【シート付】1on1で話す内容は?会話例や1on1を成功させるポイントを解説

2019.07.23
d's JOURNAL
編集部
1on1とは?
1on1で得られる5つの効果
1on1で話すこと。ミーティングテーマの具体例を紹介
1on1の進め方(やり方・手順)
「話すことがない」と部下から思われるのはなぜ?1on1の失敗・デメリット
会社・上司側が理解しておきたい、1on1を意義あるものにするための4つのポイント
【会話例付き】部下側の本音を引き出し、1on1を成功させる4つの質問
【無料ダウンロード】1on1シートの活用
1on1が学べる書籍
1on1の成功事例。導入企業と取り組み内容
まとめ

上司と部下が1対1の面談の時間を設けて定期的に話すことを、1on1と言います。

社員の成長促進や離職率低下といったさまざまな効果が期待される1on1ですが、事前準備がないと「何を話したらよいのかわからない」「会話が続かない」といった課題が生じるケースも多いので注意が必要です。

この記事では、1on1で話すことのテーマや会話の例、成功させるためのポイントなどをご紹介していきます。より効果を発揮するための「1on1シート」もダウンロードできますので、ご活用ください。

1on1とは?

「1on1(ワンオンワン)」とは、上司と部下が定期的に行う1対1の面談のことです。まずは、1on1の目的や評価面談との違い、日本で広まった背景について確認していきましょう。
 

1on1の目的

1on1の目的は、「部下の成長促進」や「上司のマネジメント能力の向上」です。

上司が部下の話を聞いて適切なフィードバックをすることで、モチベーションやエンゲージメントの向上、課題解決などのさまざまな効果が期待でき、組織力のアップにつながります。

評価面談との違い

評価面談は、1on1と同様に「上司と部下が1対1で話す機会」として知られています。しかし、1on1と評価面談では実施目的と対話の方法、頻度が異なります。評価面談では部下の人事評価を決定・通知することを目的としている一方、1on1では部下の能力を高めたり引き出したりすることを目的としています。目的が違うため、対話の方法も評価面談は「上司から部下へ」話すことが多いのに対し、1on1は「上司と部下が対等に」話すことが多いという違いがあります。

また、評価面談は主に期末など人事評価のタイミングでのみ行うのに対し、1on1は「週に1回」「隔週に1回」など短いサイクル(長くても月1回)で行うという点も異なります。

1on1が日本で広まった背景

1on1はもともと、アメリカのシリコンバレーで企業文化として根付いていたものです。日本では、2012年にヤフー株式会社が導入したことをきっかけに注目を集めるようになってきました。

ヤフー株式会社は1on1を導入した際、「社員一人一人の才能や情熱を解き放とう」という目標を掲げました。この目標は、1on1が日本で広まった以下の背景と深く関係しています。

背景①:不確実性の高い「VUCA」の時代への対応

現代はあらゆるものを取り巻く環境が変化し、将来の予測が困難な状態が続く「VUCAの時代」と呼ばれています。この「変動性」「不確実性」「複雑性」「あいまい性」が増している時代の中で企業が成長するためには、「人材マネジメントの刷新」や「ステークホルダーへの積極的な発信と対話」が必要です。

マネジメントの在り方を見直し、対話を効果的に進めるためには、上司と部下の信頼関係や相互理解が不可欠なため、対等かつ頻度の高い1on1が重要視されるようになりました。

(参考:『【3分でわかる】VUCAの時代で何が変わる?取り残されないための4つのスキルとは』)

背景②:社内の人材を流出させないために

近年、少子高齢化による労働人口の減少や、終身雇用の崩壊による転職活動の活発化が進んでいます。そうした状況の中、「専門性の高い優秀な人材に、いかに長く自社で働き続けてもらうか」は多くの企業にとっての共通課題と言えるでしょう。

