【ToDoリスト付】効率的に即戦力人材を採用!アルムナイ採用を仕組み化する方法

d’s JOURNAL編集部

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  • アルムナイ採用は入社後のミスマッチが生じにくく即戦力採用につながりやすいが、企業側が採用時期や採用数などをコントロールできない手法である
  • アルムナイ採用を仕組み化するには、データベースの準備・誘導、定期的なつながりの維持、社内外への広報などが必要となる
  • 事例/アルムナイコミュニティの運営を行うパーソルキャリア株式会社は、定期的な情報発信・業務委託案件の創出・アルムナイ同士や現役社員との交流などを実施している

近年はアワードが開催されるなど、経営層からの注目も非常に高まっている「アルムナイ採用」。自社を一度離れた退職者(アルムナイ)を再雇用する手法のため、「採用費用を抑えられそう」「即戦力となる人材を採用できそう」という理由で、導入を検討している方もいるのではないでしょうか。

さまざまなメリットのあるアルムナイ採用ですが、効率的に即戦力人材を採用するには、目標を明確にし、継続的に運用できる仕組みや体制を整えることが重要です。今回は、アルムナイ採用を仕組み化するためのフローや費用感、企業事例をご紹介します。

アルムナイ採用のメリットと注意点

アルムナイ採用のメリットには、既に自社の組織文化や業務に理解があるために、入社後のミスマッチが生じにくく、定着率が高くなりやすいことが挙げられます。また、一度一定の基準を満たして入社しているため、立ち上がりのスピードが早く、教育費用を抑えられることも注目されている理由の一つだと言えるでしょう。

なお、アルムナイ採用を運用する際、現役社員からの紹介で少人数を採用するのであれば、採用費用も大幅に抑えられます。しかし、組織的・継続的に運用を行う場合は、アルムナイへの対応やシステムの運用などに維持費用がかかることに注意が必要です。

■参照:アルムナイとは?注目される理由とメリット・デメリットを解説

アルムナイ採用は、アルムナイの気持ちの変化によって実現する

アルムナイ採用を検討するにあたり、退職したアルムナイが再入社に至るまでの気持ちの変化を把握することが重要です。

まず、自社において何らかの不満(働き方や職種、給与など)があり、それを払しょくするために転職をします。その後、転職先で何らかの課題を感じて再度転職を検討し、自社が再就職先として候補に上がれば、再入社が実現する、という流れです。

アルムナイ採用は、アルムナイの気持ちの変化によって実現する

つまり、企業側では再雇用が発生するタイミングをコントロールできないので、期限を定めて採用数などの計画をたてることが難しい手法とも言えます。そのため、アルムナイ採用を実施する前には、社内で目的や成果に対する十分な議論が必要です。

アルムナイ採用を仕組み化するためのフロー

社内議論の上、アルムナイ採用を実施することになった場合、スムーズな採用(再雇用)のために重要なのは、アルムナイに自社を転職先の候補として第一想起してもらうことです。ここからは、具体的なフローや費用について見ていきましょう。

アルムナイ採用を仕組み化するためのフロー

【ステップ①】データベースの準備、誘導

転職の際に第一想起してもらうには、適切なタイミングで適切な情報を提供することが重要です。退職者の個人情報は企業が退職後に保有することはできないため、まずはアルムナイの情報を収集・登録するデータベースを作成し、そこにアルムナイを誘導する必要があります。

なお、退職時にアルムナイをデータベースに誘導し、再雇用の可能性を高めるには、退職時の送り出し方もポイントとなります。自社によい印象を持ったまま退社できるよう対応に留意したり、アルムナイ採用について説明し再入社に歓迎の姿勢を示したりすることが大切です。

【ステップ②】アルムナイと定期的なつながりを持つ

データベースにアルムナイの情報を集約したら、データベースを活用しながらアルムナイとのつながりを持ち続けましょう。

定期的なアクションの例

●オウンドメディアやメルマガにてアルムナイ向けコンテンツを発信する
●交流会やイベントを開催する
●専用のコミュニティを構築する

情報を発信する際は、現在の自社の様子がわかるコンテンツを意識することが大切です。「在宅勤務が可能になった」「異動が容易になった」など、転職時に不満を感じていた部分が解消している場合は、再入社の意欲が高まる可能性があります。また、再入社したアルムナイが活躍している様子を伝えると、再入社後のイメージを持ってもらいやすくなるでしょう。

【ステップ③】アルムナイ採用の広報

アルムナイ採用の運用を開始したら、「採用ページやSNSなどの社外向け」「イントラといった社内向け」それぞれのメディアにアルムナイ歓迎のメッセージを掲載するなど、広報を行います。重要度を伝えるために、経営からのメッセージにすることも有効です。

