【文例付】不採用通知の書き方と送り方、対応における注意点を解説


d's JOURNAL
編集部
不採用通知は「お見送り連絡」ともいわれており、受け取ることは誰しも嫌なものです。そして、通知する企業側にも心理的な負担がかかります。今後、取引先として転職希望者と関わる可能性もあるかもしれませんし、不採用通知の出し方には注意する必要があるといえるでしょう。
本記事では、不採用通知の文例を示しながら、どのように連絡を行えば良いのかを解説します。また、今後も人材不足が続いていくと予想される状況では、最初に応募があった職種とは別の職種で、その転職希望者を必要とするケースも出てくるかもしれません。その際に「また応募してみよう」と思ってもらうことが必要になります。そのために役立つタレントプールの考え方も紹介します。
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受け取り側のことを考えた「不採用通知」とは
転職希望者に配慮した不採用通知を行うには、以下の2つの項目を押さえておくことが大切です。
1.不採用通知を送る上で重要なこと
2.不採用理由を伝えたほうが良いケース
不採用通知を送る上で重要なこと
手紙やメールなど、文面で不採用通知を送るのであれば、以下の内容を盛り込む必要があります。
●頭語と結語
●自社を選び応募してもらったことへの謝意
●履歴書や職務経歴書を送ってもらった、あるいは会場まで足を運んでもらったことへの謝意
●不採用に至った旨
不採用通知では、時候のあいさつと不採用理由は不要です。その分、応募してもらったことと、自社の選考のために労力を割いてくれたことに対する謝意は、必ず伝えましょう。
例えば、「せっかくご応募いただいたにもかかわらず、ご期待に添えず大変申し訳ございません」といった言葉を添えると、相手に配慮した形で不採用を伝えられます。
なお、不採用通知を口頭で伝える際も、文面の場合と同様の内容を盛り込みますが、頭語と結語は省いても問題ありません。
不採用理由を伝えたほうが良いケース
不採用に至った理由を説明する義務はないとは言え、以下のようなケースでは、不採用理由を伝えたほうが選考後のやりとりを円滑に進められます。
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転職希望者とのトラブルに発展する恐れがある
人材紹介サービスを介している
転職希望者が選考結果に納得しなかった場合、不採用を通知した後に、理由を詳しく聞かれることも十分に考えられます。このとき、トラブルを回避する目的で不採用となった経緯を伝える方法も一つの手です。
ただし、不採用理由を転職希望者に伝えることで選考基準が外部に漏れるリスクも考えられるため、慎重に判断する必要があります。
一方で、人材紹介サービスから紹介された転職希望者を不採用にした際は、その理由をサービス側の担当者に伝えたほうが良いでしょう。
自社が求める人材像を人材紹介会社に伝えているにもかかわらず、紹介された転職希望者の採用に至らなかったということは、認識が食い違っている可能性があります。マッチング精度を高めるためにも、不採用に至った理由は明確に伝え、求める人材像を改めて擦り合わせることが重要です。
不採用通知を行う方法
不採用通知は、以下のいずれかの方法で行うことが一般的です。
【採用稟議書のフォーマット例】
●手紙(書面)
●メール
●電話
本項では、それぞれの利点と注意点を解説します。
手紙(書面)
応募の際に受け取った履歴書や職務経歴書、作品集などを郵送で返す場合は、書面による不採用通知を同封すると、やりとりを減らせます。
郵送の際は、転職希望者が「採用に関する連絡だろう」とすぐに判断できるよう、差出人欄に社名と部署名を記載しましょう。
また、選考結果はプライバシーに関わる重要な書類のため、封筒に「親展」と記載するほか、折り曲げずに送付する配慮も不可欠です。
メール
郵送する返却物がないのであれば、メールで不採用を伝えるとスムーズです。現在はメールでのやりとりは一般的となっているため、書面による不採用通知を郵送せずにメールのみで済ませても問題ありません。
ただし、メールの件名と差出人の書き方には工夫が求められます。まず件名には、「選考結果のご連絡」という文言や自社名を入れ、不採用通知がメールフォルダの中で埋もれないように配慮する必要があります。
また差出人は、誰からのメールなのかがすぐにわかるよう、「中途採用事務局」や「採用グループ」などに設定することがお勧めです。
さらに、メーリングリストを作成する、あるいは同僚や上司をCC(BCC)に入れておくと、企業側が転職希望者からのメールにすぐに気付ける可能性が高まるでしょう。
電話
「選考結果をなるべく早く伝える必要がある」「直接話して確実に伝えたい」などの場合は、電話で不採用を伝える方法も有効です。
しかし、電話で不採用通知を行う際は、「内容をはっきりと伝えにくい」という理由から、遠回しな表現を多用してしまうことがあります。このような状況では企業側の意図が転職希望者に通じなくなるため、話す内容は事前に整理しておきましょう。
また、電話で伝えたことは文面でも改めて送り、書面で残しておくと安心です。万が一「不採用通知の話は聞いていない」と言われたとしても、書面が残っていれば、トラブルを回避できます。
