目標管理シートの書き方や職種別の記入例・活用ポイントを解説【テンプレ有り】
d's JOURNAL
編集部
従業員が意欲的に業務に取り組める環境を整えるには、目標管理が重要です。目標管理シートは、従業員自身が作成するものであるため、自ら立てた目標を振り返るツールとして役立ちますし、企業側としても公平な人事評価を行うことにつながります。
この記事では、目標管理シートの書き方や職種別の記入例、活用するためのポイントなどを詳しく解説します。
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目標管理シートとは
目標管理シートを作成することで、達成目標や行動、評価基準などを従業員と共有でき、適切な管理が行えるようになります。効果的な目標管理シートを作成するために、まずは基本となる定義や作成する目的を解説します。
目標管理シートの定義
目標管理シートとは、人事評価制度の一つである目標管理制度(MBO)のことであり、従業員自らが作成するものです。上司の指示で目標を設定するのではなく、従業員自身が主体的に業務における遂行目標を設定し、達成すべき項目や目標を数値化していきます。
企業側は、目標管理シートに沿って目標の達成度や進捗などを確認し、従業員に対する評価を行います。目標の設定から達成具合、振り返りまでのプロセスを見える化することによって、企業と従業員の認識のずれを解消することに役立つのです。
目標管理シートを作成する目的
目標管理シートを作成する目的として、組織と個人の目標達成力を高めることがあげられます。企業と従業員が合意をした目標を立てることによって、個々の従業員はどのような目標を持って日々の業務にあたっていけばよいかが明確になります。
上司からの指示だけで行動するのではなく、従業員自身が目標を設定することで、モチベーションが高まるでしょう。また、目標管理シートを基に人事評価を行えば、公平で納得感のある評価に結びつけやすいといえます。
目標設定に役立つフレームワーク
目標管理シートを作成するには、従業員の目標設定に役立つフレームワークを活用することが大事です。フレームワークに沿って作成作業を進めていけば、よりスムーズに目標管理シートを作成できるでしょう。
ここでは、主なフレームワークについて解説します。
ベーシック法
ベーシック法とは、目標設定における最も基本的なフレームワークであり、他のさまざまなフレームワークの基になっているものです。ベーシック法は、目標項目・達成基準・期限設定・達成計画の4つのステップで構成されており、それぞれのステップを自分なりに考えていけば、具体的な目標を立てることができます。
目標項目は、「強化」「改善・解消」「維持・継続」「開発」の4つの種類に分けられますが、どれか1つに絞って目標を立てていくか、種類ごとに細かく設定してみてもよいでしょう。次に、どのような状態になれば達成とするかの達成基準を明確化します。
達成基準を定めるにあたっては、目標項目を数値化するケースが多いです。しかし、すべての項目を数値化できるわけではないため、目標項目の内容によって細かく判断してみましょう。
そして、目標ごとの達成基準を定めたら、いつまでに達成するのかを明らかにするために期限を設けてみましょう。達成する期限を設けていないと、目標管理があいまいなものになってしまうので注意が必要です。
最後に、達成に向けたプロセスを明確にするために、達成計画を立てていきます。項目ごとのアクションプランやどのようなツールを用いるかなどを具体的に練ってみてください。
ランクアップ法
ランクアップ法とは、6つの構成要素から目標項目を設定していく方法をいいます。なお、ランクアップ法はベーシック法と組み合わせて用いることで、より高い効果を期待できます。
ランクアップ法における6つの構成要素とは、「改善」「代行」「研究」「多能化」「ノウハウの普及」「プロ化」のことです。それぞれのポイントとして、以下の点があげられます。
・改善:弱点を改善する
・代行:スキルが高い上司や先輩従業員の仕事を代行できるようにする
・研究:特定のテーマについて研究する
・多能化:現在持っていない他分野のスキルを身につける
・ノウハウの普及:スキルや知識をノウハウ化して、普及させる
