【DX人材を育成したい】e-learningで失敗しないために、いますぐ身につけたい6つのポイント(DL資料付)
d’s JOURNAL編集部
プロフィール企業や組織において、既存システムのレガシー化が進み、維持コストの増大や、それに伴う競争力の低下といったリスクが顕在化しつつある中、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の推進は喫緊の課題となっています。
しかし一方で、DXを推進するための人材不足は懸念材料の一つ。例えば、経済産業省の「DXレポート」(※)では、特に以下の点が強調されています。
「ユーザ企業における IT 人材の不足が深刻な課題であり、システムに精通した人やプロジェクト・マネジメントができる人材が不足している」――。
こうした人材不足を解消するため、最近ではすでに在籍している人材の育成を急ぐ企業が増えている傾向にあります。そして、人材育成の手段の一つとして注目されているのがe-learningです。
しかし、すでにe-learningを導入している企業においては、DXのための人材(= DX人材)育成に、目立った成果を出せていないケースも少なくありません。なぜ成果を上げられないのでしょうか。
そこで本コラムでは、DX人材育成において、e-learningを効果的に活用するための基礎知識とポイントについて、詳しく解説していきます。直下と頁末には、より詳細な情報を記載した資料もダウンロードできます。こちらもぜひご活用ください。
(※)DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
企業におけるe-learning導入のメリット・デメリット
多くの人材に対して一度に学習機会を提供できるなど、企業におけるe-learning導入にはさまざまなメリットがあります。一方で当然ながら、他の学習方法と同様、e-leaningにもデメリットはあります。
まずはメリット。「多くの人に、一度に学習機会を提供できる」「管理者受講状況を確認できる」など、一度に多くの受講者に実践してもらい、かつ一括管理が可能なことがメリットの大きな特徴であります。
また集合型の研修と比較しても、低コストで、受講者は場所や時間を選ばず実践できることもポイントですね。つまりオンラインであることのメリットが、e-learningでもそのまま生かせることが強みとなっています。
ところが一方、デメリットも同様に発生します。一般的には、「積極的に受講しようとしない社員が出てくる」「コンテンツのカスタマイズが難しい」などの声が顕著です。これは、受講内容が普段の業務にどのように活かされるのか、その効果の度合いが不明瞭であることも関係しています。
こうしたデメリットを含めて、e-leaningの特徴を十分に把握せずに導入を進めてしまった結果、次のような課題が顕在化してしまう企業が少なくありません。
なぜ? e-learning導入で企業が失敗してしまう理由
e-learningの導入で「成果が上がらない」という企業においては、次のような要因があるケースが少なくありません。
☑ コンテンツそのものに問題がある(面白くない、実務に生かせない、陳腐化しているなど)
☑ 学習モチベーションの維持・向上について、十分に取り組めていない
☑ LMS(学習管理システム)など、受講環境の整備がされていない、またはその運用コストが負担となっている
多くの企業や組織において、その導入で失敗しているケースを見ると、「導入することそのもの」が目的化してしまっている事例が圧倒的です。ほかにも導入の目的や目標が明確化されていないケースもあります。
そのためアメリカの経営学者・カークパトリックが提案し、世界中に定着している、教育における評価方法のモデル「4段階評価法」を紹介しましょう。詳しくは頁末でダウンロードできる資料をご覧ください。
4段階評価法とは、「Reaction(反応)」「Learning(学習)」「Behavior(行動)」「Results(業績)」を順に、4つのレベルでセグメントすること。これらの4つの概念をすべて踏襲することによって、e-learning導入は成功するのです。
e-learningが主に寄与する知識やスキルについては、時間をかけて業務や研修の場などでアウトプット。活きた知識・スキルにしていくことが欠かせません。求める成果レベルに応じてe-learningに何を求め、どう使うのかを今一度検討してみましょう。
