欲しい人材に出会えないのは“書類選考”に問題?すぐ取り入れたいレジュメ確認方法

d's JOURNAL
編集部

転職メディアに募集広告を出したら応募があったとき、人材紹介会社から候補者のレジュメがあがってきたとき、スカウトメールを出そうと転職者データベースを検索したとき…、必ず目にする求職者の情報(応募書類・エントリーシート・レジュメ・履歴書・職務経歴書など)。しかし、期待を寄せて見てみると、「書いてある情報が少ないから判断できない」「求めている内容と違う気がする」「意欲が足らない」など、その人となりがわからない場合も多いのではないでしょうか。

確かにレジュメ数枚から、自社にあった人材なのかを判断するのは至難の業です。しかし、すべての人材と会うわけにもいきません。母集団形成を考える際、「書類選考通過率」は重要な要素となってきます。そこで、書類から、求職者の情報をどのように読みとっていけばよいのか、通過率を上げていくための方法について紹介していきます。

内定候補となる人材の可能性を狭めてしまう、陥りがちな書類選考

ここでは人事・担当者が陥りがちな行動パターンについて確認してみましょう。いま一度書類選考における行動を振り返ってみることで、案外簡単に企業が求める人材に出会う確率が増えるかもしれません。
顎を触るスーツ姿の男性

余白がないレジュメ=意欲があるレジュメ という罠

書類選考にしろ、面接にしろ、つい企業側は「なんでうちに応募したのか」という志望動機・自社への応募意欲を求めてしまいがちです。求人倍率が上昇し続け、競合他社も採用を強化している今、まだ転職活動を本格的にはじめていなかったり、自社への興味が薄かったりする人材にも視野に入れる必要があります。むしろ優秀な人材がいれば、口説きにいくぐらいの姿勢でないと難しいでしょう。
人は自然と「書類がびっしり書かれている=意欲があるのだ」と思ってしまう傾向があります。文章を書くのはとても根気が必要な作業です。そのため余白が目立ってしまうと軽い気持ちなのかな、と感じてしまうのです。しかし、求職者は決して履歴書・職務経歴書の書くプロフェッショナルではありません。口では説明ができるけれど文章にするのが苦手な人も多いです。また、現職が忙しくてなかなか時間が取れていないだけかもしれません。

ブランク(休職)期間があると、すぐにNGという誤解

職務経歴を確認するとき在籍期間に空白があると、気になることはないでしょうか。「空白期間に何があったのだろうか」「採用してもすぐに辞めてしまうのではないか」など、書かれてもいないのにも関わらず、悪い方向に想像してしまい、結果どんなに優秀な経歴だったとしても書類を落としてしまうことも多いようです。最近では、「親の介護のために一定期間休職をした」「共働きのため、育児で休まざるを得なかった」など、さまざまな理由が増えてきています。ブランク期間がある場合、その背景や理由を考えて、一律でブランクがある人を落とさないようにすることが大事です。

「一定の母集団が集まってから選考しよう」という余裕の姿勢

他業務もあり忙しいからと、「ある程度候補者がそろってからからレジュメを選考しよう」という姿勢はNGです。前述した通り、今は採用市場が活発化しており選考スピードが肝になります。書類選考を延ばしている間に他の企業がOKを出してしまうケースもありますし、転職活動を長引かせたくないからと最初に内定が出た企業に決めるという転職希望者も多いです。doda人材紹介サービスの場合、選考参加(応募意思)してから内定までの進捗日数は、平均22日程度となっており、短期間での選考スタイルは今後も加速していくはずです。待ったとしてもいつ良い人材がくるとも限りませんので、「これを逃したら次の応募はない!」と意識し相対判断ではなく都度判断するようにしましょう。

要件に優先順位をつけず、「学歴・年齢・転職回数」で選びがちに

現場や経営陣から欲しい人材要件を言われても、それがどのようなスキルなのかが判断できない場合があります。経歴やスキル、自己PRなどを読んでも分からない場合、どうしても見てしまいがちなのが「誰でもわかる、比較しやすい基準」です。つまり、年齢や学歴、転職回数などのわかりやすい項目です。しかし、それだけで判断してしまうと、どんなに優秀なスキルを持っていたとしても振り落とされてしまう候補者が出てきてしまうかもしれません。

