【フォーマット付】稟議はなぜ必要?稟議書はどう書けばいい?例文付きでサクッと解説

第一東京弁護士会労働法制委員会、日本CSR普及協会(雇用労働専門委員)、経営法曹会議等に所属。経営者側労働法を多く取り扱い、労働審判・労働訴訟等の係争案件、団体交渉(組合・労働委員会)、労災(行政・被災者対応)、労務DD対応を得意とする。
経営課題を抽出し、依頼者のニーズを踏まえたベストプラクティスの提案を心掛ける。
主著に『労働行政対応の法律実務』(中央経済社 共著)、『「働き方改革実行計画」を読む』(月刊人事労務実務のQ&A 2017年7月号 日本労務研究会 共著)など。

稟議とは?
稟議を上げる?申請する?正しい言い回しは?
稟議と決裁・決済・承認・起案の違いは?
社内で稟議を実施する場合、まずは稟議規程を作成
稟議はどのタイミングで申請する?全体フローをしっかり理解
稟議に必要な稟議書の書き方-フォーマットを使って解説-
稟議申請の電子化が可能に
稟議に関するQ&A

個人の権限では判断できない事柄を回覧し、承認を得るための手続きである「稟議」。社内の意思決定手段の一つとして、「パソコンなど高額な備品の購入」「新規取引先との契約」「人材の雇用」などの場面で、稟議が必要になります。そもそも稟議は、なぜ必要なのでしょうか。今回の記事では、稟議の概要や稟議書の書き方、承認を得るための稟議の流れなどについて、詳しく解説します。「稟議規程」と「稟議書」のフォーマットもダウンロードできるので、ぜひご活用ください。

稟議とは?

稟議とは、「会社のお金を使う」「クライアントと契約を結ぶ」など、個人の権限だけでは決定できない事柄について組織の上層部に回覧し、承認を得る手続きのこと。稟議は、日本特有の意思決定方法とされています。企業や官公庁など多くの組織では、部署の上長ら管理職に、意思決定の権限があります。文房具をはじめとする少額の消耗品を購入する際は上長の承認が不要でも、パソコンをはじめとする高額商品の購入には、上長に加えて役員クラスの承認を得なければならない組織も多いでしょう。それらの意思決定について、毎回上層部が集まって合議しようとすると、時間や手間がかかります。そこで、代わりに行われるのが稟議です。

稟議は、本来は「ひんぎ」と読みますが、現在では「りんぎ」と読まれることが一般的になっています。英語圏では、「internal memo」や「request for decision」などのフレーズで表されることが多いようです。

稟議の目的・必要性

日本の組織は、「合議」と「決裁」を経て動き出すという特徴があります。稟議するという意味は、組織の同意を得ることですが、山のように存在する案件ごとに会議を開いていては業務が進みません。稟議書を作成して上司に回覧することにより、複数の関係者を集めた会議開催の手間を省きながら、関係者の総意を確認できます。さらに、稟議には「組織内での認識のズレや失念を防止できる」「計画通りに物事が進んでいるかの確認ができる」というメリットもあります。
 

稟議書とは?なぜ必要?

稟議書とは、稟議にかける際に使われる書面のこと。稟議書を使うことで、誰が意思決定に関わったのかを書面で残すことができます。稟議書は、企業によっては「起案書」や「立案書」などと呼ばれることもあります。

稟議の種類

稟議の種類として代表的なものに、「購買稟議」「契約稟議」「採用稟議」「接待交際稟議」の4種類が挙げられます。それぞれの特徴を、下の表にまとめました。

●稟議の代表的な4つの種類

種類 購買稟議 契約稟議 採用稟議 接待交際稟議
内容

備品などを購入するときの稟議

他社・外部と契約を結ぶときの稟議

新しい従業員を採用するときの稟議

取引先との会食や贈答品を購入するときの稟議

稟議が必要となる場面

パソコンやITシステムなど高額な備品の購入

新規取引先との契約

人材の雇用

接待費の申請

購買稟議とは、社内で使用する備品や必要品などを購入するときの稟議のことです。パソコンやITシステムなど高額な備品や、事務用品など業務で使用する物品を購入する際に、稟議書を回覧して承認を得ます。

