リクルーターが企業の採用の質を向上!リクルーターの役割と選び方/面談マニュアル付

2020.02.07
d's JOURNAL編集部
リクルーターとは
リクルーターが果たす役割
リクルーター制度があると何がよいのか?
リクルーター制度を導入する際の注意点
リクルーター制度の導入方法
リクルーターに選ぶべき人材とは?
【実践】リクルーター面談ではどんな質問をすればよい?3つのポイント【面談マニュアル付】

人事・採用担当者だけでなく、現場で活躍している社員に採用活動をサポートしてもらうことで、より効率的に自社が求める人材を確保できるようになる「リクルーター制度」。リクルーター制度と一口に言っても、リクルーターに求める役割は企業によってさまざまです。今回は、企業におけるリクルーターの役割や活用事例、実際にリクルーター制度を社内に導入する方法などをお伝えします。

また、リクルーターが採用候補者と面談をする際に活用できる、『リクルーターになった際の面談マニュアル』もダウンロード可能です。ぜひリクルーター育成にお役立てください。

リクルーターとは

新入社員を募ることを意味する「recruit」に、接尾辞としての「-er(○○する人を意味する)」を付けた、「recruiter」。もともと“人材を募集する人”や“採用担当者”という意味があります。

一方、近年用いられている「リクルーター」とは、企業の採用活動において、採用候補者・入社志望者・応募者などとコンタクトをとる役割を担う現場社員を指します。リクルーターというと、主に新卒採用の中で活用が進んでいるため、そのイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし近年では新卒採用だけでなく、中途採用においても活用が進んでいます。その背景には、求人倍率の上昇や人材の流動化などがあります。求人を出して待っているだけでは、応募が来ない時代になりつつある現在。現場社員と協力しながら、企業全体で採用を成功させようとする動きが、拡大しつつあります。

リクルーターが果たす役割

では、リクルーターはどのような役割を担うのでしょうか?企業によって活用目的は異なりますが、主に下記の6つの役割に分けられます。6つのうち、いずれか1つに絞る場合もあれば、全ての役割を求める場合もあります。自社ではリクルーターにどの役割を担ってもらうのか、状況や課題に合わせて検討することが大切です。

リクルーターが果たす役割

役割①:会社の情報を伝える(ブランディング)

役割の1つ目は、「会社の情報を伝える」ことです。より多くの人たちに自社の存在を知ってもらうことで、将来の応募者・入社者となり得る母集団を形成することが狙いです。新卒採用の場合は、OB/OG訪問への対応がそれに該当します。近年、中途採用においても母集団形成の難易度が上がっているため、このフェーズが重要視されています。たとえば、エンジニア向けの技術勉強会を開催して自社の技術力を発信したり、マーケティングセミナーで自社の取り組みを発信したりすることで、「優れた人材がいる会社」というイメージ醸成を図る、といった活動を行う企業も増えてきました。

また、TwitterやInstagramなどのSNSや、自社オウンドメディアなどを通じて、自社の社員や事業・仕事内容・風土に関する情報を発信することも、自社の存在を知ってもらう意味では効果があるでしょう。いざ求職者が就職・転職活動を開始しようという段階になったときに、思い出してもらえるような存在になることが、このフェーズを担うリクルーターの役割です。

役割②:採用候補者とコミュニケーションを取る

自社に興味を持っている人材(=採用候補者)に対して、コミュニケーションを取り、応募意欲を醸成させる役割を担っているリクルーターも存在します。「応募につなげるためのコミュニケーション」とは、たとえば会社説明会や採用イベント、相談会の実施が挙げられるでしょう。企業によっては、リクルーターに当日のプレゼンテーションやパネルディスカッションに登壇してもらうだけでなく、企画段階から携わるケースもあります。採用候補者に近い立場である現場社員が、説明会の内容に関与していくことで、現場のリアルや採用候補者が知りたい情報を的確に伝えることができます。結果、そこで自分が働くイメージを持つことができるため、応募につながりやすくなります。

