【例文あり】ダイレクト・ソーシングを成功に導くスカウトメールの書き方とは(後編)

core words株式会社 佐藤タカトシ
core words株式会社

CEO/Creative Director 
佐藤タカトシ

プロフィール

スカウトメールのプロフェッショナルであるcore wordsの佐藤タカトシ氏に、覚えておきたい基本的な作成ノウハウをリクルーターアカデミーで講義いただきました。
前編)では、スカウトメールを書くための準備・考え方をレポート。(後編)では、例文を使ったスカウトメールの書き方をレポートします。ぜひご覧ください。

件名、書きだし、本文、アクション誘導のコツ

さて、欲しい求職者のスキルやタイプ(人物特性)が、“採用ポジションの責任者”と摺合せ(詳しい方法は前編をご覧ください)できたらスカウトメール(オファーメール・オファー文面)を作成します。スカウトメールの文面を作る際、どのような部分に気を付けるべきかを解説していきます。

実はスカウトメールは、次の4つで構成されています。『件名』『書き出し』『本文』『アクション誘導』です。それぞれに役割があります。これら用途・内容を意識したスカウトメールを作れば、転職希望者に“納得感”を与えられて、返信に繋がります。1つずつ見ていきましょう。

文面における4つのチェックポイント

応募・返信率を高めるために『件名』『書き出し』『本文』『アクション誘導』について1つずつ見ていきましょう。

件名について

「そりゃそうだ」と思われると思いますが、スカウトメールはまず開いてもらわないといけません。そうじゃないと本文にどれだけ良いことが書いてあっても、効果はゼロ! つまり、件名が最も大事です。メールを開いてもらうコツは、募集における限定的な情報を件名に書くことです。

例えば・・・
【書類選考通過】とか【経営幹部を2人限定で募集します】などの記載が有効な手段ですね。「このオファーはあなただけに送ってます」「このポジションはクローズドポジションです」というように、特別感を伝えることが大事なのです。
他の限定感を出すための記載方法は【○人だけの募集です】【○日間だけの募集です】【○日までに返信ください】などでしょうか。

また、【○○業界で○○の経験があるあなたへ】なんて表現も効果的。たとえば、転職希望者のレジュメを見て、【実際の会社名 ex:パーソルキャリア株式会社(旧株式会社インテリジェンス)で活躍の経験があるあなたへ】といった書き方で、「あなたのレジュメを拝見してますよ」「あなたに来て欲しいのです」という限定感を出すのも手段だと思います。

書き出しについて

書き出しには、スカウトメールを開いてくれた転職希望者とコミュニケーションを図る役割があります。きっと転職希望者は「何で自分に、スカウトメールが来たのだろう?」と考えているはず。その考えに対しての回答を伝えたいですよね。

優秀な転職希望者には、さまざまな企業からスカウトメールが来ています。そんな中で“件名に興味を持ってスカウトメールを開けて”、さらに、“自分を求めている理由”が分かれば応募への意向が高まるはずです。

だから、私ならこんな風に書きます。

「○○なポジションを募集しているので、○○なスキルをお持ちのあなたに、スカウトメールを送りました。」

ここで納得感を持たせた上で、そのあとの本文で動機付けさせていくのです。何よりも重要なのは、納得感です。こういう理由があるから、私にスカウトが届いたのだという納得感が、読み進めていく上で大事です。会社の具体的な紹介は後で十分できます。なぜあなたにオファーを送ったのかを具体的に書くようにしましょう。

そのために必ず、スカウトメールを送る転職希望者のレジュメを、チェックしておくようにしてください。本文中に1つでも2つでもいいので、このスキルや経験に興味を持ちましたと書いておくと、読み手は「あ、私のこと分かってくれている」「私のスキルを理解した上で送ってくれてるんだ」と、そのスカウトメールを特別なものだと判断するのです。

本文について

本文で動機づけする方法です。例えば、5年連続で売上げが伸びている『会社の魅力』や、裁量権を大きくお任せできる『仕事の魅力』などを伝えます。補足情報として『残業が少ない』とか、『育休がとれる』なんて、要素を記載するのも良いでしょう。あくまでも「採用したい転職希望者にとって嬉しい情報は何だろう?」と考えて、記載することが大切です。

