外国人採用はますます本格化。ビザや受け入れはどうする?メリット・注意点を徹底解説

d’s JOURNAL編集部

外国人を採用するかを初めて検討する場合、何から始めればよいか戸惑う部分もあるでしょう。採用するメリットだけでなく、課題や注意点についても押さえておく必要があります。

また、実際に採用するときの手順などを理解しておくと、スムーズに採用活動を進めていけるでしょう。この記事では、外国人を採用するときのステップや注意点などを解説します。

外国人採用における現状


外国人の採用について考えるときは、実際にどの程度の人数が日本で働いているのかを把握しておくことが大切です。また、外国人の採用が求められている理由を理解したうえで、自社の採用計画を検討してみましょう。

外国人の採用状況

厚生労働省が2023年10月に公表している「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によれば、日本で働く外国人労働者数は204万8,675人となっており、外国人労働者を雇用する事業所数は31万8,775所です。前年比で外国人労働者数は12.4%の増加、事業所数で6.7%の増加という結果であり、届出が義務化された2007年以降において過去最高を更新しています。

外国人労働者数は2008年の統計から見ても、2023年現在まで増加傾向が続いています。国内のさまざまな業種で人手不足が経営課題となっているため、今後も外国人労働者の採用は続いていくことが予測されているといえるでしょう。

外国人労働者数を国別で見ていくと、2023年10月時点において「ベトナム」の約51万8,364人が最も多く、外国人労働者数全体の25.3%を占めています。続いて「中国」の約39万7,918人、「フィリピン」の約22万6,846人となっており、3カ国の割合を合計すると55.8%となり、全体の半分以上を占めています。

さらに外国人労働者数について、産業別の割合で比較をすると「製造業」が27.0%(55万2,399人)と最も多い状況です。次いで、「サービス業(他に分類されないもの)」が15.7%(32万755人)、「卸売業・小売業」が12.9%(26万3,555人)という結果となっています。

(参考:厚生労働省『外国人雇用状況の届出状況まとめ 』)

外国人の採用が求められている理由

外国人労働者の採用が活発な理由として、人手不足の解消といった点が挙げられます。日本国内においては少子高齢社会となっており、労働人口が今後も減少していくことが予測されています。

多くの業種や職種で人手不足が経営課題となっていますが、国内の人材だけではまかない切れない部分もあるでしょう。そのため、若い人材が豊富な海外の労働市場に注目が集まっており、多くの企業で外国人の採用が進んでいるものと考えられています。

また、人口減少の影響によって、国内のマーケットが縮小傾向にあることも関係しています。特に内需向けの業種においては、国内市場がこのまま縮小していけば経営に大きな影響が出てしまうでしょう。

事業を持続的に成長させていくには海外のマーケットにも目を向ける必要がありますが、何のノウハウもないまま海外市場に進出するのはリスクも存在します。多言語に精通し、海外の事情に明るい外国人を採用することで、海外のマーケットに進出するための足がかりを得たいと考える企業も増えています。

いちから海外進出の準備を整えるよりも、すでに海外の情報に詳しい外国人を採用するほうが、スムーズにビジネスを展開できるといったメリットがあるでしょう。上記のような理由から、国内企業において外国人の採用が活発になっているといえます。

外国人の受け入れ状況とビザの違い

外国人の採用にあたっては、国の方針なども含めてどのような動きがあるのかを理解しておくことが大事です。ビザの種類の違いについても解説します。

外国人労働者の受け入れ状況

外国人労働者の受け入れ状況は、前述の通り年々増加傾向にあります。東日本大震災の影響があった2012年を除き、外国人労働者数・増加率はともに高い水準で推移しています。

外国人労働者の受け入れは国家戦略としても位置付けられており、2016年に公表された「日本再興戦略改訂 2016 」では国内留学生の就職率を30%から50%へ引き上げる目標が示されました。また、続く2017年の「未来投資戦略 2017 」では高度外国人材の獲得が明記され、2018年の「経済財政運営と改革の基本方針 2018 」では新たな在留資格の創設などの方針が示されています。

2019年4月から、「特定技能制度」がスタートし、新たな枠組みでの外国人労働者の受け入れが始まりました。特定技能制度とは、国内で人材を確保することが難しい産業分野において、一定の専門性や技能を持っている外国人の受け入れを目的とした制度です。

