採用難を改善する7つの対策とは?採用率UPや人手不足を解消させる方法
d’s JOURNAL編集部
採用難による人手不足は、さまざまな業界や企業が抱える共通の課題ともいえます。求人を募集しても思ったような成果が得られない場合は、自社の採用活動のあり方を見直し、積極的に改善を図ることが大切です。
今回は採用難を解消する対策や採用率を高めるためのポイント、具体的な採用手法などをご紹介します。
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採用難を解消する7つの対策
採用難を乗り越えるためには、さまざまな角度から自社の課題を洗い出し、必要に応じて対策を実施する必要があります。ここでは、採用難を解消するために企業ができる、7つのアプローチを詳しく見ていきましょう。
・労働条件を見直す
・多様な働き方ができる環境を整える
・デジタル化を推進して業務効率化を図る
・人材採用の範囲を拡大する
・複数の採用手法を取り入れる
・インターンシップの導入を検討する
・採用工程のムダを減らす
労働条件を見直す
採用難を解消するには、まず労働条件の見直しを図るのが基本となります。特に競合他社や業界水準と比べて、給与や休暇制度、勤務形態、福利厚生といった労働条件が見劣りする場合は、可能な部分から改善に着手しましょう。
現代の求職者はインターネットを通じて幅広く情報収集を行うため、応募先を見極める段階で、競合他社や同じ業界の会社とじっくり比較検討するのが一般的です。労働条件は比較材料となりやすいため、どのように設定するかによって母集団形成の質が大きく左右されます。
競合他社や業界水準と比較して、自社の労働条件が上回るものであれば、求職者にとって魅力的な職場環境として捉えられるはずです。待遇面の良さから応募を検討してくれる人が増えることで、採用難の解消につながっていくでしょう。
多様な働き方ができる環境を整える
働き方の多様化に合わせて、企業の勤務体制に柔軟性を持たせるのも有効なアプローチといえます。リモートワークを実現できれば、遠隔地の人材や副業を検討している専門職の人材もスムーズに活用することが可能です。
また、時短勤務やフレックスタイム制などを導入できれば、育児・介護との両立を目指す人材からの応募も見込みやすくなるでしょう。
デジタル化を推進して業務効率化を図る
採用難を解消するには、デジタル化を推進して業務効率化を図り、長時間労働の改善や柔軟な働き方の実現に取り組むことが重要です。そのうえで、採用した人材の定着率向上に向けた取り組みを進める必要があります。
各業務のフローを確認し、効率化を図れる部分については、ITツールやシステムを用いて改善できないかどうかを検討してみましょう。業務の効率化が行える部分をデジタル化によって改善していくことで、働きやすい環境を提供しき、採用難の解消につなげていくことが大切です。
人材採用の範囲を拡大する
採用難に対応するには、企業が柔軟な発想を持ち、場合によっては候補者の幅を広げることも重要です。
例えば、なかなかフルタイムの人材が集まらない場合は、パートで働いてもらえる多様な働き方を求める人々にも視野を広げてみるのもよいでしょう。
また、これまで女性採用にあまり取り組んでこなかった企業の場合は、性別に関係なく採用を行ってみるのも1つの方法です。
そして、リモートワークが行える環境を整え、地方などの遠隔地に住む人材に目を向けるのも有力な方法です。柔軟な形で働ける環境を構築することは、新たに雇い入れる人材だけでなく、既存の従業員にとっても働きやすい環境を提供することになるでしょう。
複数の採用手法を取り入れる
既存の採用方法で思うような成果が得られない場合は、その他の採用手法にも目を向けてみることが大切です。具体的な採用手法として、以下のものが挙げられます。
採用手法の種類 | 概要 |
---|---|
ダイレクトリクルーティング | ・サービスを取り扱う会社の人材データベースを照会し、条件に合った人材に対して企業から直接アプローチをかける採用手法。
・気になった候補者に対して、企業自ら接点を持ちかけられるため、「攻め」の採用手法として注目を集めている。 |
リファラル採用 | ・従業員の知人や友人を紹介してもらう採用手法。
・すでに自社のことを理解している従業員が仲介するため、企業と人材のミスマッチが起こりにくく、効果的な採用を行いやすいのがメリット。 |
人材紹介サービス | ・人材紹介サービス会社を通じて、人材を採用する手法。
・欠員補充ですぐに採用したい場合や、即戦力となる人材を求める場合に向いている。 |
それぞれ採用手法の違いを押さえたうえで、複数の手法を組み合わせることで採用活動の効率化を図ってみましょう。
インターンシップの導入を検討する
インターンシップの導入は、自社への認知度や関心度を高めてもらう有効な機会となり得ます。特に中小企業の場合はどうしても大企業と比べて認知度が低く、働く場としての魅力を高めても、求職者にあまり認識してもらえないというケースが多いです。
地域の学生などを対象に積極的なインターンシップを実施すれば、業務や自社に対する適切なイメージを持ってもらえ、応募につながるチャンスが広がります。また、すでに自社へ関心を持っている人材については、事前に社内の様子を見てもらうことで、相性や適性を見極めてもらえるという効果があります。