そういう意味でも、転職希望者のレジュメはしっかりと見ておくようにしましょう。『転職理由』『転職で実現したいこと』などあればそこは必ずチェック。そこに、本人が転職で叶えたいHINTが隠されているのです。『裁量をもって働きたい』とあれば、それが実現できる社風を、『結婚を考えている』とあれば、既婚者の割合や働きやすさなどです。

もっとも、一人ひとりに全部オリジナルの文面を作るのが難しい場合は『○○な部分に興味を持ちました』の部分だけ書き換えられる文面を用意しておくと、作成がスムーズですね。

アクション誘導について

スカウトメールを送った転職希望者に、こうしてほしい!といった明確なお願いをしておくと、転職希望者も行動がしやすくなります。「この募集に興味があれば、是非応募をお願いします」といった表現でもいいのですが、明確に行動をとってもらうために【是非、お会いしましょう】【面談をしましょう」と書いた方が、応募に繋がりやすいと思います。

あとは期限を書いておくのも有効です。【○○月○○日までに返事をください】という書き方です。これを書いておくと転職希望者も「早めに行動しなければ」と考えるようになります。それに、採用する側にとっても○○月○○日までに返信がなければ、次はどうしようとネクストアクションが立てられるため、先を見据えた行動ができます。

例文を使ったスカウトメールの書き方

では、パーソルキャリアの広告営業職の募集の場合で、スカウトメールの書き方を見てみましょう。

文面例

件名について

「普通の営業職募集です」という印象を与えると応募にはつながりづらいです。だから『大手顧客のみを担当する』というキーワードで惹きを作りました。これが今回の募集の“限定感”にもなっているわけです。まずは募集ポジションのアピールできる部分を出すのが良いアプローチだと思います。

書き出しについて

書き出しで『今回は、(中略)大手顧客担当のグループでの限定募集を行います。』と記載し、さらに限定感を出します。また『経営幹部をこのグループで育成したいと考えているからです。』というように、採用したい人材のタイプ(人物特性※今回のケースでは、自走できるタイプを想定)にとって、魅力的に映る情報を入れています。

さらに、応募を後押しするために『大手企業に在籍されていて、優秀な若手社員でいらっしゃる○○様に、スカウトメールを送りました』と記載。これで納得感を与えつつ、限定感も醸し出しています。

文面例その2

本文について

ここでは、仕事の魅力として『あなた独自の視点で、ソリューションを構築する仕事です。』と訴求しています。今回採用したい転職希望者のタイプ(人事物特性)を、“自走できるタイプ”としているので、こういう表現になるわけです。

一方で、採用したい転職希望者が『強調性があるタイプ』の場合なら、『チームで力を併せて、ソリューションを提供する仕事です。』等といった表現を使います。

『例としては、、、』の部分には、実際に携われる案件の具体例を書いておくと、転職希望者に仕事のイメージを与えやすいでしょう。

アクション誘導について

通常であれば『応募』へのアクションを促すのですが、状況によっては『一度、情報交換でもいかがでしょうか。』といったアクションを促すのも手段です。「転職希望者からなかなか応募が無い…」という場合は、次にとってほしいアクションのハードルを下げてみると、上手くいきます。

ちなみに、文面は長ければ良いというものではなく、なるべくコンパクトにまとめるのがベストです。ベースとなる文面を作成し、送信する転職希望者に合わせてカスタムしていくのが効率も上がって良いでしょう。

ダイレクト・ソーシングを成功させる秘訣

ダイレクト・ソーシングにおけるスカウトメールは、誰を求めている募集なのかがはっきり分かることが重要です。そして受け取った転職希望者に「この仕事面白そう」とか「自分にあってそうだな」と感じてもらうことが大事だと思うんですよね。

後は、スカウトメールを送信して応募があった転職希望者と『誰が』『いつ』『面接するのか』といったタスク管理を明確化しておくことも大切です。採用スケジュール表を作って管理するなどしておけば、次回以降の採用の際にも役立ちますね。

ぜひ、ダイレクト・ソーシングを効率よく活用して、事業の成長に繋がる転職希望者を採用してください!
前編はこちら

Information

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