面接の印象は志望度を左右する?転職での「面接の印象」に関する20代・30代の本音調査

d's JOURNAL編集部

転職希望者の転職活動や、企業の採用活動で重要な役割を担う「面接」。面接のときに受ける、面接官や企業の印象の良し悪しにより、応募先企業への志望度が変化することもあるようです。自社に合った人材獲得を担う人事・採用担当者としては、「どのような面接だと自社への志望度が高まり、どのような面接だと低くなるのか」を知っておく必要があります。その上で「応募者に好感を持たれる態度・質問内容は何か」を面接官と共に考え、面接内容を設計するとよいでしょう。

そこでd’s JOURNAL編集部は、面接のあるべき姿を探るため、面接を受けたことのある20代・30代の会社員298名にアンケートを実施。面接を受けたことによる志望度の変化や、志望度が変化する要因となったエピソードなど、20代・30代の本音を調査しました。

面接を通じて、志望度は変化する?

転職・採用活動の中で、最も重要な役割を担っている「面接」。実際に面接を受けることで、応募者の企業への志望度は変化するのでしょうか?面接により、志望度が「高まった」もしくは「下がった」経験があるかを聞いてみました。

7割以上の応募者に志望度が高まった経験あり

これまで、「面接(1次・2次・最終)を受けたことにより、応募先企業への志望度が高まった経験」があるかを聞いたところ、74.8%が「志望度が高まった経験がある」と回答しました。

7割以上の応募者に志望度が高まった経験あり

「志望度が高まった経験がある」と答えた人の割合を男女別・年代別に見ると、20代男性が81.6%と最も高く、他の年代・性別でも70%を超えており、大きな違いは見られませんでした。

7割以上の応募者に志望度が高まった経験あり2

一方で、志望度が下がった経験がある応募者も多数存在

反対に、これまでに「面接(1次・2次・最終)を受けたことにより、応募先企業への志望度が下がった経験」があるかを聞いたところ、69.1%が「志望度が下がった経験がある」と回答しました。

志望度が下がった経験がある応募者も多数存在

「志望度が下がった経験がある」と答えた人の割合を男女別・年代別に見ると、男女共に20代よりも30代の方が高いことがわかりました。社会人経験の長い転職希望者ほど、「自分にとってふさわしい転職先であるか」を面接で判断する傾向にあることが伺えます。

志望度が下がった経験がある応募者も多数存在2

これらの結果から、どの性別・年代でも、面接次第で「志望度が良い方向にも悪い方向にも変化する可能性が高い」ことが見て取れます。

面接により、志望度が「高まる」「下がる」理由は?

面接によって、なぜ志望度は変化するのでしょうか。どのようなことが志望度に影響を与えるのか、具体的な理由について探ってみました。

9割以上が「面接官や人事・採用担当者の印象」で志望度が左右されると回答

「面接の相手や人事・採用担当者の印象によって志望度が左右されるか」を聞いたところ、ほぼ全員に当たる95.3%が「志望度を左右する」と回答しました。面接官や人事・採用担当者の印象は、転職希望者が「応募先で本当に働きたいと思うかどうか」に大きく影響することがわかります。

「面接官や人事・採用担当者の印象」で志望度が左右されると回答

男女別・年代別に見た場合にも、面接官や人事・採用担当者の印象が「志望度を左右する」という回答はどの年代・性別でも9割を超えています。面接官や人事・採用担当者の面接での振る舞いが、志望度に大きな影響をもたらしていると言えるでしょう。

「面接官や人事・採用担当者の印象」で志望度が左右されると回答2

志望度が「高まる」「下がる」具体的な理由について見ていきましょう。

志望度が高まる理由は、「面接官の印象が良い」「一緒に働きたいと思う」から

<「志望度が高まった経験がある」と答えた人の声(一部抜粋)>
●面接前後や面接中の面接官や人事・採用担当者の態度が丁寧で、この職場で働きたいと強く感じたから【旅行・宿泊・レジャー/販売・サービス職/29歳男性】
●1次面接で実際の現場の人と話せる時間があった。配属が予定されている部署の上司、同僚が面接官だったため、人柄がよくわかり、「一緒に働きたい」と思った【コンサルティング・専門事務所・監査法人・税理士法人・リサーチ/専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人)/39歳男性】
●直属の上司になるであろう、現場の部長と課長の話を聞くことができたから。面接官が自分の話をよく聞いてくれたので、入社後も親身になってくれるのではないかと思った【人材サービス・アウトソーシング・コールセンター/営業職/28歳女性】

「面接官の印象が良い」「面接官と一緒に働きたいと思った」といった回答が多く挙げられました。この他、「職場の雰囲気や募集背景・募集ポジションへの理解が深まることで、自分が活躍できるイメージを想像できた」「自分のこれまでの経験を高く評価してくれた」といった声も聞かれました。

