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2017.06.01

「相手の人生を妄想してますか?」ピクスタ秋岡氏が、組織コンサル経験で得た採用力

PROFILE

ピクスタ株式会社

コーポレート本部 戦略人事部長 
秋岡 和寿

2002年に神戸大学経営学部を卒業後、同年4月に住友電気工業株式会社に入社。法人営業職や生産企画職を経験した後、2005年に株式会社グロービスに転職。法人営業のリーダー、コンサルタントなどを担当し、法人向け人材育成・組織開発コンサルティングを手掛ける。その後、MBA取得を経て、2014年よりピクスタ株式会社にジョイン。組織開発室長、経営企画部長を歴任し、現在は戦略人事部長として組織づくりの面から企業成長に貢献している。

2015年に20名、2016年にも20名の採用を行い、100名規模の組織へと拡大したピクスタ株式会社。その組織づくりの旗振り役を担うのは、戦略人事部長の秋岡和寿氏です。

インタビュー前編で語られた秋岡氏の組織改革に向けたアクションは、社員と経営陣との間にある意識のズレを埋めることで、一体感を持った組織を作っていくというものでした。そうした行動には、秋岡氏のキャリアに裏打ちされたノウハウやマインドが根付いています。

そこで今回は、秋岡氏がどんな環境で、どんなスキルを磨いてきたのか。そしてその技術をいかに部下に伝承しているのか、にフォーカスします。

人・組織は目に見えないもの。
だからこそ「対話」が重要になる

秋岡さんは、前職で組織コンサルタントを経験されていますね。そのキャリアは、現在の組織づくりにどのように活きていますか?

秋岡氏:前職のグロービス時代に痛感したのは、トップの意識や行動が変わらないと、組織全体を変えることはできないということです。実際、ピクスタへの入社後に行った経営陣に対する提言も、「社内の混乱の原因は、あなたたち自身に問題があります。あなたたちが変わらなければ、現場は変わりません」という内容でした。

経営サイドの意志を変えることが、組織改革の始まりになると。

秋岡氏:組織開発や人材育成などの人事系のコンサル業務では、特に経営者など最終意思決定者のグリップは重要です。そもそも人・組織って、目に見えないものじゃないですか。経営陣もメンバーも、それぞれに事業や組織に対する想いがある。でも全体像は、トップでもなかなか把握できない。

認識がズレやすいからこそ、経営層・マネジメント層・現場のメンバークラスなど、一人ひとりの考えをすべて吐き出してもらい、それを分かりやすく言語化して共通認識を図っていくプロセスは、必ず行っていましたね。

トップだけでなく、現場とのコミュニケーションも重要なのですね。

秋岡氏:プロジェクトを実現するには、一人ひとりの意思決定が必要です。そのため、トップの下の部長、課長、現場の担当者、それぞれと向き合います。もちろん、経営者と現場では見ている視野も視座もまったく違いますから、それぞれのレイヤーに合わせたヒアリングを行い、そこで得た情報を踏まえて「人が動くためのコミュニケーション」をひたすら考え行動していました。

その対人スキルも、やはり前職で養われたのですか?

秋岡氏:そう、グロービスでのコンサルタント時代ですね。当時お世話になった上司に、厳しく叩き込まれました。その上司は、コミュニケーションやヒアリングにとことんこだわる方で。どういう粒度の言葉で話すと、相手はどう反応するのか、それをさらに深めるためには、どんな投げかけが効果的なのか。本当に一つひとつ考えながら「徹底的に聞く」「相手を動かす」ということに取り組み続けてきました。

それがもう沁み込んでいるので、今の仕事で面接に入っていても、常にもうひとりの自分が、自分のコミュニケーションをメタ認知しているくらいです。

人事の枠に捉われない、事業全体の現状と課題理解が、活躍のカギに

インタビューに答えるピクスタの秋岡様_その1

秋岡さんが組織づくりを行う上で、常に意識していることはありますか?

秋岡氏:自分=人事という自己定義はしないようにしています。「組織の中の人事」と考えると、どうしても分業の発想が生まれ、「人事の仕事はこれ」というイメージに捉われてしまいがちです。ですから、自分は社内の人間であっても、経営陣やメンバーの“ビジネスパートナー”だと考え、変な言い方ですが、おせっかいになろうと行動しているんですよね(笑)。

おせっかい、ですか?