・プロ化:専門分野におけるプロを目指す
専門的でレベルの高い目標を設定したいときに、ランクアップ法は有効です。
SMARTの法則
SMARTの法則は、経営学者であるピーター・ドラッカーによって提唱されたフレームワークです。SMARTの法則の意味は、それぞれ以下のとおりとなります。
・S(specific):具体的でわかりやすい
・M(measurable):測定可能である
・A(achievable):達成可能である
・R(relevant):関連している
・T(time-bound):期限が明確である
SMARTの法則を用いれば、誰が見た場合でも明確な目標を定めることができるでしょう。目標設定を行ううえで、基本的な捉え方として活用してみてください。
目標管理シートに記載する項目
目標管理シートを具体的に作成するには、記載すべき項目について正しく理解しておく必要があります。目標管理シートに盛り込んでおきたい6つの項目について解説します。
数値目標
目標管理シートを作成するときは、具体的な数値目標を設定することが大切です。数値化されていなければ、後からどのように評価してよいかわからなくなるため、あいまいな基準での評価となりかねません。
目標として定めた項目によっては数値化が難しい部分もあるでしょうが、数値化できるものについては積極的に取り組んでみることが大事だといえます。数値によって目標管理を行えば、従業員自身も目標の達成具合を把握できるので、モチベーションの維持につながるでしょう。
目標達成までの期限
どれだけ現実的な目標を立てたとしても、目標達成までの期限を設けていなければ、日々の取り組みが先延ばしになってしまう部分もあるでしょう。達成を目指す目標によっても期限は異なりますが、月単位や年単位をベースに期限を区切るのが大切です。
期限を設けて達成できない目標があるとすれば、実態に合わせた目標に修正し直すきっかけにもなるでしょう。
目標を達成するための行動目標
目標の数値化と期限を決めたら、次は行動プロセスを明らかにしてみてください。仮に、営業職で「1カ月に500万円を売り上げる」という目標を立てたのならば、1件あたりの客単価が25万円だとすれば、1カ月で20件の成約が必要であることがわかります。
成約率が20%であれば、1件成約するのに必要な商談数は5件なので、1カ月で100件の商談が必要になるでしょう。さらに週単位で見ていけば、25件程度の商談を行うという具体的な行動目標が定められます。
評価基準の設定
目標管理シートを作成するときは、評価基準の設定を行うことも重要です。評価基準を明確にしておけば、目標達成に向けたモチベーションの維持につなげられるでしょう。
具体的な評価基準は、職種によって異なりますが、目標を数値化できるものは数値として示しておくほうが明確になります。従業員と相談をしながら、評価基準を定めてみてください。
目標に対する結果
目標管理シートには、目標に向かって取り組みを行った結果、どのような成果を得られたのかを記入する必要があります。設定した期間で得られた成果や目標達成の度合い、それらに対する評価などを記入します。
経年で評価を比較できるように、よい評価の順にA・B・Cに区分するなどして、シンプルに評価していくことが大事です。どのような評価の分け方を行うかは、従業員とコミュニケーションを取りながら決めてみましょう。
結果の振り返り
目標の達成または達成できなかった点などを踏まえながら、目標管理シートの最後には結果に対する振り返りを記入する必要があります。目標を達成できたのなら、なぜ達成できたのかを振り返ることが大切です。
また、達成できなかった目標があったとすれば、達成できなかった理由だけでなく、どのような課題が見つかったのかも記入してもらうようにしましょう。従業員自身が振り返った結果を基にして、1on1ミーティングなどを通じてフィードバックを行い、次の目標に向けた取り組みの方向性を示していくことが大事だといえます。
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【職種別】目標管理シートの例文を紹介
