面接での職務経歴書の読み解き方とチェックポイント、教えます【年代別掘り下げポイント・質問例付】

d’s JOURNAL編集部

面接官は、職務経歴書や人材紹介会社からの推薦状など、応募者から提出された書類を基に面接を行います。しかし、中には「書類で着目すべきポイントがわからない」「面接で掘り下げるべき事項がこれでよいのか自信がない」と感じる方もいるのではないでしょうか。今回は、職務経歴書や推薦状の情報の中で、さらに掘り下げ詳細を確認するべきポイントや、法律で禁止されている質問事項をご紹介します。年齢別のチェックポイントや情報を掘り下げるための質問例を一覧化した資料もダウンロードできますので、ご活用ください。

職務経歴書や推薦状から情報を得る目的と注意点

職務経歴書や推薦状から情報を得る目的と注意点

面接の時間には限りがあるため、面接官は履歴書や職務経歴書、人材紹介会社からの推薦状の内容を参考にしながら、面接で気になる点や詳しく聞いておきたい事項を確認していきます。

一方で、適切に情報を読み取り、質問から適性を堀り下げることができないと、採用後のミスマッチにつながる可能性もあるでしょう。特に中途採用においては、書類を基に、面接で応募者の職務経験と、自社が求めているスキルや適性との関連性を見極めることが大切です。

応募者に公平な対応ができるよう、行き当たりばったりで質問をするのではなく、あらかじめ質問項目を定めておくとよいでしょう。

職務経歴書や推薦状の面接で堀り下げるべきポイント

具体的には、どのような項目に注意して面接を進めるとよいのでしょうか。今回は、「職務経歴書」と「推薦状」に的を絞り、面接で堀り下げるべきポイントを、項目ごとに解説します。

職務経歴書や推薦状の面接で堀り下げるべきポイント

【職務経歴書】自己PR

自己PRでは、「これまでの経験から自社で活かせる部分を強調できているか」がポイントです。経歴を羅列しているだけでは、自社の職務や業務を想定できていない可能性もあります。担当した業務や携わったプロジェクトについて具体的に聞き取るとともに、「相手(面接官)に必要な情報を取捨選択して提示できるか」というスキルを見極めましょう。

【職務経歴書】マネジメント経験

マネジメント業務を行うポジションを募集する場合には、「組織マネジメント」なのか「プロジェクトマネジメント」なのかや、人数やコストなど、面接で具体的な実務内容を確認します。応募者が重視していない経歴でも自社で活かせるケースがあるため、記載事項を注意深く読み取り、自社で活かせる経験であれば詳細を聞き取りましょう。

【推薦状】転職理由

転職回数が多い応募者は、自社においても早期退職となるリスクがあります。可能な範囲で転職理由の詳細や前職の環境などを確認し、希望する業種や役職に矛盾がないか、自社とミスマッチが生じないかを確認しましょう。

【推薦状】志望動機

志望動機は応募者もあらかじめ回答を用意していることが多いため、回答に対してさらに掘り下げる質問をし、動機の本質を見極めましょう。「自社の業務について理解を深めているか」「数ある企業の中からなぜ自社を選んだのか」を確認することが大切です。また、自社や募集するポジションとの親和性を見極めるために、「スキルやこれまでの経験を自社でどのように活かせるか」も聞き取りましょう。

【推薦状】人物

コミュニケーション能力や人柄は書面だけでは判断しきれないため、面接を通して、推薦状の人物像に記載されている内容と相違ないかを把握する必要があります。

質問の受け答えや表情から「理解力・判断力」「表現力」「社会人としての常識・マナー」を把握するとともに、ネガティブなポイントが、ポジティブな表現に言い換えられていないかを確認しましょう。

【推薦状】活かせるスキル

転職理由と同様に、募集しているポジションに関係のない資格が記載されている場合は、応募者が就きたいと考えている職種ではない可能性もあります。保有する資格やスキルと自社の求めるポジションが一致しない場合は、その点を踏まえた上で改めて志望動機を確認しましょう。その他、必要な免許や資格の有効期限が切れていないかや、スキルを活かした実働経験があるかを確認することも大切です。