国や自治体も外国人労働者を受け入れるためのさまざまな支援を行っており、企業においては以前よりも外国人を採用しやすい環境が整いつつあるといえるでしょう。

ビザの違い

外国人を労働者として採用する際に気を付けておきたい点として、在留資格の違いが挙げられます。就労資格という部分から外国人労働者を見ていくと、次の4つのカテゴリーに分けられます。

外国人労働者の主な区分

在留資格の分類 主な特徴
就労目的で在留が認められる者 いわゆる専門的・技術的分野の人材。高度な専門的な職業(大学教授、弁護士など)、大卒ホワイトカラー、技術者(エンジニアなど)、外国人特有又は特殊な能力などを活かした職業(通訳、料理人、パイロットなど)の3つに大別される。
身分に基づき在留する者 定住者(主に日系人)、永住者、日本人の配偶者など
特定活動 技能実習、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者など
資格外活動 留学生のアルバイトなど。本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内(留学生:1週28時間以内、就学生:1日4時間以内)で、相当と認められる場合に報酬を受ける活動が許可される。

(参考:厚生労働省「我が国で就労する外国人のカテゴリー 」)

「身分に基づき在留する者」については、他の在留資格とは異なり、活動に制限がないのが特徴です。さまざまな職種に就労できるため、受け入れやすい人材であるといえるでしょう。

一方、その他の在留資格は許可されている活動内容が決まっているので注意が必要です。就労できる範囲を超えて業務を任せてしまえば、不法就労と見なされてしまう恐れがあり、企業としても処罰の対象となるケースがあります。

また、留学生のアルバイトのように、1週間で就業可能な時間数が決まっている在留資格もあるので、採用時に十分確認を行っておくことが大切です。

外国人を採用するメリット

外国人労働者を採用するメリットとして、以下の点が挙げられます。

外国人労働者を採用する4つのメリット
・若手人材を獲得できる
・グローバルな人材を採用できる
・助成金などを活用できる
・海外進出の足がかりを得られる

各メリットについて解説します。

若手人材を獲得できる

外国人労働者を採用するメリットとして、若手人材の獲得につなげられる点が挙げられます。国内の労働人口の減少に伴い、特に若手人材を得ることが企業にとっては厳しい状況になっています。

ただ、世界的に見れば人口増加の傾向にあり、若くて意欲のある外国人労働者は多く存在しているといえるでしょう。日本人の採用だけでなく、外国人にも採用の間口を広げてみることで、人手不足の解消につなげられる可能性があります。

業種や職種によっては、特定の専門的な知識や技能を備えた人材を獲得するのが難しい場合もあるため、外国人も含めて採用計画を立てていくことが大事だといえます。多様な人材を受け入れる姿勢を示すことで、採用活動全体を活性化させるきっかけにもなるはずです。

従来の採用方法だけに捉われず、広く人材を募集する方法として外国人の採用を検討してみましょう。

グローバルな人材を採用できる

外国人を採用すれば、海外進出への足がかりを得られるというメリットもあります。母国語だけでなく、多くの言語に関する知識があり、海外の事情に詳しい人材を採用できれば事業活動の幅を広げられるでしょう。

特に海外企業や海外との顧客とのやりとりが多いケースにおいては、貴重な人材として活躍してもらうことが期待できます。グローバルな視点で仕事に取り組んでもらえる人材がいれば、社内の活性化にもつながっていくはずです。

日本とは異なる文化や環境で育った人材だからこそ、新たな価値観や発想を社内にもたらしてくれるでしょう。すでに海外向けのビジネスを展開していたり、これから海外のマーケットに進出しようと検討していたりする企業において、国際的な感覚を備えた人材の確保は欠かせません。

国内では獲得が難しい高度なスキルを備えた人材でも、海外の労働市場に目を向ければ多くの人材と出会えるチャンスが生まれます。グローバルな人材の採用について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

(参考:『グローバル人材とは?定義や求められる能力、社内で育成する方法を解説 』)

助成金などを活用できる

外国人労働者の採用に関しては、国や自治体なども積極的な取り組みを行っており、採用にあたって助成金・補助金制度を活用できる場合があります。例えば、厚生労働省が実施している「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」などが挙げられるでしょう。

この助成金制度は、外国人を雇用する際に必要な就労環境の整備を支援するためのものであり、受給要件をすべて満たした事業主に対して、以下の支給が行われます。

人材確保等支援助成金の支給額

区分 支給額(上限額)
賃金要件を満たしていない場合 支給対象経費の1/2(上限額57万円)
賃金要件を満たす場合 支給対象経費の2/3(上限額72万円)

(参考:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) 」)

