グローバル人材の定義とは?必要なスキルや語学力と企業が行う育成・採用方法について解説

d's JOURNAL
編集部
グローバル人材とは?
なぜグローバル人材が必要なのか?
グローバル人材に求められる英語力とは?
グローバル人材に必要な能力とは?
グローバル人材の育成方法について
グローバル人材の採用方法について
参考にしたい企業のグローバル人材育成プログラム

現在、さまざまな業界でグローバル化の動きが加速し続けています。そんな中で、世界を舞台にして活躍をしてくれる人材の重要度はますます高まっています。今の採用市場において、英語をはじめ多言語を扱える“グローバル人材”の確保は、企業成長において急務といっても過言ではありません。しかしながら、海外進出企業980社のうち、70%もの企業が「海外事業のための人材が不足傾向にある」と答えており、グローバル人材の採用・育成は重要課題であるようです。

総務省調べ「貴社では、海外事業に必要な人材は確保されていますか。

グローバル人材とは?

グローバル人材とは、国を超えてグローバルに活躍できる人材のこと。一般的には、語学が堪能で、他の国の人たちと円滑にコミュニケーションを取りながら、業務を進められる人を指します。

日本では近年、少子高齢化が進んでいることもあり、政府は企業におけるグローバル人材育成を推進しています。そうした状況を受け、「文部科学省」や「総務省」において、各省の観点からグローバル人材育成についての議論が進められてきました。

各省におけるグローバル人材の定義について、見ていきましょう。

文部科学省の定義

文部科学省は、産学連携という観点から、グローバル人材について協議しています。2011年4月には、「産学連携によるグローバル人材育成推進会議」の報告資料として、『産学官によるグローバル人材の育成のための戦略』を発表しました。

「産学連携によるグローバル人材育成推進会議」とは、「急速に進むグローバル化に対応した人材の育成」および「産学連携による国際化戦略の構築」について話し合うための会議です。国内の名門大学の教授や、大手企業の経営陣などで構成されています。報告資料において、グローバル人材を以下のように定義しました。

文部科学省の定義

世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間

(参考:文部科学省『産学官によるグローバル人材の育成のための戦略 平成23年4月28日産学連携によるグローバル人材育成推進会議』)

総務省の定義

総務省は、グローバル人材育成の推進に関する政策について、総体としてどの程度効果を上げているかといった総合的な観点から、グローバル人材について協議しています。2017年7月には、『グローバル人材育成の推進に関する政策評価<評価結果に基づく勧告>』を発表。報告資料において、グローバル人材を以下のように定義しました。

総務省の定義

日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野で活躍できる人材

(参考:総務省『グローバル人材育成の推進に関する政策評価<評価結果に基づく勧告>』)

なぜグローバル人材が必要なのか?

なぜグローバル人材が必要とされているのか、その理由をご紹介します。

少子高齢化に伴う国内需要の減退

日本では、少子高齢化の影響を受け、国内市場の縮小および国内需要の減退が進んでいます。その結果、海外市場に目を向ける企業が急増。企業のグローバル化を進めるため、語学が堪能で海外事情に詳しい「グローバル人材」の確保が急務となっています。

新興国の経済成長に伴う需要の増加

近年、新興国は急速な経済成長を遂げています。経済的に豊かな人々が増えたことを受け、海外需要が増加。それに伴い、「海外の現地法人設立」や「海外における市場開拓」などに本腰を入れる日本企業が増えてきています。新興国における需要を取りこぼさないよう、現地スタッフとともにビジネスを展開できる「グローバル人材」が必要とされているのです。

グローバル人材に求められる英語力とは?

グローバル人材には、どの程度の英語力が求められるのでしょうか。求められる英語力の目安や語学レベルの測定方法などをご紹介します。

グローバル人材に求められる英語力レベルの目安

企業や業務内容によって、グローバル人材に求められる英語力には差があります。文部科学省の資料では、便宜的に、語学力を5段階にレベル分けしています。

文部科学省が示した5段階のレベル

①海外旅行会話レベル
②日常生活会話レベル
③業務上の文書・会話レベル
④二者間折衝・交渉レベル
⑤多数者間折衝・交渉レベル

(参考:文部科学省『グローバル人材育成推進会議 中間まとめ 2011年(平成23年)6月22日グローバル人材育成推進会議』)

「①海外旅行会話レベル」から「③業務上の文書・会話レベル」の人材は、着実に増加しています。一方、日本の今後のためには、「④二者間折衝・交渉レベル」「⑤多数者間折衝・交渉レベル」の人材を増やしていく必要があるとされています。