その結果、採用におけるミスマッチを予防できるため、採用活動の質そのものも向上していくでしょう。
採用工程のムダを減らす
採用工程を効率化することも採用難の解消につながります。選考結果が出るまでの間にあまりにも時間を要すれば、その間に人材を他社に取られてしまう可能性があります。
特に中途採用では、転職活動の間に収入が途切れてしまうことを懸念して、いち早く内定を出してもらえた応募先に入社を決めるというケースも少なくありません。応募数に対して面接参加率や入社率が低い場合は、選考プロセスに問題が隠されている場合があるため、細かな工程やスケジュールを見直してみましょう。
採用率を高めるための3つのポイント
採用難に対応するには、応募者数を増やすとともに、「採用率」を高めることも大切です。採用率とは「応募者数に対する採用人数の割合」のことであり、高いほど効率的な採用活動が行えていることを意味します。
ここでは、採用率を高めるためのコツとして、以下の3つのポイントをご紹介します。
・応募者との接点を増やす
・面接官のスキルアップに取り組む
・入社前・入社後のフォローを丁寧に行う
応募者との接点を増やす
応募者の面接辞退が目立ってしまう場合は、できるだけ多くの接点をつくり、自社の魅力や熱意を知ってもらうことが大切です。面接辞退が起こる理由にはさまざまなものがありますが、主な原因としては「企業の魅力が伝わっていない」「他社との差別化が図れていない」「日程調整がうまくいかない」といった点が挙げられます。
企業側から接点をつくれば、応募者に自社の魅力を伝えるチャンスが広がるため、選考参加への意欲を引き出しやすくなるでしょう。また、メールなどでこまめに連絡を取るように心がければ、確認漏れや忘れによる日程調整のミスも予防できます。
せっかく獲得した応募者を逃さないためにも、こまめにコミュニケーションを取り、応募しやすい環境を整えることを意識しましょう。
面接官のスキルアップに取り組む
応募者が面接の選考を通過したのにも関わらず辞退されるケースが多い場合には、面接官のスキルアップを図ることで、状況を改善できる可能性があります。
面接官の何気ない言動や振る舞い、質問によって応募者に与える印象が左右され、場合によっては選考辞退を招いてしまうケースもあるでしょう。面接後の辞退が目立つ場合は、担当者を対象に研修を行ったり、面接に関するマニュアルを作成したりして、面接官の強化に力を入れることも大切です。
入社前・入社後のフォローを丁寧に行う
内定辞退が多い場合は、内定者のケアをきちんと行えていないと考えられるため、フォロー体制を見直す必要があります。特に新卒採用の場合は、内定から入社までにタイムラグがあるため、気持ちが離れてしまわないようにきめ細やかな連携を図ることが大切です。
具体的なアプローチとしては、「チャットツールの活用によるコミュニケーションの充実」「内定者懇談会の実施」「社内報の送付」「先輩従業員への質問会」などの施策が挙げられます。内定後は入社にあたってさまざまな不安が生まれやすい時期なので、内定者の疑問や悩みに寄り添い、丁寧にフォローを行いましょう。
加えて、入社後も定期的に面談を行うなどして、継続してコミュニケーションを図っていくことが大切です。新しい職場環境に馴染み、業務をきちんと行えるように、必要に応じてサポートしていくことが重要だといえます。
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採用難を解消する採用手法
採用難を解消する方法として、「ダイレクトリクルーティング」「地方採用」「外国人採用」などが挙げられます。それぞれの手法の特徴やメリット・デメリットを解説します。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業が求職者に対して直接的なアプローチをかけて採用につなげていく手法です。具体的には、候補となる求職者にスカウトメールを送って連絡を取り、面談などを通じて自社に合った人材であるかを見極めていきます。
メリットとしては、求職者に対して企業自らがアプローチを行うため、採用のミスマッチが起こりにくいといった点が挙げられます。直接やりとりを行うことで、スキルや能力、適性などを確認しやすいといえるでしょう。
一方、デメリットは採用までに時間がかかる場合がある点です。転職潜在層にもアプローチをかけるため、すぐに転職を決めてもらえるとは限らないので注意しましょう。
地方採用
地方採用とは、遠方に住んでいる人材にまで採用活動の幅を広げることを指します。デジタル機器の普及やIT技術の進化で、職種によっては遠くに住んでいてもリモートワークで業務に対応できるケースがあるでしょう。
地方採用に取り組むメリットは、近隣のエリアではなかなか見つからない人材にもアプローチをかけられる点が挙げられます。また、多様な働き方を提示できるため、多くの応募を期待できる部分があります。
一方で、面接などの選考を対面で実施する場合、採用候補者の交通費や宿泊費などを負担する必要がある点はデメリットといえるでしょう。交通費や滞在費に加え、移動時間がかかるという理由で応募を断念されてしまうケースも見受けられるため、Web上で面接を実施するなど、企業と候補者双方の負担を減らす工夫を行ってみましょう。
外国人採用
採用難を解消する一つの方法として、外国人採用に取り組んでみることも挙げられます。外国人が日本で働くための在留条件や滞在期間の見直しなどが進められているため、以前よりも採用までのハードルが低くなっています。
