「ダイレクト・ソーシングに悩む担当者を1人ぼっちにしない」dodaユーザー会とは

d's JOURNAL
編集部

「ダイレクト・ソーシングが重要だと分かっているけれど、何から始めればいいかわからない…」
「すでにやってはいるものの、スカウト配信時間すら確保できない…」
「そもそも他企業はどうやってるの?気軽に相談できる相手もいなくて孤独…」

今活用企業が増えているダイレクト・ソーシング(ダイレクトリクルーティング)。どう始めたらいいのかという入口部分でつまずいてしまうことはもちろん、導入できたとしてもうまく定着せず、結局今までの採用手法に落ち着いてしまう企業も多いのではないでしょうか。

そこで、ダイレクト・ソーシングサービス『doda ダイレクト(デューダ ダイレクト)』を運営するパーソルキャリア株式会社が、利用企業10社を集めた「ユーザー会」をグランフロント大阪の同社セミナールームにて2月14日(木)に開催しました。

※doda ダイレクト(デューダ リダイレクト)とは
転職サイトdodaが保有する日本最大級のdodaスカウト会員データベース(約153万人 ※2019年1月末時点の累計登録数)に企業が直接アクセスし、転職希望者の登録情報(現職種、スキル、居住地、年収など)を確認した上で、直接スカウトメールが送れるダイレクト・ソーシングサービスです。

【第一部】メール配信からの応募率14%を誇る企業から直接学ぶ、ダイレクト・ソーシングの成功術

メール配信からの応募率14%を誇る企業から直接学ぶ、ダイレクト・ソーシングの成功術

ユーザー会の冒頭では、doda ダイレクトの利用企業であり、直近で高い成果を残している株式会社ピーエスシーの寺尾さんより実践的なノウハウ共有がありました。寺尾さんは、採用難易度が高いITエンジニア採用において49名応募、4名採用という高い成果を残されています。
doda ダイレクトで募集している具体的な職種や、その応募数などの実数値をこの場限定で公開すると、参加企業のみなさんが熱心に画面に見入るシーンも。なかなか知ることができない他社の成功事例は、やはりみなさん気になる様子でした。

寺尾さんから共有された「実践的ノウハウ内容」とは

すべてをご紹介することはできませんが、いくつか代表的な点を箇条書きにてご紹介します。

<ポイント①:効果的な配信対象者の選び方>

●年収乖離100万円以上の方には送らない(マッチング率向上)
●配信対象者検索は、自分1人だけでやらずに現場や管理職の方へ依頼する(工数削減)
●未経験者に配信する際、その方の経験から少しでも自社で活かせるポイントを見つけてマッチングする

(例)仕事の進め方、基礎的な知識など

<ポイント②:魅力的な求人票を作成する際のポイント>

●一度作成したものをベースにカスタマイズしていく(工数削減)
●会社のことをイメージしやすくするような情報提供を心がける

∟社風が伝わる具体的なエピソード
∟数値で語る(具体的な平均残業時間、有給消化率、育休復帰率など)
∟その他外部からの認定や表彰履歴 など

<ポイント③:応募率を高めるスカウト文面>

●件名にはできるだけ具体的な数値を盛り込む
(例)未経験ITエンジニア<手に職&ワークライフバランス>研修1ヶ月・残業8時間44分&有休消化率63.3%(昨年実績)振替可のプレミアムフライデー有

●本文は箇条書きで読みやすくする(一文を長くダラダラ書かない)
●送る相手に合わせて表示する写真設定を変える(女性向けなら女性の写真にするなど)
●スカウトした理由は個別でアレンジする

∟なぜこのスカウトを送ったのか(マッチしていると感じたポイント)
∟魅力的な経験やスキルは率直に褒める
∟自社採用において重視している点をはっきり伝える など

応募率を高めるスカウト文面

<ポイント④:離脱を防ぐ選考方法>

●応募獲得後は、必ず1営業日以内に日時を連絡する
●面接はあくまで会話ベースで、リラックスした雰囲気を演出する
●選考と選考の期間がなるべく空かないように日程調整する

「配信日を決める」「現場を巻き込む」など、質疑応答でさらに具体的なノウハウも

時間に限りがあったため3名のみの質問受付となりましたが、質問タイム開始と共にすぐに手が上がるほどの白熱ぶりでした。

Q1.実績を見て応募率がとても高いと感じました。1人ひとりにスカウト文面をアレンジするのは時間がかかると思いますが、どうやってその時間を確保していますか?

A1.毎週金曜日の午前中は「スカウトを送る日」と決めています。経験者向けはかなり個別化が必要なので、10件程度しか送れないこともありますが、未経験向けなら40件くらいは送れます。送らないことには応募が獲得できないので、まずは時間を確保して量を送ることが重要ですし、送れば一定反響はある。質の追求はそれからでも大丈夫です。

Q2.メーカーでエンジニア採用をしていますが、配信対象者の選定には現場チェックがマストになっています。するとどうしてもスピードが遅くなり、通数を多く送れません。寺尾さんはなぜそこまで多くのスカウト配信ができるのですか?

A2.採用担当の判断だけで配信対象者を選定しているからです。そこから応募があった方を現場へ展開したときに「全然マッチしていない」と言われることもありますが、その場合はまず人事側で一次面接をするようにしています。そうしないとスピード感が保てないですし、面接してからその方の新たな可能性に気づくこともあります。ある部門では書類NGでも、他の部門でマッチングするケースもあります。

Q3.スカウト配信者を選ぶ時、転職者のレジュメが充実していればいいですが、そうでない時も多々あります。その場合はどうしていますか?

