在職証明書とは?記載項目と書き方、必要なケースを解説【無料テンプレート付】
在職証明書とは、従業員が在職している事実を示すために企業が発行する書類です。従業員が転職する際をはじめ、さまざまなタイミングで発行を求められます。
なお、書式に法的な定めはありませんが、記載したほうが良い項目がいくつかあるため覚えておくと安心です。
そこで本記事では、在職証明書の書き方や発行の手順などを解説します。
在職証明書は、用途によって必要な記載項目が異なるため、基本項目を押さえたテンプレートを用意しておくと作成しやすくなります。日本語版・英語版の在職証明書テンプレートも資料ダウンロードできるため、自社の運用に合わせてご活用ください。
在職証明書とは?
在職証明書とは、「従業員が企業に在職していること」、あるいは「過去に在職していたこと」を証明する書類です。具体的な目的は後述しますが、ローンの審査や保育園の入園申請など、従業員や元従業員が何らかの申請を行う際の必要書類として求められることが多くあります。
例えばローンの審査であれば、従業員が自身の返済能力を示すために申告した勤務先や勤続年数、雇用形態などに、虚偽がないことを証明する書類として在職証明書を用います。
なお、在職証明書は別の名前で呼ばれることがあるほか、在職証明書とよく似ている「退職証明書」という書類もあるため、それぞれ把握しておきましょう。
【在職証明書と似ている書類】
| 書類の名前 | 概要 | 法律上の発行義務 |
|---|---|---|
| 在籍証明書 | ●従業員が自社に在籍していることを証明する書類 ●「在職証明書」と同様の意味で使用される場合が多い |
ない |
| 就労証明書 | ●従業員が自社で就労していることを証明する書類 ●「在職証明書」と同様の意味で使用される場合が多い |
ない ただし保育園入園のための「就労証明書」については、復職に当たって提出が必須となる |
| 雇用証明書 | ●従業員を自社で雇用していることを証明する書類 ●「在職証明書」と同様の意味で使用される場合が多い |
ない |
| 退職証明書 | ●従業員が自社を退職したことを証明する書類 ●国民健康保険や国民年金、失業保険の手続きに用いられる |
ある |
以下で詳しく解説します。
在籍証明書との違い
在籍証明書は、会社への在籍状況などを証明する書類です。
記載内容や役割など、いずれも在職証明書と同じものです。企業によってはこのように呼ばれることがあります。
就労証明書との違い
就労証明書もまた、在職証明書と同じ書類を指します。従業員がその会社ではたらいていることを証明する書類です。
なお、保育園の申請のために役所に提出する書類については、「就労証明書」という名称になっていることが多いです。市区町村によっては「勤務証明書」という呼び方もあります。この場合、各市区町村で指定のフォーマットがあるため、それに従う必要があります。
雇用証明書との違い
在職証明書と同じ書類を指す呼び方としては、雇用証明書も挙げられます。こちらも在職証明書と違う点はなく、従業員の会社への在籍状況などを証明するという役割があります。
退職証明書との違い
退職証明書は、在職証明書とは異なる書類です。
従業員が自社を退職したことを証明する書類で、労働基準法第22条第1項にて、企業は依頼があったらすぐに発行することが義務付けられています。
(退職時等の証明)
第二十二条
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
(引用:e-Gov法令検索『労働基準法第22条第1項』)
また、退職証明書は「退職したことを証明する」という性質から、その用途も在職証明書とは異なります。例えば、国民健康保険や国民年金の加入手続き、また失業保険の手続きなどにも使用できるのです。
このように在職証明書と退職証明書は、発行義務の有無や役割が明確に異なるので、その旨を覚えておくと良いでしょう。
退職証明書について詳しく知りたい方は下記の記事もチェックしてみてください。
(参考:『【テンプレート付】退職証明書とは?記載項目と書き方、発行義務や手順を解説』)
在職証明書に発行義務はある?