また説明会以外にも、応募してほしい採用候補者に対して個別にメッセージを送ったり、直接会って会社の雰囲気や働きやすさなどの魅力をアピールしたりする方法もあります。近年、採用手法として注目を集めている「ダイレクト・ソーシングサービス(ダイレクトリクルーティングサービス)」でのアプローチも、これに当たります。特定の候補者と1to1でコミュニケーションを取ることで、より応募につながりやすい情報をピンポイントで伝えることができるほか、「自分はこの企業にとって特別な存在なのだ」と感じてもらえるため、効果的だと言えるでしょう。
(参考:『攻めの採用「ダイレクト・ソーシング(ダイレクトリクルーティング)」とは?』)

役割③:「選ぶ」プロセスに関わる

応募があった候補者の中から採用する人材を「選ぶ」プロセスに、リクルーターが関わるケースもあります。この選考フェーズに関わるリクルーターの役割は、上記2つの役割である「魅力の発信」とは方向性が異なります。「現場の求める要件を整理する」「書類選考の際、現場とのマッチングを加味して、人事・採用担当者にアドバイスする」「面接に同席して、現場社員の観点から評価する」などが挙げられるでしょう。より自社で活躍してくれる人材を見抜くために、重要な役割の1つです。

役割④:採用に向けてのサポート(選考時フォロー)

選考過程において、面接官と候補者の双方が有意義なコミュニケーションを取れるようにサポートするリクルーターも存在します。面接に臨む候補者に向けて、「どのような準備をすればよいか」「面接官の人柄」「面接の雰囲気や場のイメージ」などを伝え、万全の状態で選考に進めるようにサポートします。

また社内に対しても、面接の場では掴みにくい候補者のアピールポイントを伝え、選考の精度を上げるなどの役割も担います。企業によっては、面接の途中段階で候補者とコミュニケーションを取り、「他社の選考状況や志望度」「入社を決める際のポイント」などを引き出すこともあります。そうすることで、面接のスケジュールを調整したり、より志望度を上げるための情報を追加で伝えたりできるので、採用成功への近道となるでしょう。

役割⑤:入社の意思決定を後押しする

選考が終わり、内定通知となった際に、候補者が入社意思を固めることを後押しする役割を、リクルーターが担う場合があります。候補者の多くは、複数社の選考を同時に進めています。そのため、合格を出しても入社意思を固めてくれるとは限りません。そこで、自社を選んでもらうために、採用競合となる企業と比較し、自社ならではの魅力や訴求を伝えていく必要があります。具体的には、候補者が何に対して迷っているのかをヒアリングし、迷いを解消できるように自社の情報を伝えたり、競合する企業と自社の違いを伝えたりします。また、職場の雰囲気が気になる候補者には、職場見学の機会を設けたり、キャリアパスに不安を抱えている候補者には、ロールモデルとの面談を設定したり。自社で働くイメージを改めて明確にし、入社承諾につなげることが、この役割を担うリクルーターのミッションです。

役割⑥:入社までフォローする

入社を決めた候補者と、既存社員・配属先社員とのつながりをコーディネートするリクルーターも存在します。特に新卒採用の場合は、内定通知から入社まで、長い人で約1年間もの期間があります。学生によっては、さまざまな出来事の中で決断が揺らぐ可能性もあるでしょう。新卒採用か中途採用かを問わず、入社を予定している企業の社員と容易にコミュニケーションできる環境があることは、安心感につながりますし、悩みを解消するための助けになります。具体的には、メールや電話で定期的なフォローの連絡を取ったり、SNSで内定者グループを作って内定者同士のコミュニケーションを促進したり、イベントを企画して内定者同士または内定者と現場社員の交流を図り、エンゲージメントを高めたりするなどの対策が考えられます。
(参考:『内定者フォローの8つの手法。メール、SNS、イベント等いつどんな方法で実施する?』』)

リクルーター制度があると何がよいのか?

