採用手法のこれからを考える ダイレクト・ソーシング ジャーナル

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2017.01.24

「人材の流動化が求められる時代」に、人事・採用担当者が覚えておきたいこと

PROFILE

株式会社Joe’s Labo

代表取締役 城 繁幸

1973年生まれ。山口県出身。東京大学法学部卒、富士通入社。人事部門にて新制度運営に携わり独立。代表作「若者はなぜ3年で辞めるのか」「日本型成果主義の可能性」等。著作活動を続けながら、人事コンサルティング「Joe’s Labo」の代表として、現在に至る。

今回お話を伺った城氏は、人事コンサルタントとして人事制度や採用、雇用問題と向き合い、著書やブログなどを通じ、独自の視点から情報を伝え続けています。

人事・人材にまつわる諸問題の解決に十年以上にわたり取り組み続けた同氏は、今の社会をどう見つめ、今後どのような世の中になると予測しているのでしょうか。人と企業のあり方が変わっていく中で、採用はどう変わっていくべきか。お話を伺いました。

今、かつてないほど「働き方」が注目されている

昨今、『働き方を考えよう』といったテーマが話題を集めることが多くなっています。この時流に対して、城さんはどのようにお考えですか?

城氏:私は、人事コンサルタントの仕事を十数年続けています。振り返ってみても、これほど「働き方」が注目されたことはありません。突発的には、就職氷河期や派遣切りといった話題が耳目を集めたことはありました。

しかし、いずれも「働き方」というよりは“新卒者は就職先が無くて困っている”、または“失業した人たちが増えている”ということが驚きを持って伝えられたものが大半でした。今は様相が変わった気がします。社会全体が「自分たちの事」として捉え、「働き方」を抜本的に見直さなくてはいけない、という雰囲気が広がっているように感じるのです。

なかでも、過度な残業が問題視されています。

城氏:そうです。実は、残業に関する問題は以前から度々取り上げられていました。かつてホワイトカラーエグゼンプションというのがありましたが、あの主張を「残業削減」と別の形で言っているに過ぎません。ただ、直近のことに関して言えば、非常に不幸な過労死の事件があり、注目されている面もあると思います。

そもそも、過度な残業が起こる原因は何でしょうか。

城氏:企業で働くということが、現代の多様な社会状況やニーズに応えられていないと考えられます。現状、多くの企業は、繁忙期や一時的に業務が重なる期間を社員の残業で対応しています。かつては、時間的な余裕もあり、暇な時はのんびりできるからと、ある意味でバランスが保てていたところもあるでしょう。

しかし、今は常時忙しいとなっており、残業が絶えない状況です。企業側もいったん雇い入れると簡単には雇用契約を解消できないので、一時的に忙しくなったから人を雇おう、とは簡単にできません。このような事態を解消するため、雇用の規制緩和は絶対に必要だと考えています。

人材はもっと流動化されるべき

インタビューカット_城氏

なるほど。城さんは一連の規制緩和を強く主張していますが、その背景には、残業の他にどのような問題があるとお考えですか。

城氏:一つ挙げるとすれば、良い人材が力を発揮できない状態になっているということがあります。一人の人材が組織の中で役割を終えることもあれば、持っているスキルが企業の事業と合わなくなることもあるでしょう。しかし、高い専門性や経験を必要としている組織は、日本のどこかに必ずあるはずです。

先ほど、過労死の話をしましたが、過度な残業が即過労死につながるかと言えば、それほど簡単なことでもありません。100時間の残業で活き活きと働いている人もいれば、30時間の残業で心が折れてしまう人もいます。この違いはどこから来るかというと、モチベーションです。

働く上でのモチベーションは、キャリアを構築できる環境があるかが大きいと思います。組織の中でキャリアアップが望めないことがわかれば、頑張りが利かなくなってしまいます。

人材はもっと流動化させるべきなのです。今後は企業横断的な採用も生まれ、プロジェクトごとに必要な人材を採用するスタイルが当たり前になる可能性は十分にあります。プロジェクトが終わればチームは解散されますが、会社の求めに応じて留まることもできる。そこに正当な競争も生まれるのではないでしょうか。

人事・採用担当者は明確なキャリアパスの提示を意識してほしい

インタビュー_城氏_02

このような状況を考慮すると、これからの人事・採用担当者に必要なのはどのようことでしょうか。

城氏:人材の流動化を進めていくためにも人事・採用担当者は人材を採用する段階から、モチベーションに直結するキャリアパスを明示することが大事だと思います。日本の企業はキャリアパスが不明瞭で、「20年経てば課長くらいにはなるんじゃないかな」という感覚が根強い気がしますが、優秀な人材を採用しようという場合や海外から人材を招こうとする場合は、敬遠されます。

そもそも、キャリアパスは人材の持っているスキルや志向性によって求めているものが変わります。例えば、総合的なスキルを身に着けていくゼネラリストを目指したい人材もいれば、一つのスキルを突き詰めるスペシャリストを目指したい人材もいるはずです。1人ひとりに合わせたキャリアパスの提示が必要になるでしょう。

採用候補の人材を集める段階から、採用候補者ごとに個別のキャリアパスを1to1で提示できるダイレクト・ソーシングは効果的かもしれません。

城氏:そうですね。これは私自身の苦い経験ですが、キャリアパスを示せないために、海外からの人材に入社後すぐに退社されてしまったことがありました。私たちにとっては当たり前かもしれませんが、それほど日本の企業の慣習は、海外の人材には奇異に映るのです。

それに、キャリアパスを示せないということは、「このスキルと経験があればここまでの仕事を任せる」という基準がないのと同じことで、明確な採用基準もないとも言えます。そこは、やはりはっきりさせたほうが良いでしょう。

他にも、大切にすべきことがありましたら教えてください。

城氏:会社のリアルな情報を伝えることだと思います。キャリアパスを含め、残業時間や有給消化率など、数値を明示すると良いでしょう。その点をあいまいにして採用し、会社に数年かけて順応させるというやり方が横行していた時代もありました。

しかし、今はこれだけネットが発達し、転職が一般的になっています。都合の良くない情報を隠して採用しても、人材は定着しません。なかなか公開しづらい情報もあると思いますが、公にすることで、社内改革しようという動きが起こる可能性もあります。

人事・採用担当者は、経営に近い層と直接話ができるポジションの一つです。入社した人材をはじめ社員1人ひとりに、持っている能力を最大限に活かしてもらうためにも、採用や社内制度の在り方を、見直していただければと思っています。

取材後記

人材の流動化がもっとあっていい、と城氏は主張する。人材を自社内で固定化し、過度な残業を強いるのは、もう時代に合っていないと教えていただいた。もっとも人材を流動化させるには雇用制度そのものを変える必要があるが、それは人事や採用担当者だけが行うのはなかなか難しい面もある。

しかし、城氏が合わせて主張する、キャリアパスや残業時間、有休消化率などの明示は今からできることだ。まずはできるところから始める。そうすることで採用力は高まっていくのではないか。

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