国内留学生の就職促進(就職率30%から50%への向上)、2017年『未来投資戦略2017』に明記された高度外国人材の獲得(2020年末までに10,000人の認定を目指す)、2018年『経済財政運営と改革の基本方針 2018』に明記された新たな在留資格の創設など、政府方針としても、今後さらに外国人労働者は拡充させていく方向にあるように見受けられます。

ビザの観点で見る、外国人労働者の違い

今、「留学生」「高度外国人材」と述べたように、外国人労働者120万人は、すべて同じ労働者ではありません。日本に在住するためのビザの観点で、外国人労働者を分類すると、【A】永住者・日系人【B】留学生(資格外活動)【C】技能実習【D】専門的・技術的分野に、大きく分けることができます。

分類とらえ方ポイント
【A】永住者・日系人
【B】留学生(資格外活動)アルバイト人材年20%前後の増加率/週28時間の労働時間の上限/長期休暇中は1日8時間まで
【C】技能実習ワーカー人材年20%前後の増加率
【D】専門的・技術的分野ホワイトカラー人材年20%前後の増加率

このうち【B】【C】【D】は、年20%前後の増加率を示しており、特に増加率が高い外国人労働者になります。一部例外も含まれますが、あくまで簡単に表現すると、【B】は「アルバイト人材」【C】は「ワーカー人材」【D】は「ホワイトカラー人材」と、捉えてもよいかもしれません。また、それぞれビザで認められる仕事内容や就労条件は異なるため、それを知ることも重要です。例えば、【B】留学生(資格外活動)は、週28時間の労働時間の上限があります。これは1つのアルバイトではなく、掛け持ちしていた場合、すべてのアルバイトの合計労働時間です。夏休みなど長期休暇中は1日8時間まで労働が認められますが、本来留学生は日本に勉強するために来ているという前提がありますので、労働が主目的とならないような仕組みがあります。これを破った場合、労働者本人(留学生)だけでなく、受け入れた企業も罰せられる対象となるため、注意が必要です。

在留資格別にみた外国人労働者の推移

労働者種別

外国人労働者の傾向とは

このような法律面でのビザについて知ることと併せて、外国人労働者の「国籍」や「職務内容」のトレンドについても、少し触れておきたいと思います。日本で最も多い国籍は、「中国籍」の外国人で、全体の約60%を占めています。やはり総人口が多く、かつ日本に地理的に近いこと、そして漢字圏で言語が日本語に近いことから、労働者が多くなっています。また、アリババやテンセントなど一部の中国企業はグローバルで存在感を増しているとはいえ、中国における初任給の平均は日本円で約10万円です。日本の約20万円に比べたら、まだまだ給与水準は高くはない状況です。さらに、中国は日本以上に学歴社会で競争も激しい社会です。そのため、中国の中間層は日本へ留学し、日本で就職を希望する人も少なくない状況です。次に、近年増加の一途を辿るのが「ベトナム籍」の外国人です。ベトナム現地で日本語が第二言語に指定されるなど、ベトナムにおける日本人気は非常に高いものがあります。また、留学を斡旋するエージェントも現地に増加しており、日本留学をするベトナム人が増えていることも大きく影響しています。
日本で最も多い国籍

 
 

「職務内容」については、先に述べた「【D】専門的・技術的分野」の詳細から確認することができます。最も多いのは、「翻訳・通訳」に関するビザで、次に「販売・営業」となっています。元々技術系や管理専門職に比べるとポジションが多い職務内容かもしれませんが、近年のインバウンド顧客の対応等も影響しているのかもしれません。このようなデータは法務省のHPから確認することができます。
職務内容

外国人材採用のメリットと課題・注意点

外国人材採用のメリットと課題・注意点
最後に、外国人材の採用に関する利点と課題について、事例を踏まえながらお伝えします。外国人材活用は多くの企業が避けては通れない取り組みと思いますが、外国人材が活かされやすい企業とそうではない企業があるように感じます。