そのため、女性の活躍といったダイバーシティーを推進・受容する動きや、テレワークといった働き方の多様化などが、働き方改革の一環として進められています。

多様な働き方や価値観に対応するため、上司は部下の状況を把握し、一人一人が自律的に行動できるようサポートする必要があります。そのための手段の一つとして、1on1が日本でも広がり始めたと言えます。

1on1で得られる5つの効果

1on1を行うことで、さまざまな効果が期待できます。

1on1で得られる5つの効果

効果①:部下自身の成長が促される ~経験学習のサイクル~

1on1では、部下が上司に定期的に状況報告を行います。その過程で、自分の目標を立てて行動に移し、結果を振り返った上で次の目標と行動を決定する「経験学習」のサイクルが機能するため、部下自身の成長が促されるでしょう。

メンバーが成長することで、イノベーションの創出やチームパフォーマンスの向上も期待できます。

効果②:信頼関係構築につながる ~コミュニケーション・人間関係の改善~

1on1を導入することにより、上司と部下のコミュニケーション機会が増加します。部下が現状報告を行い、上司がフィードバックを行うことで、「多忙なあまり上司・部下間で話をする機会が少ない」「世代間のギャップがあり、うまくコミュニケーションが取れない」といった課題を解消でき、信頼関係構築につながるでしょう。

また、上司と部下が定期的に対話できるようになるため、「すぐに相談できるので業務上のトラブルが減る」「意見の食い違いが減り一致団結できる」など、人間関係改善の効果も期待できます。

効果③:業務の状態や量など現場・部下・メンバーの状況把握 ~企業全体の問題解決~

1on1を定期的に行うことで、上司は業務の進捗状況や業務量などを把握しやすくなります。個々のメンバーが抱える課題はチームや企業全体の問題にも関わるため、個々の状況を理解することで、企業全体の問題解決の糸口が見つかるかもしれません。

また、現場や部下の課題を認識し、共に解決策を考えることは上司にとっての経験学習になるため、上司自身の成長にもつながるでしょう。

効果④:キャリア開発を支援できる ~中長期的なキャリアや適切な人材配置~

1on1は、メンバーが中長期的なスパンで自身のキャリアを考えるきっかけにもなります。1on1を行うことで、部下の強みが明確になり、「どういったキャリアが適しているか」「どういった役職・職種での活躍が期待できるか」のヒントを伝えることができます。

それにより、部下の中長期的なキャリア開発を支援することができるだけでなく、適切な人材配置にもつながります。
(参照:『キャリア開発が企業にとって必要な3つの理由と、その手法・取り組み事例について』)

効果⑤:定着率の改善につながる ~モチベーションや愛社精神の向上~

以上の4つの効果により、部下は「この上司と一緒に仕事を続けたい」「この会社で自分のキャリアを築きたい」と考えるようになるでしょう。

1on1には、一人一人の仕事へのモチベーションや企業への愛社精神を向上させる効果が期待できます。また、それらが向上することは定着率の改善にもつながるでしょう。

1on1で話すこと。ミーティングテーマの具体例を紹介

1on1の際に「話すことが見つからない」「どのようなことを聞いたらよいのかわからない」と悩む上司もいるかもしれません。ここでは、1on1で話すテーマの例を7つご紹介します。

テーマ例①:心身の健康状態

心身の健康状態は、1on1を実施する度に確認したいテーマです。人間関係の悩みを抱えていたり、ライフワークバランスが崩れていたりするケースも想定されるため、「最近よく眠れているか」「体調に変化はないか」などを確認し、健康診断ではわからないメンタル面や顔色のチェックをしましょう。

また、健康状態と併せて、「勤務時間が不規則になっていないか」「仕事を持ち帰っていないか」をヒアリングすると、業務量が適切かどうかの判断材料にもなります。

テーマ例②:仕事へのモチベーション

仕事へのモチベーションをサポートする方法は2つあります。1つは、部下がマイナスに捉えている事案について耳を傾け、共に解決策を考えることでモチベーションを下げる要因を取り除く方法です。