主な受給要件として、外国人労働者を雇用している他、認定を受けた就労環境整備計画に基づいて必要な取り組みを実施していることが挙げられます。具体的には、雇用労務責任者の選任、就業規則などの多言語化、一時帰国のための休暇制度の整備などです。

他にも細かな要件をクリアしなければならない場合もあるので、助成金や補助金の活用を検討するときは、国や自治体が公表している最新情報をチェックしてみましょう。

海外進出の足がかりを得られる

国内の人口減少の影響は、労働者の確保といった課題だけでなく、国内マーケットの縮小といった課題も生じさせています。事業を持続的に成長させていくには、海外マーケットにも目を向ける必要がありますが、いちから取り組んでいくには時間もかかりますし、リスクに対する懸念もあるでしょう。

海外の情報に明るい外国人の人材を採用すれば、海外進出への足がかりを得やすくなるため、新たな事業展開を進めていくきっかけになるはずです。また、新たな価値観や発想を持った人材がいることで、他の従業員にもよい影響を与えるでしょう。

マーケットが異なれば、従来の発想だけに捉われない行動が求められるといえます。単に人手不足を解消するためだけに外国人採用を考えるのではなく、事業を拡大・成長させるための人材として捉えていくことも大事な観点だといえます。

外国人の採用における課題


外国人を採用するときは、いくつかの課題があることを事前に把握しておく必要があります。具体的な課題点として、次のようなものが挙げられます。

外国人を採用するときの3つの課題点
・文化や習慣の違い
・コミュニケーションに関する課題
・採用するまでの手続きが煩雑

それぞれの課題点を解説します。

文化や習慣の違い

外国人の採用における課題の一つとして、文化や習慣の違いが挙げられます。日本とは異なる環境で育ってきた外国人にとって、働き方や生活習慣をいきなり合わせてもらうことは難しいでしょう。

むやみに価値観を押し付けてしまえば、トラブルに発展してしまうこともあるので、時間をかけて理解してもらうことが大切です。また、日本語の能力だけでなく、文化の違いから初めのうちはコミュニケーションが円滑に行えない部分もあるでしょう。

他の従業員の協力も得ながら、外国人の人材が定着するようにサポートしていくことが必要です。少しずつお互いの距離を縮めていくことで信頼関係が構築され、結果として組織力を高めることにもつなげていけます。

コミュニケーションに関する課題

日々の業務を円滑に進めていくうえで、コミュニケーションは欠かせないものですが、すぐに日本語でやりとりするのが難しい場合もあります。日本語の細かなニュアンスを理解するには時間もかかるため、できるだけ誰にでもわかる表現で伝えていくことが大事です。

また、日本語でのやりとりに支障がなかったとしても、文化的な背景の違いから摩擦を生んでしまうこともあるでしょう。日本ではよい行いだと思われていることでも、海外では悪い行いだと判断されるものもあります。

コミュニケーションを円滑にするには時間がかかりますが、それぞれの文化を理解するための社内交流会などを実施し、従業員同士の理解を深めていくことが重要です。

採用するまでの手続きが煩雑

外国人を採用するまでには、在留資格の確認や労働条件の擦り合わせ、日本で働くための生活環境の整備などさまざまな手続きが必要になります。同時に複数の手続きを行わなければならないため、どのタイミングで何の手続きが必要であるかを整理し、事前にスケジュールを立てておくようにしましょう。

特に就労ビザの取得については、申請から取得まで1~3カ月ほどかかります。入社日に問題がないかをチェックし、申請が不許可とならないように、在留資格と業務内容が合っているかを確認しておきましょう。

外国人の採用にあたっては、労働関連の法令を遵守するだけでなく、外国人の雇用に関する特有のルールなども理解しておかなければなりません。社内での対応が難しい場合は、外国人の採用をサポートしてくれる外部機関に早めに相談し、適切なアドバイスを受けてみましょう。

外国人を採用するためのステップ


外国人の採用をスムーズに進めるには、基本的な手順を押さえておくことが大事です。主な流れは以下の通りとなります。

外国人を採用するための6つのステップ
1. 求人の募集を行う
2. 在留資格を確認する
3. 選考を実施する
4. 雇用契約を締結する
5. 在留資格の申請、変更を行う
6. 入社までのフォローに取り組む

各ステップのポイントを解説します。

求人の募集を行う

外国人の採用においても、通常の採用活動と同じように求人を募集するところから始めます。ただし、外国人の求人をかけるときには、いくつか注意しておかなければならない点もあります。