志望度が下がる理由は、「面接官の印象が悪い」「求人票と面接での話に乖離がある」から

<「志望度が下がった経験がある」と答えた人の声(一部抜粋)>
●面接官の態度が悪く、志望者への誠意を感じられなかった。圧迫面接として行ったのかもしれないが、人に不快な思いをさせる企業には魅力を感じなかった【小売/企画・管理/25歳男性】
●求人票に記載されている仕事内容と、面接時に説明された仕事内容に違いがあったため【メーカー(機械・電気)/企画・管理/36歳男性】
●事前に転職エージェントから聞いていた「必要とされるスキルや仕事内容、キャリアパス」と面接での説明が異なっていたため【メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他)/技術職(化学・素材・化粧品・トイレタリー)/33歳男性】

面接で圧迫感を受けたり、面接官の態度が悪かったりすると、志望度が下がることがわかりました。「ストレス耐性を測る」といった目的から、意図的に圧迫面接を行っている企業もあるようですが、転職希望者に良い印象を与えていないことが見て取れます。求人票の記載内容と面接での説明内容に乖離があることも志望度が下がる要因になるため、求人票には実態に即した内容を記載することが望ましいでしょう。

応募者が良い印象を抱くシーンや質問は?

面接の際、応募者はどういったシーンや質問に対して良い印象を抱くのでしょうか。実際のエピソードを交えながらご紹介します。

「話しやすい雰囲気がある」「自分に興味があることが伝わってくる」と好感を持つ

<「好感を持ったシーン」についての声(一部抜粋)>
●私の緊張を感じ取った面接官が「合うか合わないか」をお互い確認する時間だから、緊張する必要はない。思うことをぶつけてくれれば良い」と言ってくれたとき。それにより緊張が解け、自然体で話せた【人材サービス・アウトソーシング・コールセンター/事務・アシスタント/28歳女性】
●履歴書や職務経歴書を事前にしっかり読み込んできた上で質問してくれていることが、こちらに伝わってきたとき【金融/技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)/30歳男性】
●実際の仕事現場で、「あなたのこんなところがあるから、ここで活躍してくれそうだ」と伝えてくれたとき【メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他)/クリエイター・クリエイティブ職/38歳女性】

「話しやすい雰囲気をつくってくれている」「自分のことを知りたいと思ってくれている」ということが伝わってくるシーンがあると、応募者は好感を持つことが見て取れます。この他、「自社の良いところだけでなく、課題点についても正直に話してくれたとき」「課題を克服するために、どういう人材を必要としているのかを伝えてくれたとき」も好印象を抱く傾向があるようです。応募者への誠実な対応が、企業には求められるでしょう。

「入社後をイメージできる質問」や「定型的でない質問」は、真摯に対応されていると感じる

<「真摯に対応してくれていると感じる質問」についての声(一部抜粋)>
●会社でのキャリアパスを説明してくれた後で、「●●さんはどのようになりたいですか?」と聞いてくれたとき【独立行政法人/技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)/28歳男性】
●最初に「ここでの仕事は〜」と仕事内容を大まかに説明してくれた上で、「こんな仕事だけれど、想像していたものとは違いますか?」と聞いてくれたとき【建設・プラント・不動産/技術職・専門職(建設・建築・不動産・プラント・工場)/28歳男性】
●あらかじめ用意してあったような質問ではなく、履歴書や職務経歴書を基に「どういう人なのか」「これまでどういった経験を積んできているのか」などを考えた上で質問をしてくれたとき。ちゃんと自分のことを知ろうと思ってくれていると感じた【IT・通信/技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)/38歳男性】

入社後のキャリアビジョンや社風にマッチするかの確認といった「入社後の働き方を連想できる質問」や、履歴書・職務経歴書の内容を把握した上での「一人一人に合わせた質問」などができると、応募者に好印象を持ってもらえるようです。この他、「仕事以外で大切にしたい価値観は何か」や「仕事を通じてどんな成長を遂げ、人生を歩みたいか」といった、応募者の意思や気持ちを尊重していることがわかる質問に好感を持ったという声もありました。

応募者が悪い印象を抱くシーンや質問は?