1on1で「今の仕事に対して思うことはあるか」「不安に感じていることは何か」を確認し、アウトプットの機会を設けましょう。もう1つは、業務に取り組む姿勢や社内での評判を承認・称賛することで、やる気を高める方法です。

上司が見てくれていると実感できると、部下との間に信頼関係が生まれやすくなります。

テーマ例③:業務の現状把握・問題点の改善

1on1は、日常の業務では見落としがちな現状を把握する絶好の機会です。業務の課題には「個人の課題」と「チームの課題」とがあるため、対話によって引き出した内容を整理しながら、対策を考えていく必要があります。

「業務を円滑に進めるために考えられることは何か」「チームワークを今以上に発揮するために必要だと思うことはあるか」などを確認し、部下の意見を引き出すとよいでしょう。

業務の問題点を把握し改善することは、部下のモチベーションやエンゲージメントの向上につながります。

テーマ例④:今後に向けた目標設定

定期的に面談をする1on1は、企業やチームの方向性を共有したり、個々の目標を設定したりする場としても役立ちます。まずは「現在の業務について考えていること」や「今後携わりたい業務」など、部下の率直な意見を確認しましょう。

その内容と全体の方向性を擦り合わせた上で目標を設定することにより、部下自身の目標への納得度がより高まることが期待できます。

テーマ例⑤:能力開発・キャリアプランの支援

部下の能力開発やキャリアプランの支援も1on1で行えることの一つです。対話を通して「現在の業務のやりがい」「チャレンジしたい業務」「希望するキャリア」などを引き出すことは、部下自身が将来について考えるきっかけになります。

キャリアビジョンが明確でない場合には、「長所や短所」「現在力を入れていること」をヒアリングし、個性を活かした目標を提案するのもよいでしょう。

テーマ例⑥:戦略・方針の伝達

1on1では、企業戦略やチームの方針を伝達することもあります。上司は部下に上層部の会議で決定した事項を報告するとともに、そのような結論に至った背景や経緯を連絡し、今後のアクションについて相談するとよいでしょう。

始めは上司から一方的に話すことが多くなってしまうため、部下からは「疑問に思っていること」や「どのように貢献できそうか」などを確認し、戦略理解の促進を図ることが大切です。

テーマ例⑦:プライベートな話題・雑談

部下の緊張をほぐしたり場を和ませたりするために、始めはプライベートな話題や雑談を取り入れるのもよいでしょう。例として、「休日の過ごし方」「好きなテレビ番組」「最近気になったニュース」などの質問をすると、興味や関心、価値観を知ることができます。

ただし、信頼関係を築けていない段階では、プライベートに踏み込み過ぎる質問は避けた方がよいでしょう。

1on1の進め方(やり方・手順)

1on1はどのように行えばいいのか、順を追って紹介します。

1on1の進め方(やり方・手順)

進め方①:目的を伝える

1on1を実施するということだけを伝えると、「どういった話をどこまで話せばいいのか?」「1on1の場での発言が、人事評価に影響しないか?」などと不安に感じる部下もいるでしょう。

1on1で部下の本音を引き出すためには、どういった目的で1on1を実施するのかを事前に伝えることが大切です。「部下の悩み・課題に寄り添い、成長につなげるための時間」であり、人事評価には直接影響しないことを伝えましょう。

進め方②:日程を決める

1on1の日程を決める際は、頻度と開催曜日・時間帯が重要です。あまり間隔が空いてしまうと、「リアルタイムでの報告・フィードバックができない」「前回の1on1の内容を忘れてしまう」といった可能性があります。

できれば週1回、最低でも月1回を目安に実施しましょう。

曜日については、休日の前後だと「1on1の内容を覚えていない」「1on1で決まったことをすぐに実行に移せない」こともあるため、水曜日・木曜日がベストです。また時間帯については、朝礼後は業務に集中したい人が多いため、午後の実施が良いと言えます。そのため、1on1は週1回~月1回の頻度で、水曜日または木曜日の午後に開催するのが望ましいです。