具体的には、在留資格の関係から就労できない職種や業種もあるため、まずは募集する仕事が在留資格に合っているかをチェックしてみましょう。また、雇用期間や労働時間の制限なども、在留資格によって違ってくるため、あわせて確認が必要です。

そして、通常の採用業務と同じように、労働条件を求人内容にきちんと明記します。給与や賞与、福利厚生制度などに加えて、一時帰国の際の休暇制度などについても明示しておきましょう。

労働条件について不明確な部分があれば、後からトラブルになる恐れがあるばかりか、企業イメージそのものが損なわれる可能性があります。労働条件は簡潔な内容でまとめ、誤解が生じないように注意してみましょう。

求人内容が固まったら、実際に採用活動を進めていきます。すでに社内に外国人の従業員がいる場合は、友人や知人などを紹介してもらうのも一つの方法です。

ホームページやSNSなどを通じて情報発信を行いながら、思うように応募が集まらないときは求人メディアや人材紹介サービスの活用なども検討してみましょう。さまざまな方法を組み合わせて、応募の母集団を増やしていくことが大切です。

また、外国人の採用といっても国内に在住している人向け、海外に住んでいる人向けかで発信する内容やアプローチも異なってきます。一定の採用ノウハウが必要な部分もあるので、必要に応じて外部機関のサポートやアドバイスを受けることも肝心です。

特に初めて外国人の採用活動を進める際は、法令や手続きへの知識不足から、不安を感じる部分もあるでしょう。外国人の採用支援に豊富な実績のある外部機関に相談して、採用活動を進められる体制を構築していくことが重要です。

在留資格を確認する

外国人からの応募があった場合には、職種や業種に応じた在留資格を保有しているかを入念に確認する必要があります。仮に、在留資格がない外国人を業務に就かせてしまえば、不法就労助長罪などに問われる可能性があるため、慎重にチェックを行いましょう。

不法就労助長罪とは、出入国管理及び難民認定法の第73条の2に規定されているものであり、違反をした場合には3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。在留資格に問題がなくても、認められている範囲外で業務を行わせてしまえば、不法就労と見なされるケースもあるので、不明な点があるときは外部の専門家に確認を行い、安易に判断をしないように注意しましょう。

在留資格に関するチェックは採用担当者がしっかりと行う必要がありますが、制度そのものが複雑な部分もあるため、必要な知識を身につけるまでに時間がかかる部分もあるでしょう。社内だけで判断をすることに不安があるようなときは、速やかに外部に相談を行い、確認作業に不備が生じないようにすることが大切です。

採用予定者の口頭による申告のみで確認を済ませるのではなく、在留資格があることを証明する書類の原本を必ず確認するようにしましょう。在留期限が切れていないかも、あわせてチェックしてみてください。

(参考:e-Gov「出入国管理及び難民認定法 」)

選考を実施する

応募資格に問題がなければ、面接などの選考を実施します。書類審査や筆記試験によって、経歴や基礎学力、日本語の能力などは確認することができますが、面接を通じて人柄や仕事に対する意欲などを見極めてみましょう。

面接において失敗しがちな例として、日本語能力の高さだけを評価して採用を決めてしまうケースがあります。日本語を流ちょうに話せるのは評価のポイントとはなりますが、それだけで判断をしては採用後のミスマッチにつながる恐れがあるので気を付ける必要があります。

いくら言語能力が高いといっても、業務における適性を備えているとは限りません。これまでの職歴なども含めて、業務に関係する専門的な知識も尋ねてみましょう。言語能力や職歴に問題がない人物であれば、多少高度な質問であっても受け答えができるはずです。

また、職歴について確認するときは、日本と海外とではキャリアの捉え方などに違いがあることを踏まえておく必要があります。日本人の応募者を選考するときの感覚で考えてしまうと、認識のズレが起こる可能性があるでしょう。

一つひとつのキャリアについて、どのような立場で業務を担当したのかをチェックしていくことが大事です。働くことにおける文化や慣習の違いを理解したうえで、丁寧にコミュニケーションを行ってみてください。

雇用契約を締結する

選考の結果、採用が決まったら雇用契約を締結します。あらかじめ求人内容で提示した労働条件と、雇用契約書の内容に齟齬が生じていないかを確認し、一つひとつの条件を丁寧に説明していきましょう。

日本では当たり前のルールであっても、外国人の方にとっては十分に理解ができない内容もあるため、きちんとコミュニケーションを図っていくことが重要です。何か不明点や疑問点があれば丁寧に対応し、あいまいな表現をしないように気を付けましょう。