目標管理シートを作成する際は、業務内容の違いについても留意しておく必要があります。職種ごとに目標とすべきポイントは異なるので、それぞれの職種で考えておくことが大事です。
ここでは、9つの職種に分類して、それぞれの目標管理シートの例文を紹介します。
営業職
営業職は数ある職種のなかでも、比較的目標を立てやすい職種だといえます。毎月の売上や成約件数、成約率などを数値目標として掲げやすいので、設定した数値目標を達成するための具体的な行動を決めやすいでしょう。
例えば、以下のような目標設定を行うことができます。
目標:売上1,000万円(客単価100万円)を達成する
行動:新規顧客5件、既存顧客5件を目安として契約件数を増やしていく
目標:前年同月比で115%の成約件数を獲得する
行動:アポイントを増やすために訪問回数を増やす、月の商談を15%増やす、商談のスキルを磨くためにロープレの回数を増やす
ポイントとしては、掲げた目標に対してどのような行動をするのかを明確にすることです。日々の業務で取り組むべきことを具体化すれば、目標達成に向けた行動を起こしやすいでしょう。
また、評価基準についても「売上1,000万円達成でA評価」「売上600~1,000万円でB評価」「売上600万円未満でC評価」というように、客観的に判断しやすい評価基準を設けることが可能です。
エンジニア職
エンジニアなどの技術職は、営業職のように売上ベースで目標を設定するのが難しい職種です。そのため、納期を短くしたり、バグが発生する回数を減らしたりといった観点から目標を設定してみるとよいでしょう。
目標:顧客が希望する納期に作業をすべて完了させる
行動:作業手順の確認や調整に取り組む、生産管理に関するスキルを身につける
目標:作業工程をすべて一人で担えるように、社内テストに合格する
行動:社内テストを6カ月以内にクリアできるように、月30時間を学習に充てる
目標:1つの案件において、バグの発生回数を1回以下に抑える
行動:納期の2日前には完成させる、バグのテストは必ず2回以上行う
上記のように、納期やスキル、品質管理といった観点から目標を設定してそれに基づいた評価を行っていくことが大事です。
企画・マーケティング職
企画・マーケティング職は目標を立てやすい職種ではありますが、どの部分に目標を設定するかは精査しておく必要があります。例えば、SNSの運用を目標にする場合、フォロワーの獲得が目標なのか、SNSを通じてコンバージョンを増やすことを目標にするのかで意味合いが違ってきます。
自社が掲げる目標と照らし合わせたうえで、適切な目標設定を行うことが大切です。具体的な目標と行動については、以下のようなものがあげられます。
目標:LINEで月50人の友だち登録を獲得する
行動:LINE以外のSNSで毎日3回投稿する、月に1回ウェビナーを開催する
目標:Twitterから自社の商品を購入してくれる人の割合を3%増やす
行動:商品の魅力や使い方に関する投稿を毎日2回投稿する、毎週1本は動画を投稿する
目標に対する評価基準としては、登録者数やコンバージョン率などで判断できるので客観的な評価を行えます。
クリエイティブ職
デザイナーなどのクリエイティブ職は、売上などの数値では目標を設定するのが難しい職種だといえます。マーケティングに関する部分も含めて考えれば、数値目標を立てられないわけではありませんが、クリエイティブが売上に対して直接的にどの程度の影響を与えているかを測定するのは難しいでしょう。
そのため、クリエイティブ職で目標設定を行うときは、エンジニア職と同じように納期や修正回数などで考えていくほうが無難です。
目標:顧客が求めている納期で、すべての案件を対応する
行動:納期の2日前には制作物を完成させる、仕上がりに問題がないか2回以上チェックする
目標:毎月の修正回数を1つの案件で、1回以下に抑える
行動:デザインのラフの段階で修正回数を決めておく
作業効率を高め、顧客満足度にどれくらい貢献できたかを評価基準にしてみるとよいでしょう。
コンサルタント・研究職
コンサルタントや専門分野を取り扱う研究職などは、顧客にどれくらいの貢献を行えたかを数値目標にしてみましょう。具体的には、以下のような目標が掲げられます。
目標:顧客企業の売上を20%向上させる