契約稟議とは、他社や外部との取引で契約を結ぶときの稟議を指します。契約を結ぶ際に重要な「価格」「条件設定」「日程」「期限」「担当者」「返品」「ペナルティ」などの内容について目を通してもらい、承認を得ます。

採用稟議とは、新卒採用や中途採用を含め、新しく従業員を採用するときの稟議を意味します。たとえば、「企業の求める人材が正しく記載されているか」「採用条件や採用人数は適当か」などについて、採用関係者を含め、最終的に上長から承認をもらいます。

接待交際稟議とは、接待費を申請する際に必要となる稟議のこと。取引先との会食や贈答品の購入にあたり、一定金額以上の経費が発生する場合に、接待交際稟議が必要です。

稟議の金額

稟議が必要な金額については、企業ごとに規程を設けるのが一般的です。下記のように、金額に応じた決裁権限を設定しているケースもあります。

●規程金額の例

10万円未満→課長+総務部
10万円以上→課長+部長+総務部
50万円以上→課長+部長+社長+総務部

金額が高くなるほど、承認を得る範囲や人数も増えることが多いようです。なお、稟議規程については、後ほど詳しくご紹介します。

海外と日本の違い

先ほど説明した通り、稟議は日本特有の意思決定方法とされています。稟議が日本企業で一般的な背景には、「ボトムアップ型」の企業体制があります。一方、欧米企業では、経営陣による「全体最適」に基づいた判断で動く「トップダウン型」が一般的なため、いわゆる稟議のシステムをとらない企業がほとんどです。日本企業においても近年では業務効率化の観点から、稟議は「現在の市場スピードに合わない」「ベンチャー企業の経営には合わない」という考えも珍しくないようです。

稟議を上げる?申請する?正しい言い回しは?

「稟議」という言葉の言い回しの例として、「稟議にかける」「稟議に回す」「稟議が通る」「稟議が下りる」などがあります。「稟議にかける」「稟議に回す」という表現は、新規の事柄を書面にまとめて承認を求める際に使われます。一方、「稟議が通る」「稟議が下りる」は、稟議にかけて承認されたことを意味する表現です。それぞれの例文をご紹介します。

●例文

【承認を求める際の言い回し】
●備品の購入時に10万円を超える場合は、稟議にかける
●念のため、稟議に回して関係者の意向を確認しよう
●新人採用の稟議が通れば、新部署立ち上げの準備を始められる

【承認されることを意味する言い回し】
●予定通りに稟議が通り、一安心だ
●A社との契約について、部長からさっき稟議が下りた

稟議と決裁・決済・承認・起案の違いは?

社内での意思決定にまつわる用語には、「稟議」の他に「決裁」や「決済」「承認」などがあります。それぞれどのような意味を持ち、稟議とはどのような違い・関係性があるのかを下の表にまとめました。

●組織の意思決定にまつわる用語

用語 意味 稟議との違い、関係性
決裁

決裁の権限を持つ上長が、提案された内容の可否を決定すること

稟議のように関係者に回覧するというプロセスがなく、ダイレクトに権限者に承認を得る

決済

金銭の支払いによって、その売買契約の取引関係を終了させること

稟議のように関係者に回覧するというプロセスがなく、ダイレクトに権限者に承認を得る

承認

その事柄が正当または事実であると認めること

稟議に対して同意を得ること、同意することを意味する表現として使われる

起案

公式文書などの草案を作成すること

稟議書を作成する人を起案者と表現する。「稟議=起案」とされるケースもある

決裁とは「決裁の権限を持つ上長が、提案された内容の可否を決定する」こと

決裁とは、上位に立つ権限を持った人が、部下が出した案に許可や不許可を与えることです。決裁によって許可された場合、「決裁が下りた」と表現します。決裁は関係者に回覧するという途中のプロセスがなく、ダイレクトに権限者に承認を得るという点が、稟議とは異なります。ただし、稟議における承認も一定の責任を有する人による決裁にあたるため、稟議は決裁をとるための一つの手段と言えるでしょう。