不採用通知を送るタイミング
不採用通知は、可能な限り早く行うことが重要です。転職希望者の多くは選考結果を心待ちにしているため、企業側は迅速な対応を意識する必要があります。
目安として、選考から2~3日以内には、メールで通知しておきたいところです。遅くとも1週間以内には連絡し、時間がそれ以上かかるのであれば、選考が遅れている旨を必ず伝えましょう。
不採用通知のフォーマット【シチュエーション別テンプレート例】
それでは、ここまで説明した内容で、不採用通知の基本フォーマットとして、選考フェーズ別の文例テンプレートをご紹介します。
書類選考の段階で通知する場合の不採用通知例
書類選考の結果を応募者へ通知する際に使える、手紙やメールの例文をご紹介します。
手紙(書面)で通知する場合
メールで通知する場合
件名:【選考結果のご連絡】▲▲▲▲株式会社
○○様
この度は弊社中途採用にご応募いただき誠にありがとうございます。
▲▲▲▲株式会社、採用担当でございます。
さて、○○様の応募書類を基に社内で慎重に検討しました結果、
誠に残念ながら今回はご期待に添えない結果となりました。
せっかくご応募いただいたにもかかわらず、誠に申し訳ございません。
メールでの連絡となり大変失礼とは存じますが、何卒ご了承くださいますようお願いいたします。
末筆になりますが、〇〇様の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
**********
▲▲▲▲株式会社
採用事務局(署名)
東京都△区□□XX-XX-XX
面接や書類選考まで進んだ段階で通知する場合の不採用通知例文
件名:【選考結果のご連絡】▲▲▲▲株式会社
○○様
▲▲▲▲株式会社、採用担当でございます。
この度は、数多くの企業から当社にご応募いただき、誠にありがとうございます。
また、先日はお忙しい中、弊社の面接にご足労いただき、重ねてお礼申し上げます。
○○様との面接を踏まえ、社内で慎重に検討しました結果、
誠に残念ながら今回はご期待に添えない結果となりました。
せっかくご応募いただいたにもかかわらず、誠に申し訳ございません。
なお、履歴書等の応募書類に関しては、
返送いたしませんので、あらかじめご了承ください。
メールでの連絡となり大変失礼とは存じますが、何卒ご了承くださいますようお願いいたします。
末筆になりますが、貴殿の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
**********
▲▲▲▲株式会社
採用事務局(署名)
東京都△区□□XX-XX-XX
緊急を要する場合は電話で伝える
緊急で連絡しなくてはならない場合は、電話でも伝えられます。
しかし、転職希望者がはたらいている時間は避け、可能な限り早く連絡して誠意を示すことが何よりも重要です。切り出し方や伝え方も、先に挙げた文例と同様です。
物腰の柔らかい話し方で、相手に対して「申し訳ない」という気持ちが伝わるように意識しましょう。
電話で不採用通知をする場合(会話例)
○○様でしょうか?今、お電話よろしいでしょうか?▲▲▲▲会社 人事部の△△でございます。
先日は採用試験にお越しいただき、誠にありがとうございました。
選考の結果ですが、誠に残念ではございますが、
今回はご希望に添いかねる結果となりました。
このような結果をお伝えすることになってしまい誠に残念ですが、
ご了承くださいますようお願いいたします。
追って書面でもご連絡差し上げますが、履歴書等の選考書類も返送いたします。
内容ご確認いただきますようお願い申し上げます。
○○様が今後より一層ご活躍されることをお祈りしております。
一度不採用通知を送った人材との連絡の取り方
一度不採用とした転職希望者に、「やはり採用したい」と連絡する際は、選考結果を覆すことへの謝罪を伝える必要があります。不採用通知を取り消すことに対し、マイナスイメージを抱く転職希望者もいるため、より誠実な対応を意識したいところです。
また、補欠採用の可能性がある場合は、その旨を事前に伝えておきましょう。こうすることで、転職希望者は不採用通知の取り消しに対して心構えができるため、企業からの連絡を戸惑わずに受け入れてくれるはずです。
不採用通知を出した人材へメールで連絡する場合の文章例
再び採用したい旨を転職希望者に伝える際は、まずメールを送ると良いでしょう。メールの文面では、転職希望者との信頼回復につながるよう、誠意を見せることがポイントです。
例えば、以下のような文面であれば、転職希望者に興味を再び持ってもらえる可能性があります。
【一度不採用通知を出した転職希望者にコンタクトを再度取る場合の文例】
前回は○○様に対しまして誠に申し訳ないご連絡をいたしましたが、
その後、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
実は、以前応募いただいた職種に欠員が出ました。
○○様が今も就職活動を行われているのでしたら、
再びお話の機会をいただきたいと思い、大変恐縮ながらご連絡いたしました。
一度こちらからお断りの連絡をしたにもかかわらず、
このようなご連絡を差し上げ、誠に申し訳ありません。
しかし、願わくば○○様と一緒に仕事ができないかと望み、
