採用手法一覧と各手法を解説|選び方のコツや最新のトレンドも紹介

d’s JOURNAL編集部

採用手法が多様化する現在、各手法の特徴や最新のトレンドを把握した上で、自社の採用課題に合った手法を選ぶことが大切です。

採用コストや母集団の質に課題を感じている場合、従来の採用手法を見直すことから始めましょう。

この記事では、代表的な12種類の採用手法について、それぞれの特徴や選び方のコツ、最新のトレンドなどをご紹介します。

採用手法の比較一覧

採用手法を選択する際には、最新のトレンドや採用競合の動向を踏まえた上で、「自社の採用課題を解決できる手法」であるかを考えることが重要です。採用手法はどれか一つが圧倒的に優れているわけではありません。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、複数の手法を組み合わせるとよいでしょう。

下の表では代表的な12種類の採用手法について、「難易度」「コスト」「緊急度」を比較しています。「難易度」は、採用手法としての難易度を基準としたものです。「コスト」は、採用活動にかかる費用の高さを基準に仕分けました。

また、「緊急度」とは緊急性の高い(おおむね3カ月以内に人員を充足する必要がある)場合に対応できるかどうかを基準としたものです。「緊急度」が「高」となっている採用手法は、人材を緊急で確保したい場合に適しています。

採用手法 難易度 コスト 緊急度
転職サイト 低~中 中~高 中~高
人材紹介
人材派遣 低~中
自社ホームページ 低~中
合同説明会 低~中
インターンシップ 低~中
リファラル採用 中~高
アルムナイ採用 低~中
ヘッドハンティング
ミートアップ
ダイレクト・ソーシング
ソーシャルリクルーティング 中~高

(参考:『【採用課題別】自社に合った最適な採用手法とは?~各採用手法の特徴やポイントを解説~』)

採用手法の特徴や事例を解説

ここからは、各採用手法の特徴について、事例とともに紹介します。

転職サイト

一般的な採用手法と言えるのが、転職サイトの活用です。転職サイトでは、採用募集を行っている企業が求人広告を掲載し、求職者からの応募を待ちます。あらゆる業種や職種の求人を取り扱う「総合型求人サイト」と、業種や職種、地域などに特化した求人を取り扱う「特化型求人サイト」の2種類があります。

料金形態は、求人広告を一定期間掲載することに対して費用が発生する「掲載課金型」、成果に対して費用がかかる「成果報酬型」に分けられます。

多くの転職サイトには「スカウトメール機能」が付いており、採用したい人材に絞ってアプローチできるため、比較的低コストで採用できるのがメリットです。一方で、「工数がかかる」「確実に採用できるとは限らない」点がデメリットとされます。

人材紹介

人材紹介とは、人材紹介会社に希望する人材の詳細を伝え、条件に合った人材を登録している求職者の中から紹介してもらう手法です。

採用になった場合にのみ、推定年収に応じた金額を人材紹介会社に支払う「成功報酬型」であることが多く、採用に至らない場合は費用が発生しません。人材紹介会社のエージェントがある程度スクリーニングした人材を選考できるため、採用業務の負担を軽減できるのがメリットです。

人材紹介を活用する際には、「選考基準」を明確化することが重要です。選考基準があいまいだと、自社に合う人材かどうかの判断が難しくなり、エージェントから推薦される数が減ったり、停止したりしてしまうリスクがあります。併せて、社内において選考基準の認識のずれが生じないよう、書類選考や面接を繰り返す中で人事・採用担当者と配属部署の間で基準を擦り合わせていくことも大切です。

(参考:『人材紹介サービスを活用するメリット・デメリットとは?』『「人材紹介サービスを利用しているが、採用がうまくいかない」<9つの理由と解決方法>』)

人材派遣

人材派遣とは、人材派遣会社が雇用するスタッフを自社に派遣してもらうサービスです。派遣会社に対して毎月派遣料金が発生し、専門性が高くなるほど派遣料金が上がります。

人材派遣は雇用契約期間が決まっているため、必要なスキルを持った人材を特定期間のみ確保したい場合に適している手法です。実際、繁忙期で人員を増やしたい時や、退職者などで突然の欠員が出た時などに、自社で採用するよりも早く人材を見つけられるため活用する企業も多いようです。

この他、採用や教育にかかるコスト削減という効果も見込めますが、「派遣される人材を選べない」「社内にノウハウが蓄積されず、自社社員の育成につながらない」ことがデメリットとされます。

自社ホームページ

人材を募集する際、自社ホームページを活用する企業も多いです。自社ホームページは、自社で保有するメディアを使って採用を行うことから、採用オウンドメディアとも呼ばれます。