決済とは「金銭の支払いによって、その売買契約の取引関係を終了させる」こと

決済とは、ある売買取引に際し、金銭の支払いによってその取引関係を終了させることです。類語には「清算」や「会計」などの言葉があり、「決済日」「現金決済」「電子決済」というように使われます。稟議との違いは、権限者に直接可否を決定してもらうことが挙げられます。

承認とは「その事柄が正当または事実であると認める」こと

稟議における承認とは、下位職位者からの申請事項に対し、上位職位者が肯定の意思表示を行うことです。承認の積み重ねにより、決裁につなげる流れが稟議であると理解するとよいでしょう。

起案とは「公式文書などの草案を作成する」こと

稟議における起案とは、決裁を受けるべき申請事項についての草案を起こすことを指します。稟議も新規の事柄について稟議書を作成し、上長などに伺いを立てるという意味で「起案=稟議」と捉えられるケースもあるようです。

社内で稟議を実施する場合、まずは稟議規程を作成

社内で稟議制度を実施する場合は、事前に稟議規程を作成するとよいでしょう。ここでは、稟議規程を作成する必要性がある理由を説明した上で、記載すべき内容についてもご紹介します。「稟議規程」のフォーマットもダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

稟議規程とは?なぜ必要?

稟議規程とは、稟議事項の基準および稟議の手続きを定めたものです。稟議規程は、職務権限規程等の中に含める場合と、稟議規程だけを抜き出して定める場合があります。そもそも稟議とは、個別案件の意思決定にあたり、職務権限の行使を統制する手段であり、組織的かつ迅速な経営活動が行えるように、適切な内部統制を前提としています。稟議規程を定めることで、企業の意思決定の過程が明確になり、業務の透明性や円滑性を確保できます。稟議規程を定めることで、稟議制度を運営しやすくなるとされています。

記載する内容

稟議規程に記載する内容は、規程の総則として「目的」「定義」「稟議の原則」「稟議事項および決算基準」などについて記載します。「起案」を行う担当者や順次回覧する関係者の詳細を記した「回議」、承認過程の段階を記した「決済の種類」など、稟議の流れで必要となるルールを記載しましょう。

稟議はどのタイミングで申請する?全体フローをしっかり理解

稟議は、どのようなタイミングで申請すればよいのでしょうか。新規購入や業者への発注に関する稟議を一例として、稟議全体の流れと承認フローについて詳しく解説します。

●新規購入や業者への発注に関する稟議の流れ
新規購入や業者への発注に関する稟議の流れ

①見積もりを依頼する

稟議にかける商品やサービスについて、受注業者に見積もりを依頼します。金額などを比較するため、複数の業者に見積もりを依頼するのが一般的です。業者からの見積書が自社の予算・要望に合わない場合は、改めて見積もり依頼を行います。見積書に同意したら、商品やサービスの詳細、単価、数量、合計金額などを反映した稟議書を作成します。稟議書の記載内容については、後ほど詳しくご紹介します。

②稟議にかける

作成した稟議書を関係者に回覧し、承認を求めます。書類の内容に不備があれば、その稟議書は通らない可能性もあります。稟議をスムーズに進めるためには、「稟議の内容について事前に上司に伝える」「導入したい理由をしっかり説明する」などの根回しも必要となるでしょう。また、物品購入では、多くの場合コストパフォーマンスがネックとなるため、稟議を通すのに説得力のある金額を記入することが重要です。稟議書を作成する前に、直属の上司に購入可能な金額を確認するのも有効です。