外国人材採用のメリットは「新たな市場開拓」と「組織に刺激を生み出すこと」

具体的には、「顧客が外国人か?」が一つのポイントではないかと考えます。例えば、私が知る住宅仲介会社では、外国人スタッフが、日本語が拙い顧客に対して母国語でコミュニケーションを取ることで接客をしています。また、ある医療機関では、外国人スタッフが母国語対応することで、特定の国籍の患者が増えたり、海外からの医療ツーリズムの問い合わせが入ったりするという事例があります。多くの人にとって身近な例は、ドラッグストアの中国人スタッフでしょう。中国人観光客の中国語の問い合わせに答えることで、売上増加に繋げている店舗が非常に多くなっているのではないかと思います。
アウトバウンド(日本のモノやコトを海外へ)についても同様です。ある広告代理店では、外国人材を活用して、海外メディアに日本のコンテンツを露出させることで、クライアントの商品を海外にプロモートさせることに成功している事例があります。また、越境ECを行う企業では、ベトナム人材を活用して、日本語も英語も通じない現地の消費者にベトナム語で情報を届け、売上倍増に繋げたケースもあります。その他、日本と海外では商習慣が異なるため、いくつかのメーカーでは、外国人材が母国に対して新たな市場を開拓する役割を担っているケースがあります。

このような顧客起点での外国人材活用の他に、組織に好影響をもたらすケースもあります。外国人材の多くは、比較的真面目な方が多いように感じます。細部にこだわる丁寧さやホスピタリティなどの点では、日本人の方が育ってきた環境、これまで受けてきたサービスの影響から、高いかもしれません。しかし、外国人材の多くは、日本で生活をすること、日本文化に適応していくことに必死ですし、学習意欲が高い方も多い傾向が見られます。そのような熱心さゆえ、日本人社員の刺激剤となり、既存社員のモチベーション向上に繋がったという声を複数の企業から聞くことがありました。日本語+母国語、場合によっては、3~4言語を話すマルチリンガル人材との交流は、日本人社員の言語力向上や学習意欲向上に繋がるケースもあります。

外国人材採用の注意点は「ビザ等の手続き周り」と「職場環境の整備」

一方で、外国人材の受け入れがすべてにおいてポジティブというわけではありません。外国人材の採用方法、母集団形成は、日本人と異なります。例えば、新卒採用で日本人学生の多くが利用するナビサイトを利用しない国籍の外国人留学生も少なくありません。また、内定を出した後もビザの申請なしに雇用することはできません。ビザの申請については、入国管理局のHPに明記されていますが、企業規模によっても必要書類が異なり、初めてビザ申請を行う企業にとっては少しハードルが高いように感じるかもしれません。また、ビザ申請の手続き自体も手間になりますが、ビザ取得後に更新手続きも発生します。
デメリット
さらに、採用した外国人材が定着しやすい環境作りもコストになります。具体的には、ビジネス日本語のニュアンスや企業文化など、日本人にとっての当たり前を理解し、外国人材に説明し、認識を合わせるコミュニケーションが必要になります。それが不十分だと、意図せず認識のギャップが生じ、外国人材はストレスを感じ、早期退職に繋がる場合もあります。これを避けるためには、外国人材向けの研修はもちろん、受け入れる側の日本人社員向け、特にマネジメント層への研修が必要になります。さらには、外国人材特有の福利厚生なども必要になるかもしれません。例えば、宗教行事に対する配慮が、その一つです。「ムスリム向けにお祈りするためのスペースを確保する」「ハラル対応できるように社員寮への入寮を必須にしない」なども挙げられます。また、定着率を高める取り組みとして、外国人材の家族との関係を配慮することも重要になるかもしれません。外国人材の多くは、日本人よりも家族に対する優先度が高いように見受けます。一方で、国籍によっては、家族との物理的な距離が大きく、簡単には会えない方もいます。そのような外国人材に対して、家族との時間を作れる仕組み、具体的には長期休暇制度や母国の家族を日本へ招待するなど、外国人材がより長期的に働きたくなるような仕組み作りを構築していくことも必要になると考えます。

【まとめ】

これからの労働人材不足に向けて、多くの企業が検討されるであろう「外国人労働者の採用」。マーケットの市場開拓や組織活性といった相乗効果が見込めるでしょう。その一方、外国人材の受け入れを行うための採用活動や社員教育、人事制度など、新たに生じたり変えたりするためのコストが生じることも念頭に検討していく必要があります。足らない部分は何かを把握し、外国人採用を実施していきましょう。

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