年間3000人が視察!NASAも認める快進撃の秘訣は「社員提案の働き方改革」

HILLTOP株式会社

専務取締役 山本 昌治

3人兄弟の末っ子として育ち、1980年に前身の山本精工に工場長として就任。その後、専務取締役に。家族一丸となり下請け鉄工所の地位からの脱却を目指す中、24時間無人加工の夢の工場「HILLTOP System」を構築。社員エンゲージメントの向上に府を上げて取り組む京都府の「京都モデル」ワーク・ライフ・バランス 推進企業認証制度(WLB)にも認定。これまでの経緯を紹介した兄・現副社長の著書『ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所』も話題となっている。

工場の自動化で鉄工所の働き方に変革を。社員が輝ける知的作業へシフト
社員との会話で生まれた「ファミリープロジェクト」を通じ、子育てしやすい会社へ
業界平均を上回る利益率を実現。これからも、社員教育と働きやすさを徹底していく
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ウォルト・ディズニー・カンパニー、NASAなどから認められた、ものづくりメーカー。
HILLTOP株式会社をご存じでしょうか?

製造業にしては異例の数値である、『高い利益率を維持するIT鉄工所(業界水準は3~8%)』とテレビに紹介されて以来、年間3000人超が、本社見学に訪れていると言います。

著しい成長を遂げる理由の1つにあげられるのが、「社員提案の働き方改革」。全社員の40%を女性が占める同社では、「短時間勤務」「テレワーク」「子連れ出勤OK」などさまざまな制度が社員による提案を基に、制度化されています。現在も5名ほどが産休に入っており、2~3度の出産・子育てを経て復職した女性社員も在籍しているなど、制度活用も積極的。京都府が推進する「子育て環境日本一に向けた職場づくり行動宣言」も策定するなど、働きやすい職場づくりに現在進行形で取り組む京都府一押し企業です。

多くの企業が目指す多様な働き方を、実現できる理由とは―?
専務取締役である山本 昌治氏に尋ねると、「社員と一緒にイチから作り上げました。あくまで、社員と会社がwin-winの関係になれることを前提に、会話を重ねた結果です」とコメント。数々の逆境を乗り越えた山本専務が、現在に至るまでの経緯と働き方改革の本質について教えてくれました。

工場の自動化で鉄工所の働き方に変革を。社員が輝ける知的作業へシフト

御社は「男性社員の育児休暇取得率100%」の宣言をはじめ、家族を大事にする取り組みをさまざまに実施されていますね。

工場の自動化で鉄工所の働き方に変革を。社員が輝ける知的作業へシフト

山本氏:そうですね。私たちは「ファミリープロジェクト」といって、当時新卒入社だった社員の声から生まれた働き方改革に関する制度にチャレンジしています。育休後の時短勤務や保育園料の一部負担、子連れ出勤など実施していますし、数千万円かけてテレワークができるように整備も行いました。

製造業でありながらテレワークを実践されるのはなかなか珍しいと思います。工場の自動化にもいち早く取り組んだと伺っていますが、どのような背景があったのでしょうか。

山本氏:もともとHILLTOPの前身の山本精工は耳の不自由な兄(長男)が将来働ける場所をつくろうと両親が始めた鉄工所でした。ある日、現副社長である1つ上の兄(次男)が、取引先の研修から帰ってきて、「同じことの繰り返しで、この1カ月の記憶がほとんどない。他の職人からは頭を真っ白にして働けって言われたんだ。俺は、もっと面白い仕事がしたい、鉄工所での働き方を変えたい」と言ったのです。そこから、「面白い仕事をするにはどうすればいいのか」「鉄工所の働き方はどうあるべきか」など、変革の日々が始まりました。

なるほど。「面白い仕事がしたい」「鉄工所での働き方を変えたい」といった想いを実現するために、どのような変革が必要だったのでしょうか。

山本氏:人がやるべき仕事は、デザインや設計、企画など創造力が必要な知的作業だと私たちは考えています。しかし今までは当たり前のように、細かい作業まで人が行っていた。そこで、何も考えなくてもできる単純作業を機械に任せようと、工場の自動化計画をスタートしました。「量産ものはやらない」「ルーティン作業はやらない」「職人はつくらない」などのルールを決めて、経営をシフトしました。まず初めに、8割の売上を占めていた下請けの案件を断ったのです。3年間赤字経営が続くこともありました。

疑わなかったルーティン作業を見直し、いち早く工場の自動化を実現されたのですね。自動化によってみなさんの働き方はどのように変化しましたか?