③発注する

稟議が下りたら、業者に発注書を提出します。発注書は、注文内容や合計金額の確認、希望納期の提示などといった役割も果たすため、項目に誤りがないかを念入りに確認しましょう。

④納品される

納品されたら、同封の受領書を確認します。内容に問題がなければ押印し、業者に返送します。

⑤請求処理を行う

業者からの請求書に基づき、請求処理を行います。代金を支払ったら、業者から領収書を受け取ります。稟議に関わる書類は永久保存が必要となる書類に該当するため、誤って処分してしまわないように、適切に管理しましょう。

稟議の承認フロー

ここからは、稟議書の作成から承認までの流れについて見ていきましょう。

●起案から決裁までの承認フロー
起案から決裁までの承認フロー

①起案者が稟議書を作成する

起案者は、「申請事項」「申請理由」「金額」「効果」などを記載した稟議書を作成します。短時間で内容を把握できるよう、まずは結論から書き、内容を簡素にまとめるのがポイントです。稟議書は企業全体や部署ごとに番号を振って管理しているケースが多いため、社内のフローに従って稟議書の番号を取得し、記載しましょう。

②稟議書を役職の低い順に回覧する

稟議書を承認してもらうために関係者に回覧しますが、「起案者→直属の上長→部長→役員→決裁者」というように、低い役職から高い役職へ回覧します。図にあるように、「重要案件事項」や「部門内決裁事項」など申請する内容によって承認が必要な役職の範囲は異なります。また、「金額により自動で分岐するルート」のように、稟議する内容の予算によって回覧の範囲が異なるケースもあります。案件によっては役員以上の承認が必要な場合もあるため、その都度、社内ルールを確認しましょう。

●稟議の承認フロールート
稟議の承認フロールート

稟議の承認フロールート

③「却下」や「取り消し」など差し戻された場合は、再利用申請を行う

稟議書に不備がある場合には、承認者によって「却下」や「取り消し」をされる可能性があるでしょう。却下の場合は承認者が処理を行い、取り消しの場合は起案者が処理を行います。どちらの場合でも、取り消しされた文書は削除されず、新規文書として再利用申請を行い、稟議に再度かけます。再利用申請により、スケジュールが大幅にずれ込む恐れがあるため、スケジュールに余裕を持たせた上で、稟議を回すことが大切です。

●差し戻された場合
差し戻された場合

④承認

申請内容によって、承認を得る範囲は異なります。無事に承認が通れば、起案者は申請内容の実現に向けて、業務を進めていきます。

⑤稟議書を保管する

決裁された稟議書は、管理部門で保管します。稟議書の管理方法には、「種類別に分けて年度ごとにファイリングする」「電子化してサーバー上に保管する」などの方法があります。保管する際は、管理IDを付ける方法がおすすめです。時系列に管理できるため、書類を探す時間の短縮も期待できるでしょう。

稟議に必要な稟議書の書き方-フォーマットを使って解説-

稟議に必要な稟議書の書き方について、フォーマットを用いて解説します。すぐに活用できる「稟議書」のフォーマットは、下記よりダウンロードできます。

稟議書に記載する項目

稟議書は、簡潔・明快・正確に書くことが望ましいとされます。稟議書に記載する項目について、ポイントを解説します。
稟議書に記載する項目

①起案日・起案者名など

稟議書には「いつ」「誰が」提案したものかを明記する必要があります。稟議書を提出する「起案日」や、起案者の氏名と所属、社員番号を記載しましょう。

②申請番号、決裁番号

稟議書は、会社全体や部署ごとに番号を振って管理しているケースが大半です。社内のフローに従って、取得した申請番号を記載します。同様に、決裁後は決裁番号も記載しましょう。

③件名

どのような事柄について申請するのかを、「件名」として明記します。ひと目でわかるように、「新規パソコン購入について」「新規の取引開始について」「新卒採用について」というように、件名は簡潔に記載しましょう。

④稟議の内容(申請事項)

