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ルーティンから解放され、採用はより知的労働へ【HERP代表 庄田氏インタビュー】

PROFILE

株式会社HERP

代表取締役/CEO 庄田 一郎

2012年京都大学卒業後、新卒で株式会社リクルート住まいカンパニーに入社。住宅情報メディアSUUMO(スーモ)の広告営業を経てリクルートホールディングスへ異動後、約2年間エンジニアの新卒採用を担当する。退職後、個人事業主として企業の採用コンサルを手がけていた際、請負先であった株式会社エウレカに入社。大規模なリファラルリクルーティングなど採用広報担当としてさまざまな施策を実施した。2017年に株式会社HERPを立ち上げ、各求人媒体の応募者情報を自動連携で一元管理できるAIリクルーティングプラットフォーム「HERP」を発表。2018年1月よりβ版の提供を予定している。

2018年1月にβ版がリリース予定のAIリクルーティングプラットフォーム「HERP」は、各求人広告からの応募者情報を自動連携で一元管理できるほか、求人内容の一括更新サービスの開発も進めるなど、採用に関するさまざまな煩雑な作業を自動化・効率化し、担当者をルーティンワークから解放するソフトウェアです。今回は自らの採用経験を活かして「HERP」を考案し、開発を進めている株式会社HERPの庄田さんに、採用担当者としてのキャリアを振り返っていただきつつ、「HERP」がもたらす採用業務の将来像、改めて問われる人事・採用担当者のあり方などについてお話を伺いました。

手作業での応募者・求人管理に辟易としていた採用担当者時代

手作業での応募者・求人管理に辟易としていた採用担当者時代

リクルートホールディングスで初めて採用の仕事に携ってから、HERP立ち上げまでの庄田さんのキャリアについて教えてください。

庄田氏:異動で関西から東京に来て、リクルート各社の新卒エンジニア採用を担当していました。当時、エンジニア志望の学生がリクルートという会社を選択肢に入れることはあまりなかったんですね。ファーストキャリアを考える際、視野に入れてもらえなかった。ですから、なんとかリクルートを選択肢に入れてもらおうと、採用ブランディングに尽力していました。

その一方、新卒採用は学生の人生に大きな影響を与える仕事なので、その責任を重く感じていました。例えば、A社を志望している学生に、強引にでも「リクルートに来ませんか?」と言わなければならない。しかし、多くの学生と話す中で、大好きな会社の新卒採用担当をすることの素晴らしさに気が付いたんです。純粋に「自分が大好きな会社について語れば、学生が自然と選んでくれるかもしれない」と考えられるようになり、自信を持って採用の仕事に取り組むことができ、楽しくなったのを覚えています。

採用コンサルタントを経て、人事・採用担当として入社されたエウレカでは、大規模なリファラルリクルーティングを成功させていますね。

庄田氏:エウレカは当時、人事・採用担当者がいなかったので、やることは山のようにありました。自社の採用力の向上を目的に、採用の50%を自社サイトやリファラルで行うことを定量的な目標としてキャンペーンをスタートさせました。

今後の組織拡大を見据えると、それまで経営陣だけで行っていた採用に全社員が関わり、総合的な採用力をあげる必要があったんです。部署をまたいで社員間のつながりを強化させることと同時に、社員全員に自社の語り方・魅せ方を考えてもらいたいという裏テーマもありましたね。

人材紹介サービスや求人広告による採用に関してはいかがでしたか? 大量の応募者管理などで工夫されていたことがあれば教えてください。

庄田氏:特別なことはしていません。おそらく多くの会社の採用担当の方々と同じようにパイプライン管理や、求人票ステータス管理に関しては、スプレッドシートを用いていました。どの求人媒体にどのような内容が掲載されていて、どのような画像が使用されているか…というのを全部手作業でまとめていたんです。相当な工数がかかっていたと思います。当然手作業での管理だったので、全求人票を最新の状態にアップデートできていなかった。例えば、ある広告では「アプリのダウンロード数は500万を突破」となっているのに、他の広告では「400万」とか、「250万」のままだったり(笑)。全求人を管理できていない状況でしたね。

ATS(Applicant Tracking System/採用管理システム)は使っていましたか?