社内広報をすることによって、退職予定者にはアルムナイ採用という選択肢の周知がかない、具体的なポジションなどを挙げれば、現役社員から過去の同僚などに声をかけてもらえるなど、費用をかけずに再雇用がかなう可能性もあります。また費用はかかりますが、社外広報として採用ページの中にアルムナイ採用専用ページや、アルムナイ専用の応募ボタンを追加作成することで、より具体的な行動促進につなげられるでしょう。

アルムナイ採用にかかる費用

社内に十分な人員体制を組めれば、SNSや無料の情報ツールなどを使用して費用をかけずに運用することも可能です。ここでは外部サービスの活用が必要となった際の参考として、データベースの構築やオウンドメディアの制作にかかる費用相場をご紹介します。

データベースの構築・運用費用

外部サービスを利用する場合は、「初期費用」(25万~100万円程度)と「月額利用料」(無料~10万円程度)を支払うことが一般的ですが、成功報酬型を採用しているサービスもあります。企業規模や機能、オプションの有無などによって料金が異なるため確認が必要です。

また、効率的に活用するために「タレントプールと同じデータベースにする」「コミュニティサイト運用を備えたサービスを利用する」という方法もあります。

オウンドメディアの制作費用

オウンドメディアをゼロから立ち上げる場合、サーバ料金とは別に、初期費用として100万~400万円程度かかることが一般的です。撮影や記事制作を依頼する場合は、取材や記事の更新などに別途費用がかかります。

また、コンセプト設計から内容構成まで依頼するカスタマイズ型は費用が高くなる傾向にあるため、目的を明確にした上で依頼先や商品・サービスを比較検討する必要があるでしょう。

【事例】アルムナイコミュニティを立ち上げ、交流を促進(パーソルキャリア株式会社)

【事例】アルムナイコミュニティを立ち上げ、交流を促進(パーソルキャリア株式会社)

コミュニティ運営などの取り組みが評価され、「ジャパン・アルムナイ・アワード2023」の「志のデザイン部門」にて最優秀賞を受賞したパーソルキャリア株式会社の事例をご紹介します。

パーソルキャリア株式会社では、アルムナイとの継続した交流を図るため、2023年4月に「アルムナイコミュニティ」の運用を開始。退職時に人事からコミュニティへの入会案内を実施することで、アルムナイの登録を促し、情報を蓄積・管理しています。コミュニティの運営は、専任の担当者2名で対応。情報の定期発信やイベントなどの交流機会の創出、業務委託案件や再入社の対応までを行っています。

取り組みの例としては、まず、アルムナイとつながり続けながら魅力あるコミュニティにするため、お役立ち情報を定期的に発信。同社には人事・HR領域で活躍するアルムナイが多いことを踏まえ、関連する調査レポートやコラムなどの情報を提供しています。また、各事業部がアルムナイ向けに業務委託案件を創出。副業に不安を抱えるアルムナイに古巣の安心感というメリットを訴求しつつ、経験やスキルを広げる機会を提供しています。さらに、新たなビジネス展開や将来のキャリア形成につながるよう、アルムナイ同士の交流促進にも取り組んでいます。

これらの施策により登録者は1000名に迫っており(2024年1月時点)、アルムナイの再雇用や業務委託案件も複数創出しています。加えて、再入社者へのインタビュー記事を採用ページに掲載し、再入社したからこそわかる自社の魅力を語ってもらうことで、採用ブランディングにもつなげています。

業務委託には「現職社員のメンター」という案件もあり、自社の業務内容やカルチャーをよく知るアルムナイだからこそ提供できる「共感」と、「外部の視点」を活かしたメンタリングが実現しています。現役社員からは、アルムナイと接することで改めて自社の魅力を感じたり気付きが得られたりするという声が上がっており、アルムナイ・現役社員双方によい効果を生んでいます。

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まとめ

アルムナイ採用は退職者を対象とした採用手法であるという特徴から、採用人数を計画することが難しく、制度を運用してすぐに採用がかなうものでもありません。長期的な視点で考える必要がある一方で、効率的に運用するためには費用もかかるため、目的や期待する成果をどこに置くかの議論を事前にしっかりしておかないと、費用対効果を得られない可能性もあります。
アルムナイ採用を設計する場合は、導入フローや費用を把握するとともに、目的や成果、必要な社内体制を明確にした上で運用をスタートすることが重要です。

(企画・編集/田村裕美(d’s JOURNAL編集部)、制作協力/株式会社mojiwows

アルムナイ採用 ToDoリスト

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