なお、1on1は上司・メンバーの双方にとって大切な時間であるため、一度決めた日程での開催が難しくなった場合は、キャンセルではなく必ず別日程で開催するようにしましょう。

進め方③:当日に話すことを決める

1on1当日に話すことは、事前にある程度決めておきましょう。話すテーマを部下にも伝えておくと、当日の対話がより有意義なものになります。1on1で話すことは、部下に合ったものを上司が決めるのが一般的です。

しかし、1on1は部下のための時間であるので、もし部下が別のことについて話したいようであれば、そちらを優先しましょう。

進め方④:当日の進め方を考える

スムーズな進行のために、「当日はどのように1on1を進めるのか」を事前に考えておく必要があります。当日のテーマを冒頭で再確認し、部下の話を聞いた後でフィードバックを行い、必要なサポートを確認して1on1を終えるのが一般的な流れです。あらかじめ、部下への質問内容も考えておくとよいでしょう。

進め方⑤:1on1の実施

当日は部下の緊張を解くために、始めは雑談を交えるなど、話しやすい雰囲気づくりをすることが大切です。また、貴重な時間を割いて実施するので、1on1の最中には「部下がどういったことを話したのか」「それに対してどういったアドバイスをしたのか」などをメモに残しましょう。今後の日程やアクションについてある程度方向性を決めておくと、次回の1on1も有意義なものにすることができます。

進め方⑥:次回に向けた準備

1on1を終えた後は、振り返りのために当日作成したメモの内容を双方で共有します。もし異動希望や退職の意向などを1on1の場で部下が伝えてきたら、人事担当者など関係者にも内容を知らせる必要があります。また、次回の1on1の日程やテーマを部下に忘れずに告知しましょう。

「話すことがない」と部下から思われるのはなぜ?1on1の失敗・デメリット

さまざまなメリットがある1on1ですが、部下から「話すことがない」「意味がない」と思われてしまっては成功とは言い難いでしょう。

ここでは、1on1が失敗に終わった場合にどのようなデメリットがあるのかをご紹介します。部下が1on1で満足している点や不満を感じている点を調査したダウンロード資料もご一読ください。

失敗とデメリット①:目的意識の共有や事前準備が不十分で、お互いに有意義な時間にならない

目的意識の共有ができていないと、「業務の進捗を確認するだけ」「愚痴を言うだけ」の時間となる可能性があり、十分な成果が得られません。

また、事前に話すことを決めていなかったり、流れを考えておかなかったりすると、「雑談だけで終わってしまう」「話が続かない」ということも想定されるでしょう。1on1を有意義な時間にするためには、上司と部下がお互いに目的を理解し、事前準備を念入りに行うことが重要です。

失敗とデメリット②:上司の話し方に問題があり、部下の育成につながらない

「せっかくの機会だから、いろいろなことを伝えたい」と考える上司も多いでしょう。しかし、良かれと思って話をしても、話し方や話の内容によっては「部下の育成」という1on1の目的を達成することができない可能性があります。

失敗例として、「自分の話ばかりしてしまう」「部下に指示ばかり出してしまう」などが挙げられます。「あの時、こうやったら成功した」「今度こうしてみたらどうか」という話は部下にとってためになるものです。しかし、指示ばかりしてしまうと部下は自分で物事を考えようとしなくなり、成長が遅れる可能性があります。あくまでも1on1はメンバーが主体的に話す場として捉えましょう。

失敗とデメリット③:上司の聞き方に問題があり、部下との関係性が悪くなる

上司の聞き方や姿勢に問題があると、うまく対話が成り立たず、関係性が悪化する可能性があります。例として、「部下の話を最後まで聞かない」「話の途中で別の質問をする」「堅苦しい表情で話を聞く」といったことが挙げられます。