転職サイトなどに求人情報を掲載するよりも自由度が高く、多くの情報を発信できるのが特徴です。「独自性を打ち出し、他社と差別化できる」「より自社に適した人材を採用できる」などのメリットがある一方、「効果が出るまでに時間がかかる」「SEOなどの対策が必要」といったデメリットもあります。

スマートフォンの普及や求職者のITリテラシーの向上を背景に、自社ホームページを活用して企業理念や職場の雰囲気を伝える施策を行う企業が増えています。クラスメソッド株式会社では、自社のエンジニアが学んだことを定期的にアウトプットできる場としてオウンドメディア「DevelopersIO」を立ち上げました。

競争が激しいエンジニア採用市場で同社の認知度を高めるツールとなっており、応募者の8割近くが「クラスメソッドを知るきっかけがオウンドメディアだった」と回答しています。また、転職潜在層へもアプローチできているようです。

【参考】
「働きたい!」エンジニア転職“潜在層”から逆オファーが来るほど!採用~定着に効いている最強⁉オウンドメディアとは【隣の気になる人事さん】
エイチーム式、採用ブランディングとオウンドメディアの運用術。双方向コミュニケーションが、既存社員の意識をも変えていく

合同説明会

求人募集をしている企業が一堂に会す合同説明会の最大の魅力は、求職者と直接話せることです。転職潜在層を含むさまざまな求職者に自社をアピールでき、その場で面談や一次面接も実施できます。出展する際には、出展日数や出展するブースの大きさなどに応じた出展料がかかります。

求職者と出会えるメリットは大きいものの、合同説明会では多くの企業が出展するため、自社を効果的にアピールする工夫が求められます。事前準備はもちろん、当日も長時間拘束となるため、運営スタッフの負担は大きいと言えるでしょう。

インターンシップ

インターンシップとは、企業が就職前の学生を受け入れ、実際の業務を体験してもらう制度のことです。インターンシップは母集団形成に有効で、惹きつけ次第で選考につなげられることから、採用手法の一つとして注目されています。

インターンシップの期間は、「1day」「中期」「長期」があり、内容はさまざまです。1カ月以上の長期インターンシップでは実際の業務体験を通して、企業の社風や社員との相性を見たり、候補者のスキルを判断できたりといった効果も期待できます。

コロナ禍で選考のオンライン化も進み、インターンシップに参加できる人数が増えたことで、選考に進む人数も増える可能性があります。また、自社に合った人材を獲得するために、インターンシップ参加者を対象とした特別な選考フローを用意する企業もあるようです。

リファラル採用

リファラル採用とは、自社の社員から友人や知人を候補者として紹介してもらう手法です。社員からの紹介であるため、候補者の人柄や能力について把握しやすく、離職率も低い傾向にあるとされます。一方で、「採用までに時間がかかりやすい」「人間関係への配慮が必要」などのデメリットもあります。

株式会社ラクスでは、自社採用力を強化する方針でリファラル採用を戦略的に実施しています。選考を伴わないカジュアル面談や技術イベントを取り入れたり、社員に対して「自社を紹介しやすくなるようなコンテンツ制作・広報」を行ったりしました。社員の採用に対する気持ちの醸成にも取り組むことで、採用成功につながっています。

【参考】
リファラル採用とは|メリット・デメリットや導入方法と成功事例を紹介
リファラル採用成功の秘訣は、社員の“エンゲージメント”向上【セミナーレポート】

アルムナイ採用

アルムナイ採用とは、自社を一度退職した人材(アルムナイ)を再雇用する手法です。「カムバック制度」や「ジョブリターン制度」と呼ばれることもあります。

アルムナイは企業文化や業務の進め方などについて深く理解しているため、ミスマッチが起こりにくく、教育コストを抑えられるのも特徴です。一方で、既存社員との人間関係に配慮が必要だったり、給与や待遇面で不公平感が出ないように注意したりと、留意すべきポイントもあります。

デロイト トーマツ グループでは、アルムナイ向けに卒業後の継続的なキャリア形成の支援や、親睦・交流を深める機会を設けています。月1回のペースで開催される「イベント」、OG/OB名簿となる「会員専用Webサイト」、定期的な情報提供を行う「メルマガ発行」、CPA協会のCPE単位が取得できる「e-ラーニング」、求人情報の掲示板として活用できる「社内外のポジション情報提供」という5つの活動を実施。現役社員もアルムナイとつながることで、今の自分や今後のキャリアを見直す貴重な機会となっています。

