目標達成シート(マンダラチャート)とは|作成方法やビジネスで活用するポイントを解説【テンプレート付き】

d’s JOURNAL編集部

目標を達成するために必要なアイデアや方法を洗い出すために用いられる「目標達成シート(マンダラチャート)」。目標達成に必要な要素を細分化し、具体的なアクションを見える化することで、行動に移しやすくなると考えられています。

個人やチームの目標達成に向けた行動指針の一つとして、利用を検討している企業もあるのではないでしょうか。

この記事では、目標達成シートの概要や作成方法、ビジネスで活用する際のポイントを解説します。記入例付きのテンプレートもダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

記入例付きの目標達成シートのテンプレートはこちらからダウンロードできます。

目標達成シート(マンダラチャート)とは

目標達成シートとは、目標を達成するために必要なアイデアや方法を洗い出すためのツールです。「目標の明確化」と「目標達成までの過程の具体化」を目的としています。目標への理解を深めて明確にすることで具体的なアクションにつながり、職場内で共通の目標がある場合、各メンバーによる認識のズレの回避が期待できます。

下図のように、目標達成シートは大きく9つの枠からなります。目標達成シートの中央の枠は、縦3マス×横3マスの合計9マスで構成されています。中心のマスには「達成したい目標」を、周囲の8マスには「目標達成に必要な要素」を書き出します。それ以外の8つの枠の中心に「目標達成に必要な要素」を、残り全てのマスに「その要素を得るために必要な行動目標」を記入すれば完成です。

目標達成シート(「達成したい目標」と「目標達成に必要な要素」の記入例)
目標達成シート

例えば「今期の売上を2倍にする」という目標を立てる場合、目標達成に必要な要素の一つとして、「認知度を2倍に増やす」が考えられます。「認知度を2倍に増やす」ために必要な行動目標には、「キャンペーンを実施」「広告掲載」などがあるでしょう。枠ごとに細分化された行動目標をクリアしていけば、枠の中心に記載した「目標達成に必要な要素」を実現でき、それが積み重なることで、自然と目標達成シートの中心に記載した大きな目標を達成できる仕組みになっています。

目標達成シートの拡大イメージ(「目標達成に必要な要素」と「その要素を得るために必要な行動目標」の記入例)
目標達成シートの拡大イメージ

なお、目標達成シートは仏教の曼荼羅(マンダラ)に似ていることから「マンダラチャート」とも呼ばれていますが、この記事では「目標達成シート」との表記で説明していきます。

大谷翔平選手も目標達成シートを活用していた

現在、米国のメジャーリーグで活躍している大谷翔平選手も、高校1年生のときに目標達成シートを活用していました。「ドラフト会議で8球団から1位指名を受ける」という目標を達成するために、「体づくり」「メンタル」「球速160km/h」「運」などを8つの要素に挙げています。

8要素を実現するための行動目標はなるべく具体的に、少しハードルが高いものとしていました。

大谷翔平選手の目標達成シート
大谷翔平選手の目標達成シート
(引用:News Picks『大谷を怪物にした花巻東高校の「目標達成用紙」』)

目標達成シートのつくり方

では実際に、目標達成シートをつくってみましょう。どのような要素を書き出していくのか、4つのステップに分けて解説します。

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ステップ(1)中心のマスに達成したい目標を書く

「縦3マス×横3マス」の9マスからなる枠を一つ作成し、中心のマスに達成したい目標を記入します。目標は、できるだけ具体的に書くのがポイントです。具体的な目標が浮かばない場合は、現段階で想像し得るおよその目標値で構いません。思案する中で具体的な目標が思いつけば、変更しても問題ありません。

ステップ(1)

ステップ(2)目標を達成するための8つの要素を書く

次に、中心のマスに書いた目標を達成するために必要な要素を、周囲の8マスに記入します。設定した目標を大きく8つに分解するイメージで、この段階ではあまり具体化し過ぎないのがポイントです。抽象的な要素とすることで網羅性が向上し、このあと設定する具体的な行動目標を考えやすくなります。

今の自分に不足している面を考えると、能力や知識の要素に偏ってしまいがちになるため、注意が必要です。網羅性を高めるために、メンタル面や人間性などを踏まえた要素も入れるようにしましょう。

ステップ(2)

ステップ(3)8つの要素それぞれを目標とする8つの枠をつくる

さらに具体的な行動目標に落とし込むために、前のステップで決めた8つの要素それぞれを中心に書いた「縦3マス×横3マス」の9マスからなる枠を新たに8つ作成します。そうすると、下図のように、目標達成シートは全部で81マスになります。

ステップ(3)

ステップ(4)周囲のマスに具体的な行動目標を書き出す

最後に、残った全てのマスに「目標達成に必要な要素」の実現に向けた具体的な行動目標を書き出します。実行に移しやすくするため、期日や目標値を設定するのがポイントです。

全てのマスを埋めたときに、「すべきことが多すぎて、できそうにない」と負担を感じる人もいるでしょう。そうした場合には、自己分析を通して、現時点で「できていること」「ある程度できていること」「あまりできていないこと」「まだまだ努力が必要なこと」に分けてみることをおすすめします。行動目標の優先順位をつけやすくなり、自己理解も深まるでしょう。

ステップ(4)

目標達成シートを活用する4つのメリット

目標達成シートを活用するメリットとしては、次の4つが挙げられます。

目標達成シートを活用する4つのメリット
●目標を明確に認識できる
●組織・チームで共通認識をつくれる
●モチベーション維持に効果を発揮する
●新しい発見につながる

