選考辞退や内定辞退を減らすためのコミュニケーション術~効果的な面接・フォローの羅針盤~

d’s JOURNAL編集部

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コミュニケーションについて

「今日の面接は話が全くかみ合わなかったな・・・スキル評価が高かったのに残念だったな・・・」「こちらからの質問や回答に対する反応がわかりにくく、手応えがないなぁ・・・」面接を経験されている方なら、一度はこんな風に感じたことがあるのではないでしょうか?

私たちは、それぞれの性格や価値観に基づいた、独自のコミュニケーションタイプを持っています。そして、自分と相手のタイプにギャップが生じるとき、上記のような経験をされているのかもしれません。

この問題を解消するには、相手のコミュニケーションタイプを理解し、相手にとって心地良いコミュニケーションを選択することが第一歩となります。そしてこの一歩は、応募者と面接官の関係性を、より良いものへと変えていくための手段にもなり得ます。

良いコミュニケーションと悪いコミュニケーション

わたしたちの思考スタイル

世の中には、ソーシャルスタイル理論やディスク理論など、思考スタイルを分類するためのさまざまな理論があります。また人間の思考の特性(=「利き脳」による思考の好み)は、その人のコミュニケーションや意思決定、問題解決、マネジメントスタイルなどのあらゆる面で影響を及ぼす、と結論づけたものもあります。今回はこの考え方を参考に、私たちの思考スタイルを考えてみたいと思います。

タイプ分類の考え方1(感性か理性か)

感性と理性の会話の例

この会話の例を読めば、理性で考えるタイプのBさんのもどかしい気持ちを想像することができると思います。しかし、そう簡単に結論づけるのは早計です。なぜなら、感性で考えるタイプの立場からこの会話を理解すれば、「なぜピンと来ないの?共感してよ!」という感情が芽生えるからです。

思考スタイルには、「感性/理性」の他にも、「主張/反応」・「社会/個人」の2つの考え方が存在します。

タイプ分類の考え方2(主張か反応か)

タイプ分類の考え方3(社会か個人か)

『思考スタイル』は、あくまで「スタイル」であり、「良い・悪い」ではありません。この考え方を応用することにより、相手が持つ強みや個性にスポットライトを当てた、気持ちの良いコミュニケーションが生まれます。

効果的なコミュニケーションの取り方

たとえば、「感性<理性」のタイプの応募者には、論理や数値でアプローチするコミュニケーションが効果を発揮します。職場の雰囲気を伝える場面であれば、「若手が多くて活気がある」よりも、「平均年齢は25.6歳、社内のイベントは8割以上参加するほどです。」などと具体的な数値を伝える方が、相手の印象に残りやすいでしょう。

また、自社商品やサービス、マーケットの将来性を語るときには、シェアなどの数値や根拠となる事実について、準備しておくことが大切になります。面接官や人事の個人的な見解を伝えるよりも、企業としての取り組みや事業の状況をしっかり話すことで、相手への信頼度も高まっていくはずです。

同じ応募者が「社会<個人」の思考タイプであれば、入社したときの裁量の大きさや、具体的にどのような仕事に関われるのか、あるいは自分が関わるミッションの影響の度合いなどを具体的に語ることが、新たな仕事へのモチベーションを強化してくれます。

タイプ情報別コミュニケーション指針

まとめ

P・F・ドラッカーは、著書『プロフェッショナルの条件』(ダイヤモンド社)の中で、公案(禅問答)に「無人の山の中で木が倒れたとき、音はするか?」という問い掛けがあることを紹介しています。

この問い掛けに対する答えは、「NO(ノー)」である。

確かに音波は発生する。しかし、誰かが音を耳にしない限り、音はしない。ここでいう音こそ、コミュニケーションーー。つまり、コミュニケーションを成立させるものは、コミュニケーションの受け手であるということを今日に伝えています。

「感性/理性」「主張/反応」「社会/個人」について、自分の思考スタイルと異なる場合は、面接(コミュニケーション)を行う上で、コミュニケーションの受け手が意識的にヒアリングしていくことや、話し方(伝え方)を変えていくことが重要です。

実際の選考や面接の場においては、以下の観点で思考スタイルを把握・確認しながら、コミュニケーションを変化させていくことになります。

1.履歴書や職務経歴書、志望動機や自己PRなどの文章や文体から、人事が把握する
2.各面接の前半に行われたコミュニケーションを基に、面接官が各項目をチェックする
3.面接所感の引き継ぎから、面接官が各項目をチェックする

相手のことを理解し、属人的に対応するのではなく、選考に携わる関係者が一貫性をもって一人一人の応募者に合わせたコミュニケーションを交わすことができれば、候補者の満足度は自然と上がり、志望意欲を高めることにつながっていくはずです。

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また、最新のHRテクノロジーを活用した人材分析サービスについては、以下の動画・記事もご参照ください。

※HRアナリストの動画:https://vimeo.com/545863761/dd7a2d5f07
※HRアナリストの記事:https://www.dodadsj.com/content/200707_seminar-hr-analyst/

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【編集後記】

2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症拡大により、オンラインによる面接が増えるなど、選考環境が大きく変化しました。一方で、オンラインでの面接には、選考期間の短縮化・スピードアップ、遠隔の場所にお住まいの方でも応募しやすいなど、対面では得られないメリットもたくさんあることがわかってきました。面接や選考におけるコミュニケーションの質が向上し、いち早く自社ならではの打ち手を発見して、これまで以上に採用の成果を上げていただけることを願っています。

取材・文/d’s JOURNAL編集部 白水 衛、編集/d’s JOURNAL編集部 白水 衛