行動:競合他社の研究を行ったうえで最低10個のプランを考える、チームで連携して提案内容に磨きをかける
目標:商品Aの開発チームに加わり、顧客企業の利益率を2%高める
行動:顧客企業が製造している商品Aを精査して、生産ラインの見直しを図り、製造コストを10%抑える
サービス職
サービス職の場合は、販売を担当している商品の売上や顧客数など、数値目標として設定できる部分は多いといえるでしょう。逆に、多くの目標を立ててしまいがちになる恐れもあるため、目標の数や難易度が適切なものであるかを精査する必要があります。
目標:担当している売り場の売上を10%向上させる
行動:1日に15人の顧客に自ら話しかけに行く、接客に関するロープレを毎週1回は行う
目標:担当している商品の売上を5%伸ばす
行動:商品に関する知識を深めるために外部の勉強会に月1回は参加する、商品の魅力をわかりやすく伝えられるように話し方のロープレを毎週1回行う
成果を上げている従業員のノウハウなどを共有することで、目標達成に結びつけやすい環境を整えていくことも大事です。
管理部門・バックオフィス職
人事部などのバックオフィス業務を担う職種は、社内環境を整える役割であるため、売上などの数値を目標にすることは難しいといえます。そのため、従業員の満足度や業務の効率化などを数値目標として定めるのがよいでしょう。
目標:離職率を5%未満に抑える
行動:すべての従業員と面談を行って不満を把握する、社内アンケートを実施して3カ月に1回はレポートにまとめる
目標:給与明細書の作成に関する業務時間を50%削減する
行動:手作業を減らすために給与計算システムを導入する、紙の書類のやりとりを10%以下に抑える
上記のように、具体的な数値目標を定めることで、業務の効率化を推進していけます。
事務職
事務職は一見すると数値目標を立てにくいイメージを持ってしまいがちですが、業務効率を高めたり、ミスを減らしたりするなどの部分で目標設定が行えます。具体的な目標の例としては、以下のとおりです。
目標:資料作成にかかる時間を15%削減する
行動:資料作成に必要なデータを一元管理する、関係者とリアルタイムで情報共有できるようにクラウドサービスを利用する
目標:経費精算に関するミスを月3回までに減らす
行動:手入力の作業を行わないで済むようにペーパーレス化を進める、経費精算の期日を設けてすべての従業員に徹底してもらう
管理職・マネージャー
管理職やマネージャーは、個人としての成果を目標とするより、チームや部署全体の目標をどのように達成できたのかを判断基準に置くほうがよいでしょう。具体例としては、以下のものがあげられます。
目標:部全体の目標売上を10%アップさせる
行動:毎週1回は全体ミーティングを開いて成績を上げている従業員のノウハウを部署内で共有する、経験の浅い従業員のフォローを行う
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目標管理シートを作成する4つの効果
目標管理シートを作成することで、日々の業務におけるさまざまな効果が期待できます。主な効果として、次の4つの点があげられるでしょう。
・現状把握につながる
・目標を具体化できる
・公平な評価を行いやすくする
・人材育成につながる
それぞれの効果について解説します。
現状把握につながる
目標管理シートを作成することで、従業員は自分が置かれている仕事の現状について正しい認識を持てるようになります。日々忙しく働いている方ほど、目の前の業務への対応に追われてしまいがちになるため、「何のために仕事に取り組んでいるのか」といった点を見失ってしまう恐れがあるでしょう。
また、評価の基準があいまいなままだと、与えられている業務量に対して正しい評価が行われていないといった不満も抱えやすくなります。目標管理シートを作成することで、うまくいっている業務やなかなか成果を出せない業務が生じている理由が明らかになるため、日々の業務の改善につなげていけます。
現状を冷静に受け止めるきっかけとして、目標管理シートは役立てられるので、これまで作成したことがなかった方ほど得られる効果は大きいといえるでしょう。
目標を具体化できる