秋岡氏:たとえば、人・組織づくりという目線だと、まずどうやって個人個人がよりよく働ける環境づくりをしていこう?と考え行動しますよね。ただ、おせっかいな思考で見ると、人・組織づくりの前には、まず“事業”があるわけで。そうすると人・組織のことを考えるためには、まず事業の現状を深く理解しないと、本質的な課題が何なのか掴めないよねと。

組織にだけ目を向けるのではなく、おせっかいな姿勢で事業全体を把握する。

秋岡氏:そうです。事業と人・組織は切り離せませんから、実は事業理解こそ人事の仕事じゃないかな、とも思うくらいです。ピクスタでも、経営層やメンバーからのヒアリング情報をもとに、私のアイデアもミックスして事業ビジョンの言語化を行いました。それまでは数値上の売上目標はあるものの、状態としての目標がなかったからです。

そこで、ピクスタは写真をスタートに、個人のクリエイティブをビジネス化する、様々な「クリエイティブ・プラットフォーム」の創造を強みに成長していこう、というビジョンを掲げました。このビジョンは、もちろん理想の組織像やそこで活躍する人材像をはっきりさせることに繋がっています。

対人スキルを磨くコツは、「相手の人生を妄想する」こと

インタビューに答えるピクスタの秋岡様_その3

人事担当者には、営業やコンサルタント経験が無い方もいます。日ごろの業務を通して対人スキルを高める方法はあるのでしょうか?

秋岡氏:私の部下に、2015年新卒入社の採用担当者がいます。その彼女に、採用業務において伝えていることを紹介します。

彼女には、採用面接に取り組むにあたって、4つのポイントを意識しなさいと言っています。
まず1つ目が、毎回自分なりの仮説を持って臨み、それを必ず検証する。2つ目が、ヒアリングでは、事実と解釈を絶対に分けて聞きなさい。大事なのは、事実=ファクトですから、ここを確実に押さえましょうということですね。3つ目は、自分の話ではなく、相手の流れに乗ることを意識しよう。そして最後に、相手の人生を“妄想”しろ、ですね。

相手の人生を妄想するとは?

秋岡氏:レジュメに書かれた経歴や前職の社名、実績、パーソナルデータなどを見るだけでも、様々な情報が見て取れます。それをもとに、この応募者はなぜ、今このタイミングで転職しようと考えたのか? 当社を選択肢のひとつに選んだ理由は何か? どういう気持ちで面接に来るのだろうか? と考えてみるわけです。

応募者が転職するストーリーを想像してみるのですね。

秋岡氏:はい、その妄想をもとに、面接前にどんな質問をすればいいのか、徹底的にシミュレーションしてもらうんです。そして、「その質問は、どの事実から妄想したの?」と意図や理由を聞き、面接の流れを仮説してから実践に臨むんですね。もちろん面接後には、事前の想定が正しかったのか、考えが及ばなかった点は何か、こちらの考えを押し付けるのではなく、相手の土俵に乗ってコミュニケーションできていたか……などを細かく検証し、それを次に繋げていく。そうして、ひたすらPDCAを回していきました。

妄想力が身に付くと、ダイレクト・ソーシングにも役立ちそうです。

秋岡氏:おっしゃる通りです。ダイレクト・ソーシングであれば、たくさんのレジュメをチェックする中で、採用基準にあった登録者にいかに的確にあたりをつけられるか、どこまでの粒度で仮説を立てられるか。さらに入社後、どうすればスムーズに立ち上がることができるかまで妄想できれば最高です。
これを実践するには、幅広い業界知識が必要になりますが、そこまでの感覚とスキルが身に付けば、いつか採用担当を離れたとしても、キャリア構築に必ず役立ちますからね。対人スキルを磨きたいとお考えの方にも、ぜひ取り組んでみてほしいです。

取材後記

1.経営陣・メンバーそれぞれと対話を重ね、多面的な情報収集を行う
2.組織づくりのブレを無くすために、思考を明確に言語化する
3.人事の枠に縛られず、事業理解や課題認識に取り組む
4.レジュメから候補者の転職ストーリーを読み解く、「妄想力」を養う

あらゆるレイヤーの人材に徹底的にヒアリングし、その上で、相手を動かすコミュニケーションを図る。秋岡氏が組織コンサル企業で培った基本スタンスは、手間暇と時間を要するものです。しかしその努力が、組織全体の変化と採用力向上という大きな実りに繋がることも、ひとつの事実。

社員に愛される会社、「ここで働きたい」と強い意志を持った人材が集まる組織は、末永い成長を実現できるはずです。その中心に立つのは、人事の枠を超えた人事担当者の活躍なのかもしれません。

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