在職証明書の発行に関して、法律上の義務はありません。
しかし、発行義務がないからといって、正当な理由なく発行を拒否すると、従業員はローンの審査や保育園の入園審査などを受けられず、不利益を被る可能性があります。
結果、労使間のトラブルや損害賠償の問題に発展する恐れもあります。企業としても、保育園に子どもの入園ができなければ従業員に復職してはたらいてもらうこともできないため、基本的には発行に応じる必要があるといえるでしょう。
在職証明書が必要になる理由と主なケース
在職証明書が提出先から求められる理由は、申請者や契約者が申告した勤務先や就労状況に誤りがないかを確認するためです。
審査や各種手続きでは、本人の申告だけでなく、企業が発行する書類によって「この企業ではたらいている(はたらいていた)」という事実を客観的に確認する必要があります。
また、在職証明書には、雇用期間や雇用形態、所属部署、職務内容などが記載されることがあります。提出先はこれらの情報を通じて、申請者の就労実態や継続的な勤務状況を把握し、手続き上必要な確認を行います。
つまり、在職証明書は従業員本人の信用や就労状況を、企業が対外的に証明するための書類です。企業が発行することで、提出先は申告内容の裏付けを取り、審査や手続きを進めやすくなります。
なお、在職証明書が必要となる具体的なケースについては、後ほど詳しく解説します。
企業や提出先が在職証明書を求める理由
各企業をはじめとする提出先が、必要書類として在職証明書を求める理由は、申請者である従業員の「安定した収入がある事実」および社会的信用を客観的に証明する必要があるためです。
例えば従業員がローン審査を受ける際、口頭で「私はこの企業ではたらいており、安定した収入があるため十分な返済能力があります」と主張しても、その旨を裏付ける証拠はありません。
そのため、会社代表印が押された在職証明書を発行し、情報が事実である旨を証明する必要があります。
具体的には、在職証明書を発行することで以下の内容を裏付けられます。
【在職証明書の発行で証明できる事実】
●雇用されている勤務先があり、無職ではないこと
●継続的な労働の実態があり、一定の支払い能力があること
●申告した職務内容や就業時間、勤続年数などの情報に、虚偽の内容がないこと
なお、基本的には「現在」に関する内容の証明となります。必要に応じて日付を調整すれば、過去の一定の期間での在職を証明することも可能です。
従業員から在職証明書の発行を依頼される主なケース
在職証明書が必要になる場面は、一つではありません。
以下で、在職証明書が必要になる可能性のあるケースと、それぞれの場面で求められる項目を解説します。
【在職証明書が必要なケース】
●クレジットカード・ローン審査
●賃貸契約の審査
●配偶者の扶養手続き
●保育園の入園申請
●公営住宅の入居申し込み
●転職時の在籍証明
●外国人労働者の在留資格・就労ビザ申請
クレジットカード・ローン審査
従業員がクレジットカードの新規発行や住宅ローンの申請などを行う際は、支払い能力を判断するために在職証明書の提出を求められることがあります。審査会社が在職証明書の内容と申請内容を照らし合わせて「希望する利用額に対して支払いは現実的に可能か」を判断するためです。
そのため、基本的には在籍の事実だけでなく、「前年度の収入(総支給額)」「勤続年数」なども記載します。
賃貸契約の審査
従業員が賃貸契約の審査を受けるときも、収入や就労状況を証明するために在職証明書を求められることがあります。この場合は、従業員が金融機関や大家に在職証明書を提出することとなります。
必要な項目は、主に「在職状況」「勤続年数」「年収」など、支払い・返済能力の証明となる項目です。
配偶者の扶養手続き
従業員が配偶者の社会保険の被扶養者となる手続きで、在職証明書が必要となる場合があります。収入が基準内であることを証明するためです。
基本的には年収が130万円未満でなければ配偶者の社会保険の扶養に入れないため、「直近の給与支給額」「交通費の支給状況」「今後の給与見込み額」など、収入に関するさまざまな情報を記載しなければなりません。
なお、収入が証明できれば問題ないため、直近の所得証明書や給与明細の写しなど、在職証明書以外の書類でも代用が可能です。
保育園の入園申請
従業員が、保育園に子どもの入園を申し込む際も、在職証明書が必要です。これは、保育の必要性を審査するにあたり「両親がはたらいていて、家庭で保育できない状態である」という事実が判断基準の一つとなるためです。