庄田氏:使っていましたが、結局ATSに手作業で入力しなければならないので、完璧に全ての情報を入力はできないんですよね。入力の工数が肥大化してしまうため、書類選考を通過した候補者情報のみをATSに登録するという企業も少なくはないですし、採用担当の裁量で、ATSに登録するしないを決める企業がほとんど。しかし、それでは正確なデータが取れずマーケティング観点での分析ができないんですよね。とはいえ、私も同じような状態だったので、気持ちはよく分かります。面接調整、合否連絡、書類選考、入社準備など、同時並行で行いつつ、各媒体の応募者情報を一つ一つ自分で入力するのは、本当に時間がかかるしミスも多くなりますから。

その当時の苦労が「HERP」開発のきっかけになっているのでしょうか。

庄田氏:あらゆる求人メディアからの応募者情報が自動で登録でき、一元管理ができて、しかもワンクリックで全広告の修正・公開ができる…そういうものが欲しいとは常々思っていました。そのときは、「いつかどこかの会社が作ってくれないかな」と思っていた程度でした。

「HERP」があれば人事・採用担当者が本来取り組むべき業務と向き合える

「HERP」があれば人事・採用担当者が本来取り組むべき業務と向き合える

では、2017年に株式会社HERPを立ち上げ、「HERP」の企画・開発を進められた経緯について教えてください。

庄田氏:実は、リクルート時代から起業したいという思いは常に持っていました。「そろそろかな…」と思いつつ、エウレカでの業務もやりがいがあって、まだまだやれることも多く、なかなか踏ん切りがつかなかったんですよ。2016年の年末にエウレカ創業者である、赤坂さんや西川さんと話をしたところ、「そんなにやりたいならやった方がいい、始めてみてから色々悩んだらいい」と背中を押してくれたんです。じゃあ、何をしようかなと考えたときに、自分の経験やスキルセットが活かせるHR領域が良いだろうと考え、「HERP」の構想が膨らんでいきました。

「HERP」は各求人広告からの応募者情報を自動連携で一元管理など、さまざまな関連サービスを実装予定と伺ってます。「HERP」を導入した企業の採用業務はどのように変わるのでしょうか?

庄田氏:私たちは業務支援サービスを提供していくという心持ちではありません。「HERP」をAIリクルーティングプラットフォームと呼んでいるのは採用担当・採用アシスタントの方が手作業でやっている、本来人がやる必要のない業務をAIによって自動化し、よりクリエイティブな仕事にリソースを投下してもらうことを目的としているからです。

また、自動連携ベースでの費用対効果の分析や、採用に至るパイプライン管理・分析等、各種のデータ分析をWebマーケティングのような要領で行えることで、これまでのふわっとした採用業務周りが、よりマーケティング視点を取り入れながら、意思決定できるようになります。

採用担当者の業務は大幅に効率化されそうですね。

庄田氏:手作業による各求人広告の応募者管理や求人内容管理など、これまでの工数がかかり過ぎた採用業務を自動化、省略化できるので、人事・採用担当者の皆さんがもっと能動的に動けるようになり、攻めの採用に時間とコストをかけられるようになる。そんな世界を実現したいと考えています。

庄田さんの考える能動的な仕事、攻めの採用とはどのようなものなのでしょうか?

庄田氏:たとえば次期組織の設計、より詳細な人材の要件定義はもちろん、採用に関する戦略や分析など、普通に考えたら「人事・採用担当がやるべき仕事なのに、これまで手が回らなかった」という業務ですね。人事・採用担当者の方にこうした仕事に取り組んでいただきたいという思いで「HERP」を開発しています。これまでの採用選考は煩雑な業務が多過ぎて、そうはいきませんでしたから。そういった煩雑な業務はHERPが担当しますよ、と。

応募者管理の手間などは多くの採用担当が悩んでいたポイントですしね。

庄田氏:自分の経験上、人事・採用担当者がチャレンジすべき仕事は他にもあるんですよ。これからはますます個人が強くなる時代であり、採用のための企業及び、従業員のブランディングが必須になると思っています。私がエウレカ時代に取り組んだリファラルのキャンペーンではありませんが、社員一人ひとりが採用に携わる、常に意識をする状態を作ることの価値はすごく大きいんです。

