“ハイクラス人材”から応募を集める企業の特徴とは?~【企画・管理職】【技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)】【営業職】~

2022.10.17
d’s JOURNAL編集部
【企画・管理職】におけるハイクラス人材採用市場の傾向
【技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)】におけるハイクラス人材採用市場の傾向
【営業職】におけるハイクラス人材採用市場の傾向

コロナ禍や先行き不透明な世界情勢の中、変化に対応し、リーダーシップを発揮して事業を強くけん引できる「ハイクラス人材」の採用ニーズが高まっています。

パーソルキャリアの集計では、【企画・管理職】【技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)】【営業職】の領域において、下限年収600万円以上の新規求人数が大きく伸びている傾向にあります。

こうしたハイクラス人材の採用市場にはどのような動きが見られるのでしょうか。また、応募を集め、採用に成功している企業や求人にはどのような特徴があるのでしょうか。パーソルキャリアで上記領域を担当するキャリアアドバイザー(以下、CA)・リクルーティングアドバイザー(以下、RA)に、各領域における最新の傾向を聞きました。

キャリアアドバイザー(CA):転職希望者に対して、キャリアカウンセリングや求人紹介・面接対策などを行う担当

リクルーティングアドバイザー(RA):採用企業に対して、求人票の作成や応募者の一次スクリーニング・意向醸成に向けた情報提供など、採用活動の支援を行う法人営業担当

【企画・管理職】におけるハイクラス人材採用市場の傾向

経営企画・事業企画・営業企画などの企画職に加え、法務や人事などの管理部門の動向について、CAの太田進氏とRAを経験し現在CAとして活躍する入江泰介氏に聞きました。

40〜50代の転職が進む企画・管理職のハイクラス領域

(2020~2022年の1~6月の期間における、下限年収600万円以上の新規求人数推移)

——企画・管理職でハイクラス人材の求人が多い業界は?

入江氏:企画・管理職については、業界・業種によるニーズの偏りはあまり見られません。最近のトレンドとしては、DXや業務改革の文脈に沿ってハイクラス人材を求める企業が多いです。

太田氏:職種で見れば、経営企画や事業企画、マーケティング、人事については、2020年に比べ2倍以上の求人数となっています。また、グローバルで戦っている企業では法務や知的財産に精通した人材の採用意欲がとても高いですね。ハイクラス層ではコア人材を狙い撃ちで採用するケースがほとんどで、1社あたりの採用枠が拡大しているというよりは、コア人材を求める企業の数が増えている傾向にあるのではないでしょうか。

(2020~2022年の1~6月の期間における、下限年収600万円以上の新規求人数推移)
(企画・管理職の全職種のうち、新規求人数上位5職種)

——登録者(転職希望者)の傾向は?

太田氏:40代を中心に登録者が増えてきています。40〜50代前半の即戦力の方とお会いする機会は以前よりも格段に増えました。かつて言われていた「35歳転職限界説」は完全に過去のものとなったのだと感じています。

入江氏:企業側はあくまでもスキルベースで人材を見ているため、年齢が高いことや転職回数が多いことがマイナス要素になることはほとんどありません。

——企業から引く手あまたになるハイクラス人材の特徴は?

入江氏:やはりDX関連の経験を有している人でしょうか。以前は中途採用に積極的ではなかった企業も、DX関連は社内に人材がいないため外部に求める傾向があります。マーケティングでは、ECで数字を獲得できる人も重宝されていますね。

太田氏:人事領域でいうと、昨今のジョブ型雇用への転換などもあり、人事制度の企画・運用ができる人に対する採用ニーズは非常に高いです。

エージェントを巻き込み「具体的なミッション情報」を流通させる

——こうした状況の中で、応募が集まりやすい企業の傾向とは?

太田氏:採用がうまくいっている企業は、情報を多く出しているところだと思います。特に企画・管理職は会社によって求められる役割が多岐にわたり、ミッションがふわりとしやすいんです。

入江氏:たしかに、求人内容を見ていても「実際に何をやるのか」が分わかりにくい企業が多い印象があります。人事だけでなく現場の方も絡み、具体的なミッションや組織の情報をわかりやすく開示できている企業がうまく採用できていると感じます。転職希望者は「何のためにやるのか」「このミッションが会社の経営戦略にどうつながっているのか」を気にしています。

——応募が集まる企業の人事・採用担当者の特徴とは?