現場社員にリクルーターを任せることは、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。人事・採用担当者や経営陣だけで採用活動を行う場合と比べたときの、効果の違いを見てみましょう。

メリット①:自社への入社を検討していない潜在層にもアプローチできる

リクルーターの役割の1つ目でお伝えした、「広く会社の情報を伝える」役割のリクルーターを設置する場合、潜在層にもアプローチできる点がメリットだと言えます。採用活動を始めていない学生や、今すぐには転職するつもりがない人材でも、数カ月後や数年後に縁があるかもしれません。中途採用の場合、技術勉強会などを通じて自社の技術力を発信することで、より意識の高い勉強熱心なエンジニアなどとの出会いも生まれるでしょう。長期的な視点での採用活動に、効果を発揮します。

メリット②:より現場での活躍が見込める人材を発掘できる

多くの場合、入社後に配属されるのは現場であり、人事部ではありません。選考中で一番接点が多いのは人事・採用担当者ですが、現場で働く社員がリクルーターとして採用活動に携わることで、候補者が現場で働くイメージを明確にすることにつながります。現場社員だからこそ感じられる雰囲気や業務に必要な特性を基に、候補者を見抜く仕組みを導入すれば、入社後に活躍が見込まれる人材を発掘し、より現場に即した採用活動になります。

メリット③:内定辞退や、入社後の早期離職を防げる

候補者が現場で働くイメージを明確にすることは、内定辞退や入社後早期離職防止の観点でも効果があります。具体的な働くイメージを持って入社意思を固めてもらえれば、内定承諾後に不安になって辞退したり、思い描いていたイメージと違うと離職してしまったり…といったことが起こりづらくなるでしょう。自社で長期的なキャリアを築いてもらえる可能性が高まります。

メリット④:リクルーターを担当した現場社員自身のエンゲージメントが向上する

現場社員にとっても、採用活動に携わることで得られるメリットがあります。リクルーターに選ばれること自体が、自社に必要とされている人材であることを示すため、社内の存在価値を実感できるでしょう。また、リクルーターとして候補者と接点を持つ上で、自社の経営方針や自身の業務内容を言語化することは不可欠です。候補者からの質問に回答することで、リクルーター自身も社内での立ち位置を再認識し、その後の自身のキャリアを考えるきっかけになるかもしれません。帰属意識や意欲という意味で、エンゲージメントの向上につながることが期待されます。

メリット⑤:他社動向や情報交換の機会になる

最後に挙げておきたいメリットは、候補者を通じた情報収集です。リクルーターが候補者と対話すると、人事・採用担当者だけで対応する場合に比べて、選考に直結しない情報交換をする機会を得やすいのです。たとえば、他社がどのような採用活動を行っているのか、どのようなツールや仕組みを使って就職活動を進めているのかといった情報を、候補者から直接得られることがあります。加えて、中途採用であれば、エンジニア同士、あるいはマーケッター同士といった同じ職種の人たちが情報を交換することで、最新の技術に関する情報が得られ、スキルアップにつながることもあります。

リクルーター制度を導入する際の注意点

リクルーター制度を導入する際、「どのように協力してもらえばよいか」と悩む人事・採用担当者も多いのではないでしょうか?ここでは、リクルーター制度を検討する際に、あらかじめ検討しておいた方がよいことをいくつか確認していきます。

注意点①:リクルーターによって対応に差が生じないか

リクルーターが複数いる場合には、リクルーターのコミュニケーションの取り方や判断基準などを、あらかじめそろえておく必要があります。あるリクルーターは、きめ細やかに全ての質問に回答している一方で、候補者からの連絡を長期間放置するリクルーターもいるなど、コミュニケーションにばらつきが出れば、企業の印象にも影響が出て、候補者の志望度もリクルーターにより大きく左右されてしまいます。人事・採用担当者が「リクルーターに何をどこまで対応してもらいたいのか」「どんな人材を採用したいのか」を定義し、リクルーターにも事前に伝えておきましょう。できる限り、具体的な言葉で伝えられるように準備しておくのがお勧めです。

注意点②:効果的なアプローチができるか

どのような候補者に対してどのルートでアプローチをするかは、採用の成否を分ける重要な要素です。これを決めずにリクルーターが個別の判断で活動をしてしまうと、採用したい人材像とはかけ離れた候補者が集まってしまうことがあります。過去にどのような属性の人が入社後に活躍しているのかを分析し、どんな人材を採用したいのかをあらかじめリクルーターと擦り合わせましょう。この擦り合わせのプロセスがないと、新卒採用では自分の出身校やアルバイト仲間、中途採用では出身企業など、リクルーター自身がアプローチしやすい人脈に偏った活動を行ってしまう可能性が高くなります。人事担当者がアプローチ先をリストアップしたり、特定のネットワークにアプローチすべきかどうか事前確認するプロセスを入れたりするなど、限られたリクルーターの人的資源を有効活用できるよう、コントロールすることもおすすめです。