目標管理シートを作成すれば、自ずと数値目標や行動プロセスを明確化することになります。そのため、目標に向けた取り組みを具体化でき、従業員は高いモチベーションを維持しながら、業務に励んでいけるようになるはずです。
単に数値目標を掲げるだけではなかなか成果に結びついていかないものですが、目標管理シートでは具体的な行動にまで目標を落とし込んでいけるため、すぐに実践しやすいといえます。従業員の立場からすれば、目標達成に向けた取り組みが明確になり、具体的な業務量なども把握しやすくなるので行動に移しやすくなります。
公平な評価を行いやすくする
目標管理シートは、目標や取り組んだ成果を数値で表すので、公平な評価を行いやすいといえます。成果に対する評価基準などが明確であるため、従業員にとっても不満が溜まりにくいでしょう。
また、単に結果の良し悪しだけを見るのではなく、「なぜ成功できたのか」「どうして目標を達成できなかったのか」の理由や原因まで振り返ることができるため、従業員自身も評価に対する納得感を得やすいといえます。
人材育成につながる
目標管理シートは上司と相談をしながら、従業員自らが作成していくものです。企業から一方的に押し付ける性質のものではないため、従業員の自発的な行動を促しやすいという効果が期待できます。
自ら立てた目標に向かって日々取り組んでいく流れを生み出せば、従業員自身が行動を振り返る機会も多くなり、人材育成につなげられるでしょう。達成できた目標からは自分の強みや能力を見出していけますし、達成できなかった目標からは次の課題や改善点などを探っていけます。
自主的な取り組みを促すきっかけとして、目標管理シートを作成する効果は大きなものがあるといえるでしょう。
目標管理シートを上手に作成するためのポイント
目標管理シートをうまく作成するためには、以下の点を押さえておくことが大事です。
・組織の目標と擦り合わせる
・目標は適切な数に絞り込む
・定量的な目標が含まれている
・目標の難易度に問題がないようにする
・目標自体がノルマにならないようにする
・成功体験を積ませるための目標も設定する
各ポイントについて解説します。
組織の目標と擦り合わせる
目標管理シートは従業員自身が作成していくものですが、企業が目指す方向性と乖離したものになっていないかをチェックすることが大事です。従業員の個人的な目標だけで設定してしまっては、いくら取り組んでいったとしても組織の成長には結びつきにくいでしょう。
従業員が目標管理シートを作成する際は、目標の立て方や数値設定、行動プロセスなどに問題がないかを上司は一緒になって確認していく作業が必要です。必要に応じてアドバイスを行い、組織が掲げる目標と従業員が立てた目標の擦り合わせを行ってみましょう。
目標は適切な数に絞り込む
従業員が意欲的に目標に向かって挑戦していくのはよい点だといえますが、目標の数を適切に絞り込むのも重要です。本人の実力以上に多くの目標を設定してしまえば、個々の目標に対する取り組みが中途半端なものになってしまうでしょう。
一方で、目標の数が少な過ぎると、十分な達成感が得られずに不満が溜まってしまう原因になる恐れがあります。従業員との面談を通じて、現時点で設定する目標の数が適切なものになっているかをチェックすることが大事です。
定量的な目標が含まれている
目標はただ設定すればよいというものではなく、定量的な部分がきちんと盛り込まれているかをチェックしてみましょう。数値化できるものはできるだけ、数値として目標を掲げるほうが目標の達成具合を把握しやすくなります。
公平な評価にもつながりやすいので、従業員自身の納得感にもつながりやすいです。ただし、職種によっては目標の達成度を数値化するのが難しいものもあるため、状況に応じて定性的な部分も取り入れていく必要があります。
目標の難易度に問題がないようにする
目標の方向性や数に問題がなくても、目標の難易度が適切なものでなければ、モチベーションの低下を招く原因となるので注意が必要です。目標設定が高過ぎても低過ぎても、思うように成果を出せなくなってしまう恐れがあります。
従業員の実力を踏まえたうえで、やや実力以上の難易度の目標も織り交ぜながら、全体のバランスを考えてみましょう。努力すれば達成できる範囲で目標を立てるほうが、モチベーションの維持につながるはずです。