同様の理由から、従業員が祖父母で、なおかつ孫と同居している場合、孫の入園審査に際して在職証明書を求められることもあります。
なお、このケースでは一般的に、「就労証明書」と呼ばれる自治体指定の書式で作成することとなります。保育の必要性の判断基準となるよう、詳細な勤務日数や就労時間を記載しましょう。
また、入園時のほか、すでに子どもが通園している場合も、毎年在職証明書の提出を求められます。
公営住宅の入居申し込み
賃貸住宅だけでなく、公営住宅も入居申し込みの際に在職証明書を求められることがあります。主な理由は住宅ローンや賃貸契約の審査と同様で、収入基準などの入居資格を満たしていることを確認するためです。
一般的には、住所や氏名といった基本情報のほか、「勤務先」や「勤務期間」など就労の事実を証明する情報があれば問題ないようです。中には、在職証明書のフォーマットを指定している自治体もあります。
転職時の在籍証明
従業員が転職する場合は、転職先の企業が在職証明書の提出を求める場合があります。これは、応募時に提出した履歴書の内容と、実際の職歴や職務内容が一致していることを確認するためです。
また、公務員試験では「一般企業で5年以上の在籍経験がある方」のように、職務経験について条件が決められています。このような場合も、在職証明書の提出が必須となっています。
基本的には会社に在籍している事実がわかれば良いため、基本情報と社印(代表者印)の押印があれば問題ないでしょう。ただし、転職先企業が職務内容や役職、経験、担当業務などに関する照合も求めている場合は、これらの情報も記載することとなります。
外国人労働者の在留資格・就労ビザ申請
外国籍の従業員を雇用する企業では、従業員が日本に滞在するために必要な「在留資格」を取得する際に在職証明書の発行を依頼されることがあります。
就労を可能とする在留資格(就労ビザ)は、「日本人労働者と同程度の報酬を受けること」が取得要件であるため、雇用内容や給与を証明するために在職証明書が使われるのです。
なお、就労ビザには「特定技能」「教育」など、いくつかの分類があります。従業員が申請するビザの範囲内で業務を行っていることを証明するために、在職証明書には「具体的な職務内容」「雇用期間」「報酬額」などを記載する必要があります。
外国人労働者の雇用手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『【徹底解説】外国人労働者受け入れには4つのメリットが!企業が守るべき雇用のルール』)
在職証明書の書き方と記載項目
在職証明書に記載する項目は、法律で定められているわけではありません。提出先によってはフォーマットが定められているため、その場合はフォーマットを使用しますが、それ以外の場合は自社で用意することとなります。
提出先の求める「在籍の事実」をはじめとする情報を証明するためには、以下の項目を記載すると良いでしょう。
在職証明書の記載項目
●従業員の氏名・生年月日・住所
●入社年月日・勤務地・雇用期間
●雇用形態
●勤務時間・就労形態・勤務日数
●職種・業務内容・役職
●会社の所在地・事業者名・代表者名
●用途に応じて追加されやすい項目
以下で、在職証明書の各項目の基本的な書き方と、英文で作成する場合の書き方について詳しく解説します。
従業員の氏名・生年月日・住所
企業に在籍していることを証明する従業員の「氏名」「生年月日」「住所」を記載します。
氏名や住所は現在の情報を記すことになるため、あらかじめ変更がないかを確認しておきましょう。住所は「〒●●●-△△△△ 東京都〇〇区~~~」といったように郵便番号から記載します。
入社年月日・勤務地・雇用期間
従業員の「入社年月日」「勤務地」「雇用期間」を記載します。勤務地が支社・支店の場合はその旨も記載しましょう。
雇用形態
対象の従業員が「正規雇用」「契約社員」「パート・アルバイト」などのうち、どの雇用形態なのかを記載します。
チェックボックスがある場合は、該当する項目へチェックを入れ、チェックボックスがない場合は「正社員」「アルバイト」といったように、具体的な雇用形態を記載しましょう。
雇用時に交付する労働条件通知書との違いや記載事項については、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『【雛型テンプレ付】労働条件通知書とは?発行タイミングと記載事項・記入例を解説』)
勤務時間・就労形態・勤務日数
従業員の「勤務時間」「就労形態」「勤務日数」も明記します。特に、従業員の子どもを保育園に入園させる場合は日中にはたらいていて育児ができないことを証明する必要があるため、就労時間帯の記載が必須となっています。