注意点③:リクルーター活動をした社員を、どのように評価するか

リクルーター活動は、企業の利益に直結するものではありませんが、企業の未来を担う人材への投資という観点では非常に重要な業務です。ただ、評価の方法が難しいことも事実です。1対1のコミュニケーションとなるケースも多いため、多くの時間を費やすことになることが多いため、リクルーター活動が適切に評価されないと、現場社員のモチベーション維持は難しいでしょう。

まずは、リクルーター活動は誰でもできるものではなく、選ばれること自体がステータスだと感じられる雰囲気づくりが必要です。可能であれば、活動実績(担当人数や担当候補者の入社率など)を人事評価の項目に含められると、より活動しやすくなるでしょう。

注意点④:本来の業務とのバランスをどう取ってもらうか

リクルーターを担当してもらう現場社員には、本来の業務があります。リクルーター活動のために本来の業務に支障を来しては、元も子もありません。リクルーターにモチベーション高く、負担感を持つことなく活動してもらうためには、リクルーターの周りにいる上司や同僚からの理解と協力が不可欠です。人事・採用担当者は、関係者全員へリクルーター活動の意義や内容を伝え、理解を促しましょう。状況によっては上司を巻き込んだ業務量調整や、手当の支給なども検討が必要となります。

リクルーター制度の導入方法

リクルーター制度は、開始までにさまざまな準備をする必要があります。大切なのは、管理職も含めた現場の社員に、採用活動への協力に対して前向きなイメージを持ってもらうこと。導入することが決定したリクルーター制度の内容によって、必要な情報を組み合わせて実行していきましょう。

STEP①:リクルーターに適した人材像を定義する

まずは、リクルーターとして活動してもらいたい社員の人材像を定義します。リクルーターは、会社の顔として候補者と対面する形になるため、候補者からどのような印象を持ってもらいたいかを明確に定義し、言語化します。詳しくは、後述の「リクルーターに選ぶべき人材とは?」をご参照ください。

STEP②:制度の説明資料を作成する

次に、リクルーター制度を社員に理解してもらうための説明資料を作成します。下記は、説明資料に盛り込む内容の一例です。

 ・採用活動プロセス(実施時期・内容・担当者など)
 ・なぜリクルーターが重要なのか/期待すること
 ・リクルーターが関わるのは、どのプロセスか
 ・リクルーター活動による、社員のメリット
 ・リクルーター選出基準/人材像
 ・選出から実際の活動までの流れ
 ・経費処理の条件/方法
 ・リクルーター活動上の相談窓口(人事・採用担当者など)

STEP③:管理職向けの制度説明を実施する

制度の説明資料ができたら、まずは管理職向けに制度を説明します。管理職にはリクルーター選出基準を基に、適した現場社員を推薦してもらうとともに、その後の業務調整など、さまざまな協力を得る必要があるためです。管理職向けには、説明資料のうち「リクルーターに期待すること」と「リクルーター選出基準/人材像」に重きを置いて説明します。部署ごとに必要なリクルーターの数も併せて伝えられると、管理職は具体的に推薦できる現場社員を想定しやすいでしょう。

STEP④:現場社員から、リクルーターを選出する

管理職の理解を得られたら、リクルーターとして活動してもらう社員の選出を開始します。基本的には、現場での活躍の様子がわかっている管理職自身に、選出基準/人材像を元に選出してもらう方法で構いません。また、人事・採用担当者が候補者リストを提示して、その中から選んでもらうことで、管理職の負荷を軽減する方法も考えられます。その際は、人事・採用担当者の持っている人事評価歴や日頃の印象などを踏まえて、必要なリクルーター数の2~3倍程度多めにリストアップします。