申請事項についても、件名と同様、「承認してもらうための説明」を簡素にわかりやすく記載することが重要です。「結論を先に」「箇条書き」で記載します。稟議内容の必要性や費用対効果、他の商品やサービスよりも優れている点などを、具体的なデータを交えて明確に記載しましょう。リスク・デメリットを伴う場合は、解決策も併せて記載し、承認者の理解を得られるよう努めます。

●申請事項の内容

・承認してもらいたい内容(物品購入であれば物品名、購入先の企業・業者名、仕様、購入時期など)
・申請理由(目的、意義など)
・稟議内容が実行された場合のメリットや効果
・稟議が承認されない場合に生じるリスクやデメリット

⑤金額(予算の内訳、支払い条件)

金額については見積書を入手して、できる限り正確に記入します。予算内なのか、予算外なのかチェックできる項目を設けるのもよいでしょう。予算の内訳や支払い条件なども、併せて記載します。

⑥承認者コメント欄

承認者コメント欄には、承認者が承認する・しない理由を記載します。承認者コメント欄を設けることで、回覧時の情報共有がしやすくなるほか、差し戻された理由を確認しやすくなるでしょう。

⑦押印欄

最下部に承認者の押印欄を設けます。承認する場合は、左から右へ下位職位者から押印するのが一般的です。承認者の押印欄のほか、「財務責任者」「出金担当者」の枠も設ければ、決裁状況を把握しやすくなるでしょう。

添付資料について

必要に応じて、稟議の申請事項に関する見積書やカタログ、工事明細書、写真、図面、イラストなどを添付します。稟議書にも、添付書類がある旨をひと言添えましょう。

稟議書の書き方をケース別に解説

稟議書の書き方を、「購入の場合」「新規業者との取引の場合」「人員の増員、採用の場合」のケース別に解説します。

購入の場合

パソコンやITシステム、事務用品など、業務で使用する物品を購入する際は「購買稟議書」を作成します。購入する物品について「納得できる理由」と「購入に必要な合計金額」を明記する必要があります。また、必要台数についても、数字の根拠を示しておくと稟議が通りやすくなるでしょう。購買稟議書には、主に次のような項目を記載します。

●記載例

①購入する物品の名称や型番
品名:パソコン 〇〇〇社製「AB‐0001型〇〇〇〇」

②見積金額
価格:234,500円税込/1台

③数量
3台(計:703,500円税込) 

④購入する理由
使用中のパソコンが先日一台故障し、業務に支障を来しています。また、従業員が増えたことにより、台数も不足しています。購入予定のパソコンは、廉価な上に故障の確率が低いため、業務に従事する従業員に使いやすい機種であると考えます。

⑤購入予定日
2021年〇月〇日

⑥購入する物品のサービスサイトURLやカタログ(別添)など
〇〇〇社〇〇〇〇のパンフレット

新規業者との取引の場合

新規業者と契約を結ぶ際は、「契約稟議」を作成します。新規の取引先を承認してもらうためには、「その企業と取引したときのメリット」と「客観的な信用に値する資料」が必要となります。具体的には、「品質が良い」「価格が安い」「大量発注ができる」など、上長を納得させられる情報が必要です。取引企業によっては、経営状態などの資料の添付を求められる場合もあるでしょう。

●記載例

①新規取引先
〇〇〇株式会社 本社:東京都〇〇区〇〇〇1-2-3 電話:03-1234-5678(営業部)