入江氏:母集団形成の段階では、私たちのような転職エージェント(人材紹介会社)向けの説明会を開いて接点を強化し、情報をオープンにしている方もいらっしゃいます。また、自社の魅力を効果的に訴求できる面接官の育成に力を入れている企業も多いです。

太田氏:最近では「条件面談」を実施してくださる人事・採用担当者も増えていますね。採用候補者の意向を聞き、場合によっては条件を柔軟に調整する場です。ハイクラス人材の採用では、報酬や評価の透明度を高めることが効果的なのではないでしょうか。

【技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)】におけるハイクラス人材採用市場の傾向

続いて、技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)領域の傾向です。CAの大橋道夫氏と、RAの金内慶太氏に聞きました。

「ITスキル×マネジメントスキル」の人材を求める企業が急増

(2020~2022年の1~6月の期間における、下限年収600万円以上の新規求人数推移)

——技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)でハイクラス人材の求人が多い業界は?

金内氏:企業規模にかかわらず採用ニーズは非常に高いです。ハイクラス人材の採用に特に積極的なのはコンサルティング各社や大手SIerですね。こうした企業は高い年収を提示し、上流工程に近い企画などの仕事を任せています。ITコンサルティングのクライアントになる企業では、DXを進めたいと考えつつも、その方法論がわからずに悩んでいるところが多いです。高度な上流工程を担えるハイクラス人材がいれば案件を多く獲得できるため、大規模な採用計画のご相談をいただくことも少なくありません。

大橋氏:一方では、業界を問わず「自社エンジニア」としてハイクラス人材を求めるケースも増えています。たとえば社内SEの新規求人数は、2020年と比較して236%増加しています。金融やメーカー、製造、小売など各業界のトップランナーがハイクラス人材採用への投資を加速させており、今後も求人数は増えていくはずです。

(2020~2022年の1~6月の期間における、下限年収600万円以上の新規求人数推移)
(技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)の全職種のうち、新規求人数上位5職種)

——登録者(転職希望者)の傾向は?

大橋氏:職種でいうと、業務系アプリケーションエンジニア・プログラマとして経験を積んでいる方の登録が多いですね。また、現在社内SEを務めている方の登録も増えています。特にメーカーや金融系にいる方の登録が増えている印象があります。

——企業から引く手あまたになるハイクラス人材の特徴は?

金内氏: ITスキルに加え、マネジメントスキルも有している人材です。エンジニアの上流工程に加えて組織マネジメントも経験している人材は本当に引く手あまたです。

大橋氏:加えて、セキュリティやデータサイエンティスト、クラウドなど、希少価値の高い経験を持っている人へのニーズも高いですね。

エンジニアは「誰が、どんなビジョンを打ち出しているのか」を重視

——こうした状況の中で、応募が集まりやすい企業の傾向とは?

金内氏:ハイクラス人材を採用できている企業は、過去の話ではなく自社の未来の方向性を的確に語れている印象があります。それを誰が、どのように伝えているのかも重要。面接官の人となりや、マネジメント層の発信内容なども問われているということですね。

大橋氏:転職希望者から見れば、今はかなり求人が多く、選び放題の状況にあります。転職エージェントに登録するとたくさんの企業を紹介されますが、その中でも自分の知っている会社や、自分の好きなサービスを提供している会社に親和性を感じる傾向が強いですね。エンジニアには1日30件ほどのスカウトメールが届くこともあるので、知らない会社を検討している余裕がないという実情もあるかもしれません。

ただ、一般的に知名度の高い会社が必ずしも採用成功しているわけではありません。応募は集まるものの希望通りの人材が採用できていないというケースもあります。金内が指摘するように、「誰が、どんなビジョンを打ち出しているのか」をエンジニアは重視しています。

——応募が集まる企業の人事・採用担当者の特徴とは?

金内氏採用を検討している現場(募集部門)と人事の関係性を重視していると感じます。現場が採用に協力的ではない場合だと、情報の発信やブランディングに限界が生じ、現場の生の声を届けたいと思っても人事のフィルターがかかってしまうことになります。人事と現場が同じ方向を向いている企業は強いです。

大橋氏:現場と人事の関係性は、選考プロセスにも現れますよね。現場の人がカジュアル面談を積極的に行う会社は、エントリーへのハードルが下がります。最後のひと押しを人事ではなく現場のマネジメント層が担う企業も強い。人事・採用担当者には、社内での関係性を強化し、必要な役割分担を進めていくことが求められているのではないでしょうか。

【営業職】におけるハイクラス人材採用市場の傾向

最後に営業職の領域について、CAの河野智彰氏と、RAの鈴木智勝氏に聞きました。

大企業向けの営業経験や、事業開発経験を持つ人材を求める声が高まっている

(2020~2022年の1~6月の期間における、下限年収600万円以上の新規求人数推移)

——営業職でハイクラス人材の求人が多い業界は?