それぞれについて見ていきましょう。

目標を明確に認識できる

メリットとしてまず挙げられるのが、核となる目標に対して必要な要素や行動目標を明確化できるという点です。目標達成までの全体像を把握するのにも役立ち、目標達成に必要な行動がイメージしやすいため、実際の行動につなげやすくなります。

また、目標達成シートは「新しい目標を達成する」ためだけではなく、「現状起きている課題を解決する」のにも効果を発揮するため、活用の幅も広がるでしょう。

組織・チームで共通認識をつくれる

目標達成シートを作成することは、目標を言語化することでもあります。部署やチームのメンバーで一緒に目標達成シートを考える中で、お互いの認識をすり合わせできるのがメリットです。言語化した目標は組織内の共通認識となるため、目標への理解が深まるとともに、より効果的な行動につながると期待できます。

モチベーション維持に効果を発揮する

目標を立てても頭の中で漠然と考えているだけでは、行動に移すのは難しいです。目標達成シートは目標達成までのステップが細分化されているため、「目標」と「今すべきこと」を見える化できるのが特徴です。一つの目標をクリアしても、次に何をすべきか迷わず行動を起こせるため、モチベーションを維持しながら、目標達成に向けて行動を進めやすくなります。

新しい発見につながる

目標達成のためのステップを埋めていく過程において、これまで思いつかなかった重要指標の発見につながるケースがあることも、メリットといえます。実際に目標達成シートを作成すると、「マスを埋めるのが難しい」と感じる場合も少なくないでしょう。

最初から完璧なシートをつくろうと考えるのではなく、運用していく中で更新していく姿勢が新しい発見につながります。別のテーマについて考えている中で、空いているマスを埋める方法やアイデアを思いつくこともあるでしょう。

目標達成シートのデメリット

さまざまなメリットがある目標達成シートですが、運用にあたってはデメリットもあります。押さえておきたいデメリットを2つご紹介します。

優先順位の判断が難しくなる可能性がある

目標達成に向けた行動目標を細分化することで、実行する際に優先順位の判断が難しくなることがデメリットとして考えられます。「どれからやればいいのだろう」と何から着手するべきかわからず混乱してしまう可能性があるでしょう。また、「あれもこれもやらなければならない」というように、すべきことが煩雑に感じてしまうこともあるかもしれません。

そうした事態に陥らないよう、8つの要素に優先順位や実行スケジュールを設定し、行動目標をどの順で進めていくべきかを整理しましょう。

シートの内容が正しいとは限らない

「こうすれば、目標を達成できるだろう」という予測のもと目標達成シートを作成するため、作成済みのシートの内容が必ずしも正しいとは限らない点もデメリットといえます。また、物事の判断や決断において優柔不断になってしまう人は、マス目への記入自体に難しさを感じてしまう傾向にあります。

そのため、時と場合によっては、「目標達成シートを定期的に見直す」「目標達成シート以外のツール・フレームワークの活用を検討する」といった柔軟な対応が必要となるでしょう。

目標達成シート作成で意識するポイント

ここからは実際に目標達成シートの作成で意識したい3つのポイントをご紹介します。

目標と目的の違いを把握する

目標達成シートでは、目標と目的の違いを把握したうえで作成することが大切です。まずは目標と目的の違いを確認しましょう。

目標とは、目的に到達するための過程を言語化・数値化したもの
目的とは、個人や組織で成し遂げたい状態

目的を意識することで目標の重要度が上がり、行動が促されます。個人でも組織でも「これはなんのための(どのような目的を実現するための)目標か」を理解することが重要です。目標達成に対する意欲を高めるためにも、なぜこの目標や要素を設定するのか、目的を忘れずにシートを作成しましょう。

質の高い目標を作成するための「SMARTの法則」

「SMARTの法則」とは、質の高い目標を作成するため、目標に盛り込むべき5つの要素の頭文字を取ったものです。「SMART」を意識しながら目標達成シートを作成することで、より質の高い施策や現実的なアイデアを考えられるようになるでしょう。

SMARTの法則

Specific(具体的) 何を達成するか具体的でわかりやすい
Measurable(計測可能) 誰が見ても「◯」「✕」が明確につけられる
Achievable(達成可能) 現実的に達成できる、チャレンジできる範囲である
Relevant(関連性) 実現したい目的や上位目標とつながっている
Time-bound(期限が明確) いつまでに達成するかが明確になっている

目標のスパンを長くし過ぎない

目標達成シートでは、目標達成に必要な要素や行動目標に優先順位や実行スケジュールを設定しますが、目標のスパンを長くし過ぎないことがポイントです。半年以上の長い期間での目標となると、要素も増え、複雑になりやすい傾向があります。1~3カ月などできるだけ短い期間で達成する目標を設定しましょう。

結果が出るまで時間がかかることもあるため、モチベーションの維持や軌道修正の難しさも課題となることが想定されます。目標達成シートはブラッシュアップを繰り返すことで徐々にうまく活用できるようになるため、そういった観点からも、実行しやすい期間で目標を設定することをおすすめします。

まとめ

目標を実現するためのツールとして用いられる目標達成シートは、作成後、いかに実際の行動につなげるかが重要です。具体的な行動目標を考え、優先順位や実行スケジュールを設定することで、モチベーションを維持しながら目標に進むことができます。

今回ご紹介した作成方法やビジネスで活用する際のポイントなどを参考に目標達成シートを作成・活用し、個人やチーム、組織の成長につなげてみてはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)

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