採用手法のこれからを考える ダイレクト・ソーシング ジャーナル

DODA 中途採用をお考えの方へ

2017.06.06

「成功する採用戦略の立て方」とは、採用プロセスではなく採用全体を見直すこと

PROFILE

and factory株式会社

執行役員CHRO 梅谷 雄紀

新卒でパーソルキャリア株式会社(旧株式会社インテリジェンス)に入社。採用支援に従事した後、不動産投資会社に転職。その後、人材紹介・採用コンサルティング会社を設立。2014年にand factoryにジョインし現在に至る。

リクルートワークス研究所

研究員 城倉 亮

新卒で大手航空会社に入社。人事として経験を積んだ後、ITベンチャー企業を経て、リクルートに活躍の舞台を移す。2015年10月より現職。これまでに、「サービス産業の『新しい働き方』」、「ピープルアナリティクスを活用した生産性向上」などのプロジェクトを担当。

「採用活動が上手くいかない」

その改善を考えたときに、求人票やスカウトメール、面接など採用のプロセスばかりに目がいってはいないでしょうか。もしそうだとしたら、立ち返りたい部分があります。それは、採用を会社の全体的な活動の一つと捉え、経営や事業戦略と連動させることです。

採用は人事が1人で奮闘しても、上手くいかないのが実際です。採用を成功させ続けるには、社内を巻き込み、経営や事業戦略と連動させる意識が欠かせないのです。

そこで今回、「成功に結びつく採用活動」の見直し方を、and factory株式会社の梅谷 雄紀氏と、リクルートワークス研究所の城倉 亮氏にお話しいただきました。(この記事は、DODA Recruitersが主催したリクルーター・アカデミーの内容を要約した上で構成しています)

場当たり的な解決策では上手くいかない

登壇する城倉氏の画像

城倉氏:「採用がうまくいかない」という悩みを抱えている人事・採用担当者の方は少なくないと思います。よろしければ、採用活動における流れの中で課題だと感じる部分を考えてみてください。

例えば、

「母集団がつくれない」
「良い人と出会えても、面接で意向を上げられない」
「求人票やスカウトメールが書けない」
「採用競合と比較された時に、自社を選んでもらえない」
「経営層が採用候補者を口説いてくれない」
「内定を出しても断られてしまう」
「採用しても定着しない or 予想通りの活躍をしてくれない」

…などかもしれませんね。

もちろん、それぞれに改善策はあるでしょう。

「母集団がつくれない」といった問題に対しては『求人サイトへの出稿数を増やそう』とか『人材紹介サービスへの依頼を増やそう』といった対策が考えられるかもしれません。

また「良い人と出会えても、面接で意向を上げられない」といった問題に対しては、『採用担当者の面接スキルを高めるトレーニングをする』といった対策が有効かもしれません。

しかし、その改善策は本質を捉えた上で、社内を巻き込みながら実行したいものです。人事1人で採用活動の全てを進めることはできませんよね?

採用活動は、まず来期までに売り上げを○○%伸ばしたいという事業計画のもと、その事業計画を実現するために○○人を採用しようという『採用計画』を作ります。

次に、その『採用計画』を実現するために、活躍が期待できる人物像を採用ポジションの責任者と共通認識を持って定めます。

そして、書類選考や面接で採用候補者を見極め、自社の魅力をしっかりと伝える。これが採用活動の一連の流れで、いずれも経営層や採用ポジションの社員達と協力しながらでないと、上手く進めることはできません。

また最終的には採用した人材に入社後、しっかりと力を発揮してもらう。というのが、採用活動の目的です。その目的を果たすには、起きている課題に対する場当たり的な解決策を考えるのではなく、採用に携わる社員一人ひとりが本質を理解している必要があるのです。

実は、「母集団がつくれない」といった問題は、単純に採用手法の数を増やすだけでは解決しないかもしれません。採用したい人材を明確化したうえで、その人材を惹きつけるための取り組みが必要であったり、「良い人と出会えても、面接で意向を上げられない」といった問題も、原因は面接官のスキルの問題では無く、根本的に採用に対する理解が足りていないのかもしれない。

採用に携わる社員が本質を分かっていると、取り組みの一つひとつがブレない上に採用活動が上手に回り始めます。

今回、このアカデミーに一緒に登壇したand factory株式会社の梅谷氏は、経営陣全員が戦略を理解した上で、実際の活動を展開していらっしゃる印象があります。梅谷氏の取り組みから、採用活動を上手く進めるためのヒントが得られるのではないでしょうか。

採用戦略の認識を社内ですり合わせる

アカデミーで登壇する梅谷氏

梅谷氏:城倉さんからの解説にあったように、採用活動には戦略が必要だと思っています。ここからは、and factoryで取り組んでいることをご紹介させてください。

手前味噌になってしまうのですが、当社は創立から1年未満で社員を30名以上採用できています。なかでもITエンジニアの採用については、一般的に採用費用が200万円程度掛かると言われているなか、業界水準よりも抑えられています。採用に関して上手くいっている方ですね。

なぜ上手くいっているのかと言えば、事業を成長させるには仲間を集めることが大事だという意識のもと、経営陣全員が採用に対する戦略を理解し、戦術として展開できているからだと思います。