目標自体がノルマにならないようにする
目標管理シートで設定をした目標は、あくまで達成を目指すべきものであって、ノルマではありません。ノルマとしてプレッシャーを与えてしまうと、モチベーションの低下を招いたり、本来の実力をうまく発揮できなくなったりするケースがあるので注意しましょう。
目標に向かって行動していく本質的な部分を従業員に理解してもらい、ノルマ化してしまわないように、上司や先輩従業員が適切なフォローを行っていくことも大切です。
成功体験を積ませるための目標も設定する
目標を設定する際は、つい大きな目標を立てることばかりに意識が向いてしまいがちですが、小さな目標も適切に設定していくことが大事だといえます。目標が大きなものであるほど、達成するまでには時間や労力がかかってしまうため、仕事を通じた充実感を得られにくくなるでしょう。
特に経験の浅い分野に取り組む従業員については、成功体験を積ませて自信を持ってもらうためにも、小さな目標設定は重要なポイントです。比較的達成しやすい目標を盛り込んでおくことで、途中経過を振り返りやすく、大きな目標にも取り組んでいくだけの意欲を維持できるはずです。
目標管理シートを活用するための3つのポイント
きちんと目標管理シートを作成できても、日々の業務のなかで活用できていなければあまり意味がありません。しっかりと活用していくためのポイントを解説します。
定期的に進捗状況を確認することが大切
目標管理シートを従業員が作成したら、定期的に進捗状況を確認することが大切です。従業員に任せきりにしてしまうと、設定した目標と異なる方向に動いていたり、予想外のトラブルなどに見舞われて進捗が遅れている場合にどのように対応すればよいかがわからなかったりするでしょう。
従業員のモチベーションを低下させないためにも、1on1ミーティングなどの定期的な面談を通じて、しっかりとチェックしていくことが大事だといえます。適切なフィードバックを行うことで、従業員は安心して自分の目標に向かって努力を重ねていけるでしょう。
PDCAサイクルを回していく
どれほど綿密に目標管理シートを作成したとしても、実際に行動してみなければわからないことも多いものです。そのため、目標管理シートを作成して従業員が設定した目標に向かって取り組みを行い始めたら、チェックして改善点を洗い出してみましょう。
実際の取り組みを行いながら、修正を加えていくことで目標の達成により近づいていけるはずです。PDCAサイクルを回していくなかで気づいたさまざまな点を活かしながら、目標達成に向けて着実な行動を重ねていけるように、従業員にアプローチしてみましょう。
目標の修正も柔軟に行う
目標管理シートで設定した目標に向かって努力を重ねていても、前提となる条件や本人の実力がまだ伴っていないなどの理由から、目標達成が困難だと感じてしまう部分も出てくるでしょう。設定した目標に向かって努力していくのは大事ですが、今の時点で達成できなさそうな目標は、修正していくことも検討してみてください。
実力に見合わない目標を掲げて行き詰まるよりは、小さな目標を達成して成功体験を積み重ねていくほうが、長い目で見れば人材育成につながることも多いものです。従業員とのコミュニケーションを重ねながら、目標が見合ったものであるかをチェックしてみましょう。
まとめ
目標管理シートの作成を通じて、従業員自らが目標を設定することになるため、日々の業務や今後達成すべき課題などが明確になり、仕事へのモチベーションを高めることにつながるでしょう。
また、目標管理シートがあれば従業員一人ひとりの状況を把握できるので、公平な人事評価や適切なフィードバックにも役立つはずです。
目標として設定すべき内容は職種によって異なるため、しっかりと精査していく必要があります。定期的に進捗状況を確認しながら、PDCAサイクルを回していけるように従業員のサポートを行ってみましょう。
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(制作協力/株式会社アクロスソリューションズ、編集/d’s JOURNAL編集部)
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