外国人採用を行うメリットは、若手人材の確保やグローバルな視点を持った人材の採用につながることです。一方、言語や文化の違いによるコミュニケーション上の摩擦が起こる恐れがあるため、初めて外国人採用に取り組む場合は専門ノウハウを持った外部企業にサポートしてもらうことも検討してみましょう。
採用難が起こる4つの原因
自社の採用課題を解消するためには、採用難に陥ってしまう原因について適切に把握しておく必要があります。採用難の原因は、「社会的な背景によるもの」と「企業固有のもの」の2つに大別することができます。
ここでは、以下の4つの観点から、採用難が起こる原因について見ていきましょう。
・少子高齢化による労働人口の減少
・働き方の多様化
・離職率の増加
・採用のミスマッチの発生
少子高齢化による労働人口の減少
採用難を引き起こしている社会的な背景として、少子高齢化にともなう労働人口の減少が挙げられます。内閣府が公表している「令和4年版 高齢社会白書」によれば、日本は長期的な人口減少過程に差し掛かっており、2053年には1億人を割ると推計されています。
(参照:内閣府『令和4年版高齢社会白書(全体版) 』図1-1-2)
出生率は今後も減少を続け、それによって生産年齢人口も減っていくと想定されています。2021年時点で7,450万人とされる生産年齢人口は、2030年に6,875万人へ、さらに2050年には5,275万人へと大幅に減少し、2065年には2021年の6割程度になると推計されています。
特に若い世代における労働人口の減少は、今の時点ですでに大きな影響を及ぼしており、人材採用の領域では急速な売り手市場化が進んでいます。減少していく労働者に対してさまざまな業界がアプローチをかけるため、競争が激化し、採用難の状態が発生してしまうのが現状です。
働き方の多様化
近年、企業はリモートワークや短時間勤務、フレックスタイム制など、従来と比較して多様な働き方を求められています。しかし一方で、この多様化が採用難につながる要因の一つとなっています。
育児や介護との両立、副業・兼業へのチャレンジといった多様なキャリアプランが実現できる環境を整えれば、さまざまな背景を持つ人材を獲得することが可能です。しかし、業種や業態によっては、どうしても勤務形態の融通を利かせられないケースもあります。
勤務形態が硬直化してしまう企業では、柔軟な体制を構築できる企業と比べて相対的な魅力が低下し、思うように人材を集めにくくなってしまうのです。
離職率の増加
採用難につながっている間接的な要因として、離職率の増加が挙げられます。離職率が高まれば、それだけ多くの人材が新たな転職先を探すことになるため、中途採用市場そのものは活性化します。
しかし、せっかく採用した人材が離職をするリスクも高まるため、入社後の定着も踏まえて考えると、採用のハードルは高くなってしまうと考えられるでしょう。厚生労働省が公表している「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」によれば、就職後3年以内離職率は「新規高卒就職者で37.0%」「新規大卒就職者で32.3%」とされています。
そのなかでも、特に離職率が高いとされるのは「事業規模の小さな企業」「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」となっています。採用した人材がすぐに離職すれば、採用や育成にかかる費用がかさみ、さらなる採用難につながってしまうでしょう。
(参照:厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します 』)
採用のミスマッチの発生
企業が採用難に陥ってしまう原因には、採用ミスマッチを防げていないという点も考えられます。採用ミスマッチとは、企業と人材の間で、勤務条件や業務内容などに関する認識のズレが生じてしまう状態のことです。
採用ミスマッチが起これば、獲得した人材に思うような活躍をしてもらえないばかりか、組織になじめないまま離職につながってしまう恐れもあります。また、そもそも企業が求める人材のレベルに対して、待遇や条件がマッチしていなければ、希望通りの採用を行うことも難しいといえるでしょう。
近年では、企業が人材に求めるスキルが高度化している一方で、それに見合うだけの賃金形態を用意できないケースが増えています。こうした背景も、採用難につながる大きな要因となっています。
まとめ
労働人口の減少や働き方の多様化により、採用難は多くの業界・企業が抱える共通の悩みとなっています。人手不足を解消するためには、業界や個別の企業が抱える課題を把握したうえで、改善できる点から一つずつ解消していくことが大切です。
まずは自社の労働環境や労働条件を向上し、そのうえで採用プロセスのあり方を見直してみるとよいでしょう。これまでのデータを振り返り、応募者数や採用率などの成果が思わしくない場合は、新たな採用手法の導入を検討してみるのも有効な方法です。
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(制作協力/株式会社STSデジタル、編集/d’s JOURNAL編集部)
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