ご連絡させていただきましたことご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。
このように連絡を取る場合、併せて採用通知書も送ることがあります。
採用通知書について詳しく知りたい人事・採用担当者は、無料でダウンロードできるテンプレートと以下の記事を参考にしてください。
採用通知書について詳しく知りたい方は、下記の記事もチェックしてみてください。
(参考:『【テンプレあり】採用通知書とは?書き方や送付方法・法的効力を解説』)
不採用通知を送る際の5つの注意点
不採用を伝える際は、以下の5つの注意点を踏まえて、転職希望者への誠実な対応を心がけることが重要です。
1.宛名や送付先に誤りがないよう気を付ける
2.内容を簡潔にまとめる
3.応募してくれたことへの感謝を必ず述べる
4.不採用通知後も連絡を取る可能性がある場合は、応募書類の取り扱いについて伝える
5.タレントプールの考え方に基づいて誠実に対応する
本項で、詳しい内容を見ていきましょう。
1.宛名や送付先に誤りがないよう気を付ける
転職希望者の名前を間違えることは、失礼に当たります。自社のイメージダウンにつながる可能性もあるため、手紙やメールで不採用通知を送る際は注意が必要です。
また、送付先を誤った場合は、不採用通知を転職希望者に届けられない上に、個人情報が流出してしまうリスクも考えられます。トラブルを招かないためにも、このようなミスを防ぐチェック体制を整備することが大切です。
2.内容を簡潔にまとめる
不採用通知の内容は、冗長な表現を使わず、わかりやすく簡潔にまとめる必要があります。
転職希望者の気持ちに配慮した伝え方を心がけたいところですが、内容を盛り込み過ぎると、かえって「話の要点がわからない」と思わせてしまうかもしれません。前置きは適度に削った上で、不採用に至った旨をはっきりと伝えるようにしましょう。
3.応募してくれたことへの感謝を必ず述べる
転職希望者に不採用を通知する際は簡潔に伝えることが重要ですが、それだけでは冷淡な印象を与えかねません。自社のイメージを損なわないためには、応募に対する感謝を必ず添えることが望ましいでしょう。このような気遣いを意識すれば、転職希望者と良好な関係を築けるはずです。
不採用を通知したからといって転職希望者とのつながりがなくなるとは限らないため、ていねいな対応は欠かさないことが大切です。
4.不採用通知後も連絡を取る可能性がある場合は、応募書類の取り扱いについて伝える
前述の通り、補欠採用の可能性がある場合は、その旨を転職希望者に事前に伝えておくことがポイントです。このとき、提出された履歴書や職務経歴書などを企業側で保管することになるため、その取り扱いについても説明しておきましょう。
履歴書や職務経歴書などの応募書類は、提出された時点で企業の所有物となり、企業が自由に扱えるようになります。このような応募書類は、採用活動が終わり次第、企業側で破棄することが一般的です。
しかし、個人情報が記載されているという理由から、「選考後に破棄されるだろうか」と不安に感じる転職希望者も少なくありません。
そのため、応募書類の取り扱いについては事前に説明し、転職希望者の気持ちに配慮することが求められます。連絡を改めて取るために一定期間保管する際も、採用活動以外には利用しないことを伝えておけば、転職希望者に理解してもらえる可能性が高まります。
5.タレントプールの考え方に基づいて誠実に対応する
「転職希望者とのつながりは選考後も続く」と考え、不採用通知後も誠実に対応し、良好な関係を維持できるように努めることも重要です。このような転職希望者との接点を重視する考え方は「タレントプール」と呼ばれており、求める人材を採用するために有効な手段だといわれています。
タレントプールが注目されるようになった背景には、若年層の労働力の減少によって、人材の採用競争が激化しているという理由があります。今後も人材不足が続くとなると、一度不採用を通知した転職希望者にも積極的にアプローチしなければ、自社の体制を整えることは難しくなるでしょう。
そのため、あと一歩のところで採用を見送った、あるいは入社承諾前辞退に至った転職希望者にコンタクトを再び取ることは、効果的だと考えられます。このような方法を実践するとなった場合、タレントプールの考え方に基づいて転職希望者と信頼関係を維持できていれば、採用活動を有利に進められるはずです。
まとめ
今回は不採用通知の文例を中心に、不採用通知の出し方も含めて解説しました。重要なポイントは、「不採用通知を出したあともその転職希望者との縁はつなげておく」ことを前提とした行動を取ることです。
タレントプール活動の一環として、転職希望者への配慮を忘れることなく、関係を少しでも良好に保つよう心がけましょう。採用活動でのつながりがきっかけとなり、思わぬ場面でその縁が活きる可能性もあります。
不採用通知を書きたい人事・採用担当者は、下記からフォーマットを無料ダウンロードできますので、活用してください。
(制作協力/株式会社eclore、編集/d’s JOURNAL編集部)
不採用通知テンプレート|書類選考・面接時などパターン別まとめ【Word版】
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