鈴木氏:課長・部長などの管理職層や、大手企業において事業推進を担うリーダー層のなどハイクラス人材のニーズが活況となっています。特にIT営業については2020年に比べ約3倍の求人数となっています。また、事業基盤を拡大したいと考える企業がリーダー層を採用したり、新規事業創出や組織改革などで新たなノウハウを取り入れたいと考える企業が、ハイクラス層を積極的に採用したりする傾向にありますね。

河野氏:第二創業期のベンチャーなど、ある程度社員数が増えてきた段階の企業でハイクラス人材のニーズが高まる印象です。また、日本に参入して間もない外資系企業などでは、「これまで培った知識やネットワークを活かしてほしい」と期待して募集をすることも多いですね。金融や製造業などの大手では、会社の風土や文化を理解した人材への期待が大きく、従来は内部昇格で充足していましたが、ここ数年の間に外部の人材を採用したいと考えるケースも少なからず増えてきています。

(2020~2022年の1~6月の期間における、下限年収600万円以上の新規求人数推移)
(営業職の全職種のうち、新規求人数上位5職種)

——登録者(転職希望者)の傾向は?

河野氏: 40代や50代の年齢層の登録も増えてきていますね。40代以上のハイクラス層の転職も少なくありません。転職の検討理由を伺うと、「何となくこのままでいいのか不安を感じている」という声が多い印象です。営業職のキャリアは、明文化されたスキルよりも役職や役割で判断されることが多いですよね。そのため、次のキャリアステップが見えづらいのかもしれません。

コロナ禍以降の傾向としては、フルリモートやフレックス制がある環境を求める人も増えています。大手を中心に営業職のリモート化が進んでおり、こうした環境に引かれて動く人は着実に増えていると感じます。

——企業から引く手あまたになるハイクラス人材の特徴は?

河野氏:「エンタープライズ系」といわれる大手企業向けの営業経験がある人は、幅広い業界で重宝されますね。

鈴木氏新たなノウハウを取り入れたいと考える企業からは、事業開発経験のある人材や、実際に事業をグロースさせた経験がある人材を獲得したいという要望が多い傾向があります。

ハイクラス層が「主観的に判断できる」情報提供を

——こうした状況の中で、応募が集まりやすい企業の傾向とは?

鈴木氏:転職希望者が、自分に合っている企業なのかどうかを主観的に判断できる企業です。ハイクラス層では、具体的に自分が何をするのか、どんなミッションを持ってどのような結果が求められるのかを重視する傾向が強いと感じています。その意味では、業務やミッションが明確であり、転職希望者が主観的に判断しやすい企業には応募が集まりやすいですね。

河野氏:若手の場合は「他の業種に挑戦してみたい」「環境を大きく変えたい」という転職ニーズが多いのですが、ハイクラス層は自身の経験をもとにして明確なキャリアイメージを持ちたいと考えています。数字が明確に求められる営業職だからこその傾向かもしれません。

——応募が集まる企業の人事・採用担当者の特徴とは?

河野氏:人事と採用部署の間で採用に関する方針や情報を密に共有し、採用活動に向けた熱量をそろえる努力をしていると感じます。人事と採用部署の書類選考基準にブレがなかったり、選考日時の調整に協力的でスムーズあったり、転職希望者の意向醸成に必要な対応がとても早かったり、連携するためのコミュニケーションが円滑に進むように工夫されています。

鈴木氏:採用部署の状況を把握できているかが重要です。人事といっても、常に自社の全てを把握できているわけではないと思うんです。たとえば地域ごと、拠点ごとに採用ニーズが異なることもあるはず。そうした具体的な情報を把握し、取捨選択して私たちに共有してくださる人事・採用担当者がいる企業では、母集団形成が順調に進むことはもちろん、選考辞退率の低下にもつながっていると感じています。

企画・編集/白水衛(d’s JOURNAL編集部)、編集・取材/野村英之(プレスラボ)、文/多田慎介

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