もちろん、選考材料の1つとして考えるには問題ありません。ただし、それを絶対評価にするのではなく、あくまでも他要素との総合判断として考えてください。最初に「今回のポジションではどのような要素が必要なのか」と優先順位をつけておくと、書類選考のときにぶれることはありません。スキル重視の採用ならもちろんですが、ポテンシャル採用の場合人物重視のことも多いでしょう。その際にも、「まずは自己PRを見る」「学歴ではなくやってきたことを見る」など、人柄が分かるであろう項目に優先順位をつけておくと良いでしょう。

優先順位をつけたら、「NEAR要件」を定めて広げる書類選考を

ペンと紙

今後ますます採用市場は激化していくと言われており、ますます母集団形成が厳しくなっていくでしょう。その中で、転職活動している/していないに関わらずより多くの人材に出会うために、今までのような「落とす書類選考」の考え方を改める必要があります。もちろん、無理に丸をつけてくださいというわけではなく、「可能性を広げる書類選考」という考え方です。

MUST・WANT要件に加え、「NEAR要件」を設ける

まず、求人募集をすることが決まったら条件・要件をまとめると思います。経営者や現場にどのような人物が欲しいかヒアリングし、要件を洗い出した後は、必ず優先順位をつけるようにしてください。人が「どんな人が欲しい?」と聞かれると、タイプやスキルを区分けせず「アレも、コレも」と思いついたことを話してしまう傾向にあります。それをそのまま鵜呑みにしてしまうと、条件が厳しくなってしまいどんな書類も通過できないでしょう。

一般的に、優先順位をつける際、要件を整理する際に使われるのは、「MUST要件(必ず欲しい・必要なスキル)」「WANT要件(歓迎スキル。書類選考は通過)」でしょう。仮にWANT要件を満たしてなくても、MUST要件があれば書類を通過させる、WANT要件まで満たしている人材は1次面接を免除させる…など、選考が分かりやすくなります。
そこで、このMSUT・WANT要件に、「NEAR要件(近しいスキル)」を加えてみましょう。スキルを持ち合わせている人を見つけるのは難しい現在、どのような人材であれば即戦力となりうるのか、近しいスキルを定め候補にいれていくことが重要です。情報が足りないからといってすぐにNGとするのではなく、その応募者・候補者の業界や仕事のスタイル・傾向を読み解くように努めることをおすすめします。

例えば、不動産の賃貸営業(店舗カウンター)の場合

  •  老若男女問わず幅広い年齢層が顧客
  •  商談から成約にいたるまでのスピードが早い
  •  短時間の商談時間でいかに相手の要望を引き出せるか

がポイントになる。
短期間で多くのお客様を相手にする営業経験(新規)者であれば、即戦力として活躍が可能。
かつ、短時間で要望を引き出し成約につなげるという点では、クレジットカード会員促進やウエディングプランナーも対象となる(←ここが、NEAR要件)

求めているポジションで必要なスキルを分解し、今欲しいスキルは何か、近しいスキル・適応できるスキルは何か、後から身に付けられるスキルは何か、を整理していきましょう。営業力で言えば、顧客は大手なのか、中小なのか、官公庁なのか、個人なのか。営業スタイルは新規なのか、既存なのか、フォローなのか。商材は高額なのか低額なのか…など、いろいろな側面から見てみるようにすると良いでしょう。スキル整理を行った後、改めて応募書類やレジュメを確認すると範囲が広がっていきます。

まとめ

転職希望者は決して「履歴書・職務経歴書を書くプロフェッショナル」ではありません。もちろん、人材紹介会社を介している場合、キャリアアドバイザーが添削していることもありますが、自社とマッチしている完璧な応募書類であるとは限りません。いくら工数がないからとレジュメをがちがちに選考することはかえって、採用期間を長引かせてしまうことにつながりかねません。細かい情報は面接時に確認するなど、できるだけ可能性を広げていくことで、多くの隠れた人材に出会えることでしょう。

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