戦略を社員に理解してもらう状態を作るには、「ミッションの共有/全員人事の体制づくり/施策の整理」の3段階のアプローチが有効です。

戦略

この戦略の共通認識を進めるために、人事の私はCHRO(最高人事責任者)という立場のもと、経営層に働きかけています。現在and factoryには「アプリ事業部」をはじめ、全部で5つの部門があるのですが、いずれの事業部でも採用方針を定めた上で、組織ごとに最適な人材の採用を目指しています。

採用戦略を採用部署の責任者に理解してもらった後に具体的な施策にして行動していきますが、そのなかで社員と人事との協力体制ができていることは必要不可欠です。社員には、面接や採用会食に同席してもらうことや、求人票や採用媒体の記事作成にも携わってもらうこともあります。社員は採用活動に携わることで、チームや組織を成長させていくことに関わっている実感を持てている人も多いと思います。結果、事業の成長に繋がってきていると感じています。

日々忙しい中、協力してくれる社員が多いので、携わることが自身の仕事や成長にもつながることや、自身にも何かしらの形で返ってくるという実感をもってもらうことを意識的に大切にしています。例えば、コミュニケーションをとる機会を多くし、働く中での課題や悩みなどを把握し改善することや、社員の声をできる限り形にできるようにしています。最近では、コミュニケーションが減ってきていると感じる社員からの声に応えるため、毎週金曜日にお酒や食べ物が会社に届き、仕事後に社員が交流できる「ビアバッシュ」のような制度を実施し始めました。

このようにして、採用を含めて組織に携わることで働く環境も業務もより良くなっていくと感じてもらえていると感じています。採用は人事だけではできないことも多いので、社員の力を借りることで人事としてもできることが増え、さらに機能し、採用も組織づくりも強固なものになっていきます。

こうした社内への協力体制・意識統一があったうえで、具体的な採用プロセスに落とし込んでいるのです。例えば、自社の採用体制や採用活動に使える費用を鑑み、メディア(求人広告、SNSなど)やリファラルリクルーティング、人材紹介サービスなどをどのように、どのくらい利用するか考えるといった取り組みです。

実際に、採用活動として取り組む内容は多いのですが、すべては採用戦略に基づいての行動です。これができるようになっていると、採用プロセスだけを見ての行動とは違うので、人事として自らの視野の広がりが実感できると思います。また、経営層や採用ポジションの責任者や社員達の協力も得やすくなっているはずなので、これまでにない手応えを感じるのではないでしょうか。

具体的なHOWであるペルソナ設計の方法をご紹介

梅谷氏:ここまでは採用戦略の大切さを解説してきました。とはいえ、せっかくなので、すぐにでも使える戦術のイチ手法として「ペルソナ設計」についてご紹介します。ペルソナは、ご存知の方も多いと思いますが、いわゆる採用したい人材の「人物像を細かく明確化したもの」です。

もっとも「ペルソナ設計」は人事だけで行っても、上滑りしたものになる可能性があります。採用戦略に基づき、経営層、採用ポジションの責任者とのすり合わせが必要です。具体的な設計ですが、性別や年齢をはじめ、今どんなことをしていて、なぜ転職を考えたか、転職先に何を求め、将来どうなりたいか、などを想像し紙に書いていきます。

こういったディテールを明確化していくことで、人事と経営層、採用ポジションの責任者みんなが共通認識を持てるようになります。そのため、軸を持った採用活動を展開できるのです。

ペルソナを設定する項目

上記を書き出すと、自社がそのペルソナに何が提供できるもはっきりとしてくるはずです。そうです、それが求人票・求人広告やスカウトメールに書くことなんです。

採用戦略からペルソナ設計、求人票・求人広告やスカウトメールの作成が一連の流れでできれば、非常に有効な採用活動につながっていくでしょう。

人事は事業の「ハブ」。大きな価値のあるポジション

セミナーの風景

城倉氏:人事は会社、事業を回すのに欠かせない存在です。なぜなら、企業活動のすべて、良い事も悪い事も「人」に起因しているからです。

人事は、「人材マネジメントの前提・成果」「採用プロセスの前提・成果」「募集・選抜の設計・実行」にハブとして関わります。and factory株式会社の梅谷氏は我々が提唱している採用のホイールモデルにおける採用ハブの役割を果たしていると考えています。

ハブの役割がいることで、採用活動を進化させ、会社を成長させることにもつながるのです。

採用活動のハブであるの図

オペレーティブに日々の業務をこなしていればいいというポジションではありません。ぜひ人事という仕事の価値を改めて感じながら、日々の業務に臨んでいただければと思います。

まとめ

採用は本来、会社全体の事業活動の一環として行われるべきものです。そのため、戦略を経営層や採用ポジションの責任者やメンバー達と突合せたうえで、戦術に落とし込んでいきます。そういった活動をする人事は、いわば採用活動のハブといえる重要な役割を果たします。
もし「採用がうまくいかない」「採用してもすぐ辞めてしまう」などあれば、あらためて採用の戦略から見直してみてください。これまで見えなかった気づきが得られるはずです。

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