まず、自社の企業価値向上・ブランド価値向上を考えるプロセスで社員のロイヤリティーが向上していくことも考えられますし、従業員それぞれが、自社の魅せ方・語り方・ブランディングを自然と考えるようになる。これからの採用担当は会社の中でそうした状況をつくることにも注力すべきでしょうね。

「HERP」後の世界で改めて問われる人事・採用担当者のあり方

「HERP」後の世界で改めて問われる人事・採用担当者のあり方

「HERP」のようなサービスが登場し、人事採用担当が能動的な仕事、戦略的な業務に携れる状況になると、企業・担当者間の能力格差が企業の採用力を左右することになるのでしょうか?

庄田氏:おっしゃる通りで、戦略的な仕事だからこそ差がつきやすい状況が生まれる可能性もあります。個人的な考えではありますが、優秀な人事・採用担当者を探すことはエンジニアの採用以上に絶対数が少ないために、難しいのではと思ってます。戦略的な仕事ができ、能動的に動ける行動力があり、さらに人事・採用のスキルがあるという人は本当に希少です。

これから求められるであろう採用業務を担える人材が少ない理由はどこにあるのでしょうか?

庄田氏:日本では、「人事の仕事は地味」というイメージがあると感じていて、管理業務・事務処理業務・それを含めてバックオフィスと考えられることが多いと思います。また人事をしている人の絶対数も少ないので、イメージが変わる機会も少ない。人事や採用の仕事は企業にとって凄いインパクトがあって、尚且つ知的労働であるというイメージをつくる必要があると思うんですよ。そのためには、この分野でロールモデルになり得る人が大勢出てこないといけない。野球でいうイチローみたいな人が人事・採用の領域に、たくさん登場する必要があるのかもしれません。

庄田さんご自身は、人事・採用担当の仕事の魅力はどんなところにあると考えていますか?

庄田氏:人事・採用担当者って社長以上に全社員と深く関わるポジションだと思うんです。採用業務への協力依頼を通じて、採用施策への巻き込みを通じて、会社の中で全社員と関わることで、最も企業のコンディションを精緻に把握できる仕事なので、自ずと会社の組織的課題を考えるきっかけが増え、経営目線で企業を見ることができるはずです。

私は、「採用の現場で経験を積んだ後に起業する」という自分自身のキャリアは順当だと思っていますし、恵まれていると考えています。さまざまな職種ごとの仕事を深く理解しなければ、いい採用はできないですし、社員との接点を幅広く持ち信頼を獲得できれば、その先の組織を考え、課題を予測することを通じて組織戦略、ひいては経営戦略を考えることもできましたから。

「人事・採用担当から経営者へ」という庄田さんのキャリアは新たなロールモデルになりそうですし、多くの人事・採用担当者が注目していると思います。

庄田氏:ありがとうございます。HERPを通じて、本気でHR業界を変えていきたいし、変えることができると思っています。ロールモデルになるかは分かりませんが、自分のキャリアが「凄くイイよね!」と多くの人事・採用担当者の方に思っていただくためにも、ますます気を引き締めて頑張っていかないといけないですね(笑)。

人事・採用担当者って社長以上に全社員と深く関わるポジション

【取材後記】

「HERP」によって採用における単純作業が自動化・省略化されることは、これまで煩雑な仕事に時間を割いてきた人事・採用担当者にとって間違いなく喜ばしいことでしょう。しかし、今回のインタビューはそれだけにとどまらず、人事・採用担当者の仕事がこれまで以上に戦略的・能動的になることにより、「企業や担当者間で格差が生まれる可能性がある」という未来にまで話がおよびました。バックオフィス、管理業務、事務作業…人事・採用の仕事のイメージが変わりつつある今、庄田さんのお話や「HERP」の登場は、ご自身の仕事について改めて見つめ直すよい機会にもなりそうです。

(取材・文/佐藤 直己、撮影/石山 慎治、編集/齋藤 裕美子)

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