【推薦状】空白期間

留学経験や介護などを理由として、キャリアに空白期間がある人もいるでしょう。一方で、就業期間が短すぎるなどのネガティブな理由のために、企業名を記載していない可能性もないとは言い切れません。年度のずれや空白期間がないかを書面上で確認し、ある場合には、面接でその期間何をしていたのかを質問しましょう。

法律で禁止されている質問事項

職業安定法およびそれに基づく指針では、就職差別につながる恐れのある「本人に責任のない事項」や「本来自由であるべき事項」などの確認を避けることや、収集してはならない個人情報を規定しています。応募者がそれらを聞かれることによって、精神的な苦痛を受けたり、心理的に動揺して実力を発揮できなかったりする可能性があるからです。

法律で禁止されている質問事項

以下より法律的観点から面接で質問してはいけないことを確認し、公正な面接を行えるようにしましょう。
(参考:『【弁護士監修】意図せず法律違反に…。面接で聞いてはいけないこと』)
(参考:厚生労働省『採用選考自主点検資料~公正な採用選考を行うために~令和4年度版』)

本人に責任のない事項

面接では「応募者が自社の業務を遂行するために必要な適性や能力を持っているか」を基準にして選考を行うことが重要です。また、応募者の個人情報を保護する観点から、社会的差別の原因となる恐れのある個人情報については、原則として収集が認められていません。したがって、以下の事項を質問することは控えましょう。

禁止されている質問事項

●本籍・出生地
●家族
●住宅状況
●生活環境・家庭環境

例として、「家族構成を教えてください」「家族の中に●●の職業に就いている人はいますか」「家は持ち家ですか、借家ですか」などが挙げられます。また、在日外国人に国籍を聞くことも不適切です。

転勤や緊急対応の可否を判断するために家族構成を把握したい場合は、「転勤のお願いにあたり配慮すべきことはありますか」「オンコール対応(●●分以内の出勤)がありますが対応は可能でしょうか」といった尋ね方をしましょう。

本来自由であるべき事項

思想や信条に関わることを採否の判断基準にすることは、日本国憲法上の「思想の自由(第19条)」「信教の自由(第20条)」などの規定内容に反します。そのため、面接の質問では、以下の事項に注意しましょう。

禁止されている質問事項

●宗教
●支持政党
●人生観・生活信条
●尊敬する人物
●思想
●労働組合(加入状況や活動歴)、学生運動などの社会運動
●購読新聞・雑誌・愛読書

具体的な質問として「ご家庭の宗教は何ですか」「労働組合や学生運動に参加しましたか」などが考えられます。「尊敬する人物」や「愛読書」も思想や信条に関わる事項のため、注意が必要です。

その他不適切と考えられる質問

上記の事項以外でも、企業は就職差別につながることや、適性・能力に関係ない事項についての質問を避ける必要があります。

例として、性的マイノリティーであることを強制的にカミングアウトさせるような質問や、蔑称を使用することは不適切です。性的指向や性自認は業務の遂行に関係がないため、個人の尊厳に関わる問題として尊重しましょう。

また、近年はオンライン面接を導入する企業も増えているため、自宅で面接を受ける応募者もいます。背景について質問することはプライバシーの侵害となるため、たとえアイスブレイクであっても言及を避けましょう。

なお、意図せず面接の中で応募者から性自認や家族のことなど、適性や能力と関係のない回答があった場合には、回答終了後に採用選考に影響しない旨を説明するなど、応募者の心情に配慮することが大切です。

お役立ち資料のダウンロード

以下より、面接で役立つ資料をダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。

【まとめ】

面接では、職務経歴書などの書類を基に、応募者が「募集しているポジションに合った能力や適性を有しているか」「これまでの経験を自社で活かせるか」を確認することが重要です。今回ご紹介したポイントや法律で禁止されている質問事項を参考にし、面接スキルや採用力の向上を図ってみてはいかがでしょうか。

(企画・編集/海野奈央(d’s JOURNAL編集部)、制作協力/株式会社はたらクリエイト

レジュメ×年代別 面接でのチェックポイント・質問例

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