また、人によっては日本語能力の問題などもあるので、時間をかけて説明していく姿勢を取ることが大切です。文章だけですべてを説明するのではなく、必要に応じて図表なども用いて、理解してもらえるように工夫してみましょう。

在留資格の申請、変更を行う

海外在住の外国人を採用する際は、入国のための在留資格の申請が必要になります。国内に在住している外国人を雇入れる場合も、在留資格の変更が必要になるケースがあるので、事前によく確認しておきましょう。

在留資格の申請は提出する書類も多く、働く側だけでなく企業側も手続きを行わなければならない部分もあります。申請や変更の手続きに時間がかかってしまえば、入社のタイミングを遅らせなければならないといった事態も招いてしまうので、必要に応じてサポートを行ってあげることも大切です。

人材紹介サービスや行政書士など外部の専門家のアドバイスやサポートを受けながら、スムーズに手続きが進むように取り組んでみましょう。

入社までのフォローに取り組む

在留資格の申請・変更の手続きを進めると同時に、入社に向けた生活・業務面での準備も整えていきましょう。住居の確保や銀行口座の開設、自治体への各種届出の提出などさまざまな手続きが必要になりますが、初めて日本で働く人の場合は自分だけで準備を整えることが難しい場合も多いものです。

そのため、必要に応じて企業側がサポートを行って、適切なフォローをしていきましょう。また、入社後の生活や業務をスムーズに行えるように、業務に関する事前研修や生活関連のオリエンテーションなどを実施しておくとよいでしょう。

あらかじめ必要と思われる部分について指導を行っておくことで、無用なトラブルの回避につながります。本人の要望や相談などを踏まえたうえで、既存の従業員の理解や協力も得ながら、一つひとつの準備を整えてみてください。

雇用形態別の採用のポイント


外国人の採用について、雇用形態ごとに必要となる書類や注意点などは異なります。どのような違いがあるのかを見ていきましょう。

正社員を採用するケース

外国人を正社員として採用する場合、長く継続して働いてもらうことを前提としている場合が多いでしょう。専門的な知識や技能、キャリアを活かしてもらいたいと考えるケースが多いはずです。

選考の段階で、在留カードや就労資格証明書などの書類を提示してもらうことは適切でないとされているため、応募者の選考は履歴書や職務経歴書を中心に行うことになります。また、職業安定法においては社会的差別の原因となる恐れがある個人情報の収集は禁止されているため、国籍や健康診断などの結果を示す書類を提示してもらうことは避けたほうが無難です。

在留資格や在留期限などについては、履歴書や職務経歴書にあらかじめ記入しておいてもらいましょう。また、日本語の能力を確認するために、日本語能力試験の結果を提示するように求める企業が多いといえます。

派遣社員を採用するケース

派遣社員として外国人を採用する場合も、在留資格や在留期限のチェックは必要ですが、受け入れを行う企業が行うわけではありません。不法就労を防止するために、身元確認は派遣元企業が行うルールとなっており、派遣先企業が特定行為(面接など)を実施することは、労働者派遣法によって禁止されています。

同様に、履歴書や職務経歴書の提示を求めることもできないので注意しましょう。ただ、職場見学などを実施することは問題ないといえるので、採用前にどの範囲まで候補者と接することができるのかを事前に確認しておきましょう。

パート・アルバイトを採用するケース

パート・アルバイトとして、外国人を採用する場合には就労時間などに制限が設けられている場合があるので注意しましょう。留学生などをパートやアルバイトとして採用する場合、本来の在留資格の活動に支障が出ない範囲で働いてもらうことが可能です。

具体的には、留学生の場合は1週間あたり28時間以内、就学生の場合は1日4時間以内と決められています。在留カードの裏面に、資格外活動の許可が下りていれば就労してもらうことができます。

また、企業が直接雇用する形となるため、選考においては履歴書や職務経歴書などの提出を求めることが可能です。

外国人を採用する際の注意点


外国人を採用するときには、以下のような点に気を付けておくことが大事です。

外国人の採用時に気を付けておきたい6つのポイント
・労働条件の相違に気を付ける
・同一労働・同一賃金などのルールを守る
・各種届出に注意する
・差別的な対応にならないように気を付ける
・在留資格の種類と勤務内容が合っている必要がある
・入社後のフォローをしっかりと行う