【参考】
アルムナイとは|採用で注目される理由や制度の事例・導入方法を解説
企業目線でアルムナイは動かない―。共創を重視したデロイト トーマツ流 成功の舞台裏

ヘッドハンティング

ヘッドハンティングとは、企業が求める人材をヘッドハンターがあらゆるネットワークを利用して探し出し、転職までをサポートする手法です。ダイレクト・ソーシングの中でもエグゼクティブサーチ型と言われています。スキルや経験のある優秀な人材を採用できる一方、探し出す手間がかかるため、費用が高額になるのがデメリットです。

ヘッドハンティングは組織にとって重要な戦略の一つであるため、成功させるためには経営陣を巻き込むことが求められます。人事・採用担当者は、採用をタスクとしてこなすのではなく、いかに全社的な取り組みにできるかが重要です。

(参考:『カリスマヘッドハンター中田莉沙に聞く、採用成功企業が「必ずやっている」こと』)

ミートアップ

ミートアップとは、本来共通の目的を持った人たちが交流会形式で集まる場を意味します。採用シーンでは、求職者をオフィスに招いて会社の雰囲気を感じてもらったり、社員と交流してもらったりした上で、気になる人材に企業からアプローチするのが特徴です。

採用ミートアップの主なタイプは、参加者同士が交流する「交流会型」、エンジニア採用などに効果的な「勉強会型」、企業説明ができる「説明会型」の3種類です。

ミートアップを活用するメリットには、「企業のファンづくりができる」「採用のマッチング精度が高まる」などが挙げられます。一方、開催に当たって「労力がかかる」「ある程度の人手が必要」という点がデメリットです。

キャディ株式会社では、人材拡充に向け、2019年に年間約40回のミートアップを開催し、応募総数が1,000件に達しました。応募者向けのミートアップでは事業や仕事の説明は行わず、同社のカルチャーをはじめ、職場や社員の空気感といったテキストでは伝わらないものを感じ取ってもらうように工夫しています。

(参考:『【2社事例・設計シート付】新採用メソッド「ミートアップ」活用術』)

ダイレクト・ソーシング

ダイレクト・ソーシングとは、企業の人事・採用担当者が自ら採用候補者を探し、直接スカウトする採用手法です。採用候補者を探す手段は、人材サービス企業が提供している人材データベースを使う方法や、ビジネスSNSを活用する方法などさまざまです。

候補者を絞ってスカウトメールを送付できるため、採用活動を効率的に行えますが、スカウトメールを送った候補者に興味を持ってもらえるようなノウハウや工夫が求められます。

パーソルキャリア株式会社が運営するダイレクト・ソーシングサービス「doda ダイレクト」を利用する株式会社ピーエスシーでは、ダイレクト・ソーシングを実践し、採用難易度が高いITエンジニア採用において49名応募、4名採用という高い成果を得ています。応募率を高めるスカウト文面にするためのポイントは、個別にアレンジすること。候補者の職歴や自己PRの文面を引用するなどの工夫に取り組んでいます。

【参考】
自社に最適な人材採用を。ダイレクト・ソーシングの活用方法
「ダイレクト・ソーシングに悩む担当者を1人ぼっちにしない」dodaユーザー会とは

ソーシャルリクルーティング

ソーシャルリクルーティングとは、企業がSNSを利用して企業の情報を発信し、採用を行う手法です。SNS上でさまざまな人材とコミュニケーションを取ることができ、内定辞退の防止にも活用できます。転職潜在層にも求人を行っていることを認知させられるのもメリットです。

採用ツールとして活用するためには、ある程度SNSの知識やテクニックが必要となり、継続的に更新しなければ投稿が埋もれてしまう点がデメリットと言えます。

サイボウズ株式会社では、求職者により「刺さる」情報の発信方法の一つとして、人事・採用担当者自らがTwitterの実名アカウントで採用PRを行っています。顔が見えない企業自体が発信するよりも、顔の見える人事や社長といった「個」が発信することで、共感を得やすくなるそうです。あえて見えづらいことを書くことで候補者の興味を引き、採用につながる関係づくりを図っています。

(参考:『実名Twitterで共感を、採用PRのススメ-サイボウズ綱嶋氏×ガイアックス管氏』)

近年の採用市場の動向

コロナ禍による採用活動のオンライン化や、労働人口の減少による採用難易度の向上により、今後は企業側から候補者に働きかけていく「攻め」の採用手法が一般化していくと予想されます。

実際、従来のようにただ応募を待つのではなく、企業側から求職者に直接アプローチするダイレクト・ソーシングや、社員から人材を紹介してもらうリファラル採用が活発化してきています。

ダイレクト・ソーシングやリファラル採用の入り口として注目されているのが「カジュアル面談」です。カジュアル面談とは、企業と求職者がお互いをよく知るために対等な立場で話し合う面談のこと。あくまでお互いの情報交換が目的のため、企業は面接のように合否を決定しません。人材確保が難しい現在の採用市場において、より多数の人材にアプローチできる手法として、カジュアル面談を導入する企業が増えています。

