「人材紹介サービスを利用しているが、採用がうまくいかない」<9つの理由と解決方法>

d’s JOURNAL編集部
仕事の内容や魅力が伝わっていない
勤務時間・勤務地・オフィスの情報不足
働く仲間・組織の情報が少ない
選考基準があいまい・バラバラ
選考スピードをコントロールできていない
面接の評価・フィードバックを活用できていない
採用競合企業の情報を知らない
応募者とのコミュニケーション不足
データベースに求める人材がいない

「自社にマッチした優秀な人材を採用したい!」そのような想いから、中途採用をする際に人材紹介会社(エージェント)を利用されている企業も多いのではないかと思います。

しかし、実際にサービスを利用する中で、「複数の人材紹介会社と取り引きしているものの、人材を推薦してくれる企業が少ない」「いくら要望を伝えても良い人材を推薦してもらえない」…など、実際のやりとりに対して疑問や不満に感じている担当者の方も少なくないのではないでしょうか?

そこで今回は、【9つの視点】から、人材紹介サービスならではの採用がうまくいかない理由とその解決方法についてご紹介します。

仕事の内容や魅力が伝わっていない

新型コロナウイルス感染症拡大により、人材紹介サービスのキャリアカウンセリングもオンライン化が進んでいます。その結果、対面でじっくり1社1社の募集内容をご説明する場が減っています。優秀な求職者であれば10~20社の中から自分自身で情報を確認し、応募する企業を厳選しています。

そのため、人材の募集内容が記載してある求人票は、以前にも増してとても大切なツールとなっています。会社の事業や売上などの数字はインターネット上ですぐにわかるかもしれませんが、仕事内容の詳細ややりがい・魅力などは、ウェブサイトなどの情報だけでは伝わらないのが現状です。それにもかかわらず、仕事内容が2~3行しか書かれていないというケースも珍しくありません。

【解決策】求人票の内容を採用ターゲットに合わせてカスタマイズする

たとえば営業の募集であれば、携わる商品やサービスの特徴、他社との差別化、営業サイクル(1日の流れやWeekly・Monthlyのスケジュール、目標や予算など)がイメージできることが大切です。採用したい求職者のスキル・経験に合わせて専門用語を意図的に使用したり、未経験や異業界出身者向けにわかりやすい表現を選んだりすることも重要です。

ITやモノづくりのエンジニア、経理・人事・法務などの専門職など、職種に応じて訴求する内容を変え、自社の魅力を的確に伝えることが大きなポイントとなります。求職者が求人票を読み終えたときに、志望動機=「貴社で働く魅力」が語れる状態になっていることが理想です。

勤務時間・勤務地・オフィスの情報不足

2019年4月、有給休暇の付与日数が10日以上の労働者に対し、年5日の取得が義務化されるなど、法改正による「働き方改革」が進んでいます。コロナ禍においてはテレワークやオンライン研修・サテライトオフィスなど、働き方にもさまざまな変化が生まれました。

ワークよりもライフを重視すると言われるミレニアル世代(1980年代初期以降生まれ)が、あと数年後には労働力の過半数を占めるなど、働く人の意識も大きく変化しています。そのため、仕事内容と同じ、またはそれ以上に働き方や働く環境についての情報を重視する転職希望者が増えています。

【解決策】働き方や職場環境に関する情報を充実させる

例)勤務時間 9:00~18:00 (所定労働時間:8時間/休憩60分)

上記のように勤務時間の記載が一行だけでは、求職者の心をつかむことは難しいでしょう。残業時間や出社・退社時間の柔軟性、リモートワークの導入状況や出社している社員の割合、オフィス環境や会議・出張の頻度や形式など、ワークスタイルにおける他社との差別化や自社の特徴を伝えることが大切です。

働き方や職場環境に関する情報を充実させる

なお、テレワークの導入が進んでいなければ、採用が難しいということではありません。安心・安全に働ける職場であれば、むしろ、自宅よりも出社して仕事をする方が良いと考える方もいらっしゃいますし、経済的にプラスとなるなら、残業が有りしっかり稼げる環境を積極的に選ぶという方も少なくありません。

