その集め方が間違っているのかも!?正しい「DX人材の採用要件定義」、教えます

d’s JOURNAL編集部

「我が社の成長には、DX人材が必要だ!」

そんな経営幹部や上司の要望を受けて、「正直…DX人材を採用したいけれど、何から始めればいいのかわからない」と感じている人事・採用担当者もいるのではないでしょうか。

近年、AIやIoTやメタバースなどのIT用語がメディアで毎日のように飛び交い、コロナ禍のビジネス環境の変化からも、企業のDX推進は大きな注目を集めています。そして、その動きに連動するように、DX人材の獲得に力を入れる企業も増加しており、この波に乗り遅れたくはないところです。しかし、どうやって採用すればいいのか各社頭を悩ませているところ。

そこで今回は、お困りの人事・採用担当者のためのポイントを、DX人材の採用や育成に詳しいd先生に聞いてみました。DX推進に必要な人材の要件定義や、採用におけるポイントを知りたい方は必見です!

デジタル技術に精通した者だけがDX人材ではない

採用担当(Jさん)
採用担当(以下、Jさん)

今回、DX採用を任されたのですが、何から始めていいかわからなくて…そもそも、なぜ今DXがこんなに話題なのでしょうか?

d先生
d先生

日本で「DX(デジタルトランスフォーメーション)が最初に注目されたのは、2018年のこと。経済産業省が『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』を発表してからなんです。

採用担当(Jさん)
Jさん

なるほど。って、2025年ってもうすぐじゃないですか。

d先生
d先生

そうなんです。そこまでにデジタル企業への変革を進めるよう動いているからこそ、各社が今、人材を求めているとも言えますね。

採用担当(Jさん)
Jさん

DX人材というと、デジタル技術やデータ活用スキルを持った人材というイメージがなんとなくありますが、では具体的に採用するとなるとどうすればいいのでしょうか。

d先生
d先生

「DX」という言葉の定義が広いので、難しいですよね。DXの推進には、「デジタル技術に精通した人材」を採用するというだけでは不十分です。というのも、DXの本質は「ビジネスモデル変革」や「組織変革」にあるからです。

採用担当(Jさん)
Jさん

デジタルに詳しい人…というだけではないのですね!どのような人材がいればDXを進めていけるのでしょうか。

d先生
d先生

組織の中の課題を発見できる人材や、主体性を持って取り組める人材、コミュニケーション能力を持った人材などが必要だと言えます。

例えば、社内の業務改善やリモートワーク環境の整備、DXを通して新たなビジネス分野への挑戦機会もあるでしょう。このため、これまでやったことのない仕事にも主体性を持って取り組み、課題を発見して改善までのプロセスを設定する力は重要です。

採用担当(Jさん)
Jさん

その点、自社で活躍している社員の思考性と変わらない点も多いですね。

d先生
d先生

そうなんです。DX推進には複数の部門担当者が関わるため、各部門の文化の違いを感じながらメンバーと対話したり、物事を円滑に進めたりするコミュニケーションスキルも求められます。

DXを推進する6つの職種

採用担当(Jさん)
Jさん

先生のお話を聞く限り、DX人材にはさまざまな適性が求められそうですね。

d先生
d先生

そうなんです。でも、多数の能力を持つ一人の人材を見つけるのは難しいことです。また、DX推進には企業全体で取り組む必要があるので、DX推進チームなどのメンバー同士がそれぞれの適性を活かし、補完し合いながら進めていけるといいですね。

採用担当(Jさん)
Jさん

DXのことなら何でも一人でできるスーパーマンのような人ではなくていいのですね!DX推進を担う人材には、具体的にどのような役割があるのでしょうか。

d先生
d先生

具体的には6つの職種に分けられます。

【DX推進人材の役割】

人材の呼称例 人材の役割
プロデューサー DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材(CDO含む)
ビジネスデザイナー DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進などを担う人材
アーキテクト DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材
データサイエンティスト/AIエンジニア DXに関するデジタル技術(AI・IoTなど)やデータ解析に精通した人材
UXデザイナー DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材
エンジニア/プログラマー 上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築などを担う人材
d先生
d先生