このような姿勢で1on1を行うと、対話が進まず、部下からも「話すことがない」と思われてしまうでしょう。信頼関係を築くためにも、部下が本音を言いやすくなるような聞き方を心がけることが大切です。

会社・上司側が理解しておきたい、1on1を意義あるものにするための4つのポイント

1on1を有意義なものにさせるには、コツがあります。ここでは、会社・上司側が理解しておきたい1on1のポイントを4つご紹介します。

ポイント①:現場任せにせず、会社全体で1on1に取り組む

いざ1on1を行おうと思っても、「具体的にどのように進めたらいいのかわからない」と感じる上司も多いでしょう。そのため、1on1を成功させるためには全てを現場任せにせず、会社全体で1on1に取り組むことが重要です。

例として、「経営陣にも1on1に参加してもらう」「1on1を担当するマネージャー向けに研修を実施する」「1on1の進め方などを相談できるコーチ役の社員を配置する」といったことが挙げられます。このような取り組みは、実際に1on1を行う上司の心理的負担を軽減することにもつながるでしょう。

ポイント②:事前に部下のことを知っておく

部下の性格や思考、悩みなどは一人一人異なります。1on1を成功に導くためにも事前にある程度部下のことを理解しておきましょう。日ごろから部下の様子を確認し、「どのような性格・思考の人物なのか」「今、どういったことで悩んでいそうか」などを把握しておきます。

そうすることで、「当日、どういった話を聞き出したらいいのか」を事前に考えることができ、「雑談だけで終わる」といった失敗を防ぐことができるでしょう。

ポイント③:傾聴・コーチングを意識し、心理的安全性を確保する

1on1を成功させるためには、部下に本音で自分の悩みや考えを語ってもらった上で、フィードバックにより今後に向けたヒントを自分自身で見つけてもらうことが大切です。そのため上司は「相手の話に熱心に耳を傾ける」傾聴と、「対話により気付きを与え、目標達成のための自発的な行動を促す」コーチングを意識する必要があります。

「まず部下の話を親身に聞く」「相手の目を見て話を聞く」「相づちを打つ」「話す割合は部下が8割、上司が2割にする」といったことを意識しましょう。それらを意識することで、部下が不安を感じずに行動を起こせる状態である「心理的安全性」の確保につながります。

(参考:『心理的安全性の作り方・測り方。Google流、生産性を高める方法を取り入れるには』)

ポイント④:頻繁に実施し、記録を残す

人材育成を目的とした1on1では、「課題だった●●ができるようになった」「●●に取り組んだことで、▲▲ができるようになった」といったことに気付いてもらうことも大切です。そのため、頻繁に1on1を実施し、「何がどう変化したか」「どういった成長が見られたか」を逐一記録しましょう。

1on1を定期的に行い、その記録を残すことは、ランク付けしない評価制度である「ノーレイティング」を行う際のベースにもなります。成長の実感は、仕事へのモチベーションの向上やさらなる成長の促進、企業の生産性向上につながるでしょう。

(参考:『ノーレイティングとは「ランク付けしない」新たな評価制度。事例や導入方法を解説』)

【会話例付き】部下側の本音を引き出し、1on1を成功させる4つの質問

1on1では、部下側の本音を引き出すことが重要です。「Yes」「No」で答えるしかない質問ではなく、自由に答えられる「オープンクエスチョン」をするとよいでしょう。

ここでは、1on1を成功させる4つの質問について解説します。具体的な会話例もご紹介しますので、参考にしてください。

質問①:「最近あったうれしかったことは?」

部下の人となりをある程度知っていた方が話は弾み、本音を引き出しやすくなります。価値観や性格を知るため、まずは「最近あったうれしかったことは?」といった、本人がどういったことに喜びを感じるのかがわかる質問をしましょう。

「何を重視しているか」を知るために話を掘り下げ、相手を知ろうとすることが大切です。しかし、プライベートに関わる可能性がある質問をする場合は、相手との「信頼関係」が築けているかが重要なポイントです。信頼関係が築けていない段階でこうした質問をすると、「少し警戒・萎縮してしまう」など逆効果になる可能性があるので注意しましょう。

会話例

上司
上司

<最近のうれしかった出来事についての質問>
最近、どんなことがうれしかった?仕事のことでも、それ以外でも差し支えない範囲で教えてくれる?