STEP⑤:リクルーター向けの研修資料、活動報告フォームを作成する

リクルーターの選出を管理職に依頼しているタイミングと並行して、リクルーター向けの研修資料と活動報告フォームを作成します。リクルーター向け研修資料とは、リクルーターとして知っておくべき基本的な情報を伝えるための資料です。下記のような内容を盛り込むとよいでしょう。

 ・近年の人材市場
 ・近年の学生・転職希望者の傾向
 ・リクルーターの基本姿勢/NG行動
 ・候補者が話しやすい雰囲気をつくるには
 ・候補者が抱えている不安と対応の事例
 ・候補者に伝えたい自社の魅力
 ・採用したい人材像
 ・面談マニュアル(後述)

活動報告フォームとは、リクルーターとして活動した後で、人事・採用担当者へ実績を報告してもらうためのフォームです。メールで報告してもらう形や社内システム上への登録など、企業によって実施しやすい方法で作成します。

また、報告してもらう内容やレベルは、リクルーターに任せる役割によって異なります。下記の表を参考に、必要な情報を検討しましょう。

役割①:
広く会社の情報を伝える
・自社への興味度
・他社の採用活動事例
役割②:
採用候補者とコミュニケーションを取る
・自社への興味度
・会社情報のどこに興味を持っていたか
役割③:
「選ぶ」プロセスに関わる
・他社選考状況
・自社とのマッチ度
役割④:
採用に向けてのサポート
・他社選考状況
・選考を通じて確認すべき事項
役割⑤:
入社意思の決定を後押しする
・他社選考状況
・候補者がどこに不安を抱えているか
・意思決定に向けて、人事・採用担当者に求める対応
役割⑥:
入社までフォローする
・内定辞退リスク度
・人事・採用担当者に求める対応

STEP⑥:リクルーター向けに説明会やトレーニングを実施する

リクルーターを選出したら、作成した資料に沿って、リクルーター向けの説明会やトレーニングを実施します。制度への理解を促し、積極的に活動してもらうためにも非常に重要なプロセスです。人事・採用担当者は、リクルーターに指示する立場ではなく、あくまで協力してもらう立場です。協力が得られるよう、丁寧にコミュニケーションを取りましょう。

また、「採用活動プロセス」「リクルーターが関わるのは、どのプロセスか」「リクルーターに期待すること」など、リクルーター制度の概要が周囲の同僚も確認できるように公開すると、協力を得やすい環境づくりに役立ちます。

STEP⑦:実際にリクルーターとして活動してもらう

人事・採用担当者はリクルーターの活動状況を把握したり、リクルーターからの相談を受けたりする役割を担います。選考期間と重複する場合には、特に忙しくなることが予想されますが、リクルーターのフォローも怠らずに進めていきましょう。

STEP⑧:活動報告を確認し、必要な対応をする

リクルーターには、候補者にコンタクトするたびに活動を報告してもらいます。報告を受けたら、必ず活動へのお礼を伝えるとともに、人事・採用担当者として求められた対応をしましょう。迅速に対応し、候補者を入社承諾に導くためにも、報告フォームの確認はタイムリーにできるように留意します。

リクルーターに選ぶべき人材とは?

リクルーターに適した人材は、どのような基準で選べばよいのでしょうか。現場の管理職などから適した人材を推薦してもらうためにも、リクルーターの人材層を定義し、言語化することは欠かせません。また、リクルーターに任せる役割によって、適した人材像が異なる場合もあります。リクルーター制度の内容を決定したら、まずはリクルーターの人材像を定義しましょう。

リクルーターに求められる資質とは

まず、リクルーターにどの役割を任せるかを決める場合、共通するのは「現場で活躍している社員」が大前提です。候補者にとっての「入社したら目指してほしい人材」とも言い換えることができます。また候補者と対面するという役割の性質上、下記の基本的な点も考慮します。

 ・社会人としての基本行動ができていること(身だしなみ、言葉遣い、メールや電話の対応力)
 ・誠実であること(高圧的な態度や、根拠なく内定をほのめかしたりしない)
 ・緊張している候補者をリラックスさせられるような、気持ちに寄り添うコミュニケーションができること

