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事業を成長させるために欠かせないのが、自社に最適な人材の採用です。しかし、自社に最適な人材を定義するための採用基準の項目が、曖昧になってはいないでしょうか。
採用基準の作り方や明確化の重要性については、「【採用基準の作り方】転職市場の”今”を知り、採用ポジションの責任者と擦り合わせておきたい基準とは?」の中でも解説していますが、ここでは採用基準を作るうえで欠かせない項目について解説します。採用基準を定めるための考え方の1つとして、ぜひ参考にしてください。
人事・採用担当者が採用活動を進める際、自社に最適な人材を求めるための採用基準となる指標を紹介します。職種や新卒採用・中途採用を問わず、働く上での基本姿勢はBe、Do、Haveの3つに集約されます。
例えば)仕事を通じて成長したい/仕事で得られるお客様や一緒に働く仲間からのありがとうが嬉しい/仕事を通じて探究心・好奇心を満たしたい etc…
例えば)目標達成に向けた数字へのコミットを大切にしている/仲間と連携しながら仕事を進めることで成果を出している/PDCAサイクルを回すことで成果への確率を高めている etc…
例えば)職種に対するスキル・経験/業種に対するスキル・経験/語学力などの汎的なスキル・経験 etc…
これらBe,Do,Haveの要素である例えば)の部分を定めておくことが、採用に関わる社員達との共通認識となり、転職希望者を募る際の採用基準にもなります。それではこの要素は、どのように導き出せばいいのでしょうか。その方法は、次で解説する3つの指標の要素を導き出すための考え方を参考にしてください。
採用基準の項目を構成する要素を導き出すには、【社内で活躍している社員から考える方法】と【未来を見据えて逆算して考える方法】の2つがあります。
求人募集するポジションで働いている社員達の中から、成果を上げている社員を複数人グルーピングし、その社員達に共通しているBe,Do,Haveの要素を抽出することで採用基準を定める方法です。社内で使えるアセスメントツール(※)があれば、採用基準の項目を顕在化させやすくなります。
もっとも、社内に使えるアセスメントツールが無い場合は、共通要素を言語化していく方法があります。グルーピングした社員達それぞれに、Be,Do,Haveに対する見識を答えてもらうのです。
その結果、例えば活躍している社員の多くに共通しているのは、
といった傾向が分かれば、それらを採用基準に定めていくことができます。
また、今回の募集ではBe,Do,Haveのいずれも、活躍する社員達と同じように当てはまっている必要があるのか、それともBeとDoの優先順位が高く、Haveの部分に対しては、入社後に身に付けて貰えれば大丈夫。といった採用における方針を組み立てることもできます。
会社のビジョンや自社業界の今後の動向を見据えたうえで、経営戦略や事業戦略を描き、その戦略から紐解いて、どんな組織にしていきたいか?どんな人材を仲間に加えたいのか?をブレイクダウンしていく方法もあります。戦略からBe,Do,Haveの要素を抽出し、採用基準の項目に当てはめるのです。
例えば、あるWebサービスを提供する大手企業の新規事業立ち上げ部門の場合で考えてみます。
この会社の場合は、経営戦略の一環で新規事業の専門部門が創設されました。この部門の事業責任者に対して、どういった事業ドメインで新規事業を創ったり、他社とコラボレーションしていくのか?また、どのような価値基準でこの部門を運営し、どういったカルチャーにしたいのか?どういう人材に仲間に加わってもらいたいのか?などを確認し、採用したい人材に持っていて欲しいBe,Do,Haveの要素を確認することが有効です。
事業責任者とすり合わせた結果、
といった要素であることが分かりました。
このような採用基準の作り方が、未来を見据えて逆算して考える方法です。
採用基準の項目を曖昧な言葉で定義してしまうと、採用活動を進める上で判断に迷いが起きてしまいます。よくある曖昧な言葉の例は次の通りです。
これらは、何をもって”考えられる人”なのか、”地頭が良い”とは何で判断するのか、など受け取り方が人それぞれになりがちです。これらの曖昧な要件は、人事・採用担当者、転職希望者の両者にとって良くない判断を招きかねません。
他にも”社会人経験がある方”や”営業経験が1年以上ある方”といった基準を設けてしまう場合もあります。しかし、職種や業界によって経験年数が1年であっても、経験値や持っているスキルは異なります。そのため本来であれば、これらの条件を深堀りし、自社で活躍が期待できる人材にはどんな能力があるべきなのか、まで落とし込むことが大切です。
採用基準を策定するとはいえ、曖昧な基準では意味を成しません。採用基準のベースとなる項目や出し方を把握し、どんな人材に入社してもらいたいかをしっかり定めることが重要です。ここで紹介した内容を参考に、採用基準を見直してみてください。
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