なお、基本的には短時間勤務制度を利用している場合でも、制度利用前の就業規則上の就労時間数を記載する必要があります。その上で、短時間勤務制度の利用有無を記載する欄がある場合は、そちらに短時間勤務の就労時間帯を記載します。
また、従業員が育児休業を取得する予定がある場合はその旨も記載しましょう。
短時間勤務制度について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『【弁護士監修】短時間勤務制度を育児や介護、通院等で正しく運用するための基礎知識』)
職種・業務内容・役職
「職種」「業務内容」「役職」の記載が必要な場合もあります。役職は正式名称で記載しましょう。
なお、役職がない場合はその旨を明記するか、空欄にします。
会社の所在地・事業者名・代表者名
従業員だけでなく、会社の情報も必要です。「会社の所在地」「事業者名」「代表者名」も忘れずに記載してください。
会社名は、「株式会社」「合同会社」などの法人格も省略せずに正式名称で記載する必要があります。また所在地は登記上の本店・本社所在地を、電話番号は代表番号を記載します。
会社の印鑑・押印欄
会社が公式で発行した在職証明書である旨を証明するために、「会社の印鑑」を押印します。なお、提出先の自治体や企業によっては、押印が不要なケースもあります。
用途に応じて追加されやすい項目
在職証明書の用途次第では、上記以外の項目も追加されます。
例えば、従業員がクレジットカード・ローン審査や住宅ローン審査などを受ける場合は、支払い能力を示すために「前年度の年収(総支給額)」「勤続年数」の記入を求められることがあります。就労ビザの申請であれば、在留資格の種別と職種が合致するように記載しましょう。
【番外編】英文在職証明書の書き方
英語で在職証明書を作成する場合も、必要な項目は日本語で作成する際と同じです。
ただし、フォーマットは英語用にそろえる必要があります。
【英文の在職証明書のフォーマット】
●企業の情報:用紙の右上
●タイトル:中央に「Certificate of Employment」と記載する
●従業員の氏名や住所など:タイトルの下
企業情報の英語での記載方法は以下をご覧ください。
●企業名(Company Name)
●代表者の氏名(President’s Name)
●企業の住所(Company Address)
●電話番号(Phone Number)
●発行年月日(Date of Publication)
最後に担当者のサインを直筆で入れ、企業の印鑑を押印すれば完成です。
在職証明書は、日本語で作成する場合と英語で作成する場合で、表記やフォーマットを整理しておく必要があります。日本語版・英語版のテンプレートを資料ダウンロードし、提出先や用途に応じた在職証明書の作成にご活用ください。
在職証明書の記入例と記載時のポイント
在職証明書には、以下の例を参考に必要事項を記入しましょう。
【在職証明書の記入例】
●氏名:○○ ○○
●住所:○○○○○○○○
●生年月日:○○年○○月○○日
●勤続年数:○○年○○カ月
●勤務時間:○○時○○分~○○時○○分(実働○時間)
●職種:○○○○
上記のほか、備考欄あるいは欄外に「上記の者は、現在当社に在籍していることを証明します。」という一文があると、在職証明書の体裁を整えられます。
なお、住所は郵便番号から記載した上で、「○-○-○」ではなく「○丁目○番地○号 (+建物名)」まで記載しましょう。就業時間に関しては、始業時間・終業時間だけでなく実働時間も記載してあると丁寧です。
また、誤字脱字や記載漏れには十分に注意してください。
【無料】在職証明書のテンプレート

在職証明書の書式は決められていません。とは言え、一から自社で作成すると手間がかかります。
在職証明書の作成業務の効率化にお悩みの場合は、基本的な記入項目が網羅されているテンプレートを取り入れてみてください。求められている内容に応じて必要項目を記入していけば、在職証明書を効率的に作成できるでしょう。
在職証明書の発行手順と業務フロー
在職証明書を発行する場合、依頼を受けてから発行が完了するまで、一般的に3日~1週間程度の期間を要します。
また、在職証明書を発行するためには、従業員側と企業側でそれぞれ必要な対応があります。以下であらかじめ、手順を確認しておきましょう。
【在職証明書の発行手順】
●1.従業員が提出先の必要項目を確認する
●2.人事・総務へ発行依頼を行う
●3.企業が在職証明書を作成・発行する
●4.必要に応じて社印(代表者印)を押印する