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査では、上記のDX推進を担う6つの職種のうち、「ビジネスデザイナー」と「プロデューサー」を非常に重要だと回答した企業が多く見受けられました。DXを推進するためには、エンジニアやプログラマー以上に、リーダーとして主導する人材や、デジタルを活用したビジネスの企画・立案などを担う人材の確保がより重要であると言えるでしょう。

採用担当(Jさん)
Jさん

なるほど!上司にDX人材を採用しろと言われたら、「それって、リーダー職ですか?ビジネススキルのある人ですか?システム開発ができる人ですか?」など、整理して確認する必要がありますね。

d先生
d先生

そうですね。次の項目では、DX人材の採用を進めるにあたり、どのような流れで行えばいいかをお伝えします。

DX人材採用に必要な要件定義とは

採用担当(Jさん)
Jさん

DX人材を採用したいときには、まず何から始めたらいいのでしょうか。

d先生
d先生

まず、上記に挙げた6つの職種のうち、自社で不足している職種を洗い出します。また、企業によって実現したいDXは異なるため、自社のDX推進に必要なスキルを設定しましょう。

採用担当(Jさん)
Jさん

スキル設定ができたら次は何をしたらいいですか。

d先生
d先生

DX人材にスキルや知識はもちろん必要ですが、DXは既存ビジネスとは異なる新しい領域へチームで進んでいくため、マインドセットの設定がさらに重要です。

・不確実性に対する辛抱強さや柔軟性
・失敗を恐れず挑戦する力
・社内、社外への巻き込み力
・試行錯誤や工夫を繰り返す粘り強さ

d先生
d先生

自社のDX推進に携わる社員には、どのような価値観を持つ人材が必要なのか、上記を参考に洗い出してみましょう。必要な職種、スキル、マインドセットが全て出そろったら、採用の要件として定義します。

【採用の要件定義例】

職種 スキル マインドセット
ビジネスデザイナー 企画力
アイデア力
ファシリテーションスキル
・新しいものへの好奇心を持っている
・変化を受け入れる柔軟な思考
・目標に向けて粘り強く諦めない行動力を持っている
エンジニア/プログラマー 理論的思考力
コミュニケーションスキル
マーケティングの知識
・常識を疑い、物事の本質や原理原則を捉えようとする
・新しいことへの挑戦を楽しめる
・人のために貢献することを意識している
採用担当(Jさん)
Jさん

「こんなDX人材を採用したい」という具体的な人物像が見えてきました。

d先生
d先生

いいですね。ポイントは「自社にとって」必要な職種、スキル、マインドセットをしっかりと設定することです。すでに自社にいる社員のスキルやマインドセットから、どのような人材を採用すれば補えるのか検討してみることが大切です。

採用担当(Jさん)
Jさん

DX人材を採用するとなると、何から手を付ければいいのかと思っていましたが、要件定義をしっかりと行うことが大事だとわかりました。ありがとうございます!

d先生
d先生

採用の要件定義のホワイトペーパーも作成したのでチェックしてみてください。次回は、DX人材やポテンシャル人材を採用した際の、育成について紹介します。

【採用担当(Jさん)の感想】

DX推進には、専門的なデジタル技術だけではなく課題発見能力や主体性、コミュニケーション能力なども必要だということがわかりました。自社のDX推進にはどのような職種やスキル、マインドセットが必要なのかを洗い出し、採用に向けた要件定義をしっかりと行うことで、DX人材の獲得につながるのだと学びました。

企画・編集/海野奈央(d’s JOURNAL編集部)、制作協力/株式会社はたらクリエイト

DX職種別 採用要件定義

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