部下
部下

家族で、最近オープンした●●に出かけました!

上司
上司

<詳細を確認する質問>
へー、●●に行ったんだね!どうだった?

部下
部下

子どもが「▲▲ができてよかった!」と大喜びで。子どもが楽しんでいる姿を見ることができました。

上司
上司

<価値観を探る質問>
それはよかった。他にはどんなときが楽しい?

部下
部下

家族でご飯を食べたり、のんびりしたりしている時間です。

質問②:「最近、何か困っていることはない?」

通常の「報・連・相」では、「業務に直結する緊急の事柄について話をする」ということも多いでしょう。しかし、部下は「緊急性は低いけれど、実は重要な課題」を抱えていることもあります。1on1では、そうした部下の抱える悩み・課題を聞き出す質問をすることが大切です。

会話例

上司
上司

<課題を聞き出すための質問>
最近、何か困っていることはない?

部下
部下

新入社員Aさんへの業務の教え方が正しいのかわからず、悩んでいます…。

上司
上司

<詳細を確認する質問>
どの辺に不安を感じているの?

部下
部下

人に何かを教えるのは、私にとって初めての経験です。自問自答しながらAさんに教えていますが、今の教え方でAさんがちゃんと理解できるのか、自信がないんです。

質問③:「どうして成功/失敗したと思う?成功/失敗から何を得たの?」

業務を進めていくと、誰でも何かに成功したり、逆に失敗してしまったりということがあるでしょう。成功/失敗の事実だけでなく、成功/失敗の理由やそこから何を得たのかに気付いてもらうことで、部下の成長につなげることができます。

会話例

上司
上司

<成功体験についての質問>
最近、「うまくいったな」と思ったのはどんなこと?

部下
部下

3社が競合した●●のコンペで、我が社を選んでいただけました!

上司
上司

<成功の理由についての質問>
頑張ったね!どうしてうちの会社を選んでくれたんだと思う?

部下
部下

B社が現在抱えている▲▲の課題を理解した上で、コンペに臨めたからだと思います。

上司
上司

<成功から得たものについての質問>
なるほど。今回、コンペに勝ったことで、今後の業務につながるヒントは見つかった?

部下
部下

クライアントが抱える潜在的な課題を顕在化することが大切だと気付きました。

質問④:「どんなことにやりがいを感じる?」

部下が「どういったキャリアを目指しているのか」がわからなければ、キャリア形成をサポートするのは困難です。そのため、1on1では一人一人が将来どのように活躍したいのかを明確にする必要があります。まず「どんなことにやりがいを感じているのか」を聞き、そこから徐々に話を掘り下げましょう。

会話例

上司
上司

<仕事のやりがいについての質問>
仕事では、どんなことにやりがいを感じている?

部下
部下

自分の考えた企画が成功したときに、やりがいを感じます!

上司
上司

<大切にしていることについての質問>
なるほど。新しい企画に携わるときは、どんなことを大切にしている?

部下
部下

そうですね。クライアントの希望をいかに引き出し、それに合った企画を考えることでしょうか。

上司
上司

<今後のキャリアについての質問>
さすがだね。そういう経験を、今後どういう業務に活かしていきたいかな?