ソーシャルディスタンスを確保したオフィスレイアウト、新社屋への移転予定など、オフィス環境にまつわる情報を丁寧に伝えることを念頭に置きましょう。

働く仲間・組織の情報が少ない

仕事内容について詳細を伝えてはいるものの、どんな人たちと、どのくらいの人数規模で、どんなふうに働くのかという情報がよくわからないとの理由で応募を躊躇したり、選考を辞退したりする求職者も少なくありません。人間関係を理由に転職活動を始めている方の場合、特に慎重に応募を検討される傾向があります。

【解決策】配属部門で働く仲間の情報で、安心感を持っていただく

求職者の中には、自分と同世代の仲間が多くいる職場を探している人もいれば、長年勤めていて頼れるベテラン社員が在籍している環境を好ましいと考える人もいます。配属先の人数・男女比や在籍年数、入社後フォローしてくれる上司や同僚のバックグラウンドなどがわかっていると、面接や入社の意思決定にもプラスとなることが多いでしょう。

配属部門で働く仲間の情報で、安心感を持っていただく

ITやモノづくりのエンジニアの募集であれば、プロジェクトの内容やチームの規模、構成メンバーの職種や技術的なバックグラウンドなどについても、機密に触れない可能な範囲でお伝えすることをお勧めします。中途で入社されている方や入社後の直属の上司・先輩の人柄などは興味を持ってもらえるポイントです。

第三者の立場であるキャリアコンサルタントから、上記のような具体的な情報を求職者の方々にお伝えできる体制が構築できれば、応募時の不安も少なくなり、自信を持って貴社の選考に臨んでもらえるようになるでしょう。

選考基準があいまい・バラバラ

採用成功を阻む大きな要因の一つが、選考基準です。特に書類選考における基準があいまい・バラバラな場合は、推薦される数が激減または停止してしまうリスクがあります。特に求人票などに明記している要件に合致しているにもかかわらず、面接に進めないケースが頻発するのは危険信号です。

なぜなら、キャリアコンサルタントの存在意義は、「転職におけるマーケットの情報を的確に捉え、企業を紹介し、求職者をサポートすること」であるため、上記のような事象が繰り返し起こってしまうと求職者との信頼関係に大きく影響が出てしまい、積極的にその企業をご紹介するインセンティブがなくなりかねないからです。

【解決策】配属部門・人事の選考基準を言語化する

もちろん、最初から完璧に選考基準が固まるとは限りません。書類選考や面接を繰り返すことで、人事と配属部署の間で基準を擦り合わせていくプロセスが大切です。人材紹介会社から推薦されてきた方を80%以上面接する体制が出来上がれば、採用効率も高まります。

また、コミュニケーションを取る中で、現場はスキルよりもポテンシャル(人柄や素養)を重視していることがわかり、書類選考のスキル・経験の要件を緩和することで良い人材と巡り合えることもあるため、志向性や強み(コンピテンシーなど)について共通認識を深めることも大切です。

選考スピードをコントロールできていない

中途採用において大きな武器となるのが選考スピードです。実際に、求職者からの応募に対して1~2日で選考通過のお知らせをした場合と、7日以上経過してから書類選考通過のお知らせを出した場合を比較した結果、約2.4倍も採用決定率が異なるというデータも出ています。

貴社が採用したいと思う人材は、他社にとっても魅力的な場合がほとんどです。働き方改革で以前よりも有給休暇が取りやすく、リモートワークでオンライン面接が増えてきているとはいっても、求職者が同時並行で面接に挑めるのは2~3社が限界です。4番手・5番手になってしまえば、チャンスはおのずと逃げて行ってしまいます。

【解決策】選考結果については、いち早く連絡する

書類選考の基準や返答期間をルール化しておく、面接日程をあらかじめ曜日・時間帯でブロックしておくなど、スピードを速める工夫のほか、志望度を高める面接やフォロー面談など、求職者の状況によって柔軟に対応・スピードを合わせることが採用成功のポイントとなります。

選考中・内定中の応募者がいるなど、個別事情が発生している場合には、選考状況や選考結果が判明するめどを人材紹介会社と共有し、応募者の志望度や気持ちの変化について把握しておくとよいでしょう。

面接の評価・フィードバックを活用できていない

面接の評価・フィードバックは、人材紹介会社とのパートナーシップを強化し、より良い採用を進めるための潤滑油となるものです。

逆に、面接の評価基準や選考中の求職者の評価についてわからない/あいまいなままでは、推薦の質を高めることも、採用したい方の志望度を高めることもできません。「なぜこの方を合格/不合格にしたのか」という評価・フィードバックの情報が、円滑な採用活動につながっていきます。

