採用手法の変更が応募者獲得への第一歩 ~キャリア採用の成功事例に学ぶ~
d’s JOURNAL(ディーズ・ジャーナル)編集部
はじめに
中途採用市場が活況となり、人材の獲得競争が激しくなる中、従来と同じ採用手法では同様の効果が得られなくなり、新たな採用手法を検討しなければならないと考えている人事・採用担当者の方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、採用手法を変更したり、複数の採用手法を組み合わせたりすることでキャリア採用において成果を上げている事例をご紹介いたします。
Case① 採用競合が多過ぎて転職希望者の選択肢に入らない(人材紹介→求人広告)
求人広告の活用と独自の選考プロセスによる事業/業務理解促進によって他社との差別化に成功(株式会社スリー・イー)
<事例概要>
ITエンジニア(未経験者)にあたり、人材紹介サービスを利用するものの、同じように未経験者を採用ターゲットとして募集をする企業が多く、また、事業内容・職種がわかりにくいことから応募者獲得に苦戦。人材紹介サービスを利用している転職希望者は複数企業を併願するケースが多く、選考途中の辞退に頭を悩ませていた。
そこで、求人広告による転職顕在層・潜在層へ事業や業務内容をアピールする方針に変更。また、同時に選考プロセスの中でオンライン研修(バーチャルインターン)を実施。1日2時間・計6日間の研修を受けたら最終選考合格となるという仕組みを導入。独自の選考プロセスの取り組みを積極的にアピールするとともに、実際に働くイメージを具体化することに成功。
選考プロセスの中で業務内容だけでなく、会社の雰囲気や社員の人柄についても理解いただくことができ、同社に対する入社意向・志望度を高められるようになった結果、入社承諾率90%前後と大きな成果につながっている事例。
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Case② 豊富な情報量で転職希望者の志望度を高め、入社後の定着率・満足度も向上(人材紹介+求人広告)
採用ポジションに特化した情報提供により志望度の高い応募を獲得。転職希望者のフォローの質も向上(ヒロセ電機株式会社)
<事例概要>
海外売り上げ比率が約75%を占める中、海外営業の体制強化に向けて募集を開始するも、同時期に知名度が高い大手企業の募集が増え、従来の人材紹介サービスのみの採用では思うような成果が得られない状態に。事業や業務内容の特徴を訴求し、他社との差別化を明確にする必要があった。
そこで求人広告と人材紹介サービスの併用による母集団形成・採用活動を実行。海外営業を志向する人材に向けて、自社の海外事業・海外展開に特化した情報を具体的にアピール。業務特性を理解した志望度が高い方からの応募が増加する結果となった。
また、求人広告の取材時に得た情報を選考過程における転職希望者のフォローにも有効活用。きめ細かいサポートにより会社の魅力をさまざまな視点から伝えることができるようになり、複数名の採用に成功。入社前後のギャップもなく、採用する企業・入社した社員双方の満足度が高い活動ができている事例。
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Case③ 求めるスキル・経験を持つ人材からの応募が全然来ない(求人広告→人材紹介)
採用ターゲットに合わせた自社の魅力付けに注力。正確な情報提供により業務理解を促進し面接通過率を改善(ニッコー・マテリアルズ株式会社)
<事例概要>
求人広告で募集を出すものの、独自技術を持つ同社のモノづくりの特徴を理解して応募をしてくれる転職希望者が少なく、志望度の低い応募や応募段階での書類の不備が多いなど、さまざまな課題を抱えていた。また、志望動機を語れない転職希望者も多く、たくさんの応募者と面接をするものの、採用を充足させることができない状況にあった。
そこで、人材紹介サービスを採用活動の中心に据え、自社の技術・業務内容に関する正確な情報に加えて、仕事のやりがいや魅力を詳細に伝えることで、志望度が高い状態で面接にきていただけるフォロー体制に変更。
面接においては一人一人の選考にしっかり時間をかけて質疑を行い、工場見学も疑問点が残らないように丁寧にご案内することにより、採用に対する熱意が伝わり、面接通過率も大幅に改善できるようになった事例。
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Case④ 転職意向が高い方に他社に先駆けていち早くアプローチする(ダイレクト・ソーシング)
転職意向が高い人材に早期にアプローチ。本人の志向に合わせたやりがいや将来のキャリアパスを提案(株式会社ディーバ<旧株式会社フィエルテ>)
<事例概要>
上場企業の会計業務アウトソーシングを主な事業としており、採用ターゲットとなる経理・財務分野の人材にとってその魅力が伝わりにくいという課題がありました。未経験者の採用を強化していることもあり、採用競合企業に先駆けて自社のことを認知していただき、志望度を高める必要性があった。
そこで転職希望者の中でも活動を始めたばかりの意向が高い方に対し、どこよりも早く直接アプローチができるダイレクト・ソーシング(ダイレクト・リクルーティング)を活用することに。転職希望者一人一人の志向性を基にカスタマイズしたスカウトメールを転職活動の開始直後に送付する体制に。
業務のやりがいや習得できるスキル、入社後に描けるキャリアパスなどを具体的に紹介することで応募を獲得。採用成功につながっている事例。
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【編集後記】
中途採用においては、募集する業界や職種、採用課題によって最適な手法が変わります。求人倍率はもちろん、採用上の競合となる企業の募集状況によっては、従来成功してきた採用手法でもまったく効果が出なくなることさえあります。そのため、採用手法を変更したり、いくつかの手法を組み合わせて活動することが必要になるケースもあるでしょう。
「母集団を広く確保するべきか」「ピンポイントで採用ターゲットに刺さるアプローチを個別にすべきか」「応募が少ないリスクを考えて複数の手法を併用すべきか」など、採用できない原因・課題について仮説を立て、解決策を具体的に検討することが重要です。採用コストやスピードの観点も含め、自社に合った採用手段を複数持っておくことが、採用計画達成に向けて大切になっていると言えるでしょう。
企画・編集/d’s JOURNAL編集部 白水 衛
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