e-learning導入で“失敗しない”ための6つのポイント
さて、ここまでe-learningの導入のメリットやデメリット、なぜ失敗するのかを簡単に紹介してきました。またDX人材育成を成功させるためには、最低限、全体設計(ADDIEモデル)、学習意欲(ARCSモデル)、学習環境(学習環境デザイン)といったe-learning導入のための基礎知識も把握しておく必要があります。こちらもダウンロード資料に詳細に紹介していますので、ご覧ください。
それでは、基礎知識や理論を学習した方に向けて、いよいよ実践的な導入のポイント6つをご紹介しましょう。これら6つのポイントを押さえた企業や組織は、きっとDX人材育成の環境が整った状態になっているでしょう。
【1】正確な情報を基にした現状分析を実施する
マネジメントにおいては戦略を実行するだけでなく、戦略を分析してPDCAサイクルを回すことが重要です。同様に、e-learningの導入で成果を上げるためには、 ADDIEモデルにあるように、学習ニーズを現状分析し、「目指す姿」と「現状のギャップ」を埋めるための短期目標を設定することが欠かせません。実際に現状分析を行う際には次のようなことを意識することで、e-learningの目標を明確にすることができます。
【2】受講者にとって魅力的なコンテンツを個別最適化した形で提供する
受講者の興味(Attention)を惹きつけるためには、e-learningの講座そのものが魅力的であることが重要です。e-learningのサービスを選定する際には、強制学習の講座と自主学習の講座を組み合わせてカリキュラムを作成できる機能の有無を確認しておきましょう。
※資料を見たことが前提のコメントになっているのかもしれません。
【3】e-learningで得た知識をアウトプットできる機会を設定する
e-learningを導入している、もしくは今後導入しようとしている企業の中には、人材育成のうち、知識の習得に関する部分をe-learning“だけ”に頼ろうとするケースも少なくありません。しかし、前述したようにe-learningにはメリット・デメリットがあるため、e-learningが不得意な部分に関しては、対面による集合研修と組み合わせることによってカバーすることが望ましいでしょう。
【4】社内で学習に取り組む文化を醸成する
e-learningは視聴している講座の内容こそ同一であるものの、視聴そのものは受講者それぞれが一人で取り組むことになります。そのため、中には孤独を感じて受講ペースが落ちてしまうようなケースもあります。このようなケースを未然に防ぐため、数々の取り組みを実施し、e-learningの成果を向上している企業が増えています。
【5】継続的な学習のため“伴走者”を設定する
DXに関連する知識は幅広く、日々アップデートされていくため、「一度学んだら終わり」ではなく、継続的な学習が欠かせません。そのためには、受講者それぞれのモチベーションだけに頼るのではなく、適切なタイミングで声がけをしてくれる伴走者(=コーチ)を設定しておくことが有効です。
【6】カリキュラム完了後にも分析を実施し、成果確認・改善を行う
DX人材の育成においては、受講者に学びを継続してもらうことが重要です。そのためには、受講者に行動変容を促すことはもちろん、カリキュラム自体も受講状況に合わせて改善していくことが欠かせません。導入している講座全体の受講状況や各受講者の学習履歴は、カリキュラム改善のための重要な判断材料となります。
【まとめ】
ここまで解説したポイントを全て押さえることで、DX人材育成のためのe-learning活用での失敗を未然に防ぐことができます。特に導入の際には、「管理機能を活用した分析がどの程度行えるのか」「分析結果がひと目で確認できるか」「実際の使い勝手は悪くないか」といったトライアルのできるツールやパートナーを選ぶことも重要です。省人化、効率化が叫ばれる現代社会において、企業や組織が活性化するe-learningの活用。うまく導入して生産性の最大化につなげたいものです。
【関連資料】
□経験者を採用したい!DX・IT人材採用成功マニュアル
□【Excel版】採用プロセス可視化シート(簡易型)
□オンラインインターンシップの設計・運用 5つのポイント
□DX人材育成 スタートアップガイド
取材・文/鈴政武尊、編集/鈴政武尊・d’s JOURNAL編集部