【解決策】書類・選考の評価について些細なことも伝える

合否に悩んでいる場合は、なぜ迷っているのか、そのポイント=理由がとても重要です。「ウチの会社への志望が高いと感じられなかった」というフィードバックに対し、求職者は第一希望。「給与などの条件が出そろっていないため、面接の場で入社したいと言い切れなかった」という事例も少なくありません。

最終面接後の処遇面談を設定し、無事に採用・入社が決まることもあれば、ちょっとした行き違いが選考辞退や面接不合格の結果となってしまうこともあるので、注意が必要です。

採用競合企業の情報を知らない

採用活動を始める上で必ず知っておきたいことは、競合となる企業の情報です。採用における競合企業は、事業における競合と必ずしも同じではありません。業界や業態がまったく異なる企業の場合もあれば、応募している職種自体も違うケースがあります。

【解決策】採用競合の“給与水準”などを押さえ、勝ちパターンを見つける

最低限理解しておきたいのは、“給与水準”や“福利厚生”などの条件面。この情報に大きな開きがある場合は、求職者自身が応募の対象外としてしまう可能性があります。人材紹介サービス各社の営業に確認したり、転職サイトに掲載されている採用競合の求人原稿をチェックしたりすることで把握できます。

採用競合の“給与水準”などを押さえ、勝ちパターンを見つける

また最近は、仕事=ジョブ毎の報酬水準データを提供するサービスなどもあるため、採用競合企業との比較に加えて、マーケットデータに基づいた給与データを基に募集内容を検討することも可能です。
(参考:『「その給与は仕事に見合っている?」ジョブ型雇用から社員の適正給与を考える』)

しっかり事実を押さえた上で、自社に応募をしてくれる理由は何か、推薦が多い他社の訴求内容や魅力は何か、比較したときに勝てるポイントは何かといった点を整理し、求職者に選んでもらえる企業づくりを行いましょう。

応募者とのコミュニケーション不足

人材紹介サービスを利用する場合、募集、面接日時調整、選考結果通知などを代行してもらうことができ、採用業務の負担が軽減される一方で、意識的に接点を持たなければ応募者とのコミュニケーションは「不足がち」になります。実際のところ、求職者と直接コミュニケーションを取れるのは面接や面談などの選考の場に限られます。

【解決策】求職者との接点(面接形式/スタイル・面接官)を工夫する

面接の前に、人事・採用担当者から企業説明やアイスブレイクを挟んだり、面接直後に会社の印象や不明点がなかったかなどをフォローしたり、選考プロセスで起こる問題を未然に防ぐためのコミュニケーションを取ることが重要です。面接官の評価が高かったとしても、求職者の自己評価が低いというケースもあります。そのような場合は、実際に一緒に働く同僚との面談をセッティングするのも、一つのアイデアとして効果的です。

求職者との接点(面接形式/スタイル・面接官)を工夫する

面接での印象が良かったからという理由で求職者の志望度が高く、絶対にウチの会社に来てくれると思い込むのは危険です。面接での評価・フィードバックでも触れていますが、採用・入社に向けた懸念点を整理し、人材紹介サービスの担当者とともに適切なアプローチができるようにすることが大切です。

データベースに求める人材がいない

募集する職種や、応募してくる人材に個性があるように、人材紹介会社にも個性(強み・弱み)があります。ITエンジニアの採用に強い会社もあれば、経理財務や人事などの専門職に強い会社、グローバルネットワークに強みがあるところもありますし、ベンチャー企業の採用で高い実績を誇る企業もあります。

職種による得手・不得手や過去から現在にいたる採用支援実績は、登録されている人材(データベース)にも関係してきます。前回採用が成功したからといって、同じようにうまくいくとは限りません。募集する職種が変われば支援できる可能性も変わりますし、勤務地や勤務時間などの募集条件によっても影響があります。

【解決策】各社の実績=特徴を理解して関係性を強化する

資格などの条件が加われば、転職活動中の顕在層だけでなく、今は活動していない潜在層に対してアプローチできる会社を選択する必要も出てきます。募集開始から2週間ほどで推薦の可否や数はある程度見えてくるため、状況によっては新たな会社との関係強化や別の採用手段を検討した方がよいかもしれません。

文・編集/d’s JOURNAL編集部 白水 衛