それぞれのポイントを解説します。

労働条件の相違に気を付ける

外国人労働者の採用時に限らず、事前に提示した労働条件と実際に働いたときの労働条件に違いがないように気を付ける必要があります。賃金や福利厚生、一時帰国のための休暇制度など具体的な労働条件を提示して、内容をきちんと理解してもらえているか、確認しておきましょう。

企業としては十分な説明を行っているつもりでも、労働慣行や法律などの違いから労働者との間に認識のズレが生じている場合があります。ズレが解消しないまま、実際に働き始めると思いがけないところでトラブルの原因となり、早期離職につながってしまう可能性があります。

働く側からの質問や相談には丁寧に対応し、緊密なコミュニケーションを取っていくことが大事です。また、法律のルールは言葉の壁などの問題から理解してもらうのが難しいケースもあるので、多言語対応したマニュアルなどを作成して、労働者の理解と納得を図るようにしましょう。

同一労働・同一賃金などのルールを守る

同一労働・同一賃金とは、同じ業務に従事するのであれば、同一の賃金を支払わなければならないというルールをいいます。外国人の採用においても、日本人の場合と同様に、労働基準法や最低賃金法などで定められたルールを遵守する必要があります。

また、福利厚生制度の利用についても同じであり、雇用形態などの立場によって差別が生じないように十分注意しましょう。外国人労働者が安心して働けるように、日本人の従業員に対して事前に説明を行い、理解を得ておくことが大切です。

各種届出に注意する

外国人を雇用するときには、「外国人雇用状況の届出」の提出が義務付けられています。法律によって定められたルールであり、外国人を雇入れる事業主は、氏名や在留資格などの情報を記載した書類を管轄するハローワークに提出しなければなりません。

オンラインで提出を行う場合には、厚生労働省の「外国人雇用状況届出システム」を利用します。届出の提出期限は、雇入れを行った翌月末日までとなっており、雇用保険被保険者資格取得届を提出する場合は、雇入れ日の翌月の10日までが期限となっています。

正社員やアルバイトといった雇用形態にかかわらず、提出が義務付けられているので注意しましょう。

(参考:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ 」)

差別的な対応にならないように気を付ける

外国人を雇入れる際に気を付けておきたい点は、差別的な対応を取らないということです。国や文化の違いなどから、意図せず行った発言であっても、場合によっては差別的発言と受け取られるケースがあります。

言葉の壁だけの問題ではなく、日本とは異なる生活環境で育ち、価値観や考え方に違いがあることを十分に理解しておきましょう。外国人労働者に日本の文化や価値観を理解してもらうことも大事ですが、同時に日本人労働者に対しても、異文化への理解が進むように研修などを通じて伝えていくことが大切です。

必要に応じて、外部の専門家のアドバイスなども得ながら、社内のコミュニケーションが円滑になるように配慮してみましょう。

在留資格の種類と勤務内容が合っている必要がある

在留資格で認められた勤務内容の範囲外で申請を行っても、不許可となってしまうので注意が必要です。申請する内容は、在留資格の種類と勤務内容が合致していなければなりません。

また、就労後に在留資格で認められた範囲外で業務を任せてしまうと、不法就労と見なされることがあるので気を付けましょう。労働者本人だけでなく、企業としても責任を問われる恐れがあるため、在留資格の種類と勤務内容がきちんと合っているかを申請前や就労後には確認してみてください。

入社後のフォローをしっかりと行う

外国人を採用するにはさまざまな手続きを行う必要がありますが、せっかく採用しても早期に離職してしまうケースもあります。採用活動が終わってからも、入社後の丁寧なフォローを実施することで人材の定着につなげていけます。

事前に十分な説明やサポートを行っていたとしても、実際に働き始めてみなければわからないことも多いものです。外国人労働者が業務や生活で何か困ったことがあった場合に、いつでも相談できる体制を整えておきましょう。

まとめ

人手不足の解消や海外事業に進出する足がかりを得るために、外国人労働者の採用を検討することもあるでしょう。日本国内における外国人労働者数は増加傾向にあり、今後も労働人口の減少や国内マーケットの縮小などの影響から、多くの外国人が日本で働く情勢にあるといえます。

外国人を雇用するには、法律知識の習得や異文化への理解、申請や届出に必要な手続きの確認など多岐にわたる準備を行わなければなりません。外部の専門家のサポートを受けつつ、外国人労働者だけでなく、日本人の労働者もともに働きやすい環境を整えてみましょう。

(制作協力/株式会社STSデジタル、編集/d’s JOURNAL編集部)

【Word版】外国人労働者雇用理由書

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