●5.従業員が提出先へ提出する
STEP1.従業員が提出先の必要項目を確認する
まず従業員側は、在職証明書に記載する必要のある項目を、提出先に確認します。在職証明書の用途によって必要な項目が異なるためです。「指定のフォーマットが定められているか」、もしフォーマットがない場合は、「必要項目は何か」を確認しましょう。
例えば、ローン審査であれば「前年度の年収(総支給額)」「勤続年数」、就労ビザの申請なら「職種」、保育園の入園審査なら「勤務時間」「勤務日数」が必須である可能性があります。
あとから項目の不足が発覚した場合、書類をつくり直さなければならないため、必要項目を最初の段階でしっかりと確認しておくことが大切です。
STEP2.人事・総務へ発行依頼を行う
必要な項目が明確になったら、従業員は企業の担当者に在職証明書の発行を依頼します。このとき、必要な項目だけでなく用途も伝えると良いでしょう。
具体的な用途が明確であれば、担当者も意図を理解して作成を進められるためです。
なお、締め切り日から3カ月以上前に発行された証明書は、「情報が古い」と見なされて、提出先に受け付けてもらえない場合があります。動きが早過ぎると、再発行などの手間が発生する恐れがあるため、動き出すタイミングに注意しましょう。
STEP3.企業が在職証明書を作成・発行する
従業員から依頼を受けたら、企業側は在職証明書の作成に移ります。
先述の通り、在職証明書は明確なフォーマットが法律上で定められておらず、提出先によって独自のフォーマットが指定されていたり、必須項目が決められていたりすることがあります。
そのため従業員からの申し送り事項をよく確認し、必要な項目を抜け漏れなく記載することが大切です。もちろん、誤字脱字や数値の間違いなどもないように、しっかりと見直しましょう。
STEP4.必要に応じて社印(代表者印)を押印する
必要事項の記入が完了したら、社印(代表者印)を押印し、企業として正式に発行した書類である旨を証明します。
なお、電子データで在職証明書を交付する場合は、電子印あるいは電子署名の対応のみの可能性が高いです。紙の原本での提出が必要な場合は、印刷した上で押印することとなります。
STEP5.従業員が提出先へ提出する
従業員は、企業から在職証明書を受け取ったら提出先へ提出します。
なお、「最初に確認したフォーマットで作成されているか」「必要項目は漏れなく記載されているか」など、内容に不足や誤りがないかを提出前によく確認しましょう。
在職証明書を効率的に作成する方法
上記の通り、在職証明書は提出先ごとに必要項目が異なり、また作成時には記載ミスが許されません。それ故に、作成には一定の工数を要します。
そこで、以下では在職証明書を効率的に作成する2つの方法を紹介します。
1.クラウド労務管理サービスの活用
2.在職証明書のテンプレートを活用
クラウド労務管理サービスの活用
クラウド労務管理サービスを導入すれば、在職証明書の作成を効率化できる可能性があります。従業員の入社日や所属部署、雇用形態をはじめとする基本情報がデータベース化されるため、情報を自動的に引用でき、誤入力のリスクを格段に抑えられるのです。
また、従業員による依頼から担当部署での承認、発行までのフローをシステム上で完結できるため、直接やりとりする頻度を抑え、一連の流れをスムーズに進められます。
なお、システムの利用には一定のコストがかかるため、導入が難しい場合は、次に紹介するテンプレートを活用する方法をお勧めします。
労務管理の基本業務について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考:『【すぐに役立つ】労務管理とは?これだけは知っておきたい業務内容と効率化の手法を解説』)
在職証明書のテンプレートを活用
提出先からフォーマットを指定されていない場合は、テンプレートを活用すると、在職証明書を効率的に作成できます。テンプレートには、一般的な在職証明書に必要な項目が一通り設けられているため、そのまま情報を記載するだけで在職証明書の作成が完了します。
提出先から必要項目が指定されている場合は、テンプレートの既存項目に追記すれば問題ありません。
在職証明書を一から作成すると、記載項目の確認やレイアウト調整に時間がかかることがあります。基本項目をまとめた在職証明書テンプレートを資料ダウンロードし、日々の証明書作成や社内の書式統一にお役立てください。
在職証明書の保管・管理方法