新卒採用の場合:年代ごとに異なる、役割と効果

学生と近い年代である20代(入社5年目以内)の若手社員

学生がリラックスでき、気軽に質問したり発言できたりする効果が期待できます。「役割①:広く会社の情報を伝える」、「役割⑤:入社意思の決定を後押しする」、「役割⑥:入社までフォローする」といった、本音を引き出す必要がある場面で活躍します。

現場で業務を遂行する中心的な存在である中堅社員

会社や業務の情報を、正しく具体的に伝えられる効果が期待できます。「役割②:採用候補者とコミュニケーションを取る」、「役割④:『選ぶ』プロセスに関わる」場面で活動してもらうとよいでしょう。

管理職などの職位にあるベテラン社員

経営方針や戦略など、上位レベルの情報を的確に伝えられるメリットがあります。学生にとっては少し遠い存在ですが、「役割④:『選ぶ』プロセスに関わる」、「役割⑤:入社意思の決定を後押しする」など、選考の最終段階で学生の意思を固める役割を果たします。

中途採用の場合:同年代か、それ以上の年代

中途採用の場合は、若手社員をリクルーターにするケースは多くありません。候補者より若い社員が対応すると、本音を引き出したり、情報を正確に伝えたりすることが難しくなる可能性が高くなるためです。求める人材像に近い年代か、将来的に目指すべき少し上の立場の社員が対応します。

【実践】リクルーター面談ではどんな質問をすればよい?3つのポイント【面談マニュアル付】

リクルーター向けの研修資料の中で、面談マニュアルを共有すると、リクルーターも自身の役割を意識しながら候補者に対応できます。面談で確認してもらうポイントは、下記の3点です。

 ① 志望度や他社との優先順位に関する本音
 ② リラックスした雰囲気の中での態度
 ③ 何に不安や迷いを抱えているか

上記のポイントに沿って、実際に面談の場面で確認してもらいたい項目を、具体的にチェックリストとして提示します。面談マニュアルとしてご活用ください。

全リクルーター共通

① 候補者に会う前に、リクルーター自身で行うチェック
□ 身だしなみはOK?
□ エントリー時の情報には目を通した?
□ 候補者の基本情報は頭に入っている?(最低限でも名前を覚えておく。中途採用の場合は、現在の仕事)

② 候補者に会ったら、まずチェックすること
□ 身だしなみはOK?
□ 言葉遣いはOK?(敬語の使い方など)
□ 第一印象は良かった?

候補者とコミュニケーションを取る場合の質問例

□ どのような業界・職種に興味を持っているのか
□ 他社のイベント(インターンシップや説明会など)に参加したことがあるか
□ 自社に対して、どのようなイメージを持っているか(HPなどを見てどう感じたか)

会社の情報を伝える場合の質問例

□ どのような業界・職種にエントリーしているか
□ 他社と比べて、自社の説明にどのような印象を持ったか
□ なぜ自社にエントリーしようと思ったのか

選考に関わる(※面接の名目以外で会う)場合の質問例

□ なぜ自社を志望するのか(面接では言えない本音)
□ 他社の選考状況
□ 自社に対して、どのようなイメージを持っているか(会社説明会や面接を通じて、どう感じたか)

入社の意思決定を後押しする場合の質問例

□ どのような点で意思決定を迷っているのか
□ いつごろまでに意思決定するつもりか
□ 他社の選考状況および自社との優先順位

入社までフォローする場合の質問例

□ 入社に向けて不安なことはないか
□ リクルーターや人事・採用担当者から、どのような支援がほしいか

【まとめ】リクルーター制度をうまく活用するためのポイント

リクルーター制度は、現場の社員や管理職の多大な協力の下に成り立ちます。うまく協力してもらい、質の高い人材を確保するためには、今回お伝えしたように、制度説明資料・トレーニング資料・活動報告フォーム・面談マニュアルを入念に準備した上で、制度について周囲から理解を得ることが不可欠です。また、リクルーター制度の仕組みに評価制度との連携や手当を取り入れることは、「将来的にリクルーターを任されるような人材になる!」と考える社員を増やし、企業全体で人材の質を向上させるために効果を発揮します。全社を巻き込んで、継続的な制度改善に取り組んでいきましょう。

(制作協力/佐藤 やすよ(まんまるキャリア)、編集/d’s JOURNAL編集部)