【参考】
自社に最適な人材採用を。ダイレクト・ソーシングの活用方法
リファラル採用とは|メリット・デメリットや導入方法と成功事例を紹介
カジュアル面談とは|導入メリットや面談の流れを解説【質問集付き】

最新の採用手法のトレンド

中途採用と新卒採用とでは、採用手法のトレンドが異なります。中途採用/新卒採用における採用手法のトレンドについて、それぞれ見ていきましょう。

中途採用の流行

応募者に最適化された個別採用とされる「アルムナイ採用」や「リファラル採用」が、中途採用では流行しています。自社を一度退職した人材を再雇用する「アルムナイ採用」や、自社の社員から友人や知人を候補者として紹介してもらう「リファラル採用」はいずれも、自社にマッチした人材や入社後の活躍が期待できる人材を獲得するのに適した採用手法です。

定着率の向上や人材の即戦力化を求める傾向が強くなっている昨今の状況を踏まえ、アルムナイ採用やリファラル採用が活発化していると言えるでしょう。

【参考】
アルムナイとは|採用で注目される理由や制度の事例・導入方法を解説
リファラル採用とは|メリット・デメリットや導入方法と成功事例を紹介

新卒採用の流行

新卒採用では、就職サイトに求人広告を掲載して広く募集をする「マス型採用」に加えて、中途採用と同様に応募者個別に最適化された「個別採用」を取り入れる企業が増加しています。新卒採用における個別採用の手法には、「ダイレクト・ソーシング」「採用オウンドメディア」「採用ピッチ資料」が挙げられます。

「ダイレクト・ソーシング」や「採用オウンドメディア」については先ほど紹介した通りですが、「採用ピッチ資料」とは、会社紹介の資料のことです。企業の良い部分だけではなく課題についてもオープンにしながら、自社の魅力を伝える内容になっているという点で、従来の会社説明資料とは異なります。選考前に企業と求職者との情報交換の場である「カジュアル面談」でも活用されています。

【参考】
自社に最適な人材採用を。ダイレクト・ソーシングの活用方法
「働きたい!」エンジニア転職“潜在層”から逆オファーが来るほど!採用~定着に効いている最強⁉オウンドメディアとは【隣の気になる人事さん】
母集団形成と選考を改善し、ミスマッチ解消にも効く!「採用ピッチ資料の作り方」最前線

採用手法を選ぶ際の3つのポイント

採用手法のトレンドを紹介しましたが、あくまで世の中の流れとして増えているだけであり、トレンドの採用手法が必ずしも自社にとって効果的な方法とは限りません。

自社に合った採用手法を選ぶために押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

複数の採用手法を活用する

どの採用手法にもメリット・デメリットがあります。採用する人材によっても適した採用手法があり、難易度の高い採用手法だけに固執すると採用が進まないケースも想定されます。

特に、ダイレクト・ソーシングに代表される個別採用でのアプローチは、人事・採用担当者のスキルによって結果が左右される側面もあるでしょう。一つの採用手法に頼るのではなく、柔軟に複数の手法を組み合わせて母集団を形成していくことをおすすめします。

自社の採用課題を把握する

自社の採用課題を把握することも、採用手法を選ぶ際には重要です。「工数を減らして採用担当者の負担を軽減したい」「採用コストを抑えたい」「ターゲットを絞って質の高い母集団を形成したい」など、企業の置かれた状況によって適切な採用手法は変わります。採用課題をしっかり把握した上で採用戦略を立て、解決につながる採用手法を選びましょう。

採用したい人材の人物像を明確にする

採用したい人材の人物像を明確にすることで、その人材に適した採用手法を選択できます。そのためにも、まずは求める人材の年齢や学歴、資格などのハード面と、性格や価値観などのソフト面に分けて、「必須条件」と「希望条件」を洗い出しましょう。次に、洗い出した条件を基にペルソナを設定します。

実在する人物であるかのように設定することで、採用したい人物により適した採用手法を打ち出しやすくなり、自社に合う人材を獲得できる可能性が高くなります。ペルソナの設定に迷う場合は、自社で活躍する社員を参考にするとよいでしょう。

まとめ

多様化する採用手法から自社に合ったものを選ぶためには、自社の採用課題を明確にした上で、求める人材に適した手法であるかを検討しましょう。

各採用手法には一長一短があるため、一つの手法にこだわるのではなく、複数の手法を組み合わせることも重要なポイントです。

今回の記事で紹介した採用手法の特徴や最新のトレンドなどを参考に、自社の採用手法を見直してみてはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)

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