部下
部下

要望を引き出すのが得意なので、個人のお客さまに関わる仕事にも挑戦してみたいです。

【無料ダウンロード】1on1シートの活用

確認事項や話した内容などを記録する「1on1シート」を用意しておくと、より1on1が実施しやすくなります。1on1シートに記入した方がよい項目を簡単に紹介します。

項目①:1on1の記録

本人の中長期目標をベースに、毎回の1on1のテーマや実際に話した内容などを記録します。次回に向けたToDoが見つかった場合は併せて記入し、進捗状況も管理しましょう。

項目②:キャリア形成

これまで社内でどのような業務を担当してきたか、1on1を通じてわかった部下の「特性」や「キャリアビジョン」を記録します。1on1記録を付けた後に、キャリアに関する情報だけを整理し直すことで、本人のキャリア形成につなげることができます。

※このほかにも、部下の基本情報や日ごろの様子をメモしていくのも有効です。フィードバックが必要な内容は、次回の1on1の際に伝えるようにしましょう。

1on1が学べる書籍

1on1をより詳しく学びたいときにお勧めの本を3冊紹介します。

ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法 【著】本間 浩輔
ヤフー株式会社がいかに1on1を導入し、企業文化として定着させたのかを解説しています。1on1の意義や効果、導入ガイドなどがわかりやすく説明されています。1on1の導入を検討している企業にお勧めの1冊です。

1on1マネジメント【著】松丘 啓司
「ピープルマネジメント」の観点から1on1を解説しています。どのようなことを意識しながら1on1を行うと良いのかが、各章で詳しく説明されています。「1on1ですぐに活用できるチェックリスト」付きのため、これから1on1をやってみたいという方にお勧めの1冊です。

シリコンバレー式 最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング【著】世古 詞一
1on1の改善経験を持つ著者が、その経験から得た1on1のノウハウを解説しています。具体的な方法が数多く紹介されているため、すぐに実践に移すことができます。1on1の導入や改善を考えている方にお勧めの1冊です。

1on1の成功事例。導入企業と取り組み内容

1on1の導入に成功している企業は、どのような工夫をしているのでしょうか。企業の成功事例を3つご紹介します。

事例①:ヤフー株式会社 ~「才能や情熱を解き放とう」を目標に~

インターネット関係の事業を幅広く手掛けるヤフー株式会社では、「社員一人一人の才能や情熱を解き放とう」という目標の下、2012年に1on1を導入しました。部下の抱える課題を明確にし、目標達成に向けてその課題をどう乗り越えていくのかの気付きを与える時間として、1on1が活用されています。現在では、「自らつくる自律的なキャリア形成」の一環として、1on1が定着しているようです。

(参照『ヤフーにおける人事戦略とは。人財開発企業に向けた取り組み【セミナーレポート】

事例②:HENNGE株式会社 ~外国籍の社員も1on1を積極的に実施~

HENNGE株式会社(旧:株式会社HDE)は、積極的に海外人材を受け入れている企業の一つ。彼ら彼女らに長く定着してもらうために、海外ではなじみのない労務制度などを始じめフォローアップを目的に、1on1を実施しています。不安や悩みを可視化することで他社員にも適用することができ、良い循環となっているようです。

(参照:『世界中から3000応募!日本の中小企業が見出したエンジニア採用の「ブルーオーシャン」』)

事例③:パーソルキャリア株式会社 ~キャリア形成と多様な働き方をサポート~

パーソルキャリア株式会社では、定期的に上司と部下が面談を行っています。1on1で話した内容を基に、さまざまなキャリアに挑戦したり、多様な働き方を見つけたりできる仕組みがあります。そのため、社員一人一人がやりがいを感じながら仕事に取り組んでいます。

(参照:『「受け身型 IT部門」からの脱却。エンゲージメントが高い自律型組織のつくり方』

まとめ

1on1で定期的に話すことにより、「部下の成長促進」や「信頼関係構築」などのさまざまな効果が期待できます。一方で事前準備が不十分であったり、聞き方に問題があったりすると効果が得にくくなるため、上司はテーマや流れを想定しておくことが大切です。

今回ご紹介したテーマ例や質問例を参考にしながら、社員の本音や能力を引き出せる環境づくりを心がけてはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、編集/d’s JOURNAL編集部)

中途採用の課題をマンガで解説します!