②新規取引する理由
〇〇〇株式会社はここ数年、業績を20%伸ばしており、部品の安定した取引が期待できるため

③効果
新プロジェクトに向けて必要な部品を、高品質低コストで取り入れることができる

④新規取引先の経営状態などの資料(別添)
〇〇〇株式会社概要1部

人員の増員、採用の場合

求人募集を開始する際や採用を決定する際は、「採用稟議書」を作成します。採用稟議書の内容は、「求人募集時」と「採用決定時」で異なります。求人募集のための採用稟議書に記載するのは、採用予定人数や職種、募集方法、応募資格など「どのような人材を」「どれくらいの期間で」「どれくらいのコストを使って」採用するのかといった情報です。一方、入社のための稟議書では、「どのような人材を」「どの部署で」採用することになったのか、採用候補者の情報を稟議書で共有します。採用稟議書については、以下の記事で詳しくご紹介しているので、併せてチェックしてください。
(参考:『採用稟議書が必要な理由と稟議書の書き方【フォーマットダウンロード&例文付】』)

稟議書は保管しなければならない

稟議書は、会社法第31条や特許法第67条などで「永年保存」が義務づけられている文書の一つです。法律による保存年限は決められていませんが、文書の性格上、永久保存が必要とされています。承認済みの稟議書は、オフィスの保存庫に保存するのが一般的です。

稟議申請の電子化が可能に

稟議書の管理を容易にするため、稟議書の作成および上長などの決裁者への回覧プロセスを電子化し、パソコンやネットワーク上で稟議手続きを行う企業が増えています。電子化のメリット・デメリットをご紹介します。

電子化のメリット

稟議の電子化によってまず期待できるのが、単純に紙を用意するコストがかからないという「ペーパーレス化によるコスト削減」です。ペーパーレス化には、「稟議書を保管するスペースの削減」や「書類検索の簡易化」といった管理面でのメリットもあります。電子化することで、「システムの中に用意されたフォーマットを利用する」「記入例を見ながら作業する」ことができるため、記入ミスの防止も期待できます。ワークフローにおいては、1つのデータを活用して別の稟議書を作成できるため、起案者の負担も軽減するでしょう。
また、書面での稟議・決裁では、意図的な改ざんなどの不正につながる恐れもありますが、電子化により稟議・決裁の適切な承認ルートを設定し、モニタリングも可能になることから、不正の防止に役立つというメリットも考えられます。

電子化のデメリット

稟議の電子化によるデメリットとしては、「システムの導入によりコストがかかる」「従業員にとって使いにくいと定着しない」などが挙げられます。自社に適したアプリやシステムを導入できれば、電子化にかかるコストはそれほど大きな負担にはならないでしょう。従業員に定着させるためにも、実務に即したシステムを正しく選ぶことが重要です。

稟議に関するQ&A

稟議についてよくある疑問を、2つピックアップして解説します。

稟議の内容を途中で変更したり、追加・増額・減額したりするのはOK?

変更内容にもよりますが、稟議の途中で内容を変更することは可能です。その際は、先に決裁を受けた決裁番号と表題を明記の上、「一部変更する旨を明記した稟議書を起案する」「先に受けた決裁文書に変更されている旨を赤ボールペンで追記する」「管理台帳に、表題・決裁番号により一部変更と追記する」などの対応を取ります。

さらに、計画の誤差や一部変更をあらかじめ設定していた場合には、よほど重大な変更でない限り、再稟議をしない企業もあるようです。起案者や承認者が混乱しないように、途中変更に関するルールについても、稟議規程に定めておくとよいでしょう。

発注した後に事後申請してもよい?

ビジネスの価格交渉では、現場での即断が必要になり、交渉結果について事後承認を受けなければならないケースも少なくありません。そのため、企業によっては事後申請を認めています。事後申請の場合には、「事後伺いとなった経緯を丁寧に説明する」必要があります。

まとめ

個人の権限だけでは決定できない事柄について、組織の上層部に回覧し承認を得る「稟議」。組織の意思決定をスムーズに行うためには、稟議制度を運営するための「稟議規程」を定め、申請するタイミングなど稟議全体の流れを把握することが重要です。「申請事項に抜け漏れがないか」「記載内容が簡素でわかりやすいか」などを十分確認した上で、稟議書を作成しましょう。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、監修協力/弁護士 藥師寺正典、編集/d’s JOURNAL編集部)