英語力の測定方法

日本では、「TOEICⓇ」を用いて英語力を測定するのが一般的です。しかし、世界標準で見た場合には、「CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)」という指標の方が多く使われます。具体的には、英語力を測定する各種テストの結果をCEFRのレベルに置き換え、英語レベルを測定します。

CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)

CEFRでは、語学のレベルを6段階で判定します。レベル別の熟達度について、表にまとめました。

段階 CEFR 能力レベル別の熟達度(概要)
熟達した言語使用者 C2 ●見聞きした内容や読んだ内容を、ほぼ全て容易に理解できる。
●会話や文章から得た情報をまとめ、再構築できる。
●自然に、流暢かつ正確な自己表現ができる。
C1 ●高度な内容の超長文を理解し、含意を把握できる。
●言葉を探しているという印象を与えずに、流暢かつ自然に自己表現できる。
●社会生活や学問、就労する上で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。
●複雑な話題について、明確かつ理路整然とした文章をつくれる。
自立した言語使用者 B2 ●抽象的な話題や自身の専門分野に関する技術的な話題などでも、複雑な文章の内容をおおよそ理解できる。
●母語話者と、互いに緊張せず普通にやり取りできるくらい、流暢かつ自然。
●幅広い話題について、明確で詳細な文章をつくれる。
B1 ●標準的な話し方であれば、仕事や学校、娯楽などでの日常的な話題の主要な点を理解できる。
●当該言葉が話されている地域に滞在中に起こりうるであろう、たいていの事態に対処することができる。
●身近な話題や関心のある話題について、簡単な文章をつくれる。
基礎段階の言語使用者 A2 ●基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事などに関しては、文章や頻出表現を理解できる。
●日常的な範囲であれば、身近な事柄について、簡単な情報交換ができる。
A1 ●よく使われる日常的表現や基本的な言い回しを理解し、用いることができる。
●自己や他者を紹介でき、住んでいるところや、交友関係、持ち物などの情報について、質問・返答できる。
●ゆっくり、はっきり話してもらえて、周囲の助けもあれば、簡単なやり取りができる。

(参考:BRITISH COUNCIL『CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)』)

各資格・検定試験とCEFRとの対照表

各資格・検定試験の結果をCEFRのレベルに置き換えると、以下の表の通りとなります。

各資格・検定試験とCEFRとの対照表

例として、「英検1級」の方は「B2~C1」に、「英検準1級」の方は「B1~B2」に該当します。

グローバル人材に必要な能力とは?

グローバル人材育成推進会議「グローバル人材育成推進会議 中間まとめ」によると、グローバル人材には、語学力・コミュニケーション能力だけでなく、「主体性・積極性」「チャレンジ精神」「協調性・柔軟性」「責任感・使命感」といった要素も求められます。ここでは、これらの4つの要素の概要と必要とされる理由について解説していきます。

グローバル人材に必要とされる要素

要素 概要 必要とされる理由
主体性・積極性 ●正しい知識・理解に立脚した上での主体性・積極性。
●指示待ちではなく、自ら考え、行動できる。
業務に関する知識の他、相手国の政治経済、法律、商習慣、国民性や市場特性などへの理解が不可欠。そうした正しい知識・理解に立脚した主体性・積極性があることで、よきリーダーとして周囲の支持が得やすくなるため。
チャレンジ精神 ●リスクを恐れないチャレンジ精神。
●これまでとは違うやり方で、課題解決を図れる。
独創性と俊敏性が求められる国際競争では、チャレンジャーであり続けることが求められる。たとえ失敗したとしても落ち込まない精神的なタフさが必要なため。
協調性・柔軟性 ●多様な価値観をもつ人々と協力して仕事ができる協調性。
●想定外の事態に対応できる柔軟性。
多様な価値観をもつ人々と仕事をする上では、互いに歩み寄り、落としどころを探すことが、課題解決や人間関係の構築の糸口になる。想定外の事態に対応するためにも必要不可欠なものであるため。
責任感・使命感 ●自分の役割・担当業務を理解した上での責任感・使命感。
●やるべきことを最後までやりぬくことができる。
自分の役割・担当業務を理解することで、責任感・使命感が強まる。仕事に対する責任感・使命感は、日本人が世界に誇れるものでもあるため。