反対に、悪い印象を抱くのはどういったシーンや質問に対してでしょうか。実際のエピソードを交えながらご紹介します。

「誠意が感じられない」「面接前の準備が不十分」だと不信感を抱く

<「不信感を抱いたシーン」についての声(一部抜粋)>
●面接官の態度が横柄だったとき、「ここには勤めたくないな」と感じた【コンサルティング・専門事務所・監査法人・税理士法人・リサーチ/事務・アシスタント/31歳女性】
●こちらの履歴書にまったく目を通していないことがわかる発言をされたとき【人材サービス・アウトソーシング・コールセンター/事務・アシスタント/32歳女性】
●こちらが話しているのにもかかわらず、面接官が携帯をいじり始めたとき。誠意がなく失礼だと感じ、入社する意欲がなくなった【コンサルティング・専門事務所・監査法人・税理士法人・リサーチ/事務・アシスタント/29歳女性】

「横柄な振る舞いをする」「面接なのに他のことをする」など、面接官の態度に問題があったり、履歴書・職務経歴書を十分に読んでいないことが明らかな質問をされたりすると、応募者は不信感を抱くことがわかります。この他、「ボーナスの有無や募集職種などが求人票の記載内容と違っていて、信用できないと思った」といった意見もありました。面接官には、「会社の顔であること」や「会社が一丸となって採用活動に取り込んでいる」ことを意識してもらうのが望ましいでしょう。

※こちらの記事もご覧ください:『知らぬ間にやっている?応募者の意欲が下がってしまう面接あるある ~面接官質問編~

「プライベートに関する質問」や「残業に関する質問」は、悪い印象を抱く

<「不信感を抱く質問」についての声(一部抜粋)>
●本来は選考に関係ないはずの「家族構成」や「結婚」などに関する質問。時代遅れだし、性差別やプライバシーの侵害に当たるのではと思った【IT・通信/事務・アシスタント/26歳女性】
●「残業は何時間くらいできるか」など、残業に関する話【メーカー(機械・電気)/技術職(機械・電気)/32歳男性】
●気が強そうな面接官から、「自分の部署はとても忙しく、普通の人にはやっていけないと思う。あなたには、この部署で働ける自信がありますか」と質問されたとき【建設・プラント・不動産/企画・管理/34歳女性】

残業に関する質問やストレス耐性を問う質問をされると、「職場環境に問題があるのでは」と不信感を抱くようです。プライベートに関する質問は応募者を不快にさせるだけでなく、法律違反となる可能性もあるため避けましょう。この他、「退職理由について、根掘り葉掘り聞かれた」ことで、不信感を抱いたという声も聞かれました。
(参考:『【弁護士監修】意図せず法律違反に…。面接で聞いてはいけないこと』)

応募者・企業の双方にとって望ましい面接にするために

応募者・企業の双方にとって望ましい面接にするためには、どのようなことを意識する必要があるのでしょうか。応募者が「面接がうまくいったと思ったとき」のエピソードから探ってみました。

「会話が弾んだとき」「深掘りした質問をしてもらったとき」にうまくいったと感じる

<「面接がうまくいったと思うとき」についての声(一部抜粋)>
●面接官との会話が弾み、明るい雰囲気になったとき【福祉/事務・アシスタント/東京都/26歳女性】
●面接官が職務経歴書に興味を持って、深掘りしてくれたとき。自分のアピールポイントを交えて話すことができ、会話が弾んだ【建設・プラント・不動産/技術職・専門職(建設・建築・不動産・プラント・工場)/30歳男性】
●「企業の求めている人材像・仕事内容」と「自分のキャリア」が一致していて、スムーズに対話できたとき【メーカー(機械・電気)/企画・管理/36歳男性】

自分に関心を持ってくれている面接官と会話が弾んだり、企業の求める人物像に自分が近いと気付いたりしたときに、応募者は手応えを感じているようです。この他、「またお話を伺いたいので、次の面接日程を調整させてください」「これから一緒に頑張りましょう」など、今後に関する話があったときにも、面接が成功したと感じるという意見もありました。

応募者の本来の姿を引き出すことが重要

面接は、企業が一方的に応募者を選ぶだけの場ではなく、自分にとって合う会社かどうかを応募者自身が確認するための場でもあります。「こういう人物だとは思わなかった」「こんな会社・仕事内容だとは思わなかった」という入社後の互いのミスマッチや、それを理由とした早期離職を防ぐためには、応募者の本来の姿を引き出すことが重要です。面接官は話しやすい雰囲気をつくった上で、相手の価値観・仕事の進め方を聞き、「現在」だけでなく「過去」「未来」にも焦点を当てていくとよいでしょう。
(参考:『面接官を初めてやる人が知っておきたい質問例7つと面接ノウハウ【面接評価シート付】』)

【まとめ】

面接官や人事・採用担当者の印象が、応募者の志望度に大きな影響を与えることがわかりました。話しやすい雰囲気をつくり、履歴書・職務経歴書の記載内容を把握した上で質疑応答を行うと、「相手に興味を持っている」ことが伝わり、好印象につながります。一方で、態度が横柄だったり、プライベートに関する質問をしたりすると志望度が下がりやすいため、注意が必要です。応募者・企業の双方にとって望ましい面接になるよう、面接官の態度や質問内容などを見直してみてはいかがでしょうか。

(制作協力/株式会社はたらクリエイト、企画/d’s JOURNAL編集部 齋藤 裕美子)