在職証明書の保管期限は法律で定められていませんが、一般的に3~5年程度の保管が推奨されています。従業員が退職したあとに再発行を依頼される可能性もあるため、退職後も一定期間保管しておくと安心でしょう。
なお、保管の際は個人情報の流出に十分に注意して、厳重に扱う必要があります。紙で発行する場合と電子で発行する場合で、注意点が異なるため、詳しくは以下をご覧ください。
【在職証明書の保管・管理のポイント】
| 紙媒体の場合 | 電子発行の場合 |
|---|---|
| ●発行年度ごとにファイリングする ●施錠できるキャビネットで保管する |
●アクセス制御が施されたサーバーで保管する ●ファイル名に従業員の氏名や発行日などを含め、検索性を高める ●定期的にバックアップする |
上記のポイントを押さえて、従業員の大切な個人情報を守りましょう。
在職証明書を作成する際の注意点
従業員から在職証明書の申請があった際は、以下の注意点を確認してから作成しましょう。
【在職証明書を作成する際の注意点】
●情報漏えいのリスクに備える
●情報が異なる場合は在職時のデータを優先する
●使用目的と記述項目を確認する
●虚偽や不要な情報を記載しない
●外資系への転職なら英文の証明書が必要か確認する
●作成にかかる時間を伝える
情報漏えいのリスクに備える
従業員の職歴や給与などを証明する在職証明書は、個人情報が記載された大切な文書です。従業員個人の情報が社内外に漏れないよう、慎重に取り扱う必要があります。
また、作成依頼を電話やメール、郵送などで受けた場合は、本人確認書類の写しなどの提出を求めて、本当に従業員本人からの依頼なのかを確認することも重要です。作成後の受け渡しに関しても、できる限り手渡しで行い、郵送の場合は従業員本人の元に届いたことを確認しましょう。
情報が異なる場合は在職時のデータを優先する
記載項目の内容について、現在と在籍時の情報が異なる場合は、「在職時」の情報を記入しましょう。
例えば、在職証明書の発行を依頼されたときと在籍時とでは、従業員の住所が異なる場合もあります。このほか、結婚により姓が変わった場合なども注意が必要です。
使用目的と記述項目を確認する
在職証明書に記載しなければならない内容は、使用目的により異なります。
例えば、保育園の利用申請で提出するのであれば、日中の育児が難しいことを証明するために勤務日数や労働時間などの情報が求められます。住宅ローンの審査であれば、返済能力を証明するために収入の記載が必要となるでしょう。
このように在職証明書の用途によって、また提出先によって必要な項目が違うため、記載内容を従業員に確認しておくことが大切です。
虚偽や不要な情報を記載しない
まれに、従業員から「保育園の入園審査を通過するために、勤務時間を実際よりも長く記載してほしい」「ローン審査を通過するために、収入を多めに記載してほしい」といった相談を受けることがあります。
しかし、どのような場合であっても虚偽の情報を記載してはなりません。事実と異なる情報を記載した場合、企業としても法的責任を問われる可能性があります。
同様に、在職証明書を提出した従業員も罪に問われるほか、保育園の退園やローンの契約解除といった処分を受けることが考えられます。
また、記載する内容は必要最低限の情報にとどめることも大切です。従業員のプライバシーを守るため、不要な情報まで書き過ぎないように注意しましょう。
外資系への転職なら英文の証明書が必要か確認する
従業員から、転職先への提出を理由に在職証明書の作成を求められた場合は、転職先企業が外資系企業であるかどうかをまず確認しましょう。仮に外資系企業であった場合は、英文で書類を作成しなければならない可能性があります。
英文でのフォーマットをあらかじめ用意しておくと、英文での在職証明書の作成依頼がいつ来てもスムーズに対応できるようになるでしょう。
作成にかかる時間を伝える
在職証明書の作成には、一定の時間がかかります。「10枚作成するために1時間かかる」と言われているほどです。
これは、必要な情報を調査・転記する作業やレイアウトなどに時間を要するためです。このような理由から、在職証明書の作成を依頼されてもすぐには渡せない可能性がある旨をあらかじめ従業員に伝えましょう。
書類対応だけでなく、社内ルールの整備も進めたい方は、以下の記事もご覧ください。
(参考:『【無料テンプレート付】就業規則とは?記載事項と作成・変更の届け出の手順を解説』)
在職証明書に関するQ&A
最後に、在職証明書に関するよくある質問にお答えします。
【在職証明書に関するQ&A】
●退職した元従業員に在職証明書の発行はできますか?
●アルバイトやパートに在職証明書の発行はできますか?