なお、これらの要素はハイパフォーマーに共通した行動特性である「コンピテンシー」にも該当します。企業や業務内容によっては、上記以外のコンピテンシーが求められることもあるかもしれません。コンピテンシー項目の一覧は、こちらからダウンロードできます。
(参考:『コンピテンシーとは?1分でサクッとわかる!意味や使い方、スキルとの違いを解説』)

グローバル人材の育成方法について

グローバル人材を育成する際には、まず「なぜ自社においてグローバル人材が必要なのか」を明確にした上で、「自社に必要なグローバル人材」を定義する必要があります。それに基づき、「グローバル人材育成のボトルネックになっているものは何か」「どのような打ち手が考えられるのか」を検討しましょう。

ここでは、グローバル人材に不可欠とも言える「英語力」の向上にフォーカスして、グローバル人材の育成方法をご紹介します。

英語を学ぶ機会を設ける

まずは、英語を学ぶ機会を設けることから始める必要があります。「学びたい人だけ学ぶ」のではなく、「全員が自然と学ぼう」とする環境をつくるとよいでしょう。例として、「社内の公用語やイントラネットを英語にする」「英語研修制度を設ける」「『TOEICやTOEFLスコア●●●以上』を採用・昇進・昇格の要件に加える」といったことが挙げられます。

英語を使用する機会を設ける

実際に英語を使用することで、より英語力が高まり、実践に対応しやすくなります。学んだことをアウトプットする場を設けましょう。例として、「英語ランチ会や英語ミーティングの開催」「海外研修制度の創設」などが挙げられます。

グローバル人材の採用方法について

どうすれば、グローバル人材を採用できるのでしょうか。グローバル人材の採用方法を「新卒採用」と「中途採用」に分けて、ご紹介します。

新卒採用

グローバル人材の需要は高いため、採用難易度は高いと考えられます。グローバル人材の確保が難しい理由は会社ごとに異なるため、一概に「何をしたらよい」と言うのは難しいのが現状です。とは言え、グローバル人材が応募する際の「障壁」については、極力取り除く必要があります。例として、「通年採用」や「第二新卒採用」の実施、グローバル人材採用に特化したサービスの活用などが挙げられます。

株式会社ベネッセi-キャリアでは、完全成功報酬型の「グローバル新卒紹介サービス」をはじめ、日本在住の留学生を集めた新卒フェア、「ASEAN出身 在日留学生就職フェア」や優秀な韓国人学生に出会える「韓国就職フェア」などのサービスを展開しています。
(参考:株式会社ベネッセ i-キャリア『ベネッセ i-キャリアグローバル新卒紹介サービス』)

中途採用

中途採用の場合には、外国の取次機関(現地仲介業者)と業務提携している「二国間仲介」が可能な人材紹介サービスを活用すると、効率的に人材を確保できます。パーソルグループでは、アジア・パシフィック地域において、お客様さまの各国でのニーズにお応えしています。

パーソルグループの『海外におけるサービス』情報は、こちらからダウンロードできます。

また、バイリンガル人材採用に特化した人材紹介サービスもおすすめです。パーソルキャリア株式会社では、日本在住のバイリンガル・マルチリンガル人材の採用に特化したサービス「BRS」を展開しています。なおBRSでは、「成功報酬型サービス」「リテイナーサービス」「プロジェクトベースサービス」の3つのサービスを提供しています。

「BRS」についてのリーフレットは、こちらからダウンロードできます。

参考にしたい企業のグローバル人材育成プログラム

グローバル人材の育成プログラムを考える上で参考にしたい、企業事例をご紹介します。

株式会社ヤクルト本社:グローバルインターンシップ

グローバル人材の育成を重点課題と位置づけている株式会社ヤクルト本社では、独自のグローバル人材養成研修「グローバルインターンシップ」を実施しています。グローバル人材の育成、能力開発および、社内における国際事業の理解促進を目的に、2004年に開始しました。生産技術職および総合職の社員は、原則として入社8年目までに全員受講することになっています。グローバルインターンシップでは、海外現地法人にて、海外事業の現場を実際に体験。将来の海外赴任を見据え、現地社員との交流や生活環境の見学もしています。
(参考:株式会社ヤクルト本社『RECRUIT 採用情報』『ヤクルトCSRレポート2021』)

まとめ

グローバル人材には、英語をはじめとする「語学力」に加え、「主体性・積極性」「チャレンジ精神」などの要素も求められます。人材育成の際には、グローバル人材にとって不可欠な英語を「学ぶ機会」「話す機会」を設けることから始めるとよいでしょう。加えて、通年採用の実施や人材紹介サービスの活用などにより、グローバル人材の採用数を増やしていくことも重要です。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)