山本氏:一般的な鉄工所では、全体の仕事の8割が加工作業、2割がデスク作業ぐらいの割合でしょうか。当社では割合がその逆です。日中は社員がデスクでプログラムをつくる。夜中に機械が全自動で機械加工を行います。工場の自動化の結果、人は創造力が求められる知的作業に集中できるようになりました。

人が本来するべき、クリエイティブな仕事に集中できるようになったのですね。御社は「人」の力を大切にしているのだと感じます。

山本氏:その通りです。まさに理念にも掲げている『理解と寛容を以て人を育てる』ですね。これまでの歴史の中で、やはり何ごとも挑戦だと考えているので、社員には新しいことにどんどんチャレンジしてもらっています。失敗しても、それは挑戦の証。挑戦なくして新しいものは生み出されないと捉えて、失敗に対しても寛容であることを徹底しています。そういう意味でも、社員には考える時間、企画する時間を用意してあげたいんですよ。

また、会社の最大の存在理由は、社員のスキルやモチベーションを上げることだと考えています。仕事を受ける時も、できる限り「儲かるか」よりも「社員のスキルが上がりそうか」で、選ばせてもらっている状況です。会社の利益を向上させるのは経営層の当然の義務ですが、私たちが追うのは、利益よりも人の成長。具体的には、当社独自の考え方として“5%理論”を導入しています。売上高の5%をユーザーのニーズと関係のない製作費にあてて、楽しいこと・新しいことをやっていこうというものです。

社員との会話で生まれた「ファミリープロジェクト」を通じ、子育てしやすい会社へ

社員との会話で生まれた「ファミリープロジェクト」を通じ、子育てしやすい会社へ

御社における多様な働き方や福利厚生も、その理念から生まれたものでしょうか?

山本氏:私たち自身、家族一丸となってここまで来たものですから、社員とそのご家族にも幸せになって欲しいと願っています。ただ、願いだけでは多様な働き方は実現不可能です。もちろん、福利厚生も機能しません。当社の社内制度が機能しているのは、シンプルに“社員との会話”のおかげですね。

社員との会話ですか。

山本氏:初めて新卒採用をした年に社員の声もあって、「社員とその家族を大切にできる会社」をテーマに、ファミリープロジェクトを発足したのが大きな一歩です。まずは、新卒社員主導でどんな福利厚生があればいいのか考えてもらいました。ただし、社員を守るためにも経営が破綻してはいけない。制度導入にあたり、会社への負担が少なく、むしろ良い影響が出るように社員と一緒に試行錯誤を重ねました。上からのトップダウンでもなく、社員の要求だけを聞き入れるのでもない。お互いが会話して歩み寄ることで少しずつゴールに近づいていったイメージです。

そのプロジェクトが背景となり、さまざまな制度ができていったのですね?

山本氏:そうですね。産前産後休暇や育児休暇、短時間勤務、テレワーク、子連れ出勤OKなどの制度はプロジェクトを通じて確立しました。さらに、円滑に職場復帰ができるように産休前に育児休暇プランも作成。休み中も、こまめな情報提供や子連れで会社へ来てもらえるイベントを開催するなど、会社と接点が取れる機会を提供しています。そうすることで、休んでいても会社の状態を把握できていますし、安心して復帰できるんですよ。

結果的に、毎年女性社員の数名は産休・育休を取得できるようになり、復職して子育てと仕事を両立する社員も在籍しています。

男性の育児休暇にも力を入れているのはなぜですか?

山本氏:男性社員が育児休暇を取得できる会社。そうなれば、気軽に誰もが育児休暇を取れるようになると考えているためです。女性だけ育児休暇を取れる時代なんてもう古いですから。先ほども申しましたが、会社として本気で“社員とそのご家族にも幸せになって欲しい”んです。実際に、去年は2人の男性社員が制度を活用して、1カ月の育児休暇を取得しました。現在は、短くても5日間を基準として、男性の育児休暇取得率の100%を目指しています。

(HILLTOP社 Instagramより)

 

今回は特別に、ファミリープロジェクトに参画していた社員の宮濱さん(写真左)にも当時の話を伺います。宮濱さんは実際に、産休・育休も取得されて復職したんですよね。

宮濱さん1

宮濱氏:その通りです。私自身、現在も子育てしながら働いています。ファミリープロジェクトは、新卒入社1年目の私たちが企画したものです。専務含めて経営層にプレゼンテーションする機会をいただいて、たくさんのフィードバックをもらいながら形にすることができました。大切にしていたのは、私たち社員も経営者目線で考えるということ。たとえば、多様な働き方や働きやすさの追求と同時に、「この制度は会社のPRにもなりそう」「助成金があるので会社の負担にならない」など。立案した福利厚生を導入することで、社員と会社がwin-winの関係になることを意識しました。