●派遣社員に在職証明書の発行はできますか?
●取引のある個人事業主に在職証明書を発行できますか?
●在職証明書は従業員自身で作成できますか?
●在職証明書は電子データで発行できますか?
●在職証明書に押印は必要ですか?
●在職証明書の発行はどれくらい時間がかかりますか?
●在職証明書に有効期限はありますか?
退職した元従業員に在職証明書の発行はできますか?
退職後にも在職証明書を作成できるか否かは、用途により異なります。
例えば、保育園などの入園申請のために必要な場合は作成できません。入園申請では「現在、はたらいているため日中の育児が難しい」という旨を証明する必要があるためです。
すでに退職した職場の在職証明書を提出しても、今現在はたらいている旨の証明とはならないため、このケースでは在職証明書の作成に応じることができないのです。
転職など、「この企業で過去にはたらいていたこと」を証明することが目的であれば問題ないでしょう。
また、ここで注意したい点としては、「在職時の情報を記載する」というものが挙げられます。たとえ退職後に従業員の名字や住所が変わっていた場合でも、在職時の情報を記載しなければなりません。
アルバイトやパートに在職証明書の発行はできますか?
はい、アルバイトやパートに対しても在職証明書の作成は可能です。
例えば、新卒採用時に候補者が過去に経験したアルバイトを確認するために、企業が在職証明書を求めるといったケースもあります。
派遣社員に在職証明書の発行はできますか?
派遣社員の場合は、派遣元企業が在職証明書を発行することとなります。
なぜなら、派遣社員は派遣元企業と雇用契約を結んでいるためです。自社が派遣先企業である場合は、派遣社員に対し在職証明書を発行できないため注意してください。
取引のある個人事業主に在職証明書を発行できますか?
いいえ、個人事業主は企業に所属しているわけではないため、どのような企業であっても個人事業主に対し在職証明書を発行することはできません。
個人事業主が保育園の入園審査や住宅ローンの審査などを受ける場合は、本人が自分で書類を作成し、開業届などと一緒に提出する必要があります。
在職証明書は従業員自身で作成できますか?
いいえ、在職証明書は従業員が自分で作成しても効力はありません。
なぜなら、在職証明書に記載されている勤務先企業などの情報が正しいことを証明するために、企業の押印や担当者のサインが必要であるためです。
在職証明書は電子データで発行できますか?
はい、提出先が電子媒体での発行・提出を認めている場合は、電子データでの提出が可能です。電子署名やタイムスタンプなどの仕組みを取り入れれば、改ざんのリスクを軽減させて、より安全に在職証明書を発行できます。
在職証明書に押印は必要ですか?
はい、社印(代表者印)が原則必要です。押印があることで、企業が発行した在職証明書である旨が認められるためです。
ただし、提出先が電子データでの提出に対応している場合は、電子印や電子署名でも問題ない場合があります。また、市区町村に提出する証明書の場合、各自治体のルールによって押印の要否が決まっています。
在職証明書の発行はどれくらい時間がかかりますか?
一般的には、依頼から発行まで3日~1週間程度を要します。
在職証明書に有効期限はありますか?
在職証明書の有効期限は、法的には定められていません。ただし、提出先によっては期限が設けられている場合があります。
また、締め切り日から3カ月以上前に発行された在職証明書は認められない可能性もあるため、詳しくは提出先に確認しましょう。
まとめ
在職証明書は、従業員の子どもの保育園入園時や、転職などの場面で必要になる重要な書類です。
しかし、提出先や必要な場面ごとに記載項目が異なるため、作成には時間がかかります。在職証明書を効率的に作成するためには、テンプレートの活用がお勧めです。
また、企業で利用するテンプレートを一つに決めておくと、担当者が代わったときもスムーズに作成できます。従業員が行う手続きが「間に合わない」「遅れてしまう」といったことが起きないよう、在職証明書の作成を依頼されたら速やかな作成を心がけましょう。
記事で在職証明書の書き方や注意点を確認したあとは、実務で使える書式を準備しておくと対応しやすくなります。日本語版・英語版の在職証明書テンプレートを資料ダウンロードし、自社の運用に合わせてご活用ください。
(制作協力/株式会社eclore、編集/doda人事ジャーナル編集部)
在職証明書テンプレート(日本語・英語)【Word版】
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