A3.悩む場合はまずスカウトしてしまった方が良いです。もちろん、面接してみたら「やっぱり違った」ということもあります。でもトライ&エラーを繰り返すことで、どういう方であればマッチング率が高いかを学習し、次に活かすことができます。「レジュメが薄いのでスカウトを送らない」という判断をしがちですが、だからこそ送ってしまった方が可能性は広がると思います。

「配信日を決める」「現場を巻き込む」など、質疑応答でさらに具体的なノウハウも

※寺尾さんのセミナー以外にも、doda ダイレクトの運営責任者である森本からは新機能の紹介、専任トレーナーの大道からは転職者の志向性や求人情報の見せ方・伝え方についてアドバイスがありました。

【第二部】お互いに励まし合う。横のつながりが作れる「企業懇親会」

【第二部】お互いに励まし合う。横のつながりが作れる「企業懇親会」

セミナー後は軽食やドリンクが用意され、参加企業10社の懇親会が開催されました。はじめは互いに遠慮しがちな様子も見られましたが、名刺交換をするところからスタート、話は徐々に具体的な内容へとシフトしていきました。

懇親会

第一部で質問しきれなかった内容を、寺尾さんへぶつける担当者の方も。自社の状況を伝えた上で、寺尾さんからもらう具体的なアドバイスの数々に、「いますぐ会社に帰って求人票やスカウトを書き直したい!」とおっしゃる方もいるほどでした。

参加企業へユーザー会の感想をお聞きしました

IT企業(システムインテグレーター)/吉江さん

参加企業1

Q.日ごろ悩んでいることは?

A.スカウト配信者をどう選定するかですね。というのも、当社では大阪拠点を新設するためITエンジニアの経験者採用が急務となっています。人材紹介や求人広告で採用が難しいポジションなので、新たな可能性を求めてdoda ダイレクトの利用を決めました。

ピンポイント採用ということもあり、なかなかマッチする方を探しきれていなかったので、今日寺尾さんから教えていただいた「レジュメ内容が薄くてもスカウトを送ってしまう」という点は特に学びがありました。強いて要望を上げるとすれば、経験者の登録をもっと増やしてもらいたいですね (笑)。

モノづくり企業(技術系アウトソーシング)/市原さん

参加企業2

Q.日ごろ悩んでいることは?

A.どうしてもレジュメを見る目線が高くなってしまうことです。ダイレクト・ソーシングを開始して1年が経ち、採用実績も出たので継続利用を決定しましたが、優秀なエンジニアの登録が多くあるため、ついつい目が肥えてしまって我々の目線が高くなりすぎてしまうんです。

優秀な方のご入社は当社にとってもちろんプラスなのですが、必ずしもそういう方が当社を選んでくれるとは限りません。「欲しい人材」と「採用できる人材」のバランスをどうとるかはとても重要だと考えています。そういう意味でも、今日寺尾さんから話があった「年収乖離が100万円以上ある人はスカウトしない」というルールも非常に参考になりました。

西垣さん/物流関連メーカー

Q.西垣さんは元人材業界出身とお聞きしました。そんな方でも悩みがありますか?

A.「どの職種の人にどんな情報が刺さるか」といったものがキーワードなどでわかると嬉しいですね。そういったノウハウはどうしても属人的になってしまいますし、いろんな募集職種があるので、1人で全部をカバーしきるのは難しいと思います。

あと、ダイレクト・ソーシングを会社として推し進めるにあたり、私1人だけがうまくやれてもダメ。組織としては誰がやっても同じように応募獲得できるようにする必要があります。ノウハウをちゃんと蓄積して、それを次の展開に活かせるような仕組みがあれば最高です。そういった意味では今日のようなユーザー会でノウハウ共有してもらえたり、他社の採用担当者と横のつながりを持ったりできることはとても有意義だと感じました。

ダイレクト・ソーシング活用における悩みは、活用歴によって異なる

企業インタビューやセミナー後アンケート結果(下記参照)にも表れておりましたが、今回のユーザー会は「他社運用事例」や「他社人事との交流機会」を求めて参加された企業が多かったようです。実際、「求人票やスカウトメール文面の作成方法」など具体的なノウハウが知ることができたという声が多い結果となりました。

ユーザー会へ参加した理由

ユーザー会へ参加した理由

今後活かせそうだと思った内容

今後活かせそうだと思った内容

またそれ以外にも、ダイレクト・ソーシングの活用歴によっても悩みが異なる点があるようです。

①はじめたての「初級者」…そもそもスカウト配信する時間を確保できない(量的課題)
②成果を出し始めた「中級者」…スカウト返信率・応募率が低い(質的課題)
③DRを使いこなし継続的に成果を出す「上級者」…DR活用のノウハウが属人的(組織的問題)

今回のセミナーは、初級者・中級者の方にとってはすぐにでも活用できるノウハウを知れる良い機会ですし、上級者にとっては同じ課題に向き合っている同士を見つける場として活用できるのではと感じました。

【取材後記】

ダイレクト・ソーシングはどうしても属人的になりがちであり、採用担当者が課題を抱え込みがちです。だからこそこういった機会を活用し、1人で悩まずみんなで解決していくことができれば、国内のダイレクト・ソーシングマーケットをもっと進化させていくことができるでしょう。
今後も定期的に開催を予定しているとのこと。ぜひ次回は御社も参加を検討されてはいかがでしょうか。

(取材・文/長谷川 博紀、撮影/播本 未来、編集/齋藤 裕美子)