年間約3000人の方々が視察に訪れる社屋のイメージもこのプロジェクトを通して完成しました。社員食堂は子連れの社員も使いやすいようにカフェテリア風に。最上階には和室やお風呂、筋トレルームなども完備して、まるで家みたいですよね(笑)。みんな家族に対して「こんな会社で働いているんだ」と自信を持って話せるようになり、仕事への理解も得やすくなったという声があがっています。

会社のPRも兼ねた、まさにwin-winの関係ですね。宮濱さんから見て、経営陣の皆さんはどのような存在でしょうか?

宮濱氏:仕事について熱心に指導してくれます。ファミリープロジェクトの時は、真摯に向き合い会話を重ねてくれました。その結果、制度化に至りましたし、感謝の気持ちで一杯です。私自身のプライベートな相談もしますし。社員に対して真摯に向き合ってくれる会社だと思います。

宮濱さん2

業界平均を上回る利益率を実現。これからも、社員教育と働きやすさを徹底していく

多様な働き方は経営という点においてどのような影響をもたらしましたか?

山本氏:一般的に鉄工所の利益率は3%から8%程度。当社においては、業務の合理化により利益率は業界平均を上回るようになりました。この10年間においては、売上、社員数、取引社数ともに右肩上がりです。またありがたいことに、採用募集枠数名に対して1000名以上の応募をいただけるようになりました。

成長率はもちろんですが、1000名以上の応募はすごいですね!

山本氏:多くのメディアに取り上げていただけるようになり、会社自体の認知が広がっているように思います。これまでの日々は間違っていなかったと、社員の表情を見て実感しているので、経営方針や理念も揺るがないようになりました。

今後の展望についてお話を聞かせてください。

山本氏:現在、注力しているのはプログラムの自動化です。体制が整えば、社員はプログラミングから離れて、さらに知的作業に集中できるはず。既に、3割程度はプログラムの自動化に成功しており、今後は7〜8割に引き上げる予定です。プログラミングよりも上流の企画・設計といった業務の割合を増やしたいと考えています。好奇心を引き出し、社員が人として成長できる環境を創り上げ、今以上に仕事に楽しみを見出してもらえたら。そう願っています。そのためには、今以上に社員教育もしなければならないですし、社員が仕事に集中できる環境整備も必須ですね。

最後に、御社のような多様な働き方を目指している企業は何からはじめたらよいのでしょうか?

山本氏:社員の声に耳を傾けて、会話すること。また、社員の働きやすさと会社のベネフィットとの両立を目指すこと。これに尽きると思います。一般論的に働き方改革をしても、制度だけが先行して機能しないことが多いはず。会話を通じて、会社にとって本当に必要なことや、実現できることを選択するべきではないでしょうか。私たち自身、ファミリープロジェクトを通じて会話を重ねたことが、既存の制度が機能するきっかけとなったと感じています。

もちろん、基本的な部分では、仕事のやり方や今あるリソースの見直しも必要になるでしょう。制度を機能させるためには、福利厚生を使いやすい風土作り、その前には現実的な仕組み作りが隠れています。誰かがいない時に、他の誰かが助け合えるように。その上で、社員が前向きに仕事に取り組め、成長を実感できる環境を用意することが大切ではないでしょうか。

社員教育と働きやすさを徹底していく

【取材後記】

いくら社員を想いやる福利厚生が存在していても、機能していない。そんな会社も多い中、想いだけでなく、徹底した仕組み作りと社員の多能工化で、多様な働き方を実現するHILLTOP株式会社。お互いが助け合える仕組み作りが、多様な働き方に直結していると痛感しました。

労働時間短縮のための生産性向上という一般論に留まらず、まずは属人的な業務の見直しや情報のデジタル化を行うことから始めるべきかも知れません。また、社員との会話が重要と頭で理解していても、行動に移すことが難しいもの。山本専務含めて、同社の経営層の取り組みには、家族経営での苦労の中で培った想いが見えてきました。だからこそ、社員を家族のように想いやり、理解と寛容を持って人としての成長を見守り、そのご家族の幸せまで追求しているのでしょう。

単なるトップダウンでも、ボトムアップでもない。
社員の働きやすさと会社のベネフィットを両立するためには、想像以上の会話を重ねたのだろうと感じました。

(取材・文/松田 岳、撮影/三浦 卓(フォトレイド)、編集/齋藤 裕美子)

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